ぞうひ‐びょう〔ザウヒビヤウ〕【象皮病】
象皮病
象皮病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:37 UTC 版)
「八丈小島のマレー糸状虫症」の記事における「象皮病」の解説
象皮病(ぞうひびょう Elephantiasis )はフィラリア症の病態としてはもっともよく知られている。おもに四肢の肥大により足や手が太く変形し、象の皮膚のように見えるためこの名前がある。象皮病はフィラリア虫の成虫が太ももの付け根にあるリンパ管に「とぐろ」を巻いて居座ることが原因である。リンパ管内のフィラリア虫が障害となってリンパ液の流れを悪くするため、太ももより下部のリンパ液が胴体のほうへ戻りにくくなり、足に溜まったリンパ液によりリンパ浮腫(むくみ)が目立つようになることから、やがて多発した浮腫が固定化されてしまう。初期の浮腫は痒みが強いため爪などで掻くが、汚い爪で掻くとさまざまな細菌が入り、菌がリンパ液を培地として炎症を起こす。その結果、痒みはさらに激しくなり、何度も掻き続けるため同じ場所の炎症を何度も繰り返し、ついには皮下組織が厚くなり毛が抜けてしまう。度重なる炎症と浮腫によって足の肥大、皮膚のただれ、変色を起こし、まるで象の足のようになる。 象皮病は日本では古くから知られている。平安末期もしくは鎌倉初期に作られたと考えられる病草紙(異本)というさまざまな病気を描いた絵巻物の中のひとつに十二単をまとった貴族と思われる若い女性が描かれている絵がある。この女性は上半身と下半身を露わにし、両足が黒く変色して皮膚がただれているように見える。付き添う2名の女官が心配そうな表情で見つめる様子が描かれており、これは今日でいう象皮病ではないかと考えられている(右記、画像外部リンク参照)。
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