機巧魔神について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 17:04 UTC 版)
機巧魔神(アスラ・マキーナ) 模造品の悪魔。悪魔に対抗するために彼らの秘技を盗み出し、人間の手で生み出された、機械製悪魔と言うべき魔神(機神)。身長は4メートル前後。召還(呼び出すという意味では「召喚」だが、「還」の字が使われている)に応じて「演操者(ハンドラー)」の影を介して出現し、演操者の命令に従って動く。機体ごとに特性があり、それぞれ強力な特殊能力を有している。召還時や特殊能力使用時には各機ごとに異なる呪文を紡ぐ。演操者の技量によっては、腕だけを出して能力を行使するなど、完全に呼び出さずともわずかながら能力が使える模様。 「命令に従う」という要素には例外がある。造りものとて機巧魔神はれっきとした悪魔であり、独自の能力だけでなく、個体によって各々の性格と自我を持ち合わせている。悪魔としての本能を色濃く示すものほど強力な反面、制御も困難となり暴走を起こしやすく、加えて演操者は苛酷な消耗を強いられるため危険な存在でもある。 演操者側には決められた召還(喚起)呪文は存在しない。演操者は術式をすでに「インストール」されていて、後はそれを発動させるだけでよいので、基本的に「呼ぶ」意味を有していればどんな詠唱詞でもよいようである。ここに演操者の嗜好、センスが出てくる。ただし唱えることができなかったり、演操者の体調によっては機巧魔神を呼び出すことはできない。 演操者の死亡、あるいは副葬処女の消滅によりその機能を停止させ、操者不在の人形となり果てる。 何種類かのプラグイン(機能拡張用の増設部品)(後述)という物も存在する。 その正体は、異なる世界との入れ替わりが進んだ未来の世界で、渦過域(ボーテックス)という世界が融合してしまった場所へ向かうのに生身の人間や電子機器では全滅してしまうため、この魔界を調査するために仮死状態の操縦者を体内に封印した有人探査機である。渦過域に存在する世界を滅ぼさんとする「神(デウス)」の調査を目的とし、可能であれば破壊するための特殊能力を有する。 機巧魔神は全部で21体存在し、二巡目の世界から一巡目の世界に飛ばされたアニアが二巡目の世界で得た機巧魔神の情報をもとに作りだしたものであった。 それぞれの機体名は金属、もしくは宝石の名前を冠する。 これまでに登場した機巧魔神は以下の通り。黑鐵(クロガネ) 演操者:橘高冬琉→夏目智春(二巡目)、副葬処女:橘高秋希→水無神操緒(二巡目)、能力:重力制御 漆黒の魔神。トルク(パワー)では機巧魔神達の中でも高いクラスの性能を誇る。 黑鐵の能力「黒の拳撃」は、高重力エネルギーを持った球体を生み出して敵を攻撃したり、空間を歪曲させて防御壁を構成することができる。その重力制御能力の正体はブラックホール生成および操作。その力は光の速度を凌駕し、核は無限重力の状態となっていることになり、時の流れすらも変えられることができる。薔薇輝との戦いで、時間停止状態でも動くことが可能なのは、そのためと考えられる(事象の地平面では時間の流れが存在しない、とする仮説による)。先代の演操者である冬琉は当時GDの1人で盟主の側近「左手(シニストラ)」と呼ばれていた。彼女が元演操者となった後、関東学生連盟からの横流しで主人公・夏目智春の手へと渡ることとなる。なお機巧魔神のなかで、小説・マンガとアニメのデザインが大きく違う。 召喚の掛け声は「来い、黑鐡!」 呪文は「闇より暗き深淵より出でし―其(そ)は、科学の光が落とす影!」 名前の由来は鉄。 黑鐵・改(クロガネ・かい) 演操者:夏目智春(二巡目)、副葬処女:水無神操緒(二巡目)、能力:重力制御・空間切断 自己修復できないほど完膚無きまでに破壊された黑鐵が、一巡目の世界の夏目直貴とその使い魔クロエにより、同じく大破した同型機である白銀のパーツを使って修復・強化された機巧魔神。白銀のパーツを流用したため、ところどころ装甲色が白銀と同じである。右腕に同型機である白銀のパーツと空間切断能力の元である剣を流用されており、黑鐵本来の能力である重力制御に加え、白銀の空間切断の能力を使用できる。