象牙質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 02:10 UTC 版)
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歯 |
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A-歯冠 |
1-エナメル質 2-象牙質 3-歯髄 4-歯肉 |
B-歯根 |
5-セメント質 6-歯槽骨 7-血管 8-神経 |
象牙質(ぞうげしつ、Dentin)は歯の主体をなす[1]硬組織である。エナメル質やセメント質と歯髄腔の間にある[2]。象牙芽細胞により作られる[3]。エナメル質より柔らかいため、う蝕が象牙質まで達した後は急速に進行する。
組成
70%が無機質[4](ヒドロキシアパタイト[4])、20%が有機物[4](膠原繊維(コラーゲン繊維)[4]と非膠原性タンパク質)、10%が水分である。エナメル質よりは硬度が低く[4]、モース硬度は5 - 6である。
構造
象牙質全体を象牙細管という管が走っている[5]。これは、象牙芽細胞の突起を中に含んでおり[5]、象牙質の形成並びに形成後の維持を行う。象牙細管の直径は0.8 - 2.2マイクロメートルである。
形成
象牙芽細胞は歯の萌出後も象牙質と歯髄の境界部に存在しており、必要なときに歯髄腔壁に象牙質を形成することができる。歯の歯根完成までに作られる象牙質を原生象牙質[6]や第一象牙質[6]、歯根完成後に作られる象牙質を第二象牙質[6][5]という。また、う蝕等により刺激を受けた時に作られる象牙質を第三象牙質、修復象牙質[6][5]と呼び、正常な状態で作られる第二象牙質を生理的第二象牙質[6][5]と呼び、両者を区別することもある。
脚注
- ^ 久米川ら, p.10
- ^ 久米川ら, pp.10-11
- ^ 岩久ら, p.7
- ^ a b c d e 中塚, p.68
- ^ a b c d e 中塚, p.69
- ^ a b c d e 久米川ら, p.11
参考文献
- 『保存修復学21』監修 岩久正明、河野篤、千田彰、田上順次(改訂版第1刷)、永末書店、2002年3月30日。ISBN 4-8160-1114-5。
- 久米川正好、前田憲彦 著「第1章 総論」、赤井三千男 編『歯の解剖学入門』(第1版第6刷)医歯薬出版、東京都文京区、2000年10月31日、1-27頁。 ISBN 4-263-40572-2。
- 中塚敏弘『口腔解剖学サイドリーダー -歯科のための頭頚部解剖学・口腔解剖学要説-』(第1版第4刷)学建書院、東京都文京区。 ISBN 4-7624-0106-4。
関連項目
象牙質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/18 05:26 UTC 版)
象牙質形成の項参照のこと。 象牙質形成は、歯の発生のcrown stageの最初の段階である。象牙質形成がエナメル質形成より先に始まることは間違いない。象牙質形成はそれぞれの段階で、異なった象牙質を形成する。外套象牙質、原生象牙質、第二象牙質、第三象牙質がある。 象牙芽細胞は歯乳頭の細胞から分化する。象牙芽細胞は内エナメル上皮に直接隣接している区域にて有機基質を分泌し始める。有機基質は直径0.1~0.2μmという大きな直径の膠原線維を含んでいる。象牙芽細胞は、象牙質を形成しながら歯の中心に近づく。そのため、象牙質の形成は歯の外部から内部に向かって進行する。象牙質の形成が進むにつれ、ハイドロキシアパタイトの結晶の形成及び基質の石灰化が起こる。この石灰化によって形成される象牙質は外套象牙質として知られ、通常150μmの厚さを持つ。 外套象牙質は歯乳頭に存在する基質から形成されるが、原生象牙質は異なる過程で作られる。象牙芽細胞は有機基質の石灰化のために、細胞外の有用な物質を運び込み大きさを増す。さらに、大きな象牙芽細胞からコラーゲンが少量分泌され、しっかりと配列し、石灰化のために使われる。また、他の物質、例えば脂質、リンタンパク質、リン脂質なども分泌される。 (狭義の)第二象牙質(生理的第二象牙質)は歯根の形成が終了してから非常に遅い速度で形成される。これは歯に沿って一定に形成されるのでなく、歯冠に近いほど早く形成される。この形成は生涯続くため、年をとるほど歯髄は小さくなる。このうち、第三象牙質は修復象牙質としても知られ、摩耗やう蝕の様な刺激に反応して形成される。なお、広義の第二象牙質は第三象牙質を含む。
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