和
和(わ)とは、調和や平和を意味する言葉である。人々が互いに協力し、共に生きることを示す概念であり、対立や争いを避け、共存共栄を目指す姿勢を表す。和は、日本文化の根底に流れる価値観であり、日本人の行動や思考に深く影響を与えている。
和
「和」 は主に「やわらぐ(和らぐ)」「なごむ(和む)」といった意味で用いられる漢字である。「足し算の結果」や「日本国・日本文化」を指す字として用いられることも多い。
「和」の読み方
音読み
「和」の音読みは基本的に「ワ」である。「和(ワ)」は《呉音》の読みである。「和」の音読みを《唐音》で「オ」と読む場合もある。めぼしい例としては「和尚(オショウ)」が挙げられる。熟字訓の「和蘭陀(オランダ)」も元々は唐音読みに基づいているかもしれない。
なお「和尚」は、真言宗や浄土真宗では「ワジョウ」と読まれる。
天台宗や華厳宗では「和尚」は「カショウ」と読む。「和(カ)」は《漢音》の読みである。
訓読み
「和」の訓読みは、主な所では「和らぐ(やわ-らぐ)」「和む(なご-む)」「和える(あ-える」などがある。おおむね振り仮名によって読み分けられる。「和ぐ(な-ぐ)」という読み方もある。「凪ぐ」の異字として用いられ、特に心が穏やかになる・心が和む、という文脈で用いられる言い方である。
熟字訓
「和」の字を含んで特殊な読み方をする言葉としては「和毛(にこげ)」「大和(やまと)」「和泉(いずみ)」「日和(ひより)」などが挙げられる。「和」とは・「和」の意味
#調和・均衡・平和・争わないこと
「和」が持つ意味は1つではなく、使われ方によってその意味を変える。そのため一般論として『「和」とは・「和」の意味』と問われたとき、その意味合いを1つのものに決めつけることはできない。状況や指すものあるいは使い方やシーンによって判断しなければならない。「和」という言葉が、人との関係性や物事の状況を表現する文脈に用いられた場合、一般的に「仲よくすること」「相手を互いに尊重すること」あるいは「おだやかさ」や「のどかさ」を意味する。転じて「(粗ぶった心が)鎮まる」「(張り詰めた状態から)気持ちがゆるむ」といった意味も持つ。また「和」は、「調和」や「均衡」といった意味を付加する。例えば「和」は、「人の和」「家族の和」などだ。「和を乱す」のように使われると、調和や均衡を乱すことを示す。「和を以て貴しとなす」なら協調することが尊いと捉えられる。
古語においては、固有名詞・職責・役職などと結びつくときには「親愛の情」や「侮り」を付加する場合もある。
#和議としての「和」
調和や協調から一歩すすみ、相手の言い分を認め、争わない事といった捉え方をされる場合もある。「和を結ぶ」といった使い方をされた場合は、その議論や争議において「(相手方と)和議をはかる」「争いをやめる」「仲直りをする」もしくは「円満に話を終えて協力する」といった意味となる。#日本の・日本式の「和」
「和」は風習・文化・考え方などに対して「日本」を意味する概念を与える。例を挙げるなら、「和風」「和食」「和服」などだ。あるいは「和のこころ」といったものも、日本風を意味するだろう。なお、昔の中国では日本の呼び名として「倭」という言葉が使われてきた。そのため「和」が「日本」を意味するときは、日本においても「倭」と書かれることがあった。また「和」は日本語そのものを表す。ただし「和語」のように語彙を表す違う言葉と結びついて日本語を意味することもある。#2つ以上のものを合わせること
数学あるいは算数において、数を2つ以上足し合わせることを「和」と呼ぶ。もしくはその計算式における解を「和」と呼ぶ。この意味の「和」は「加法」とも呼ばれている。また、代数学においては、集合の一形式である「和集合」を指す。なお、日本には和演算とよばれる独自の演算方法があった。「和」は「和演算」を意味することがある。#万葉仮名における「わ」
「和」はそのものがカナ文字としても使われてきた。万葉仮名(まんようがな)における「和」は、現在でいうひらがなの「わ」を意味する。万葉仮名とは、飛鳥時代後期(白鳳時代)から奈良時代において用いられた文字のことである。その当時は日本語の表記に漢字が用いられていた。「和」の語源・由来
#「和」の起源と由来