また、この2つの能力が1つの機体で使用可能となることで完全なる空間制御能力を使用することができるようになり、名実ともに「鋼のスペア」として機能し、鋼と同様の能力を手に入れた。 ただし、鋼のように「機巧魔神の完成型」として生まれたわけではない。そのため能力こそ鋼と同一だが、鋼には標準規格として組み込まれているプラグインが無かったり基本性能の点で鋼に圧倒されていたりするなどとスペック面で大きく劣る。 召喚の掛け声、呪文は強化前と同様。デザインはアニメ版に近いものとなっている。 智春が魔神相剋者となった後はクライング・アスラにより契約悪魔である奏の焔月も使用できる。 アニメ版ではクロエの代わりにアニアが修理を行い、鋼の出力を上回る。また、アニメ版では修復は可能だったが、一巡目の世界を救うために白銀のパーツを組み込まれ改へと改造された。 翡翠(ヒスイ) 演操者:佐伯玲士郎、副葬処女:志津間哀音、能力:極低温化 透きとおった淡緑色(アイスグリーン)の魔神。 高周波を発して絶対零度近い極低温を作り出す「凍てつく音色(おと)<一部に「凍てつく波動(おと)」との記述あり>」という能力を持ち、氷弾、吹雪、氷壁、凍結などその戦術は多彩である。 加賀篝に乗っ取られた飛行機の墜落を阻止するために氷結能力で滑走路を造り終えた後、哀音が消滅しその役割を終えた。 アニメ版ではGDに渡されたイクストラクタを塔貴也が奪い、鋼の力で無理矢理コントロールを得て、機体のカラーがダークブルーになる。 召喚時の掛け声は「出ろ、機巧魔神- 翡翠!」 呪文は「闇より静けき氷海に眠る―其は、科学の音色(おと)に凍てつく影!」 名前の由来は翡翠。 藍銅(ランドウ) 演操者:元第一生徒会会長、副葬処女:不明、能力:不明 土琵湖の湖底に沈んでいた腕の持ち主。柱谷由璃子およびキャメロンと交戦して引き分け、損傷した。2年前に卒業した当時の第一生徒会長が演操者であったこと以外の詳細は不明。 「銅」という金属の名前を含むが、GD所属の機巧魔神だったかは不明。 名前の由来は藍銅石。 白銀(シロガネ) 演操者:雪原瑶、副葬処女:黒崎紫浬(朱浬)、能力:空間切断 銀色の魔神。黒鐵と対になる機巧魔神。体色を除いてはほぼ同じ形状で、互いに共鳴する。武器である銀色の剣で、物質ではなく空間そのものを切断する「白の剣撃」という能力を持つ。 その剣撃は空間そのものを切断するため、障壁などを無視して対象を切り裂く。複数の斬撃を同時に放ち切断した空間で檻のように対象の動きを封じたり、切断された空間の断層に対象を呑み込みどこか別の空間へ消失させることも可能。かつてはその演操者はGDの1人「右手(デストラ)」と呼ばれていた。 科學部を裏切った冬琉によって紫浬(朱浬)が消滅させられ、一巡目の世界に飛ばされた後は潮泉邸の敷地内に隠されていた。後に残ったパーツは黒鐵の修理に使われた。 召喚時の掛け声は「白銀、抜刀!」 呪文は「闇より深き深淵より出でし―其は、科学の幻影(かげ)を裁く剣!」 名前の由来は銀。 薔薇輝(ロードナイト) 演操者:加賀篝隆也、副葬処女:新屋敷琴里、能力:時間停止 薔薇色の魔神。洛高関係者らもその存在を知らされなかった謎の機巧魔神。両腕から伸びる鉛色の鎖(少なくとも6本を装備)は、縛った物体の時間を停止させる。演操者が魔神相剋者であるため、他の機巧魔神より強力である。GDとの戦闘で加賀篝がクルスティナとイングリッドを失ったことで戦闘力が大幅に低下し、蒼鉛によって破壊され琴里も消滅する。最初に量産機の攻撃を受けた時にすでに琴里が消滅していたにもかかわらず動いたが、その理由は定かではない。 アニメ版では加賀篝の意志を無視して蒼鉛から加賀篝を守った。その後、塔貴也の手にイクストラクタが渡り、鋼の力で塔貴也の支配下に置かれ、機体のカラーが水色になる。 召喚時の掛け声は「目覚めろ、薔薇輝!」 呪文は「闇より永き悠遠より覚めし―其は、科学の鎖が縛る刻!」 名前の由来は薔薇輝石。 亜鉛華(アエンカ) 演操者:千代原はる奈、副葬処女:不明、能力:物質爆砕 白い魔神。両手の指先から伸びる糸は、巻きついた対象物を爆発物に変える導火線となる。切断したところから点火するため、一度巻きつかれたら糸を切っても逃げられず、防御は困難。 