指
(五本指 から転送)
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指(ゆび)は、一般的に人間の身体の一部で、手や足の末端部にある突出部で、中に関節のある骨格を含む。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。相同な構造は四肢動物全般に見られ、四肢の形成の初期から存在する物である。
大和言葉としての「ゆび」は手足両方を指すが、漢字の「指」は手偏が付いていることからもわかるとおり、本来は手の「ゆび」を意味する。英語などのゲルマン語や中国語では手の「ゆび」と足の「ゆび」を区別する。「finger」と「toe」、「Finger」と「Zehe」、「手指」と「脚趾」など[注 1]。英語では日本語の指と同様に親指を含めてfinger(s)と呼ぶ場合と、親指を除いた4本のみをfingerとする場合がある[注 2]。日本語でも、医学用語では「指」と「趾」を区別する。
一方、仏: doigt・西: dedo・伊: ditoなどは「ゆび」と同様、手足ともに用いられる。
形態学的観察
指はそれを所有する人間、動物によっては構成要素や構造が様々であり、その機能に見合った生活をしている。基本的には四肢を持つ脊椎動物に存在するもので、それ以外の動物の場合、類似の構造をこう呼ぶ場合があるが、普遍性のあるものはない。
人を含め左右の手あるいは腕や足にそれぞれ生物固有の本数と形状で備わり、付属器官として爪、指紋、外分泌器などがあり、外部への攻撃やモノの把持、触覚、歩行における体重移動の補助機関などとして働く。
形態学的に指は多くの関節と腱と筋肉から構成され、複雑な動きに耐えるモノが多い。また、その先端には角質化した爪があり、これも様々な形があって、指の働きを補助する。
霊長類の指と皮膚
霊長類、人の手の皮膚は無毛皮と有毛皮とで組成されており、共通して掌は無毛皮、手の甲は有毛皮である。無毛皮には高い密度で触覚に関する感覚細胞が配置し、敏感な触覚器となっている。無毛皮は独特の皮膚紋を持ち、指のそれを指紋と呼んでいる。
指の本数
動物の種によって、また生まれ付いての突然変異によって指の本数は変わってくる。
人の指の数は一つの手足に対して5本である。それ以外は奇形として扱われ、「多指症」「合指症」「欠指症」などの名称で呼ばれている。また、指先の長さが短い物も「短指症」という奇形であり、オルブライト遺伝性骨異栄養症などの影響によって、特に手の親指の爪が、足の親指と同じ形状となって現れる。
動物の指の数は進化の分岐と共に分かれ、種によって指の本数が異なる。偶蹄目は第三趾・第四趾が発達し他は退化、奇蹄目とされるウマは第三趾のみ発達し他は退化。鳥類はダチョウが2本の指で、走行を主とした機能を果たしている。それに対し他の鳥の多くが4本指で前後逆向きについており、指でモノを挟むことができるようになっている。パンダは5本に加え、こぶが1本あり、指が6本あるように見える。イヌは親指の爪を狼爪と呼んでおり、後肢の狼爪は退化・消滅していることが多い。バクは前肢4本後肢3本、サイは3本と、種によって指の本数は大きく変わる。
系統との関係
四肢は魚類から両生類が進化する過程において、胸びれと腹びれ、いわゆる対鰭を支える柄の部分から発達したものである。その際、その外側に配置した骨から生じたのが指である。これは、足が地面を掻く際の引っかかりになるように発達したものであろう。
ごく初期の両生類においては、5本より多くの指を持つ例がいくつか知られているが、この時期に次第に整理され、最終的には前後とも5本の指があるのが定型となった。したがって、それ以降の脊椎動物の各群においても5本が基本であり、そこからの特殊化の過程において、様々な本数、形態のものが生じた。特に変化の激しいのが鳥類であり、前足は飛行のための翼となり、その過程において、親指を除いて独立の指は見られない。後肢は多くのものでは4本であるが、内の1本が完全に後ろを向く。
形態と適応
当初の指は足の先端のわずかな突起であったようであるが、動物の陸上進出、それにつれてのニッチの拡大にしたがって、その形態も多様化した。
細長い指は、関節で折り曲げることで物を掴む機能を持つ。樹上生活においては、細い枝を持つのに適した構造となる。樹上性のカエルや、サル類においてこれは著しく見られる。また、食物を掴むなど、さらに細かい動作もこのような指によって可能となる。なお、物を掴んで操作するという点ではヒトの親指のように掌側に曲げられる指は貴重である。しかしこれを持つものは少ない。パンダの6本目というのはこのような機能を持たせたものである。