漢字としての「和」は、古代中国の漢字が起源として知られている。漢字はおよそ3,300年前の中国で誕生した。その漢字の起源となるものが甲骨文字である。甲骨文字は中国の殷代末期から周代初期に用いられた。その名前の由来は、亀の甲羅や牛の肩甲骨に文字を刻んだことにある。占い(甲骨占卜)による結果を記すために甲骨文字が使われるようになったとされている。解読されている甲骨文字は、発見されたものの20%程だ。その中に「和」の原型とみられる「禾(か)」と「口(こう)」が存在している。
甲骨文字としての「禾」は粟の穂が実り一方に垂れ下がった様子を表した文字だ。しなやかさや丸みを帯びた穂の姿から、かどがたたない様子を意味するようになった。そして人や動物の口(くち)を象ったものが「口(こう)」だ。生物の器官としての口(くち)、物事の始点や出入り口、人や家(の数や量)など、その意味は広い。
現在の「禾」と「口」が合わさった「和」の原型が現れるのは甲骨文字の時代の少し後になり、金文文字が登場してからだ。金文文字とは青銅器の表面に刻まれた文字のことである。青銅器銘文とも呼ばれている。金文文字の最古の物は殷代にさかのぼるが、甲骨文字の方がその登場は古い。「和」は「禾」と「口」から成る会意文字として、金文文字として生まれた。会意文字とは、複数の漢字を組み合わせることで生まれた文字のことである。金文文字での「和」は現代語と意味がよく似ており「仲良くなる」という意味で使われていたようだ。
金文文字は秦の時代に篆書体として整理された。それまで使われていた文字を(大篆)を簡略化し小篆という書体が登場する。しかし、複雑な形をした小篆は事務作業に不向きであった。そこで小篆の単純化や簡素化がすすみ、新しく隷書という書体が登場する。これによって「和」は簡略化され、現代の見た目に近づいた。
現代における「和」と同じといってよい書体になったのは楷書が登場したころからだ。楷書は隷書を元にして、魏晋南北朝時代から隋・唐に標準化した書体のことである。楷書の書体は、当時、奈良時代であった日本にも持ち込まれた。そのころから日本においても「和」が現在と変わらない形で用いられたと考えられている。なお、魏晋南北朝時代に登場した王羲之(おうぎし)が書いたとされる書物の写しは、奈良時代から日本における楷書のお手本として使われていたとされる。
#「和」の意味の語源
金文文字における「禾(か)」は、穂のなる様子だけではなく、軍隊の標識を指しているともみられている。そして「口(こう)」は神へ誓う言葉をいれる容器を指す。「和」はこれらの意味を合わせ持っており、(敵対する者同士が)軍隊の陣地において神に平和を祈る様を表したと考えられている。つまりは「仲良くなる」ということだ。この様子が語源となり、調和・均衡・平和・争わないことといった意味が生まれた。そして、この穏やかな言語イメージは徐々に変化をみせ、「おだやかな」や「のどか」といった意味を持つようになった。ただし、「和」の語源・由来には諸説がある。ここで紹介した説はその1つでしかない。#「和」が日本を意味するようになった由来
日本という意味での「和」の語源・由来は中国にある。「魏志倭人伝」(中国の歴史書「三国志」の「魏書」の一部のことを指す)にあるように、当時の中国では日本を「倭」と呼んでいた。なぜ「倭」と呼ぶようになったかは諸説ある。代表的なものは「中国へ渡った当時の日本人が「わ」国から来たと答えた」「日本の位置がよくわからず「遠いところ」を意味する言葉をあてた」「当時の日本人が猫背で低身長だったため、その意味を持つ倭をあてた」などだ。言葉の由来こそ明確ではないが、当時の呼び方が元となっていることに違いはない。その後「倭」から「和」へと変化が起きた。これは「倭」が良い意味で使われている言葉でなかったことがその要因であるとされている。その結果、「倭」と同じ響きを持つ「和」が使われるようになったと考えられている。「倭」から「和」へと変遷していったのは奈良時代中期のことだ。その後、時代が流れ「和」が定着していった。鎌倉時代末期にまとめられたとされる「徒然草」には「和国は単律の国にて」という記述がある。
「和」の読み方