召喚時の掛け声は「おいでやす、亜鉛華」 呪文は未登場。 名前の由来は亜鉛。 翠晶(スイショウ) 演操者:倉澤六夏、副葬処女:姫笹、能力:物質液化 翠(みどり)色の魔神。水を自在に操る他、物質液化能力「清浄なる融解(クリスタリン・メルトダウン)」は、物質の分子結合を解いて液状に分解する。物質の液化をあえて中途半端な状態に留め、ジェル状にした壁や床を抜け、その後に液化をキャンセルし元の固体に戻すということも可能。 召喚時の掛け声は「翠晶、ショウダウン!」 呪文は「闇より刮(きさ)ぎし氷晶(ひょうしょう)より出でし―其は、科学の涙が融かす翳(かげ)!」 名前の由来は水晶。 蒼鉛(ビスマス) 演操者:里見恭武、副葬処女:不明、能力:魔力拡散 暗蒼色の魔神。ドリルのような突撃槍をもっており、槍の回転によって魔力を拡散、消滅させることができる。機巧魔神のあらゆる防御、攻撃をも無効化することのできる強力な能力だが、「槍が回転している状態でしか能力を行使できない」という弱点を持ち、その力に見合わぬ精神力の演操者である里見では制御に余裕がなかった。 里見の暴挙に怒りが頂点に達した智春の黑鐵に槍と左腕を破壊され、氷羽子の不意打ちによって破壊される。 アニメ版では翡翠、薔薇輝のイクストラクタと共に強奪され、塔貴也の支配下に置かれ、機体のカラーが薄紫になる。 召喚時の掛け声は「開演だ、蒼鉛!」 呪文は不明。魔力拡散は槍の能力なので別の能力を持っていた可能性もある。 名前の由来はビスマス。 量産機(カーバイド) 演操者:狭浦高校上院生徒会、クラウゼンブルヒ財団、武装生徒指導員、副葬処女:なし、能力:なし 里見の指揮する量産型の機巧魔神。本物と同じ護法装甲を持ち、対悪魔用の重火器で武装している。また、腰部には電動式のウインチが内蔵されている。副葬処女や魔力装置を持たないため、通常の機巧魔神のような特殊能力は無い。蒼鉛のプラグイン・分配装置(ディストリビュータ)によって操作される子機であるため、単独では動かせず、里見が演操者の資格を失えば動かせなくなる(尤もその前に全機が大破していたが)。一巡目の世界でも機功魔神を模したものを、クラウゼンブルヒ財団が開発し、運営している。後に鋼に搭載されていた分配装置を用いて武装生徒指導員(GD)が操ることになる。カーバイドとは炭化物の総称。 原作では機巧魔神に近い形をしているが、アニメでは機巧護衛機に近い形をしている。 鋼(ハガネ) 演操者:夏目智春(一巡目)→炫塔貴也、副葬処女:嵩月奏(一巡目)→橘高冬琉、能力:完全なる空間制御 鋼色の魔神。最終形として完成された機巧魔神であり、全機巧魔神の中で最も騎士の甲冑を模したデザインとなっている。全ての機巧魔神の中でも最強のパワーを持つ。黑鐵と白銀の能力を共に使え、それらを組み合わせて発動させる時空間転移、時間の巻き戻しが可能。製作段階ですべての機巧魔神のプラグインが組み込まれており、スタビライザやディストリビュータを使用できる。塔貴也が演操者となった時点で黑鐵を破り、自己修復出来ないほどまでに大破させたが、最終決戦にて黑鐵・改と対峙。死闘の末に敗れる。 召喚時の掛け声は「来い、鋼!」(智春)、「おいで、鋼」(塔貴也) 呪文は「闇より深き融炉より出でし―其は、科学の鎚が鍛えし玉鋼」(一部呪文の「闇より"深き"」が"熱き"、"暗き"となっている) 名前の由来は鋼。金属の名を冠した機巧魔神の中では唯一合金である。 玻璃珠(カルセドニー) 演操者:苑宮咲華(一巡目)、副葬処女:不明 能力:大気掌握 純白の魔神。しかし、内部の機関の露出、錆びなど戦闘の痕跡と思われる傷跡が生々しく残っており、さながら亡霊とも思えるような姿になってしまっている。 一巡目の世界で演操者を失ったことで世界を彷徨い続け、二巡目の和葉の中にいる咲華を求め暴走を続けていた。居合わせた智春が黑鐵・改で制止。咲華に見取られて非在化した。 召喚時の掛け声・呪文は不明。 名前の由来は玻璃。 この他、洛高以外の所属と思われる名称不明の演奏者が2名登場している(第4巻)。また、『電撃hp』掲載の「アスラクラインP」には、暴走して封印された名称不明の魔神が登場する(第14巻までの文庫には未収録)。 