一刻館の住人
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五代 裕作(ごだい ゆうさく) 声 - 二又一成、渡辺久美子(幼少期)、櫻井孝宏(CRめぞん一刻版) 本作の主人公。一刻館5号室の住人。善良で心優しいが、押しが弱く優柔不断、トラブルに巻き込まれやすい。概歴 血液型はA型。両親は健在で故郷で定食屋を営んでいる。高校卒業後、浪人生として上京し、一刻館に入居する。当初は一刻館の非常識な他の住民に馴染めず頻繁に転居を決意しては断念する日々だったが、管理人として就任してきた音無響子に一目惚れし住み続けるようになった。1年間の浪人生活を経て三流私立大学に合格。大学では教育学部に在籍し、響子の母校である高校で国語科の教育実習を行ったが教職に就く意思はなく、就職活動は全て一般企業であった。大学を卒業するが、就職内定していた企業が倒産してしまったために就職浪人することになる。「しいの実保育園」でアルバイトを始め、その経験から保父(現在で言う保育士)を目指すようになる。なお、アニメでは就職浪人しておらず、原作とは大学4年目から1年ほどタイムラグが生じている。人員削減で保育園のアルバイトを解雇された後は、キャバレーにて宣伝部部員(呼び込み)や福利厚生部長(ホステス達の子供の世話係)として働く。2年近く専門学校に通って保育士免許を取得した後、欠員がでた「しいの実保育園」に保育士として正式に採用され、響子に求婚、結婚し翌春に長女・春香をもうける。 人物・エピソード 善良であるが意思が弱く流されやすい性格のため、要らぬ苦労を背負い込み、トラブルに巻き込まれることが多い。 大学の合格発表 までフルネームで公表されておらず、響子は「五代浪人」が本名だと思っていた。金魚すくいが得意で小さいころは「お祭り裕ちゃん」と呼ばれていた。高校時代はラグビー部に所属。五代の住む5号室は部屋の荷物が一番少ないという理由で一刻館の住人たちが集まる宴会場にされることが多く、試験勉強中などは、度々住人に邪魔されたりからかわれたりしていた。朱美と四谷曰く、五代は「一刻館の玩具」。また、響子が高校生時代の制服を着たことから始まったコスプレ宴会では、後述の花枝に促される形ながら高校時代の学ランを着て参加していた(原作第51話・アニメ第37話)。 手先が器用で、大学1年秋に成り行き上所属した人形劇サークル(入部当初を除き全くサークルには顔を出さなかった)では人形を、キャバレーではホステスの子供達のために積み木等の玩具を作ったりもした。物語当初は喫煙する描写があるが、途中から無くなる。アニメ版では響子のために禁煙したと発言している。 妄想癖があり、響子のことを考えるたびに妄想してはしばしば壁や電柱などに頭から突っ込んでいく。響子に対しては「管理人さん」と呼んだり「響子さん」と呼んだりしていたが、響子と結ばれてからは「管理人さん」とは呼ばなくなり、最終話で挙式後は「響子」と呼ぶようになった。 作者の高橋留美子は五代がいつまでも童貞でいるのは「正しくない」という考えを持っていて、五代が独りで北海道旅行に行くエピソードで旅先で出会った大口小夏を初体験の相手にしようとしていたが、編集部から「五代君は純潔を貫かなければならない」と猛反対され、この構想を断念した。その後、五代の初体験は、坂本のおごりでソープランドに連れて行かれた話で曖昧に描かれた。響子が五代に対して好きであることをなかなかはっきり言わなかったために五代は響子の愛情を確信できず、終盤(原作第149話から第150話)にて破局寸前のトラブルに見舞うところで、響子に「あなたしか抱きたくないんです」と告白し、ラブホテルに入ってベッドインしながらも前夫の惣一郎が気になって失敗してしまうが、その後(原作第152話)、管理人室で響子と改めて話をし、結ばれて一夜を共にした。その後も、響子の心奥深くに残っている「惣一郎」に対し素直に「正直言って妬ましい」と惣一郎の墓前で心中を吐露する(原作第160話)が、それすらも「響子の一部」として捉え丸ごと受け止める決意をする。 