超弩級戦艦
超弩級戦艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 02:05 UTC 版)
詳細は「超弩級戦艦」を参照 ドレッドノート就役後5年、まだその就役中に、より強力な新世代の「超弩級戦艦」が出現し始めた。超弩級戦艦はイギリスのオライオン級戦艦に始まる。この艦の起工後にマスコミに情報が漏れてしまい、新聞記者がこれを「超弩級戦艦」と呼称したのが始まりであり。従って正式な軍事用語というよりも、マスコミ用語というべきものである。それらを「超」をつけて呼ぶのは、一気に2,000トンにおよぶ排水量の増大、より大きな13.5インチ (343 mm) 砲の導入、そして全主砲の中心線上配置などの特徴に基づく。ドレッドノートからオライオンまでの4年間で排水量は25%増加し、舷側砲火の砲弾重量は2倍となった。 イギリスの超弩級戦艦にはまたしても他国が追随した。1911年起工のアメリカ海軍のニューヨーク級は、イギリスにおける13.5インチ (343 mm) 砲を凌駕すべく、14インチ (356 mm) 砲を搭載した。日本では1911年起工の金剛型巡洋戦艦4隻、1912年起工の扶桑型超弩級戦艦2隻と、それに続く1914年の伊勢型2隻に14インチ (356 mm) 砲12門を搭載した。同じくイギリスにおける13.5インチ (343 mm) 砲の凌駕と、近い将来登場が予想される15インチ (381 mm) 砲に準ずる能力を目論んでのものである。金剛型に関しては1番艦を輸入したものの、続く3隻は国産、扶桑型以降は設計も含めて日本で行われた。フランスでは、クールベ級に、340 mm砲を搭載したプロヴァンス級超弩級戦艦が続いた。それに続くノルマンディー級戦艦5隻は、第一次世界大戦の勃発にともなってキャンセルされた。ドイツ海軍では、自軍の12インチ50口径砲はイギリスの13.5インチ45口径砲に匹敵すると考えていたため、対応して砲の口径を増大させる動きはなかった。 イギリス超弩級戦艦の後期艦(クィーン・エリザベス級戦艦以降)は砲塔の数を1つ減らしたため、それによって生じた重量と容積の余裕がより大きな石油専焼ボイラーの搭載に回された。新しい15インチ (381 mm) 砲は砲塔の減少にもかかわらず砲の火力を増大させ、また装甲帯の増厚と水中防御の改善に繋がった。このクラスは25ノットの設計速力を有し、世界最初の高速戦艦と考えられている。 初期の超弩級戦艦の、第一次世界大戦後の設計と異なる弱点は、装甲の配分であり、短距離戦闘で必要とされる垂直防御に重点を置いていた点であった。これらの艦は20,000ヤード (18,300 m) で交戦することも可能だったが、そのような遠距離から飛来する高い角度の「落下してくる」砲弾に弱かった。大戦後の設計では、それに対抗して5ないし6インチ (127-152 mm) の厚さの装甲甲板を設けることが一般的となった。重点防御区画の概念は、その後の戦艦設計の中心課題となった。また、魚雷の脅威が現実的なものとなってきたことにより、水中防御の不足も、これら第一次世界大戦前の設計の弱点と認められた。 アメリカ海軍の「標準型」戦艦は、長距離砲戦と大落下角の砲弾を念頭に置いたネバダ級戦艦から始まった。1番艦の起工は1912年、ヨーロッパ諸国海軍が遠距離砲戦の危険を知ることになるユトランド沖海戦の4年前のことだった。標準型戦艦の重要な特徴は「オール・オア・ナッシング」の集中防御装甲と「浮体」構造であった。その設計思想は、船の重要部分だけにきわめて厚い装甲で施し、この装甲された浮体部分に、装甲のない艦首・艦尾部分が撃ち抜かれ、浸水しても船全体が浮かんでいられるだけの十分な予備浮力を持たせるというものだった。この設計の価値は第3次ソロモン海戦で証明された。この海戦で戦艦サウスダコタは回頭のタイミングを誤り、日本艦隊の砲に側面をさらした。そして重砲弾26発の命中を受けたが、装甲された浮体部分は破壊されず、戦闘の最後まで、沈むことなく、行動を続けることができた。 1917年に発注された長門型戦艦には世界で初めて16インチ (41 cm) 砲が搭載され、世界最強の戦艦となると考えられた。ワシントン海軍軍縮条約において日本は長門型2隻の保有が認められたが、引き替えとしてアメリカはコロラド級戦艦3隻を16インチ (40.6cm) 砲へ換装しての建造続行、イギリスは同じく16インチ砲搭載のネルソン級戦艦2隻の新造が認められた。
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超弩級戦艦(super dreadnoughts)
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「戦艦」の記事における「超弩級戦艦(super dreadnoughts)」の解説
30.5cmを超える34.3cmの主砲を搭載する戦艦(オライオン級戦艦)が登場すると、マスコミは弩級を超えるという意味で、超弩級戦艦と報道した。ただしこれらは単に主砲の口径の違いによるものであり、弩級戦艦と基本的な構成においては差異がある訳ではない。重要なのは主砲口径と艦体サイズへの枷が取り払われたことで、超弩級戦艦の出現により大艦巨砲時代は本格的に開幕した。
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