象牙貿易の禁止と各国の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:11 UTC 版)
1989年の絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称:ワシントン条約)によって、象牙製品なども含め国際取引は原則禁止とされており、日本を含めほとんどの国々では国内取引は何らかの規制がなされているが、アフリカ諸国では政治の腐敗により密猟や密輸による非合法な流通が存在するため、問題となっている。 IUCNのレッドリストによると、アフリカゾウの絶滅のおそれの度合いは地域によって異なるとされ、地域によっては絶滅危惧種扱いをされているところもあれば、レッドリストにリストアップすらされていない地域もある。また象牙の合法的な取引により得られる経済的な利益は、生息国におけるゾウの保全にも役立つため、象牙が適切に利用されることが、アフリカゾウの持続可能な利用につながると考えられている。1990年以降、ワシントン条約によって、象牙に関する国際取引は原則禁止とされているが、アフリカゾウの生息が増加しすぎて獣害が発生している南部アフリカ諸国からは、国際取引の再開を望む声 もある。 象牙をめぐっては、野生の象が生息していない日本も象牙の主要消費国という面では当事国の一つである。一方、日本では、象牙は「持続可能な資源」だと考えられており、象牙の国内取引は事前に登録を受けた事業者が取り扱うのは合法である。日本国政府の見解では、日本での象牙の利用が、アフリカゾウの密猟や違法取引を誘発するなど、種の保全に影響するとは考えられていない。日本の象牙利用に対する海外からの圧力が年々強まっていることが問題となっている。日本政府の関係省庁、関連業界、関係NGO及び有識者による「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」 を2016年より組織している。
※この「象牙貿易の禁止と各国の対応」の解説は、「象牙」の解説の一部です。
「象牙貿易の禁止と各国の対応」を含む「象牙」の記事については、「象牙」の概要を参照ください。
- 象牙貿易の禁止と各国の対応のページへのリンク