同姓ということから、鹿児島県薩摩川内市の酒造メーカー「山元酒造」が製造する焼酎「さつま五代」(由来は所在地の「五代町」から)の広告に絵が使用されていたことがある。 音無 響子(おとなし きょうこ) 声 - 島本須美 、 ゆきのさつき(CRめぞん一刻版) 本作のヒロイン。原作第133話で「秋には27になります」と響子本人が語っている。若くて美人、スタイル抜群。1980年の秋、本作の舞台となるアパート「一刻館」に住み込みの管理人として赴任する。その美貌に五代は一目で虜になり、常に気になるマドンナ的な存在となる。後に未亡人であり、五代より2歳年上であることが分かる。通称「管理人さん」。キャラクターのモデルは女優の夏目雅子。また、原作者の高橋留美子は性格が自身に一番近いキャラクターとして音無響子を挙げている。音が無いのに響く子というのはサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」と同じ構造の矛盾語法であり、本人の矛盾した行動を象徴している。概歴 女子高である私立桜ヶ丘高校(アニメ53話より)の出身で、テニス部に所属していた。講師として赴任してきた音無惣一郎と出会い、高校卒業後の1979年親の猛反対を押し切って惣一郎と結婚する。しかし、結婚して半年足らずの翌年1980年の春に惣一郎は亡くなってしまう。失意のどん底にあった響子だが、惣一郎の父・音無老人の取り計らいでアパート「一刻館」に住み込みの管理人としてやってくる。野良犬だったペットの犬も当初は「シロ」の名で呼ばれていたが、夫の死後「惣一郎さん」という名前で接している。音無老人や母親は響子に再婚を勧めて(実父は再婚に反対)いたが、響子は気持ちの整理が付けられず、音無の姓を名乗り続けていた。「非常識のかたまり」の一刻館の住民や周囲の人々との触れあいや生活は、少しずつ響子に笑顔を取り戻させ、失意と喪失感に覆われていた心を和らげていった。五代については一刻館に赴任した当初から出来の悪い弟の面倒を見るように世話を焼いていた。そんなある晩、五代が酔った勢いで響子を好きだと叫んだことから五代の自分への想いを初めて知り、異性として意識し始める。テニスクラブのコーチ・三鷹瞬からもアプローチを受け両者の間で揺れ動きながらも、五代の心根の優しさや厚意に絆され、次第に心惹かれて行く。しかし響子は、五代への恋慕の情は亡き夫への想いを「嘘になってしまいそうで…」と自問自答し、自分の気持ちに戸惑いを感じていた。そのため五代の気持ちを受け入れることにも躊躇していた。ある出来事から三鷹は他の女性と婚約し、五代とも決定的な破局寸前にまで至る騒動が立て続けに起こった。それらの誤解が解けた時、自分の気持ちに素直に向き合い、結ばれて一晩を共にするに至った。五代の就職後、プロポーズを受け、再婚を決意し準備を進めるも惣一郎の思い出の品を前に悩む姿もあった。そんな姿を五代も見ており、その心に棲んでいる惣一郎の存在も否定せず受け入れてくれた五代に「あなたに会えて本当に良かった」と感謝していた。結婚後、翌春に長女・春香を出産する。 人物・エピソード 「音無」は結婚後の苗字で、旧姓は「千草(ちぐさ)」。幼少時は父親が転勤族であったため各地を転々としていた。普段は穏やかでいつも微笑みを絶やさない。基本的に明るく快活で優しい性格の反面、非常にヤキモチ焼きで世間知らずであり、思い込みも激しい。また、親譲りの鈍感な面もあり、三鷹の犬恐怖症に最後まで気付かなかったり、五代の「響子さんの作ったみそ汁が飲みたい」という遠回しの求婚を文字通りに解し、味噌汁を用意するなど、天然ぶりを発揮することもしばしば。 自分が五代や三鷹に求められている存在だと自覚している。しかし、両者に対してはっきりした態度を取らず「ぬるま湯」の状態の逃避をするも、五代や三鷹が他の女性と仲良くしているのを見聞きしただけで、真意を確認せぬまま自分の中で勝手な解釈をし、独りよがりに不機嫌になり、キツく当たっていた。 