発泡スチロール
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発泡スチロール(はっぽうスチロール、foamed styrol)は、合成樹脂素材の一種で、気泡を含ませたポリスチレン(PS)である。発泡プラスチックの一種。なお、スチロールとはスチレンの別名である。 また、発泡スチロールの98パーセントは空気である。
- ^ Its Not A Cup
- ^ a b c 日本放送協会. ““使われなくなる日を願って” 小さな黒い箱に込められた思い”. NHKニュース. 2021年7月22日閲覧。
- ^ 断熱工事のビル 再び火災――可燃材料が断熱工事の建材にとなる 新唐人 2010年11月23日放送
- ^ 東京農業大学 断熱材のシロアリ食害試験報告
- ^ 福田清春, 柏井伸二, 冨永洋二, 近江正陽. 2001. 発泡スチロール廃棄物の木質材料用接着剤への再利用. 木材工業 Vol56. No10. 458 -463
ポリスチレンフォーム
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「発泡プラスチック」の記事における「ポリスチレンフォーム」の解説
「発泡スチロール」も参照 ポリスチレンフォーム(PSフォーム)は、1930年代にスウェーデンで研究が始まり、1943年にダウ・ケミカルが溶融発泡の押出発泡成形したスチロールボード(Extruded Polystyrene - XPS)を、1951年にドイツのBASFが固相発泡のビーズ法発泡ポリスチレン(Expandable Polystyrene Beads - EPS)を発明した。1960年代には押出発泡法の改良が進み、1961年には0.5mm程度の厚さを持つシート成形が可能となり「ポリスチレンペーパー」(または「発泡ポリスチレンシート」、Polystylene paper - PSP)が初めて上市された。標準的な発泡倍率は、XPSおよびEPSで50-100倍、PSPで10-20倍程度である。 原材料 原料には汎用ポリスチレン(GPPS)が用いられる。ビーズ法(EPS)では、型内での予備発泡には水蒸気が用いられる。これは安価で熱効率が良く、PSが水蒸気を通しやすい性質から発泡剤への熱伝導が早い効果から採用されている。発泡剤にはPSの軟化点よりも沸点が低い炭化水素類(プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・ヘプタン・シクロヘキサンなど)を単体または混合して用いる。これら発泡剤の選択は、EPSの機械強度や寿命だけではなく発泡成形時のサイクルなどにも影響するため、適切な選択が必要になる。さらに、発泡時の合成樹脂可塑助剤として芳香族炭化水素(トルエン・エチルベンゼン)やハロゲン化炭化水素などを、気泡調整剤として塩素化ワックスなどを添加する場合もある。成形前にビーズ同士がひっつくことを予防するためには、複数の表面コーティング剤(ステアリン酸やロジンなどの金属石鹸、グリセリンやアマイドなど高級脂肪酸類、食用油類、タルクなど無機粉末、界面活性剤、他)を併用して用いる。 押出成形(XPS、PSP)では、均一で微細な気泡をつくるために、無機ではシリカやタルク粉末、有機ではクエン酸-重曹の併用や反応系化合物などが核剤として利用される。発泡剤は蒸発型(低沸点溶剤活用法)と分解型(化学反応ガス活用法)が使われるが、分解型は窒素や二酸化炭素など発生するガスがPSを透過しやすく発泡倍率を上げにくい。そのため蒸発型発泡剤が一般的に採用され、プロパンやブタンなど沸点が低い石油系炭化水素が主に使用されているが、燃えやすいため取扱いに注意が求められる。かつて使われていた塩化メチルやニ塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素は難燃フォームを製造することが可能だが毒性が強く、フロン類は全廃された。この他にも、着色するための顔料類や、難燃化のための添加型難燃剤・助剤またはPSと反応させて改質する反応型難燃剤などが使われる。 製法・性能・用途 EPSでは、発泡剤を配合したPSの粒を用いる。あらかじめ予備発泡させ密度を60 - 100g/L程度にする手法と、予備発泡をさせない方法がある。これらを金型内に投入して加熱し、20 - 70倍に発泡させて成形する。加熱方法は金型に開けた小孔から水蒸気を吹き込む方法が多く、加熱温度が100℃程度だと高密度の、105 - 130℃程度だと低密度の発泡体が得られる。軽量であり断熱や緩衝性また印刷適性にも優れ、EPSは容器材料に用いられる例が多く、フィルムや段ボールなど他の素材と複合化して、水産・農業分野で広く採用されている。その他にも、衝撃性を生かしたヘルメットなど、難燃性を付与した建材分野、高い浮力から浮子や救命胴衣などに使われる中、1980年代後半頃から土木分野での各種工法が開発され需要を拡大している。 押出成形にて製造されるXPSは、押出機でPSと核剤およびその他の添加剤を加熱混練させ、シリンダー途中のメルトゾーンで発泡剤を注入し合成樹脂をゲル状にする。続けて温度管理を施しながらダイから押出し、連続的に成形する。発泡率30倍程度の独立気泡体が得られるが、特殊な成形法で2 - 3倍発泡体も製造される。厚物では丸太または厚さ150mm程度のボードが一般的で、これらに切断などの二次加工を施して成形品を仕上げる。厚物はほとんどの場合に土木建築用断熱材用途で使用され、薄物は木材代替としてディスプレイ用などに用いられる例が多い。 シート状のPSP成形はインフレーション法が用いられる。あらかじめ発泡剤を含浸させる二段法と、XPS同様に押出機中で注入する一段法がある。これをリング状のダイから円筒状に押し出し、マンドレルと呼ばれる筒の外側を沿わせながら発泡させた後にスリッターで縦に切り、2本または4本のロール状に巻き取る。これにより、真珠様の表面光沢に優れた主に10倍程度の薄い発泡シートが得られる。このシートは真空成形などで狙った形状に二次加工されるが、その際にはさらなる発泡が起こる。PSPはプリパッケージ用が需要の半分以上を占め、他も折り詰め箱やカップまたはトレイ状の包装材料の用途で使用される。断熱効果は限定的で、建築用にはほとんど採用されていない。
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