音読みでは「ワ・オ(ヲ)・カ」が「和」の読み方である。訓読みでは「なご(む・やか)」「やわ(らぐ・らげる)」。表外読みでは「あ(える)」「な(ぐ)」のほか「にき」「にこ」「のど(か)」がある。ただし、人名や地名に「和」が使われる場合は、この限りでない。名前として使われる場合は「かず」と読む。例として「和美(かずみ)」「和子(かずこ)」「和也(かずや)」が挙げられる。この読みかたの理由は諸説ある。代表的な説は、足すという意味の和が転じて「かず(数)」と読むようになった、といったものだ。また、名称では送り仮名が省略されて使われることが珍しくない。そのため人名における「和」は「のどか」「なごみ」「なごむ」と読む。地名では「和」と書いて「やわら」「かのう」「いずみ」と読むこともある。
なお、「和」の禾口を左右逆にした漢字がある。これは「和」の異体字なので、読みや意味は「和」と同様だ。
わ【×倭/和】
お【和】
か【▽和】
読み方:か
⇒わ
にき【▽和/▽熟】
にこ【▽和/▽柔】
読み方:にこ
[語素]やわらかい、こまかいの意を表す。「—やか」「—毛」
わ【和】
読み方:わ
[音]ワ(呉) カ(クヮ)(漢) オ(ヲ)(唐) [訓]やわらぐ やわらげる なごむ なごやか あえる なぐ なぎ
〈ワ〉
1 争いごとがなく穏やかにまとまる。「和解・和合・和平/協和・講和・親和・不和・平和・宥和(ゆうわ)・融和」
2 やわらいださま。ゆったりとして角立たない。「和気・和光同塵(わこうどうじん)/温和・穏和・緩和・清和・柔和」
3 性質の違うものがいっしょにとけ合う。「混和・中和・調和・飽和」
6 日本。日本語。「和歌・和裁・和室・和食・和風・和服/英和・漢和」
[補説] 「和尚」は宗派によって「かしょう」「わじょう」とも読む。
[名のり]あい・あつし・かず・かた・かつ・かのう・たか・ちか・とし・とも・のどか・ひとし・まさ・ます・むつぶ・やす・やすし・やまと・やわら・よし・より・わたる
[難読]和泉(いずみ)・和蘭(オランダ)・和栲(にきたえ)・和毛(にこげ)・和布刈(めかり)・大和(やまと)・和布(わかめ)
わ【和】
わ【我/×吾/和】
読み方:わ
「大野山霧立ち渡る—が嘆くおきその風に霧立ち渡る」〈万・七九九〉
[接頭]名詞・代名詞に付く。
1 親愛の情を表す。「—おとこ」「—ぎみ」
のど【▽閑/▽和】
和
芸名 | 和 |
芸名フリガナ | のどか |
性別 | 女性 |
誕生日 | 12/23 |
星座 | やぎ座 |
身長 | 168 cm |
URL | https://www.dine.co.jp/talent/%E3%81%AE%E3%81%A9%E3%81%8B/ |
靴のサイズ | 24 cm |
プロフィール | 12月23日生まれのモデル。主な出演作は、QAB『グルメちゃんぷるー』、FMぎのわん『ギノガルフ』、YouTube『沖縄の休日』など他多数。 |
代表作品1年 | 2015~ |
代表作品1 | QAB『グルメちゃんぷるー』(レギュラーリポーター) |
代表作品2年 | 2020~2021 |
代表作品2 | FMぎのわん『ギノガルフ』 |
代表作品3年 | 2022 |
代表作品3 | OTV『ひーぷー☆ホップ「ひーぷー☆バズガイド!」』 |
職種 | 俳優・女優・タレント |
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 00:04 UTC 版)
「関係代数 (関係モデル)」の記事における「和」の解説
和(union)演算 R ∪ S は、R と S を、R の全ての組(タプル、行)と S の全ての組で構成される一つの関係を返す。この演算では、R と S が型適合であることが前提となる。重複する組は除去される。 参考: 和集合
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和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 22:40 UTC 版)
α, β を順序数とする。整列集合 (A, ※この「和」の解説は、「順序数」の解説の一部です。
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和 (ギター)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/18 20:29 UTC 版)
結成当時からのメンバー。メジャー移籍後の2004年3月に方向性、音楽性の違いにより脱退。
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和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 16:18 UTC 版)