地上を走るという機能から考えた場合、むしろ長い指は邪魔であり、短くしっかりしたものが望ましい。イヌやネコなどは指を短く折り畳むようにしてこれを実現する。しかし、よりしっかりと長距離を走るには、さらに固める方が望ましく、ほとんど区別できない指に固くて厚い爪を装備する。ダチョウや有蹄類のものが有名で、これらの動物ではさらに指の減少傾向がはっきりと見られる。
水中生活には、指の間に水かきを広げて、水を掻く能力をつける(カエル・カモノハシ・アヒルなど)。より遊泳力をつけるために、指全体を厚く肉が被ってオールのような形になる例もある(ウミガメ・クジラ)。空を飛ぶためにも、指の間に水かきを発達させる例がある(トビガエル・コウモリなど)。
ゆびの名称
人間の手のゆび
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日本語の指の名称は多様である。
標準 | 親指(おやゆび) | 人差し指(ひとさしゆび) | 中指(なかゆび) | 薬指(くすりゆび) | 小指(こゆび) |
---|---|---|---|---|---|
医学(番号) | 第一指(だいいちし)[6] | 第二指(だいにし)[6] | 第三指(だいさんし)[6] | 第四指(だいしし)[6] | 第五指(だいごし)[6] |
医学(名称) | 母指(ぼし)[6] | 示指(じし)[6] | 中指(ちゅうし)[6] | 薬指(やくし)[6] 環指(かんし) |
小指(しょうし)[6] |
漢語 | 拇指(ぼし)[7] | 食指(しょくし)[8] | 中指(ちゅうし)[9] | 無名指(むめいし)[10] | 小指(しょうし) |
幼児語 | お父さん指(おとうさんゆび) | お母さん指(おかあさんゆび) | お兄さん指(おにいさんゆび) | お姉さん指(おねえさんゆび) | 赤ちゃん指(あかちゃんゆび) |
その他 | 塩嘗め指(しおなめゆび)[11] | 高々指(たかたかゆび)[12] 丈高指(たけたかゆび)[13] |
薬師指(くすしゆび)[14] 名無し指(ななしゆび)[15] 紅差し指(べにさしゆび)[16] 紅付け指(べにつけゆび)[17] |
||
ピアノの運指番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
ギターの運指番号 /運指記号 (指板側/爪弾き側) |
T(まれ)/p | 1/i | 2/m | 3/a | 4/c(まれ) |
人間の足のゆび
下肢のものには漢字に「趾(し)」を用い、第一趾・第二趾・第三趾・第四趾・第五趾と書く。第一趾と第五趾は、それぞれ母趾、小趾とも呼ぶ。
指の内外
医学では、手の親指が外側(がいそく)、小指が内側(ないそく)であり、日常語の外側(そとがわ)、内側(うちがわ)と紛らわしい。このため、親指側を橈側、小指側を尺側と呼ぶ。足は親指が内側(ないそく)、小指が外側(がいそく)であり、日常語の内側(うちがわ)、外側(そとがわ)と一致する。足の親指側を脛側、小指側を腓側とも呼ぶ。
指と健康
指は手の付属器官として、健康については手を基調に語られることが多いが、知覚神経や運動神経が鋭敏である指の固有の働きは、人の日常生活に欠かすことのできないものが多く、その重要性は高い。
付属器官である爪は代謝が早く、また、爪の裏には毛細血管が走っており、その色が日常的に観察しやすいために、その時々の体調を現しやすく、様々な健康診断の指標となり、健康のバロメーターとも呼ばれる。
また、指には固まりやすい関節部が多いため、指は使わないと1週間ほどで動きがかなり鈍くなってしまう。老化に伴い、関節部の代謝は悪くなるため、老後もその機能を保持するためには、こまめに動かすことが求められる。
指の疾病
指固有ではない疾病
白癬に侵されることがある。指の股などに多く見られ、痒みや疹、皮膚の剥がれや紅斑などを症状とする。
関節炎、関節リウマチ、腱鞘炎などによって起こる変形性関節症が関節に熱を持ち、痛み、変形、運動障害などを齎す(もたらす)。
指は関節が多く複雑な動きに耐えるが、持続的な動きや力を入れる動きには強いとは言えず、関節の機能以外の動きによって引き起こされる脱臼、無理な動きによる靭帯損傷、関節の耐久能を超えての使用による関節炎などが機能的な障害の症例に挙げられる。
関節が多く、衝撃は関節に吸収されるために指自体の骨折は比較的少ないが、突き指などによって、指の靭帯損傷のみならず、指の掌に隠された部位の骨折を引き起こしていることがある。また重量物による圧迫が外傷がなくとも骨折を引き起こしていることもあり、曲げることが可能でも響くような痛みを伴う時はレントゲンによる観察が必要となる。
