艤装
自動車のボディに、内外装部品を組み付けること。代表的な部品としては天井、ドアの内張り、ドアのガラス、シート、ステアリングコラム、ハンドル、インスツルメントパネル、バンパー、ヘッドランプなどがある。一般的に自動車組立てラインの艤装工程は、エンジン、アクセル、タイヤなどを取り付ける前とあととに分かれている。最近の量産工場では、室内艤装の作業性向上のために、室内作業が終わる工程まではドアを外している場合が多く、ガラス、メーターを組み込んだインスツルメントパネルや、シートなどの重量物の組み付けには、作業負担軽減のためにロボットを採用しているラインが多い。
艤装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/04 02:36 UTC 版)
艤装(ぎそう、英語: rigging、outfitting)とは、船舶の製造過程のうち、船体(船殻)が完成した後に各種装備を取り付ける工程を指す[1]。またその工程で取り付けられる各種装備のこと[1]。もともとは船舶用語であるが、航空機、自動車、鉄道車両などについても機体や車体に各種装備を取り付ける工程が艤装と呼ばれるようになった[2]。
造船
造船における艤装とは、船体を完成させたのちに、船としての機能を発揮できように装置や設備を装備するための工事である[3]。進水を終えた後に行われることが一般的である[3]。
代表的なものに、操船関係では操舵装置、係船装置、航海計器、通信装置があり、推進関係では主機関、諸補機関、軸系、プロペラがある[4]。
操舵装置とは舵を動かすための装置類である。係船装置とは船を
船舶の種類ごとの艤装は次のようになる。
- 帆船、セーリングクルーザー類では、操舵装置、係船装置、航法装置(帆船やセーリングボートではコンパスや簡素なGPS航法装置 等)、通信装置 等々をとりつけることは基本どおりだが、帆船の場合は帆装類(セイルを広げるためのマスト(帆柱)、ブロック(=滑車)、クリート、シート(=ロープ ))の取り付け工事、および各種セイル類(基本セイル類の他、スピネーカー等の補助セイル、荒天用特殊セイル 等々)の船内への搭載を含むことが特徴である。
- 漁船では、基本の操舵装置、係船装置、航海計器(しばしば漁業用「GPS魚探」を含める)、通信機器、主機関、軸系、プロペラの工事に加えて、漁に必要な諸装備・機器の取り付けや、漁師の居住スペースの様々な工事を含むことが特徴である。
- フェリーでは、船内で鉄艤装、木艤装、機器艤装、塗装工事が行われ、船尾の係船甲板で係船装置・係船金物・ランプ扉及び同開閉装置の据え付け、甲板上で塗装、木甲板や遊歩甲板などの工事、機関室では主機リモコン装置および制御盤との結線や各機器類の送電チェックおよび機関監視装置の作動確認が行われる。その後、ファイナルドックで上架し、船体の最終塗装工事及び船底回りの残工事もを行う[3]。
- 軍艦(特に駆逐艦やフリゲートなどの水上戦闘艦)の場合は、基本の操船関係の装備(操舵装置、係船装置、航海計器、通信装置)、推進関係の装備(主機関、諸補機関、軸系、プロペラ)の工事に加えて、兵装(艦砲やミサイルランチャーなど)や軍事用センサー類(レーダーなど)の取り付けが行われることが特徴である。
もともと同じ設計の船体ではあっても、艤装のしかたによって、操船のしやすさや業務遂行のしやすさや居住性など、船の性質は大きく異なるものとなるのであり、その意味で重要な要素である。操船の方法や業務のやりかたについてはひとりひとりの操縦者によって流儀(好みのスタイル)が異なっていることやこだわりがあることも多く、各人の流儀を実現するためには艤装も異なってくることになる。そのため、艤装の工程は、実際にその船を操縦することになる人物が事前にじっくり吟味し、細かく注文をつけるかたちで進められることも多い。
軍艦の場合、艤装員長[注釈 1]が、そのまま初代艦長に就任する場合が多い(つまり艦長になる見込みの人が、自分自身で自分の船の艤装の段階から陣頭指揮することが多い、ということである)。
なお、艤装も完了したことを「竣工」という。
艤装工程と法規
艤装に対して建設業法は適用されない。艤装における役務提供の経験は、たとえその内容が建設工事とほぼ変わらないものであったとしても、建設業法上の建設工事の実務経験としては認められない。
艤装における役務提供の中には、内装工事・電気工事・給排水設備工事・空調工事等、実態として建設工事とほぼ変わらないものも含まれる。しかしながら、艤装における役務提供は建設工事に含まれない。建設工事は土地に接着させた工作物[注釈 2]を対象とするものであり、艤装の対象は土地に接着させたものではないためである。
航空機
航空機の場合も同様に、機体に、運航(飛行)に必要な各種配管や配線や機器類、それに壁材・窓枠・座席などの内装品の取付(build-up)を指す。なお、取り外しての整備が必須の航空エンジンの場合、「本体に配管・配線と補機類を装着し,機体に取り付ける直前の姿まで仕上げること」も艤装と言う[5]。
自動車
自動車であれば、車体にインパネやシートなどを取り付ける工程を指し、総組み立ての工程とも言える。「艤」の漢字が舟偏であり船を連想させ違和感がある上に常用漢字外であるため、自動車業界では義装(ぎそう)やぎ装とも書く。
トラックなどにおいては車体を製造・架装するコーチビルダーに対し、消防車やクレーンなどの特殊装備を持つ車両を製造・架装する会社は艤装メーカーとして区別される(特装車を参照)。
脚注
注釈
出典
「艤装」の例文・使い方・用例・文例
- その船は次の航海のために艤装(ぎそう)されていた.
- 遠洋航海に備えて船を艤装する.
- 船は目下艤装中
- 船の艤装を解く
- 艤装する
- 船を修理したり艤装する行為
- (修理したり、部品を交換したりして)船を再び艤装すること
- 前マストに横帆、メインマストに縦帆艤装を用いた2本マストの船
- 船を再び艤装すること
- 主要な帆縦帆である艤装
- 横帆艤装の大型帆船で3本以上のマストがある
- 横帆艤装船
- 横帆艤装船のローヤルスルの上の帆
- 横帆艤装船でトップマストの頂部に固定されたマスト
- 下檣より上方の、そして縦帆艤装で一番上にあるマスト
- 横帆艤装船の帆桁の両端の1つ
品詞の分類
名詞およびサ変動詞(船舶) | 係留 繋留 艤装 操舵 転舵 |
名詞およびサ変動詞(装着) | 鎧装 装填 着装 装蹄 艤装 |
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