巻き戻し
巻き戻し
巻き戻し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 08:21 UTC 版)
巻き戻し(まきもどし)は、巻いて戻すこと。
- 録音録画再生機器(DVD・BDプレーヤー、レコーダーなど)の巻き戻しボタン(早戻しボタン)については、録音録画再生機器のボタン#早戻しボタンを参照。
- DNA親鎖の二重らせんを二本のssDNAに分解することについては、DNA複製#巻き戻しを参照。
- データベースにおけるロールバック(巻き戻し)。
巻き戻し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:03 UTC 版)
DNAポリメラーゼをはじめとする多くの複製因子が機能するためには、親鎖の二重らせんを二本のssDNAに分解する巻き戻しが必要である。巻き戻しは、酵素反応による、二重らせん構造を維持する水素結合の切断である。最初の巻き戻しはイニシエーターとDNAの結合により複製起点で起こり、以降はDNAヘリカーゼにより巻き戻しの範囲が拡大する。最終的に複製終結点(停止点)まで巻き戻しは進む。 巻き戻しは可逆反応であるため、別れたssDNAは再び二重らせんを構築しようとする(これを「再会合」と言う)。このため、親鎖が巻き戻されるとすぐに一本鎖DNA結合タンパク質(single-strand binding protein:SSB、らせん不安定化タンパク質:helix-destabilizing protein)が結合して再会合は防がれる。DNAと結合したSSBは遊離SSBに対する化学親和性が非常に大きくなり、DNAと結合したSSBの隣に次のSSBがそのSSBとDNAとに結合し、これが繰り返されて複製バブル全体をSSBが覆う。例えば、T4ファージのSSBであるgp32の場合、ssDNAと結合した分子は次の分子の化学的親和性が1000倍になる。また、SSB間の結合は個々のSSBのDNAへの結合を安定化させる。SSBが直接結合するDNAの部位は塩基でないので、塩基間の水素結合により娘鎖を伸長させていく複製装置の邪魔をすることはない。さらに、DNAを伸びた状態にする効果もあるので、後述する娘鎖合成やプライマー合成の鋳型になりやすい。こうして、巻き戻し(と後述する超らせんの解消)を経て生まれる部分的な1本鎖DNAの領域が複製バブル、二重らせんとの分岐点が複製フォークである。 複製起点に続いての水素結合の切断は、酵素であるDNAヘリカーゼが担う。複製起点では親鎖の巻き戻しと同時に、それぞれの親1本鎖で複製装置による娘鎖の合成が始まる。DNAヘリカーゼによりさらに親鎖が巻き戻ると、これと同時にほどけた親鎖に沿って複製が進行する。実際、複製は巻き戻しと同じ速度で、どんな場合でも、ほどけている親鎖で伸長中の娘鎖と対になっていない部分や複製途中の部分はごく短い。このことは、巻き戻しが伸長段階と強力に共役していることを表す。 場合によって、1つの複製バブルにおける2つの複製フォークのうち、DNAへリカーゼが進行させるのが両方共(双方向性)か、片方だけ(一方向性)かが異なる。双方向性が確認された最初の生物は枯草菌(Bacillus subtilis)である。その後、真核生物のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)やイモリでも発見された。現在では、真核生物でも原核生物でもほとんどのDNA複製は双方向性であると考えられている。一方で、colE1と呼ばれるプラスミド(染色体外の環状DNA)などで一方向性のDNA複製が確認されている。
※この「巻き戻し」の解説は、「DNA複製」の解説の一部です。
「巻き戻し」を含む「DNA複製」の記事については、「DNA複製」の概要を参照ください。
「巻き戻し」の例文・使い方・用例・文例
- 巻き戻しのページへのリンク