他には痛風、胼胝(タコ)、レイノー病、頸肩腕症候群(キーパンチャー病)、ビュルガー病、フィラリア症などが引き起こす象皮病など膠原病、他に爪の病気などが指周辺部に症状を引き起こす病気として多く挙げられる。
文化
- 日本語で、指は指示や指摘の意味で用いられることが多く、それらに関連する語彙が最も多い。「指を差す」「後指をさす」
- 日本語で、指は数を数える指標として用いることがある。「指を折る」
- 日本で指を用いて数える時は、人差し指を立てて 1、さらに中指を立てて 2、さらに薬指を立てて 3、さらに小指を立てて 4、さらに親指を立てて片手を広げて 5 を表す。両手を使うと十進数 10 まで、両手に両足を加えると十進数 20 = 二十進数 10 までを表現できる。左右の手指に限らず、「拳」または「親指と人差し指で円を作ること」で 0 を意味することがある。
- 十進法や二十進法の外に、指を使って二進法や六進法で数える方法がある。二進数では、片手で 11111(十進数31)まで、両手で 1111111111(十進数1023)までを表現できる(→二進指数え法)。六進数では、両手で55(十進数35)まで、両手両足で5555(十進数1295)までを表現できる。
- 競売や競りの時の数の表記には、その会場のルールが用いられるが、表意に指が使われることがある。
- 指人形:指に人形を模した被せ物をし、指を動かすことで動作をさせるもの。手全体に被せて動かす人形を言う場合もある。パペットではなくギニョールと言う。
- 指金:指を細く美しくするために挿す金の輪。指輪や指貫のことを指す場合もある。
慣用句
- 指を折る:指折りの、屈指の、多くの中で指を折って数え上げるほど優れていること。また、数える時の動態。
- 指を差す:モノを指で示すこと。人をあざけりそしること。手を出すこと。
- 指一本も差させない:他者に少しも非難を許さない潔癖な状態。また人に干渉させないことを言う。
- 指の股を広げる:太鼓持ちが遊客をおだてて機嫌を取るさまを言う。
- 指果報:指紋を見て占いをすること。転じて、思いがけない幸せ。
行動
- 指数え
- 指さし ‐ 人間においては、0歳児から指さし行動が見られる。
- 指しゃぶり
- 指で銃を撃つポーズ
- 指相撲:手を組み合わせ、指を力士に見立て押さえあう遊戯。
- 指笛:指を口に入れ、笛のように音を出すこと。またその演奏。
- 指切り:誓約の証に小指を切ること。また、それに託けた小指を曲げて引っ掛け合い、誓約をすること。げんまん。
- 指遊びや指を使っての影絵などは、地方によって様々な伝統や風習が存在する。また年代による違いも存在する。
- 指鳴らし(フィンガースナップ、指パッチン)
- 指詰め
指具
指にはめる道具として、サック、手袋、軍手などがあり、装飾や保護の役割を果たす。サックは事務用途として、書類をめくりやすくする目的で用いられることがある。
また爪に着ける道具として、付け爪、マニキュアなどがあり、ネイルケアとして装飾や保護の役割を果たす。
裁縫を行う時に針の頭を押すために指貫を用いることもある。金属、プラスチック、革などがある。
注釈
参考文献
- ^ “おやゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “ひとさしゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “なかゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “くすりゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “こゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ a b c d e f g h i j 船戸和弥 (2012), “Regiones membri superioris(上肢の部位)”, Anatomica generalis(一般解剖学) 2012年7月27日閲覧。
