排水量とは? わかりやすく解説

はいすい‐りょう〔‐リヤウ〕【排水量】

読み方:はいすいりょう

水上に浮かぶ船が押しのける水の量。船体重量等しく、主に軍艦重量を表すのに用いられトン数で表す。→基準排水量 →満載排水量 →軽荷排水量 →常備排水量


【排水量】(はいすいりょう)

Displacement tonnage

船を浮かべた時に押しけられる水の重さおおむね船の重量等しい。
トン単位表記するため「排水トン数」と表記する事もある。
船の状態の違いによって、基準排水量満載排水量常備排水量軽荷排水量公試排水量などがある。

現代の科学において、排水量は船舶重量類推するもっとも的確な方法とされる
船は極めて巨大な構造物であり、その重量機械的に測定するのは不可であるからだ。

排水量の計測法

実のところ船体重量機械的測定不可能なのと同じ理由から、排水量の測定不可能である。
排水量は船の進水後、その船体構造喫水(水面下沈んだ部分の高さ)から数学的に推定されている。
この計算極めて複雑であり、実のところ、相当に誤差大きいと考えられている。
誤差要因となるパラメーター挙げれば代表的なものだけでも以下のようなものがある。


排水量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/30 18:39 UTC 版)

船の船首

排水量(はいすいりょう、英語: displacement)とは、重量を示す数値であり、主として艦艇について用いられる。トン数の一種であり[1]排水トン数(displacement tonnage)とも称される[2]

載貨重量トン数(deadweight tonnage)とは別物なので、混同してはならない。

計算法

水に浮かぶ物体は、物体の重さと浮力が釣り合うときに、物体は静止する。また、浮力の大きさは、水面から下で物体が排除した重さによる力の大きさに等しい。

排水量とは、船を水上に浮かべた際に押しのけられるの重量をトン単位で示した数値である[1]アルキメデスの原理より、船の重量に等しい数字となる[1]。ただし、完成した船を実際に計量するのではなく、海水の比重を考慮したうえで設計図を基に喫水線下の体積から算出されるのが一般的である[1]。計算にあたっては、まず正面線図を用いて各断面での計画吃水線下の面積をプラニメータで求めたのち、これらの面積をシンプソンの第1法則を用いて計算することで、裸殻排水量(naked displacement)が求められる[1]。これに副部排水量として外板排水量(skin displacement)と付加物排水量(appendages displacement)を加えると全排水量となる[1]

なお常備排水量については、下記のような概算法が知られている。これによって、実際の値の95 - 98パーセント程度の近似値を得ることができる[3]

排水量

艦船の状態によって排水量は異なるため、以下の通り複数のものがある。なお、以下で「水」とあるのは飲料水その他の生活用水ではなく、予備缶水、つまり蒸気機関で使用する補充用の水のことである。

満載排水量

満載排水量: full load displacement)は、乗組員・弾薬・燃料・水など、計画上搭載できるもの全てを搭載した状態での排水量[1]。ただしバラスト水は半量とする[4][注 1]

アメリカ海軍ではこの値を設計排水量として用いている[5]

常備排水量

常備排水量: normal load displacement)は、乗員と弾薬は定数を、また燃料・真水・糧食などの消耗品は23を搭載した状態の排水量。戦場(目的地)に到着したときの状態を想定したものである[4]

大日本帝国海軍では公試排水量と称していた[4]。日本の伝統的な設計思想として、戦場に到着した際に最大の性能を発揮することとしており、この公試排水量・常備排水量が設計排水量として用いられる[5]。なお大日本帝国海軍の場合、大正時代末期までは、公試排水量とは別に、弾薬 34、燃料 14、水 12の搭載状態を常備排水量として定義していた[4]

基準排水量

基準排水量: standard displacement)は、満載状態から燃料と予備水を差し引いた状態の排水量[1][4]。軍縮条約で用いるために定められた計算上の値であり、実運用においてこれに相当する状態があるわけではない[5]

