和音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 06:47 UTC 版)
和音の種類
三和音(五の和音、トライアド)
和音の基礎となる音高「根音(ルート)」[1]と、根音の3度上の音(第3音)と、根音の5度上の音(第5音)の3つの音から成る和音を三和音(英: triad、独: Dreiklang)という[2]。三和音には、長三和音、短三和音、増三和音、減三和音がある。
上記の三和音の一覧は次の通りである。コードネームは C を根音とするときのものを表記する。
- 長三和音(メジャー・トライアド)
- 根音・根音から長三度上の音・完全五度上の音からなる和音。長調の音階での第1音、第3音、第5音とからなるとも言い換えられる[3]。
- コードネーム:C、CM、CMA、Cmaj、C△
- 短三和音(マイナー・トライアド)
- 根音・根音から短三度上の音・完全五度上の音からなる和音。メジャー・トライアドの第3音を半音下げたものとも言い換えられる[4]。
- コードネーム:Cm、Cmin、C-[5]、Cmi、C-△
- 一般的にm、mi minなどアルファベットを使う場合、マイナーはメジャーとの区別をしやすくするため小文字で表記するが、一部では大文字が使われる(特にアメリカなどの英語圏)。
- 減三和音(ディミニッシュ・トライアド)
- 根音・根音から短三度上の音・減五度上の音からなる和音[6]。
- コードネーム:Cdim、Co、Co△、Cm-5、Cm(♭5)、C--5、C-(♭5)、C dim(triad)、Cdim△
- 三和音の表記であるdim(o)は、減七の和音dim7(o7)の意味で表記されることがある(特にジャズ)。おおむね楽譜によって統一が取られているので判断できるが、そうでなければ和声的な意味合いを読み取って判断する必要がある。
- 明示的にo△と表記されていれば必ず減三和音を表す。
- 増三和音(オーグメンテッド・トライアド)
- 根音・根音から長三度上の音・増五度上の音からなる和音[7]。
- コードネーム:Caug、C+、C+5、C(#5)、C+△、C△+5、C△(#5)
四和音(七の和音、セブンスコード)
三和音に、根音の7度上の音(第7音という)を加えた和音を、四和音(英: four notes chord)または、より一般的には七の和音(英: seventh chord、独: Septimenakkord)と呼ぶ。
- 属七の和音(セブンス)
- 長三和音に、根音から短7度の音を加えた和音[8]。
- コードネーム:C7
- 長七の和音(メジャー・セブンス)
- 長三和音に、根音から長7度の音を加えた和音[9]。
- コードネーム:CM7、CMa7、Cmaj7、C△7
- 短七の和音(マイナー・セブンス)
- 短三和音に、根音から短7度の音を加えた和音[10]。
- コードネーム:Cm7、Cmi7、C-7
- 短三長七の和音(マイナー・メジャー・セブンス)
- 短三和音に、根音から長7度の音を加えた和音。
- コードネーム:CmM7、Cm maj7、C-△7、C-M7、C- maj7
- ルート音を省略すると、「E♭aug(オーグメント・コード)」になっている事に注目できる。
- 減五短七の和音(半減七の和音、導七の和音、減五七の和音、ハーフ・ディミニッシュト)
- 減三和音に、根音から短7度の音を加えた和音。
- コードネーム:Cm7-5、Cm7(♭5)、Cmi7(♭5)、CØ、C-7-5、C-7(♭5)
- 俗に言うトリスタン和音。
- 減七の和音(ディミニッシュト・セブンス)
- 減三和音に、根音から減7度の音を加えた和音。
- コードネーム:Cdim7、Co、Co7、Cm6-5、Cm6(♭5)、Cm(♭7)(♭5)、Cm(-7)-5、C-6-5、C-6(♭5)、C-(-7)-5、C-(♭7)(♭5)
- 減三和音ではなく、減七の和音をdim(o)と表記する場合がある(特にジャズ)。おおむね楽譜によって統一が取られているので判断できるが、そうでなければ和声的な意味合いを読み取って判断する必要がある。
- 増七の和音(増五長七の和音、オーグメンテッド・メジャー・セブンス)
- 増三和音に、根音から長7度の音を加えた和音。
- コードネーム:Caug M7、CM7+5、CM7(#5)、C+△7、C△7(#5)
五和音(九の和音、テンションコード)
四和音に、根音の9度上の音(第9音)を加えた和音を、九の和音(英: ninth chord、独: Nonenakkord)または五和音と呼ぶ。
- 属九の和音(長九の和音、ナインス)
- 属七の和音に、根音から長9度の音を加えた和音。
- コードネーム:C9、C7(9)、C7(add9)
- 属七短九の和音(短九の和音、セブンス・フラット・ナインス)
- 属七の和音に、根音から短9度の音を加えた和音。また、♭9thのテンション音は、根音からオクターブと短2度の関係で、根音に対してナポリの音の関係にある。
- コードネーム:C7(♭9)
その他の和音
上記の他、次の和音などを独立した和音として扱うことがある。
- C7(#9) または C7(♭10)
- 属七の和音に、根音から増9度(オクターブ+短3度)の音を加えた和音。
- コードネーム:C7(#9)、C7(♭10)、C7+9、C7-10
- C7(11)
- 属七の和音に、根音から完全11度の音を加えた和音。
- Cm7(11)
- 短七の和音に、根音から完全11度の音を加えた和音。
- C7(♯11)
- 属七の和音に、根音から増11度の音を加えた和音。
- CM7(♯11)
- 長七の和音に、根音から増11度の音を加えた和音。
- C7(13)
- 属七の和音に、根音から長13度の音を加えた和音。
- C7(♭13)
- 属七の和音に、根音から短13度の音を加えた和音。
- Csus4
- 長三和音の第3音を根音から完全4度の音にした和音。クラシック音楽では第3音は次に完全4度から3度に解決。
- C7sus4
- 属七の和音の第3音を根音から完全4度の音にした和音。クラシック音楽では第3音は次に完全4度から3度に解決。
- Csus2
- 長三和音の第3音を根音から長2度の音にした和音。
- C6
- 長三和音に、根音から長6度の音を加えた和音。
- Cm6
- 短三和音に、根音から長6度の音を加えた和音。
- C69
- 長三和音に、根音から長6度と長9度の音を加えた和音。
- Cm69
- 短三和音に、根音から長6度と長9度の音を加えた和音。
- C(add9)
- 長三和音に、根音から長9度の音を加えた和音。
- C(add4)
- 長三和音の第3音を省かずに、根音から完全4度の音を加えた和音。(非常にまれである)
- C-5 または CM-5
- 長三和音の第5音を根音から減5度の音にした和音。
- C7-5
- 属七の和音の第5音を根音から減5度の音にした和音。
- C7+5 または Caug7
- 属七の和音の第5音を根音から増5度の音にした和音。
- ^ 『根音』 - コトバンク
- ^ 幡野 2008, p. 120.
- ^ 幡野 2008, p. 120,121.
- ^ 幡野 2008, p. 123.
- ^ 幡野 2008, p. 122.
- ^ 春畑 2009, p. 115.
- ^ 春畑 2009, p. 114.
- ^ 春畑 2009, p. 106.
- ^ 春畑 2009, p. 107.
- ^ 春畑 2009, p. 108.
- ^ Gates, Jerry (2011年2月16日). “Chord Symbols As We Know Them Today – Where Did They Come From?” (英語). バークリー音楽大学. 2013年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月13日閲覧。
和音と同じ種類の言葉
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