畳 畳の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/02 09:00 UTC 版)

祝儀敷きによる畳の部屋。高木家住宅(奈良県橿原市)

畳には縦横比が2:1になっている長方形の一畳サイズと、これを横半分にした正方形の半畳サイズの2種類がある(以下の記述は特に断らない限り一畳サイズに関するもの)。大きさは3×6尺(910mm×1820mm、1.6562 m2)のものが基本となるが、部屋の寸法に合わせて注文生産される場合が一般的なのでサイズは一定していない。一般的な規格としては、京間(本間)、中京間(三六間)、江戸間(関東間、田舎間、五八間)、団地間(公団サイズ、五六間)の4種類が特に有名である。

2020年「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコ無形文化遺産に登録され、この中に「畳製作」が含まれている[1]

歴史

手縫いによる製作風景
フロアの一角に設けられた畳エリア

古代の畳は、(むしろ)・茣蓙(ござ)・菰(こも)などの薄い敷物の総称であり、使用しないときは畳んで部屋の隅に置いたことから、動詞である「タタム」が名詞化して「タタミ」になったのが語源とされる。

現代の畳に近づくのは平安時代に入ってからであり、厚みが加わるとともに部屋に据え置いて使うようになり、大きさの規格化が進められている。延喜式では、階級により大きさや縁の色が定められている。

平安時代までは板床に敷くクッションの一種のような感覚で使われていた。室町時代に入ると、書院造の登場によって部屋全体に畳を敷く様式があらわれ[2]、移動させることがなくなった畳はより分厚く重くなり、茶道の拡大に伴い、正座と共に普及していった。

江戸時代に入ると、畳そのものが重要な建築物の要素として見なされるようになり、や屋敷の改修工事を司る役職として畳奉行が任命される例も見られた。

最近は生活の洋風化に伴い畳を敷き詰めるのではなく、平安時代のように薄い畳をクッションとして1枚から数枚程度板間に置く(置き畳)、という形が復活しつつある。

畳の畳床部分は伝統的には藁だけを使用していたが、藁の間に発泡スチロールを挟んだものが大半となった(スタイロ畳)[3]。 現在では防水畳や、車椅子に対応した畳なども登場している[4] [5]

構造

畳床

断面写真
写真は「藁サンド」といわれる発泡ポリスチレンの板(スチレンフォーム)を藁で挟んだタイプのもの

乾燥させた稲藁を強く圧縮して縫い止め、厚さ5cm程度(標準的には5.5cm)の板状に加工するのが最も伝統的な製法であり、藁床(わらとこ)と呼ばれる。稲作の副産物として生じる稲藁を有効に活用したもので、適度な弾力性、高い保温性、室内の調湿作用や空気浄化作用など高い機能をもつ。

しかし、近年では材料の入手が困難であること、製造が難しいこと、重くて取り扱いが面倒であること、ダニ等の害虫が繁殖しやすいこと、カビが生えやすいこと、などの理由から新素材が利用される場合が多い。木材のチップを圧縮成形したインシュレーションボード発泡スチロールを単板あるいは積層させたもので、建材畳床(けんざいたたみどこ)、または化学床(かがくとこ)と呼ばれる。踏み心地や通気性では藁床に及ばないと言われているが、安価で軽く、階下への防音性能に優れる。

畳表

畳表
様々な畳表

藺草または七島藺(しちとうい)の茎を乾燥させて織ったござで、様々な織り方がある。藺草を緯糸(よこいと)、麻糸か綿糸を経糸(たていと)にして織り上げるが、ほとんどは一目の中に経糸を2本ずつ織り込んだ諸目表(もろめおもて)と言われる織り方である。縁無し畳には、一目に経糸を1本ずつ織り込んだ目積表(めせきおもて)という織り方のものが利用される。

年月が経つと擦り切れるため、業界団体などは3年から5年に1度を目安に畳からはがしてひっくり返したり(裏返し)、新たな物に張り替える(表替え)ことを勧めている。

飲食店ではタバコの焼け焦げや食べこぼしなどで傷が付いたりシミが出来ることがある。それを見込んで、近年は深夜に表替えを行う畳屋がある。

畳表は畳床と異なり現在でも天然素材が一般的だが、合成繊維を織った畳表や合成樹脂の表面に畳の目を型押ししたシート状の畳表もある。

古く日焼けした畳表を新品のように色鮮やかに見せるため、畳用塗料あるいは畳ワックスが塗られる場合もある。これらは安価かつ入手が容易で、専門知識が不要で誰でも簡単に処理ができるため、賃貸住宅公共施設等を中心に広く利用されている。

畳縁

一般的に畳床を畳表で包むとき、長手方向には畳表を巻き付けて裏側で畳床に縫い付ける(この側面部を(かまち)という)が、横方向は畳床の幅に合わせて畳表を切り揃えてしまう。切り放しのままでは畳表が固定されないので、畳縁で切り口を隠すと同時に畳床に縫い付けて止める。

畳床を畳表で包むときに、縦方向だけでなく横方向にも巻きつけて、折り込むように裏側で縫い付けると縁無し畳となる。ただし、一般的な畳表(諸目表)を横方向に巻き付けようとしても緯糸のい草が鋭角的に折れ曲がってしまい上手くいかない。縁無し畳の場合には織り目が詰んでいる目積表(めせきおもて)が一般的に利用される。

畳縁は目立つので、色や柄で部屋の雰囲気が大きく変わる。 昔は、身分等によって利用できる畳縁に制限があった。

  • 繧繝縁(うんげんべり・うげんべり)…天皇・三宮(皇后・皇太后・太皇太后)・上皇、神仏像
  • 高麗縁(こうらいべり)…親王・摂関・大臣(大紋高麗縁)、公卿(小紋高麗縁) 

  1. ^ 「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」のユネスコ無形文化遺産登録(代表一覧表記載)について”. 文化庁 (2020年12月17日). 2021年1月12日閲覧。
  2. ^ 寝殿造から書院造へ”. 京都市歴史資料館. 2020年4月5日閲覧。
  3. ^ イグサを「臭い」と言う女子中学生、日本の「畳文化」は消滅してしまうのか…業界危機感、畳「復権」へ「畳ビズ」「東京五輪作戦」 産経WEST 2014年5月17日
  4. ^ 「洗える畳」で製造販売会社が災害復興に一役 樹脂製の表面、水に強い構造”. 株式会社産経デジタル (2020年6月10日). 2020年7月6日閲覧。
  5. ^ 硬くて軟らかい「畳」、車いすもOK 埼玉の畳店が開発”. 朝日新聞社 (2019年2月16日). 2020年7月6日閲覧。
  6. ^ 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第5章 表示基準 第1節 物件の内容・取引条件等に係る表示基準 (物件の内容・取引条件等に係る表示基準)第10条 (面積)第16号 「住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること。」、不動産公正取引協議会連合会 
  7. ^ DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準 (PDF) DK又はLDKの最低必要な広さの目安、 「なお、一畳当たりの広さは、1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいう(表示規約施行規則第11条第16号)。」、不動産公正取引協議会連合会、2011年(平成23年)11月11日
  8. ^ 『神社有職故実』全129頁43頁昭和26年7月15日神社本庁発行


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