特に五代に対しては、女友達から日に何度も電話があるだけで嫉妬し、それに応対している五代の言動を目にするのも耐えられず、それまで管理人室で取り次いでいた黒電話とは別に「アパートの住人用」との名目でピンク電話を設置してしまったほどである。こずえとのデートに出かける際は「ネクタイを直してあげる」と称して首を絞めたり、いぶきと腕を組んで仲よさそうに学校へ向かう姿を見送る際には笑顔のまま掃除用の竹ぼうきをへし折るなどもした。しかし、雰囲気が高まると自ら五代にキスしようとするような思わせぶりな仕草を見せたり(実際にハプニングも含めて数回キスしているが、響子の側からのキスの方が多い)、一刻館の住人の中で五代の帰宅時間だけは曜日ごとに把握して庭先で出迎えるなど、五代に好意を持っていた。ただ、前述のような理由から直接「好き」と言葉ではなかなか言えなかった。ようやく言えたのは終盤近く、一刻館の管理人室で五代と結ばれた(原作第152話)時に初めて「ずっと前から好きだった」ことを告白したが、作中で響子が五代に対して愛情を直接言葉で表現したのはこの一度きりである。前夫の惣一郎を亡くしたことは(特に物語の序盤では)響子の心の奥底で深い傷になっており、五代のプロポーズを受け入れる時(原作第158話)も「1日でいいから自分より長生きして…。一人ではもう生きていけそうにないから」とその胸のうちを吐露し、五代も決して響子を一人にしないことを約束した。 自動車運転免許の所有者である。海水浴に出かけた際、三鷹が体調不良から運転できなくなった際には帰路の運転をかってでたが、教習所卒業以来運転をしたことがないペーパードライバー であり、ハンドルを握ると性格がいつにも増して強気になる上に、緊張から周囲に気を配る余裕が無くなり、同乗していた三鷹と五代が顔面蒼白で引きつるほど荒々しい運転をした。また、一刻館の雨漏りを直すために屋根に上がって応急処置の大工仕事をしたり、停電したときには「簡単な電気工事なら多少の心得がある」と修理をするなど、意外な一面を垣間見せている。 他にも鏡台を購入して、何か着て鏡に写してみようと衣装ケースを探してみると、自身の母校の制服(ブレザー)を見つけ、ためしに着てみたところで、裕作や後述の花枝や四谷、朱美に見つかってさながらコスプレ宴会に突入してしまったこともあり、帰宅した賢太郎に呆れられたこともある(原作第51話、アニメ37話)。 「ヒヨコのエプロン(胸に“PIYO PIYO”の文字と、ヒヨコのイラスト入り。ベースカラーは主に黄色。)」 と、「竹ぼうき」が、響子のトレードマークであり、代名詞的存在となっている。五代が一刻館から出入りするときは特に、深夜・早朝にかかわらず玄関前を掃除していることが多い。竹ぼうきで掃く音で響子の機嫌の善し悪しがうかがい知れることも少なくない(上述のようにいぶきと五代が腕を組みながら学校へ行った際には竹ぼうきをへし折ったことすらある)。五代にセクハラ(例:屋根から落ちそうになって五代に救われた時に胸を触られた、スカートをめくられた)を受けた時などに本気で怒り、平手打ちを食らわせたことも数多い(原作・アニメ第2話など)。逆に五代からは、こずえ絡みの件で喧嘩後、屋根の修理をしていた際落ちそうになったものの意地を張り、助けを求めなかったことに対し激怒され頬を張られた。数年後、再びこずえ絡みでいざこざがあり、例によって五代の話を聞かず口汚く罵倒した響子を諌めるために頬を優しく叩かれた。 また劇場版完結編にて一の瀬花枝から結婚祝に手製のエプロンをもらうシーンがあり、こちらは「ニワトリのエプロン(胸に“KOKE KOKE”の文字と、ニワトリのイラスト入り)」となっている。 同じ小学館の漫画『鉄子の旅』で、「横見の妄想」シーンにゲストで登場。これは作者の菊池直恵に高橋が協力して、特別に描き下ろしたものである。 