配置から配置状態関数へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 00:13 UTC 版)
「配置状態関数」の記事における「配置から配置状態関数へ」の解説
しかしながらCSFは電子配置から導出される。電子配置では電子を軌道に割り振る。例えば、 1 s 2 {\displaystyle 1s^{2}} は原子構造の電子配置の例で、 1 π 2 {\displaystyle 1\pi ^{2}} は分子構造における電子配置の例である。 ある電子配置が得られたならば、一般的にそこからいくつかのCSFを作ることができる。そのためCSFは「N粒子対称性適応基底関数」とも呼ばれる。電子配置が決まっているため電子数 N {\displaystyle N} も固定されている。電子配置からCSFを作るとき、電子配置に関連するスピン軌道を扱わなければならない。 例えば原子における 1 s {\displaystyle 1s} 軌道が与えられた場合、 1 s {\displaystyle 1s} 軌道に関連する2つのスピン軌道がある。 1 s α 1 s β {\displaystyle 1s\alpha \;\;\;1s\beta } ここで α , β {\displaystyle \alpha ,\;\;\;\beta } はそれぞれ上向きスピンと下向きスピンの1電子スピン関数である。同様に、直鎖分子(点群 C ∞ v {\displaystyle C_{\infty v}} )における 1 π {\displaystyle 1\pi } 軌道では4つのスピン軌道がある。 1 π ( + ) α , 1 π ( + ) β , 1 π ( − ) α , 1 π ( − ) β {\displaystyle 1\pi (+)\alpha ,\;1\pi (+)\beta ,\;1\pi (-)\alpha ,\;1\pi (-)\beta } なぜなら π {\displaystyle \pi } は角運動量のz成分が + 1 {\displaystyle +1} と − 1 {\displaystyle -1} に相当するからである。 スピン軌道の組は、箱の組と考えることができ、それらを M {\displaystyle M} 個の箱と呼ぶことにする。 N {\displaystyle N} 個の電子を M {\displaystyle M} 個の箱に振りわける。それぞれの振り分け方はある特定のスレイター行列式 D i {\displaystyle D_{i}} に相当する。 N < M {\displaystyle N<M} である場合は、その振り分け方は数多くある。 他の見方として、全体で M {\displaystyle M} 個あるうちの N {\displaystyle N} 個を選ぶ方法、つまり組み合わせがある。すべての可能な組み合わせを求める必要がある。選択の次数は重要ではない。なぜなら行列式を扱っており、必要によって法則を入れ替えることができるからである。 必要な量子数を持つスレイター行列式だけを選ぶことができる。必要な全スピン角運動量(原子の場合は全軌道角運動量も)を得るために、それぞれのスレイター行列式は、クレブシュ-ゴルダン係数から最終的に導出される結合係数 c i {\displaystyle c_{i}} を左から掛けておかなければならない。よってCSFは以下のような線形結合である。 ∑ i c i D i {\displaystyle \sum _{i}c_{i}\;D_{i}} レフディンの射影演算子の形式は係数を求めるために使われる。いかなる行列式 D i {\displaystyle D_{i}} の組でも、何種類かの異なる係数の組が得られる。それぞれの組は1つのCSFに相当する。実際、これは全スピン角運動量と全軌道角運動量の異なる合成を反映している。
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