ヒルベルト・イクストラクタ 機巧魔神を封印する祭壇。見た目は継ぎ目が見えない銀色のトランクの形をしている。略称イクストラクタ。自らの質量と引き替えに並行宇宙から喪われた機巧魔神を召喚するシステム。空席のイクストラクタを開けることで機巧魔神を制御するためのナノマシンを体内に注入され、演操者の資格を得る。またトランクの中に少女たちの肉体を封印して副葬処女とすることができる。 副葬処女(ベリアル・ドール) 機巧魔神を動かすための「贄」として機巧魔神の中枢部に収められている少女(「処女」との呼称通り、現在までに作中に登場した副葬処女は全て女性である。ただし、性別や純潔などの条件については作中では明言されていない)の呼称。機巧魔神はこの少女らの魂の質量を削って演操者の願いを叶え続ける。 副葬処女は組んでいる演操者の言霊(召喚時の掛け声)を契機に呪文を詠い、そこで初めて機巧魔神が世界に出現する。 機巧魔神は副葬処女の魂で動くため彼女達の意にそぐわない場合、演操者の命令でも動かないことがある。魂を削られた副葬処女はそのたび感情をすり減らし、全ての感情を無くしたとき消滅する。また、当然ながら封印されている機巧魔神の中枢部が破壊されれば死んでしまう。 彼女たちは、演操者の脳の一部を媒介として「射影体」と呼ばれる疑似感覚的情報入出力デバイスを投影し、演操者とコミュニケーションをとる。これは一種の幽霊のような立体映像であり、通常その姿は悪魔か演操者、あるいは電子的に視力を増幅したものでなければ見ることはできない(稀に写真やビデオの波長にあって写ってしまうことがある)。「声を聞くのはもっと簡単」とのことである。いずれにせよ一般人には知覚できないが、稀に知覚できる者もいるらしい。 対となるイクストラクタの祭壇が空席でない場合、射影体だけが出現し、唯の幽霊現象として存在することになる。 演操者が機巧魔神を呼び出す際には射影体は消え、機巧魔神と一体化して戦う。 なお、機巧魔神は副葬処女の魂のみを必要とするため、肉体の状態がどうなっていても魂さえあれば副葬処女になることは可能(例:黒崎朱浬(魂のみ)、橘高冬流(元演操者))。また、悪魔は副葬処女になることはできず、悪魔を内部に封印した場合、機巧魔神は機能停止(フリーズ)を起こし演操者の影に収納できなくなる。 演操者(ハンドラー) 機巧魔神を召喚し「演操(ハンドリング)」することの出来る人間。副葬処女とは異なり、性別は関係ない。演操は演操者の心身を消耗させ、過度の消耗は魔神の暴走につながるため、長時間あるいは連続使用は危険である。 機巧魔神が出現中に演操者を失うと暴走し、母艦にも戻れず、並行宇宙を彷徨うことになる。 元演操者(エクス・ハンドラー) 機巧魔神の演操者だった人間。副葬処女の消滅などにより機巧魔神を失った後、悪魔や機巧魔神などの持つあらゆる魔力を無効化し、全く受け付けない「魔法無効化能力」を身に付ける。そのため、スタビライザで一般人にも見えるようになった射影体でさえ認識することができない。 元演操者は身体のどこかに炎のような紋章が浮き上がる。冬琉曰く、「元演操者の紋章は愛する者の魂と引き換えに悪魔の能力を行使した呪われた罪人の烙印」。 なお「魔法無効化能力」の正体は、演奏者の体内のナノマシンが副葬処女を失ったことで変質し皮膚に表出、紋章の形になることで、周囲の魔力を拒絶する電波妨害的な働きをしていることによるもの。副葬処女になってもこの能力は失われない。 機巧化人間(フェミナ・エクス・マキーナ) いわゆるサイボーグである。肉体に黒科學の理論、すなわち魔導理論より成る機巧を組み込まれた者達をそう呼ぶ。 黒崎朱浬もその1人。彼女の場合は骨格と筋肉と感覚器官の一部を黒科學の装置で置き換え、さらにショットガンやミサイルなど多数の武装を内蔵し、ユニットの接続で飛行も可能。それらに加えて機巧魔神の魔術機関までもが移植されており、自分自身を副葬処女として機巧魔神と同等の力を振るうことができるが、構造上使用した際の負荷に耐えられないため、1度の使用ごとに総交換に近い修理が必要。 なお、本人いわく「顔と胴体は自前」とのこと。 朱浬の能力は、右腕から発射して目標を破壊する弓矢状の魔力弾。