基準排水量は、戦艦航空母艦といった水上艦の兵力について国際的な制限を課すワシントン海軍軍縮条約1923年発効)において、各国の艦を同一の基準で比較するために用いられており、上記の定義もこの会議の際のイギリスの提案を採用したものであった[4]。また潜水艦についても、ロンドン海軍軍縮条約1930年発効)において採用された[6]。このためもあり、新聞年鑑雑誌などでしばしば用いられる[1]

ただしワシントン海軍軍縮条約は事実上失効しており、特に第2次世界大戦後の艦艇に適用する義務はない[5]ジェーン海軍年鑑に基準排水量を記載している国もいくつかあるが、算定基準はばらばらであり、海軍力の尺度としてもふさわしいものではない[5]

自衛隊における基準排水量

陸上および海上自衛隊も、艦艇の公式諸元として「基準排水量」を公表しているが、その定義は、

「満載状態から、燃料/真水・消費補給物品(糧食・弾薬など)・バラストなどを除いた状態における排水量」[7]
※根拠規定:船舶設計基準細則(1978年昭和53年〉制定)[6]

であり、建造排水量(純粋な艦としての重さ)と等しい[8][9]

軽荷排水量

軽荷排水量: light displacement)は、弾薬燃料など全ての消耗品[注 2]を搭載しない状態の排水量[1]。なお、実際にこの状態で航行すると復原性が低下することから、バラストタンクにバラスト水を注水して重心を下げることになるが、これを補填軽荷排水量ballasted light displacement)と称する[4]

脚注

注釈

  1. 商船については船体の復原性にかかる固定バラスト以外は、許されるならば全部抜いて良く、『バラスト水は半分残す』といった規定は存在しない。
  2. 商船においては船舶のトン数の測度に関する法律施行規則- e-Gov法令検索 第49条に除外すべき項目が列挙されており、ペイロードである貨物・旅客の他、燃料・潤滑油・バラスト水・タンク内の清水及びボイラ水・消耗貯蔵品・旅客及び乗組員の手回品が対象である。

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 岡田 1997, pp. 18–20.
  2. 森 1989, pp. 14–15.
  3. 岡田 1997, pp. 26–30.
  4. 1 2 3 4 5 6 7 小林 1994.
  5. 1 2 3 4 5 佐久間 2024.
  6. 1 2 北島 2002.
  7. 中名生 2019.
  8. 江畑 2006.
  9. 陸上自衛隊中央会計隊 契約科長 宮内修嗣 (2023年11月16日). “公告 第1030号 令和5年11月16日” (PDF). 防衛省. 2025年8月30日閲覧.

参考文献

関連項目


排水量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 16:25 UTC 版)

雲龍型航空母艦」の記事における「排水量」の解説

雲龍」の基本計画時の公試排水量20,100トン計画であったが、航空艤装変更対空機銃増加などで20,400トンまで増加した。また「葛城」「阿蘇」では機関変更により20,250トンとなったその他に出典により色々な値があり、公試平均吃水含めて以下の表にまとめる。 艦時期基準(英トン)公試(トン)満載(トン)公試平均吃水(m)備考出典302号艦(雲龍)型5隻 基本計画時(1941年頃) 17,150 20,100 21,779 7.76 5001号艦(天城)5004号艦(笠置) 1943年9月1日17,460 20,400 7.82 笠置 1943年10月 18,300 21,200 7.83 雲龍型 不明 20,450 7.860 原典不明 5003号艦(葛城)5006号艦(阿蘇) 1943年9月1日17,260 20,200 7.78 葛城 1945年10月5日 20,200トン 8.03 引渡目録 葛城 不明 20,250 原典不明 葛城阿蘇 不明 20,200 7.770 原典不明 第5007号艦(生駒)型9隻 基本計画時(1942年頃) 17,500 20,450または20,350 22,005 7.86 5007号艦(生駒)から5015号艦まで 1943年9月1日17,500 20,450 7.86 生駒 不明 17,480 20,450 7.86 原典不明

※この「排水量」の解説は、「雲龍型航空母艦」の解説の一部です。
「排水量」を含む「雲龍型航空母艦」の記事については、「雲龍型航空母艦」の概要を参照ください。

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