アニメ版放送当時に、キャラクターとしての人気も手伝って、音無響子名義で楽曲がリリースされている。詳細は「めぞん一刻 (アニメ)#歌手・音無響子」を参照 一の瀬 花枝(いちのせ はなえ) 声 - 青木和代一刻館1号室の住人。詮索好きで世話好きのいわゆる典型的なおばさんだが、騒動好き・酒好き・宴会好きの三拍子も加わるという豪快な婦人。しょっちゅう昼間から酒を飲んでおり、宴会が盛り上がると両手に扇子を持って踊り、アニメでは「チャカポコ踊り」と称している。北海道出身(原作第24話「リンクに賭けろ!」・スケートの話での「道産子だもーん」というセリフより)。 高校生の頃から現在と同じ酒樽体型で、高校時代のセーラー服を今でも着ることができ、前述の響子の制服着用から始まったコスプレ宴会でもセーラー服を着て興じていた(原作第51話・アニメ第37話)。 五代と響子の関係を家族のような目で見守りつつも大変面白がり、常に事態を面白くさせようと行動するため、彼女の言動が元凶となった誤解は数知れない。近所の主婦に誘われ響子とともにテニスクラブに入会したが、仲間内でおしゃべりにいそしむほうが多く、肝心のテニスの練習は皆無に等しくルールも全く把握していないなど、普段からちゃらんぽらんさが目立つ人物だが、年長者であるためか、時に響子や裕作に有効なアドバイスをするなど、いざと言うときは頼れる人物でもある。 一の瀬氏(いちのせし) 声 - 矢田稔 一の瀬花枝の夫。気弱で存在感が薄い。普通に朝出勤、夜帰宅の毎日を過ごしており、後ろ姿や片隅ながら早くから度々登場していたものの、住人たちとの生活時間帯が合わず、管理人の響子でさえ就任以来3年近く彼の存在に気づかなかった。勤め先が倒産して無職になり初めて住人たちにその存在を知られるようになった。無職になったエピソードの後、賢太郎の運動会など主役の話もあったものの、その後は登場することはほとんど無かった。一の瀬家は一刻館では唯一家族で暮らしていて、花枝とは社内結婚である。花枝と肩を並べるほどの酒豪。馴れ初めは、会社の宴会で花枝から飲み比べで勝ったら結婚してやると暗に求婚されたが、失恋の自棄酒で酒が進んだことと花枝が故意に負けたことで、結婚することとなった。原作では「一の瀬氏」「一の瀬のおじさん」と呼ばれ名前の設定は明らかにされなかった。 一の瀬 賢太郎(いちのせ けんたろう) 声 - 坂本千夏 一の瀬夫婦の一人息子で小学生。終盤に中学生に進学。響子を含む一刻館の住人では最も常識人であり、大人びた子供である。響子の義理の姪である郁子に好意を寄せるが、郁子の側は賢太郎の気持ちに気づいておらず、あまり相手にしてもらえなかった。原作では中盤以降は全く登場しなくなり、その後は最終話にのみ姿を見せた。最終話では郁子とともに五代と響子の結婚式で受付を担当しており、この時は学生服(設定では高校生になっている)を着ており郁子とも会うが、母譲りの背の低さをからかわれ相変わらず気持ちは伝わっていない。テレビアニメ版では二階堂望が登場しないため、本来なら二階堂の役回りとなる部分(アパートに戻れなくなったと誤解した五代を匿う羽目になる、など)が賢太郎に回るなどして、登場する出番は継続していた。 二階堂 望(にかいどう のぞみ) 声 - 堀川亮 一刻館2号室の住人。大学生。連載の後半の1984年4月から登場。五代とは別の大学に現役で合格したのを機に高級マンションの「立国館」に入居する予定が、手違いで一刻館にやってきた。最初は一刻館をオンボロアパートと見下していたが、響子を気に入りそのまま大学卒業まで住むこととなる。大工仕事が趣味。実家は裕福らしく、過干渉気味の母親に甘やかされて育っており他人の気持ちに疎く、場の空気を察するということができない。しかしマザコンではなく、母親の過干渉を内心疎ましく思っており、気楽に一人暮らしができる現状を楽しんでいる。一刻館一のヘビースモーカーであり、くわえたばこで歩く。入居した当時から未成年ながらタバコや酒を嗜んでいた。