ヘリコプター・STOVL方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 01:26 UTC 版)
「対潜空母」の記事における「ヘリコプター・STOVL方式」の解説
ヘリ空母 「デダロ」 インヴィンシブル級航空母艦「インヴィンシブル」 「軽空母#V/STOL機搭載艦」も参照 第二次世界大戦中、護衛空母は対潜戦でも重要な役割を果たしたが、戦後、CATOBAR方式の対潜空母が運用する艦上哨戒機が広域対潜戦を担うようになるのにつれて、特に船団護衛における航空援護はヘリコプターが担当するようになっていった。大戦中より、既に艦載ヘリコプターの対潜戦での活用についての研究が着手されており、1945年2月にはHOS-1に吊下式ソナーを搭載する実験が行われた。戦後も研究が継続されており、アメリカ海軍は、1955年6月12日に艦籍にあった護衛空母(CVE)のうち30隻を護衛ヘリコプター空母(CVHE)に類別変更した。これは、戦時に哨戒ヘリコプターを搭載して船団護衛にあたることを想定した措置であったが、そのために特に改修されたわけではなかった。またスペイン海軍は、1967年よりアメリカ海軍の軽空母「カボット」の貸与を受けて(後に購入)「デダロ」として就役させ、ヘリ空母として運用した。 ソ連海軍では、政治的な理由から空母の保有がなかなか実現せず、まずは水上戦闘艦に艦載ヘリコプターを搭載して運用していたが、その経験から、各艦に分散配備するよりは複数機を集中配備したほうが効率的であると判断され、ヘリ空母の保有が志向されることになった。まずヘリコプター巡洋艦として1123型対潜巡洋艦(モスクワ級)が建造され、1967年より就役したのち、1975年からは、Yak-38艦上攻撃機の運用に対応して全通飛行甲板を備えた1143型航空巡洋艦(キエフ級)が就役を開始した。 イギリス海軍では、1950年代より、空母を補完するヘリ空母として護衛巡洋艦(escort cruiser)の計画が着手されたが、予算上の都合から新造がなかなか実現せず、まず1965年から1972年にかけてタイガー級巡洋艦2隻がヘリコプター巡洋艦として改装されたほか、上陸戦を担うコマンドー母艦も対潜空母を兼務するようになった。その後、正規空母の運用終了に伴って護衛巡洋艦の機能充実が図られることになり、最終的に、シーハリアー艦上戦闘機の運用に対応したインヴィンシブル級航空母艦(CVS)として結実して、1980年より就役を開始した。 アメリカ海軍も、ヘリコプター揚陸艦(LPH)としてイオー・ジマ級を建造する際には副次的に対潜戦への投入を想定してソノブイや短魚雷の搭載スペースを確保していたほか、1969年より、対潜ヘリコプター母艦(DHK)の計画に着手していた。これはハリアー搭載の制海艦(SCS)に発展し、1975年度予算から建造に入る予定だったが、結局実現しなかった。ただしスペイン海軍とタイ海軍向けに、その準同型艦および派生型が建造されたほか、強襲揚陸艦(LHD)としてワスプ級を建造する際には副次的に制海艦任務が付与され、続くアメリカ級では更に航空運用機能が強化されて、F-35Bを20機搭載しての「ライトニング空母」としての運用も検討されている。 海上自衛隊も、第2次防衛力整備計画の策定段階で全通飛行甲板を備えたヘリ空母 (CVH)の建造を計画したものの、これは政治的な事情で実現せず、かわって従来の護衛艦の延長線上でヘリコプター搭載護衛艦(DDH)が建造された。その後継艦では全通飛行甲板が導入され、平成16年度からひゅうが型、また平成22年度からは発展型のいずも型が建造されており、これらはジェーン海軍年鑑ではヘリ空母として類別されている。
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