「D (データベース言語仕様)」の記事における「和」の解説
RとSの和 R ∪ S は、次のように記述する。 R UNION S
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和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 02:46 UTC 版)
本来は無双直伝流和といい、流祖が稀代の達人であったことから無双直伝英信流和と呼ばれることになった。土佐では夏原流とも名乗られるようになった。また信州では和に分類されている大小(立)詰、大剣(取)、寝間ノ大事は居合に含まれている。 捕手 十一本 立合 十一本 小具足 十一本 後立合 十一本 小具足割 十本 本手移 十一本
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和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 09:27 UTC 版)
ρ, σ を順序型とする。全順序集合 (A, ∈ A × B によって定義すれば、(A ∪ B, ※この「和」の解説は、「順序型」の解説の一部です。
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和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 07:27 UTC 版)
「暗号関係の書籍の一覧」の記事における「和」の解説
横井俊幸、『日本の機密室』、鹿鳴社、1951年 桧山良昭、『暗号を盗んだ男たち - 人物・日本陸軍暗号史』、光人社NF文庫、1994年1月17日、光人社、ISBN 4-7698-2035-6 (専門家から見ると誤りが多く、引用には注意が必要である) 吉田一彦、『暗号戦争』、小学館、1998年8月20日、ISBN 4-09-387261-9 (文庫化されている) 吉田一彦、『暗号解読戦争』、ビジネス社、2001年4月20日、ISBN 4-8284-0919-X 吉田一彦、『暗号戦争』、日経ビジネス文庫よ1-1、日本経済新聞社、2002年1月7日、ISBN 4532191076 (写真の増減、現代の章などに加筆・編集あり) 高川敏雄、『暗号解読入門 - 歴史と人物からその謎を読み解く』、PHP研究所、2003年1月8日、ISBN 4-569-62550-9 広田厚司、『エニグマ暗号戦』、光人社NF文庫、2004年2月13日、光人社、ISBN 4-7698-2409-2 木村洋、『戦中日本暗号解読史における数学者の貢献』、津田塾大学数学・計算機科学研究所報26、2004年。(陸軍暗号史と中央特種情報部に於ける高木貞治や小平邦彦らの暗号解読に対する協力について精緻に纏めている) 木村洋、『第二次世界大戦と高木貞治』、津田塾大学数学・計算機科学研究所報28、2006年。(高木貞治が参謀本部からの依頼を受けて暗号研究に関与した件について詳細に論じた) 福富節男、『暗号数理学者 釜賀一夫のこと』、津田塾大学数学・計算機科学研究所報28、2006年。 (陸軍中央特種情報部で釜賀一夫少佐の部下だった数学者の体験談として貴重である) 宮杉浩泰、『第二次大戦期日本の暗号解読における欧州各国との提携』、Intelligence 9号、2007年、ISBN 978-4-87738-328-2 木村洋、『日本・ポーランド暗号協力に関する一考察』、Intelligence 9号、2007年、ISBN 978-4-87738-328-2 (ヤン・コワレフスキー以降終戦までの日波暗号協力について論じる。ポーランド参謀本部が、日本にエニグマ暗号解読や、暗号学に高等数学が必要なことを意図的に伝えなかったことを検証している) 森山優、『戦時期日本の暗号解読とアメリカの対応――暗号運用の観点から』、Intelligence 9号、2007年、ISBN 978-4-87738-328-2
※この「和」の解説は、「暗号関係の書籍の一覧」の解説の一部です。
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