- ^ “ぼし”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “しょくし”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “ちゅうし”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “むめいし”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “しおなめゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “たかたかゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “たけたかゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “くすしゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “ななしゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “べにさしゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ “べにつけゆび”, 大辞林 第二版, 三省堂
- ^ R.ダグラス・コリンズ (著), 日経メディカル (編集)『診断の近道 チャートで示す症状から診断まで』 ページ:「肩の痛み」
関連項目
五本指
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 00:30 UTC 版)
「魔人探偵脳噛ネウロの犯罪者」の記事における「五本指」の解説
血族の中でも破壊の権化と称され、テロに長けたスペシャリスト達で構成された集団。五指に対応する五人がいる。5人それぞれ定向進化で獲得した超能力を有しており、それを利用した大規模なテロ行為を行う。また、顔にその人物の力を象徴するかのような生物の紋様が浮かび上がることが特徴でもある(単行本のプロフィールにおいては、この紋様にも名前が付けられている)。 ジェニュイン(JENEUING) 親指・指揮官。五人の中でも古株であり、過去編でシックスの傍らにいることが多い。 イブニングドレスを着たグラマラスな美女。かなりのサディストであり多くの奴隷達を従えている女王様だが、シックスに対しては忠実な下僕そのもので、彼の傍に置かれて最期は彼の身勝手な要求で命をひねり潰されることを望んでいる。 祖先は群集を自身の一挙一動で意のままに操り幾多の戦乱を引き起こした「魔女」と呼ばれる一族であり(背景にジャンヌ・ダルクが描かれている)、末裔である彼女も場の空気を支配する能力に長けた煽動の天才。対集団戦にて真価を発揮し、基地に突入してきた日本の武装警官隊をたやすく自壊させた。葛西いわく「ただ手を振るだけで都市一つ滅ぼせる女」。部下には下級の「奴隷」達と上級の「ファン」達がいる。血族入りする前は、圧倒的な演技力で世界中を熱狂させた大女優だった。 数々の失態によりシックスに突き放されてしまい、グリーンX基地でネウロを迎え討ち調教しようとするが、攻めを得意とするネウロに対し、守勢に回ったことが敗因となり、逆に自害を含むすべての権利を没収されて詰み、ネウロのマゾ下僕となる。情報を吐くも、シックスの支配力と彼への忠誠心で持ち直し、ネウロのサディストぶりを賞賛しながら奴隷のアランとともに自爆した。この勝負でネウロはわかりきった情報しか入手できず、彼女を「血族の中で我が輩に最も鮮やかに勝った」と言わしめた。 本名は「Jenifer=Euing(ジェニファー・ユーイング)」。血族としての名は英語で「本物」を意味する「Genuine」と人間としての名前を掛けたものであり、本物の世界で唯一の観客(シックス)を満足させるという意味もある。6月18日生まれ、51歳。身長177cm、体重60kg。驚異的な若さの秘訣は「無駄にエロい事」。ナンバーワンサディストをシックス、次を己とする。顔の紋様は魔女の「Trial fog」で、顔の右側に浮かび上がる。 葛西 善二郎(かさい ぜんじろう) 人差し指。全国指名手配中の放火魔で脱獄含め前科1000犯を超える伝説の犯罪者。穂村徹行の叔父であり、彼に火の魅力を教えた。当初は怪盗Xの協力者として登場していたが、実はシックスからXへのスパイだった。 シックスからは友人と呼ばれる。ジェニュインに並ぶ古参の指であり、彼女らの全面サポートを任される。ぶっ飛んだ指達の中ではまともな性格で、物事に対して一歩引いた目線からツッコミをすることが多く、感性自体はごく普通の中年男性に近い。シックスや血族に関しても見方はドライ。 かつては派手に生きて派手に死ぬことを人生の目標とし、犯罪者としての死に場所を求めていたが、シックスを前に初めて死を恐怖した。そして「最高最後の犯罪者であるシックスよりも長く生きる」ことを新たな目標とする。