配置と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 15:05 UTC 版)
軍用機としてのヘリコプターは、垂直に離着陸できることから、かなり狭い甲板面積でも取り扱えるという点を買われて、最初期から艦載機(艦載ヘリコプター)として活用されてきた。しかし手狭な艦上では、ヘリコプターが発着する程度の甲板のスペースを捻出するにも困難が伴い、例えばドイツ国防軍がフレットナー Fl 282を船団護衛に投入した際には、砲塔の上に設けたヘリパッドを使用した。 戦後、艦載ヘリコプターの有用性が認められて、駆逐艦やフリゲートにも搭載されるようになったが、当時のこの種の艦では運用条件も厳しく、依然として航空艤装への制約も厳しかった。例えば海上自衛隊のはつゆき型護衛艦の場合、波浪の打ち上げによるヘリコプターの破損を避けるために水面上6メートルの高さが求められ、また船体動揺による影響を局限するため船体中心線に近づけようとした結果、艦中部で、上甲板より1甲板高い位置に設定されることになった。また同時期の他国の艦でも、艦尾の艤装品との干渉を避けるためや、艦尾幅が狭いなどの理由から、やはり同様の配置とすることがあった。その後、水上戦闘艦の大型化が進むと、艦尾付近でも十分な甲板幅が取れるようになり、ヘリコプター甲板を艦尾に設けることが多くなった。 ヘリコプターを発着させるため、ヘリコプター甲板を含む航空艤装は艦の上部に配置されることになり、トップヘビーを避けるために重量の管理が重要となる。ヘリコプター甲板は、運用するヘリコプターの着艦強度に対応する必要があるが、重量軽減と両立するため、全体が同一強度とは限らない。また上記のように、ヘリコプター甲板が上甲板(強度甲板)ではなく上部構造物に設定されることもあるが、この場合、ヘリコプター甲板の構造重量軽減のため、エキスパンションジョイントを設けることもある。 サン・ローラン級駆逐艦の中部01甲板に設けられたヘリコプター甲板 オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートの艦尾甲板に設けられたヘリコプター甲板 「ちきゅう」の船首上に設けられたヘリコプター甲板 オクトパスの船首に設けられたヘリコプター甲板。
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