ただし使用するたびに右腕が大破するため、修理するまでは再度使用することができなくなる。 呪文は「闇より昏(くら)き絶望より射ゆし…其は、科学の罪に嘆く牙!」。 機巧護衛機(カスタス・マキーナ) 蟹に似た自動戦闘機械。何種類かが確認されており、チェーンソー状のハサミや強酸性の泡などの武器を装備している。 護法装甲で身を固め自己修復能力も持つため完全な撃破は困難。加えて特殊能力を有す機体も多いらしい。 二巡目の世界に残された、一巡目の世界の遺跡の防衛に当たっていた。 機能拡張/拡張機能(プラグイン) 機巧魔神達の拡張機能(プラグイン)として装着するために創られた装置の総称。あくまで機能を拡張させるためのものであり、着けなくとも機巧魔神は稼動する。様々な種類のプラグインが存在し、その機能もそれぞれに異なっている。 哀音や姫笹は、情報収集や解析の面で明らかに操緒より高性能であるため、何らかのプラグインを内蔵しているためではないか、と智春は推測している。 安定装置(スタビライザ) 正式名称「副葬処女安定装置(ベリアル・ドール・スタビライザ)」。「副葬処女と演操者の接続を強化する」機能を持つプラグインで、副葬処女の感じた苦痛や疲労が、演操者にもダメージとして感知できるようになる。また、副葬処女が演操者に憑依し、身体を操る(完全に肉体を支配することはできないが、腕や脚など部分的になら可能)機能もある。副次効果として、射影体が一般人の視覚・聴覚でも認識可能になる。作中では操緒が一般人に見えるようになる。 搭載機として本文中で明確にされているのは黑鐵、鋼の2機。黑鐵には追加機能として成り行きで内蔵されたが、鋼に内蔵されているものは「機巧魔神の完成型」として制作段階から組み込まれたため、通常より効果が強いものになっている。 その本来の力は別の世界に存在する副葬処女の同一人物に「憑依」し操ることで、短時間ながら別の世界で活動を可能にすること。操緒が使う「演操者への憑依」は本来のものではない。 機能上、演操者や副葬処女の同一人物でなくとも憑依は可能なようだが、悪魔に憑依しようとした場合、魔力の逆流で誤作動を起こして副葬処女と憑依対象者の精神が完全に入れ替わってしまう。この状態は副葬処女が何らかの衝撃などで意識を失えば安定装置がリセットされ、元に戻る。演操者だけが気絶しても元には戻らない。普通の睡眠でも元には戻らないようである。 分配装置(ディストリビュータ) 搭載機は蒼鉛、鋼。カーバイドを操作するために使用されたプラグインだが、それ以外の効果や詳細は不明。 点火装置(イグナイター) 外見的には、緑色の筒状に笠がついた、卑猥な道具を連想させる形状。 明蓮寺高校の生徒会が二巡目の世界の遺跡で発見し、のちに洛芦和高校の研究者であるアニアの手に渡った。 アニアをして用途も搭載可能な機巧魔神も不明。なぜか奏に反応し、加賀篝が執拗に狙っていたが、その理由も不明だった何から何まで謎のプラグイン。 その正体は、「二巡目の世界からアニアが一巡目の世界に持ち込み、遺跡から二巡目の世界で発見される」という、タイムパラドックスが生み出したオーパーツ。成長したアニアでもその機構の全ては解明できなかったためにそれ一個きりの品。 対「神」戦におけるキーアイテム。機巧魔神の魔力を暴走させ爆弾に変えることができる。魔神相剋者の魔力で点火装置を使用することで「神」すらも破壊することができるとされているが、その反動で演操者も命を落とすことになる。 塔貴也はこれを起点に自らの魔力の代用として約10億人の人間を犠牲にして「神」を破壊しようとした。 智春の身を案じた玲子が持ち去り、その後蹴策に踏み壊されてしまう。 アニメ版では魔神相剋者のみが使える因果律制御装置となっており、魔神相剋者が使用することであらゆる事象を自在にコントロールできる(形も原作より普通の筒状になっている)。塔貴也はこれを用いて秋希が消滅しない世界を創ろうとしているが、その行為には異世界の消滅という代償が存在していた。最後は智春の「二巡目の世界を救いたい」と言う願いに応え、異世界への門を閉じて消滅した。
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