【対潜空母】(たいせんくうぼ)
アメリカ海軍に一時期存在した、航空母艦の一種。艦種記号は"CVS"。
名目上は、対潜水艦攻撃に特化した航空母艦のこと。
ソ連軍の潜水艦が脅威とされた冷戦初期から中期にかけて用いられ、対潜機・対潜ヘリコプターや早期警戒機などを運用していた。
護衛空母やヘリコプター空母などと違い、その目的で建造されたものではなく、余剰の正規空母から艦種変更されたものである。
冷戦中、かつて対潜作戦に使われていた「ボーグ」級、「カサブランカ」級、「コメンスメント・ベイ」級等の護衛空母では能力が向上したソ連軍の潜水艦に対抗できないことが予想された。
このため、第二次世界大戦中に大量建造されて戦後余剰となったエセックス級が着目され、その大半が対潜空母に変更された。(残りの一部は強襲揚陸艦や練習空母となった)
こうした対潜空母には、SCB-144改修によりソナーなどを追加されたものもあれば、名目のみ変更されてジェット戦闘機・攻撃機を運用し続けたもの、あるいは予備役として軍港に繋留され、事実上稼動していなかったものも存在する。
第二次世界大戦を生き抜いたCV-6エンタープライズも対潜空母へ艦種変更されたが、こちらも既に予備役状態であった。
これらの退役にともない、対潜空母という艦種そのものも消滅。以降の対潜任務は正規空母や駆逐艦などへ引き継がれた。
関連:攻撃空母 大型空母
対潜空母
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 00:36 UTC 版)
対潜空母(たいせんくうぼ)は、対潜戦を主任務とする航空母艦。アメリカ海軍では、高性能な艦上戦闘機・攻撃機などの運用能力を備えた大型空母(CVB; 後の攻撃空母(CVA))などと区別するため、1952年7月8日にCVSの船体分類記号を新設したが[1]、1974年までに運用を終了した[2]。またイギリス海軍のインヴィンシブル級航空母艦もCVSと称されていた[3]。
注釈
出典
- ^ a b Naval History and Heritage Command (2017年8月1日). “Carrier Designations and Names”. 2020年2月17日閲覧。
- ^ Gardiner 1996, p. 501.
- ^ a b Gardiner 1996, pp. 548–549.
- ^ a b c Polmar 2008, ch.13 New Ships and Planes.
- ^ a b Polmar 2008, ch.11 New Carrier Concepts.
- ^ Polmar 2008, ch.15 Wings Over Southeast Asia...Again.
- ^ Boslaugh 2003, pp. 330–338.
- ^ a b Hattendorf 2007, pp. 3–6.
- ^ a b c Polmar 2008, ch.18 Carrier Controversies.
- ^ a b Polutov 2017, pp. 108–115.
- ^ Sharpe 1989, p. 582.
- ^ Polmar 2008, ch.2 Jets and Whirlybirds.
- ^ Polmar 2008, ch.12 Carrier Proliferation.
- ^ Polutov 2017, pp. 120–137.
- ^ Polmar 2008, ch.19 New Directions.
- ^ Friedman 2002, ch.12 The Bomb and Vertical Envelopment.
- ^ a b Gardiner 1996, p. 575.
- ^ Megan Eckstein (2019年10月23日). “Marines Test ‘Lightning Carrier’ Concept, Control 13 F-35Bs from Multiple Amphibs”. USNI news
- ^ 岡田 1994.
- ^ Saunders 2015, pp. 435–436.
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