【MACシップ】(まっくしっぷ)
Marchant Aircraft Carrier.(商船空母)
第二次世界大戦中の英国で、輸送船団の護衛用に用いられた護衛空母の一種。
徴用した商船に、簡易な飛行甲板と格納庫を設置する改装を施したもの。
哨戒機として、ソードフィッシュ艦上攻撃機を4機まで搭載できた。
貨物船としての機能はそのまま保持され、商船時代の船員もそのまま軍属の船員として雇われた。
「商船から改造した空母」というより「哨戒機が発着できる国営商船」と表現した方が実態に近い。
ドイツ海軍の通商破壊戦に対する海防力不足を補う緊急対策として、一時的に投入されたもの。
このため、アタッカー級護衛空母が配備されるまでの間のみ、限定的に運用されていた。
幸いにも戦闘による損失艦はなく、終戦後には全艦が商船へと再改装されて民間に払い下げられている。
MACシップの各級
MACシップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/14 01:13 UTC 版)
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MACシップまたは商船空母(Merchant aircraft carrier)とは、第二次世界大戦前半にイギリス海軍が運用した商船に飛行甲板を設置した簡易航空母艦の事である。護衛空母の大量就役まで、船団護衛の役目を担い、ドイツ軍の通商破壊に対抗した。
概要
第二次世界大戦において、ドイツ軍は主に北大西洋上で、イギリスに対し、潜水艦・航空機を用いて通商破壊活動を行った。戦争前半において、ドイツ軍のUボートやFw200爆撃機は、多数のイギリス商船を沈めるに至った。それに対抗するためには、航空機による船団護衛が有効であったが、イギリス軍の航空母艦や長距離哨戒機は不足していた。
イギリス軍は窮余の策として、1942年6月頃から、商船のCAMシップへの改造を開始した。これは、商船に戦闘機とそれの射出用のカタパルトだけを設置したものであり、着艦設備はないものである。戦闘機は、空戦終了後、不時着水し、搭乗員は収容し航空機は破棄するものであった。この方法は、船団防空に一定の効果をもたらしたが、搭乗員の収容に問題があり、また対潜哨戒ができなかったために、さらに有効な船団護衛方法を検討することとなった。
これにより、考案されたのがMACシップと呼ばれる簡易空母である。商船の船体上部に全通飛行甲板を設置して航空艤装はなされてはいるものの、商船として運用され、貨物や油の運搬能力も残されている。(ただし、油については安全性の高い重質油に限定した運用がされた。)運航は民間籍のまま民間の船員によって行われ、航空関係者だけが軍人であった。
最初に完成したMACシップは、1943年7月竣工のエンパイア・マックアルペインである。これは、建造途中の穀物運搬船をMACシップとして設計変更したものである。合計で3級19隻が改造された。MACシップは船団護衛の対潜哨戒において、十分な役割を果たしたものの、護衛空母が大量に就役するにいたって、その役目を終え、戦争後半に通常の商船に戻されている。
なお、オランダ船籍のタンカーを改造した2隻は、オランダ人の船員によって運航され、航空要員も自由オランダ軍の部隊が乗船していた。
艤装要領
原型となった船によって若干異なるが、船体に支柱が立てられて130mから140m程度の飛行甲板が張られ、右舷に小さな船橋構造物が置かれている。飛行甲板には4条の着艦制動索が設けられた。どのクラスでも搭載機数はわずか4機であり、タンカーを原型としたラパナ級とエンパイア・マッケイ級は格納庫を持たないので露天係止されていた。
穀物運搬船を原型としたエンパイア・マックアルペイン級だけは、飛行甲板下の格納庫とエレベーター1基が設置されている。また、カタパルトはいずれの級でも装備されていない。搭載機はソードフィッシュが用いられたために、カタパルトを持たない小さな飛行甲板であっても運用が可能であった。
MACシップ 各級
- エンパイア・マックアルペイン級(7,930トン):穀物運搬船改装。6隻建造
- ラパナ級(11,009トン):オイルタンカー改装。9隻建造
- エンパイア・マッケイ級(11,246トン)オイルタンカー改装。4隻建造
関連項目
固有名詞の分類
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