長生きするために、隙あらば寝首を掻いて殺そうともするが、軽くあしらわれ、逆に命を握られている。 ピンで「火」の字が描かれた帽子を常に被っており、額の左上から頭部にかけてシックスに出会った時に付けられた漢字の「火」を模した火傷の跡がある。「火火火(ヒヒヒ)…」と笑い、「火ッ(カッ)となった」「火(日)を改めるか」「炭(隅)に置けねェなあ」など、言葉の端々に「火」や火に関する言葉にかけたギャグを使う。ヘビースモーカー。 「人間の限界を超えないこと」をポリシーとしており、強化細胞を移植しておらず、血族としての新しい名前も名乗っていない。炎を自在に操るが、血族としての特殊能力ではなく、隠した燃料を操っているだけのトリック。先祖は神話時代の神(火を用いた人)だというが、葛西自身血族など信じておらず、真偽は怪しい。 DRのサポートを機に日本に帰国しており、他の指を支援する。四本の指が全滅し、シックスが来日したことで、自ら動く。ネウロの先手を取って逃げ回りつつ、東京中のビルを順に炎上・倒壊させる作戦(倒壊ビルで漢数字の六を描く)を執る。だが笛吹率いる警官隊に炎を攻略されて追い詰められ、苦肉の策でバックドラフトを起こし、ビルの倒壊に巻き込まれて炎と瓦礫の中に消える。 最終話で火傷と後遺症を負いながらも生き延びていたことが判明。ネウロの再帰を待ち望む姿が描かれている。作中ではネウロと対面していない。血族の通名授与を固辞し、人間としての名を捨てず、人間であることにこだわり続けた葛西だけがただ一人、生き残り「シックスよりも長生きする」というささやかな願いを叶えた。 9月1日(防災の日)生まれ。41歳。身長179cm、体重88kg。バブルの輪に入れなかった事を後悔している。顔の紋様は、シックスにつけられた額の火傷=漢字の「火」。 ヴァイジャヤ(VIJAYA) 中指。インド日系混血の18歳の青年。能力は卓越しているが、年齢ゆえの未熟がある。組織のバイオテクノロジーの中枢を担う重要人材。 父の仕事の関係で日本に移住したが、周囲に馴染めなかったためいじめの標的にされた過去を持つ。家庭は裕福だが、異能者たる自分や母を道具のように見ており、母を過労死させた父を憎んでいた。そのため、強さに対して強い執着を抱いている。 吾代忍を名で呼ぶほぼ唯一の人物。お互いに「チー坊」「忍クン」と呼び合う、年の離れた友人。5年前に出会い、彼に憧れる様にして半年間追従していた。シックスと出会い、復讐のために実父を殺害した後、日本を離れた。かつてのチー坊は、シックスの力に魅せられ豹変した。 祖先は、5000年前の古代インドにおいて薬学の祖とされる「呪術師」と呼ばれた者達であり、そのDNAを受け継いだ彼は植物と薬物の扱いに長けている。タネを見抜けなければ呪術そのものにしか見えないが、そのからくりは、種状のカプセルとして手首のブレスレットに仕込んだ劇薬を飛び道具として用いるというもの。薬品によって、投げた小枝を飛翔中に大樹に急成長させぶつけるという大技も使用する。胃には植物を寄生させており、強化細胞をさらにドーピングする。 本城博士を暗殺するために来日する。再会した吾代の眼前で「昔の自分とは違う」と周囲の人間を殺してみせる。その後、ホテルに滞在する本城博士と彼に会いに来た弥子・笹塚・吾代の3人を葛西と共に襲撃するが逃げられる。続いて本城博士の機密文書を探しに湿地帯に来た弥子達を単独で襲撃。吾代に重傷を負わせるなど圧倒する。しかし、ネウロの知恵と笹塚の支援を受けた吾代の反撃をくらい、薬物を逆に打ち込まれて深手を負う。そして吾代になお友人と言われ、かつての人の心を取り戻すものの、血族として機密保持のため自害した。 本名は「Chandra=Aska=Rjunawala(チャンドラ・アスカ・ルジュナワラ)」。血族としての名前はサンスクリット語で「勝利」を意味する「ヴィジャヤ(Vijaya)」から取られている。9月3日生まれ、18歳。身長167cm、体重53kg。顔の紋様は彼岸花の「ARkadia ALkadia」で、顔の右下に浮かび上がる。 テラ(TIERRA) 薬指。DRに次ぐ2番目の刺客で、抜群のルックスを持つ白人男性。 顔を傷つけられることを嫌い、傷つけられると豹変して激昂する。女性からはかなりの人気だが、よく物を奪われる体質であるらしくデートなどの際には所持品を車から服に至るまですべて盗られるなど、コミカルな一面を見せている。上記の面等を指して葛西からは「めんどくさいバカ」呼ばわりされているが、それ故に一度決めたことを一片の迷いなく遂行できる。過剰なバカはキャラ作りであり、優れた頭脳でさらに恥を捨てることができるという強さである。 