航空母艦 空母以外の航空機搭載艦船

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航空母艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 00:45 UTC 版)

空母以外の航空機搭載艦船

水上機母艦

水上機を搭載し、その行動基地としての役割を持つ軍艦。水上機以外を搭載する航空母艦が登場する前の第一次世界大戦当時、航空母艦とは水上機母艦を指すのが一般的であった[39]

水上戦闘艦

航空母艦の登場直後より、水上戦闘艦、特に大型である戦艦重巡洋艦に航空母艦としての機能を付与することが検討されており、ワシントン海軍軍縮条約で戦艦や空母などの保有制限が課されたことで本格的な検討が着手された[73]

このうち航空戦艦については、日本海軍の「伊勢」、「日向」がこれに改装された。艦尾の主砲2基を撤去して、後甲板上を飛行機格納庫、その上方の甲板を飛行甲板として、彗星22機を搭載してカタパルト2基によって発進させる計画であった。「山城」「扶桑」についても同様の改装が計画されたが実現しなかった[73]

一方、航空巡洋艦 (Aircraft cruiserについては、当初はアメリカ海軍が熱心に研究しており、ロンドン軍縮条約では、アメリカの働きかけにより、巡洋艦の合計保有量のうち25パーセントには飛行甲板を装着してよいという規定が盛り込まれた。アメリカ海軍では、1935年には飛行甲板巡洋艦 (FLなる新艦種も制定されたものの、結局は小型に過ぎて実用性に乏しいとして断念された[73]。ただし航空巡洋艦については、航空母艦とは別に、水上機母艦の系譜としての検討も行われており、日本では利根型重巡洋艦および軽巡洋艦「大淀」、またスウェーデン海軍の巡洋艦「ゴトランド」が建造された[15]

なお戦後のヘリ空母・軽空母は、しばしば巡洋艦としての記号・呼称を付与されている。イギリス海軍のインヴィンシブル級は計画段階では全通甲板巡洋艦(Through Deck Cruiser, TDC)と称されていたほか[65]、イタリア海軍の軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」および「カヴール」も巡洋艦を表す「C」の船体分類記号を付与されている[74]。またソ連海軍のキエフ級は航空巡洋艦[69]、「アドミラル・クズネツォフ」は重航空巡洋艦と称される[24]

またこのほか、日本海軍の伊四百型潜水艦特殊攻撃機晴嵐」3機を搭載できたこともあり、潜水空母と俗称されることもある。

商船

大西洋の戦いが激烈さを増すのに伴い、船団護衛での洋上航空戦力の必要に対応して、連合国は護衛空母の建造を進めるのと並行して、商船に航空艤装を設置して航空機の運用に対応したMACシップを配備した。これは船団中の1隻として自らも貨物輸送に従事しつつ、必要に応じて飛行機を発進させて対潜哨戒と攻撃を行うものであり、乗員は固有船員であって、飛行科および砲員のみが海軍軍人であった[75]

なお日本海軍では護衛空母という名前で分類した[5]。日本陸・海軍でも、タンカーを改正して補助空母として使用できるように艤装した特TL型がある[75]

また1970年代から1980年代にかけて、アメリカ海軍では、コンテナ船をヘリ空母として使えるよう、20フィート・コンテナを組み合わせて航空艤装を構築できるようにしたアラパホ・システムを開発した。これ自体は試作の域を出なかったが、イギリス海軍は、試作品を借用して試験を行ったのち、民間船を改造した航空支援艦として「アーガス」を取得した[76]


注釈

  1. ^ 現在まで左舷側にアイランドを設けたのは日本の「赤城」と「飛龍」のみ。
  2. ^ a b クイーン・エリザベス級では、垂直ではなく斜めに着艦するSRVL (Shipborne rolling vertical landing方式とすることもある[22]
  3. ^ ただしその後も、アメリカ海軍の対潜空母(CVS)と同様にS-2艦上哨戒機やA-4艦上攻撃機、ヘリコプターを搭載して行動を継続した艦もあった[67]
  4. ^ 他の2種類はAH-64攻撃ヘリコプターF-117ステルス攻撃機であった[70]

出典

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  72. ^ Aircraft carrier in the world 2018
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  74. ^ Wertheim 2013, pp. 326-327.
  75. ^ a b 福井 2008, pp. 281-283.
  76. ^ Polmar 2008, pp. 391-392.


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