祖先は南米文明を蹂躙し、「埋めた」征服者(コンキスタドール)と呼ばれたヨーロッパ人達。末裔である彼もまた、土地に対する超人的な洞察力を持つ。かつてはその能力で不動産ビジネスを営み大成していたが、シックスに出会ってからは、大地の価値を見抜けない醜い人間達を征服し、「すべて埋めてしまいたい」という一念で、過去を捨てて血族入りした。人間を傷つけることを躊躇っている様子も見せたが、決して良心の呵責などではなく、「人間の醜い顔が見たくない」という理由からである。 全身に怪盗Xの強化細胞を移植しており、体内に銃器や刃物など、あらゆる武器を埋め込んでいる。地に潜り自由自在に移動する戦法も得意とする。本気を出すと全身の細胞の構造を変化させ、筋骨隆々の大男となる。ただし、大事な顔だけには副作用を恐れている故に強化細胞を移植していない。 最初に笛吹暗殺を狙うが、警官隊に阻まれ、だが対テロリスト用の麻酔ゴム弾を多数撃ち込まれても倒れず撤退する。本命のテロ作戦に取り掛かり、倒壊させた高層ビルを建設中の低層ビルに杭に見立てて打ち込み、大規模な地盤沈下を起こそうとする。ネウロに挑戦状を送っておびきよせ、人質を盾に追い詰めるが、伏兵笹塚の援護と、X同様の強化細胞の弱点を突かれて敗れた。証拠を残さないため自爆を図るも、ネウロの魔界777ツ能力『透け透けの鎧(イビルサーフェイサー)』で顔のみ保護され、断末魔に歪む自らの顔をわざわざ見せられながら息絶え、完敗。生首は血族を探る証拠として警察に回収される。笹塚が来なければネウロが勝てなかった強敵であった。 本名は「Pedro=Cortezarro=Torres(ペドロ・コルテサロ・トレス)」。血族としての名前の由来はラテン語で「大地」を意味する「テラ(Terra)」。また、つづりはスペイン語で「地球」などを意味する「Tierra(ティエラ)」からである。8月24日生まれ、25歳。身長186cm、体重70kg。この世で最も美しい存在をシックス、次を己とする。顔の紋様は蛇の「Quezalcoatl Conquistadores」で、顔の左上に浮かび上がる。 DR(ディーアール) 小指。執事風の服を着た黒人男性で、シックスの運転手。 表面上は穏やかだが、本性は凶暴で、人間を「ダニ」と蔑んでいる。他者から見た目で判断されると豹変して激怒する。 生まれたときからあらゆる才能に優れていたこと、自分だけが持ち得た水を操る能力、そしてどれだけ人間を殺しても全く罪悪感が沸かなかったことを不思議に思っていたところにシックスが現れ、自分の能力の秘密を知らされる。シックスに忠誠を誓い、10万人の命を差し出すことを彼に約束、ナンバーツーの座を狙っていた。だが五本指の中では末席にすぎず、ジェニュインとシックスには消費前提で考えられていた。 治水を専門とする「新しい血族」の一派の末裔で、祖先は代々世界各地の大河で治水を成し遂げることで支配者を操って傀儡政治を行っていた(古代中華王朝を陰で支配していたように描かれている。共工のこと)。水の扱いに特化し、全ての水の流れが一目で分かるという。自らを「水の龍」と称し、その能力を「外見に隠された真実を見ることが出来る」と評している。両手には怪盗Xの強化細胞を移植しており、鉤爪や水掻き状に変形させることができる。 ネウロとシックスが対面したときにも、運転手として立ち会っていた。テロ作戦のために再び来日し、東京各地の河川の堤防を崩壊させ、東京の街を濁流に呑み込ませるという人類史上最大のテロを起こす。しかし、大量の人間を殺したことでネウロの怒りを買い、魔界777ツ能力『激痛の翼(イビルトーチャラー)』で地獄のような拷問を加えられた末に、激流に流された。葛西に助けられてリベンジを誓うが、一度負けた(「脳に“折れ目”が付いた」)時点で血族落第とシックスに見限られ、口封じも兼ねて葛西に始末される。DR「程度」の犠牲でネウロを弱らせたことは、血族戦争の初戦として大成功だという。 本名は「Daniel=Rousseau(ダニエル・ルソー)」。血族としての名前の由来は「DRagon」と本名のイニシャルから。3月2日生まれ、27歳。身長187cm、体重94kg。この世で最も尊い存在をシックス、次を己とする。顔の紋様はドラゴン(西洋龍)の「Flood of Book」で顔面右上に浮かび上がる。
※この「五本指」の解説は、「魔人探偵脳噛ネウロの犯罪者」の解説の一部です。
「五本指」を含む「魔人探偵脳噛ネウロの犯罪者」の記事については、「魔人探偵脳噛ネウロの犯罪者」の概要を参照ください。
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