転入直後に一通りの住人達との騒動(五代を巻き込んだ四谷との対立、こずえや三鷹とのやりとりなど)以降は登場機会が少なく、漫画では入居後に100回近い宴会が確認できるが参加したのは10回に満たないなど一刻館の住人でありながら端役で、物語の本筋にはほとんど絡まなかった。テレビアニメ版では一切登場しておらず、原作者の高橋も本作の連載終了後の少年サンデーグラフィック誌上で「二階堂は(あまり活躍させられなくて)かわいそうだった」という趣旨のことを述懐している。最終的には大学卒業まで一刻館に住み続け、響子と五代の結婚式にも参加している。卒業後は実家のある茨城県で就職し自宅通勤となったため、相変わらずの母親の過干渉に内心辟易し、一刻館での暮らしを懐かしく感じている。なお、劇場版と英語版では「にかいどう のぞむ」だが、スピリッツ掲載の原作では「にかいどう のぞみ」である。 コンピューターゲーム版では、禁煙パイポの臭いが嫌いという設定になっておりアイテムのパイポを使用するとプレイヤー(五代)の前から退散していった。 三越 善三郎(みつこし ぜんざぶろう) 声 - 堀勝之祐 テレビアニメ版のオリジナルキャラクター。50・51話で一時的に一刻館3号室の住人となる。一刻館を地上げする目的で来たが、最終的には何もせず、住民に真意を気付かれることなく去っていった。なお、原作では3号室は一度も住人が住み着くことはなく、愛好家らからは「開かずの3号室」と呼ばれたがアニメ版では八神が一刻館に居座った時に五代が一時的に住んだことがあった。四谷に、「新しいものが生まれる時、古いものが消えてゆく。消えてゆくのは仕方のないことかもしれませんが、消えたものを忘れてしまってはいけないんじゃないか。そう思います」と語った。 四谷(よつや) 声 - 千葉繁 一刻館4号室の住人で、五代の隣人。下の名前は不明。他の住人からは「四谷さん」三鷹などからは「四谷氏」と呼ばれている。五代が一刻館に入居したその日に、4号室と5号室の間の壁に穴を開けてしまい、そこから何かと五代の私生活に干渉する。一刻館が全面的な修理が行われた時に、壁はきちんと塞がれた(本人は塞がれることを酷く嫌がっており阻止するために五代のかなりキワドイ秘密まで暴露した。)が、こずえが5号室に来た際にまた開けられた。誰に対しても丁寧な言葉遣いで話すが、その態度は慇懃無礼(いんぎんぶれい)そのもので、五代など自分よりも弱そうな相手をおちょくることを何よりの趣味にしている模様。普段はスーツ姿または在宅用の着物姿だが、虚無僧の袈裟(原作第51話・アニメ第37話)も所有するほか、温泉旅行や裕作の実家(アニメ版のみ・第95話)にもスーツ姿で出かけている。八神ら女子高生が来るときと、五代の結婚式の披露宴の時は、タキシードを着用していた。冬季は外出時に帽子とトレンチコートを羽織る。 五代、響子、三鷹、二階堂などは職業など何をしているのか疑問を懐き、尾行・調査をしたこともあったが四谷に気付かれており、単にあちこち振り回されただけで結局なにも分からなかった(三鷹や五代、二階堂に関しては本人に見つかりタカられた)。ときどき帰省と称して数日間留守にするが帰省先も全く不明。趣味はのぞき、特技はたかり。年齢・職業・経歴などは一切不明という、変人ぞろいの一刻館の住人の中でも一際目立つ存在であり、結局何者なのか明かされることはないまま、本作の連載は終了した。四谷の部屋の内部が確認できるのは原作、アニメ共に1回(八神が四谷に家庭教師を頼みこみ、心配した五代と響子が五号室の穴から四号室に入り込んだとき)のみであった。他にはアニメ版第31話で1度だけ五代が四谷が不在の間に5号室の穴の内部を覗いたことがある(その時五代が見たのは狭いコンクリートでできた細長い部屋であり、鏡や歯ブラシなどはあったもののとても部屋と呼べるようなものではなかったため戦慄していた)。アニメ版44話では、本人に瓜二つの祖父、叔父がかつて一刻館に居住していたという設定で四谷家のアルバムも登場し「一刻館の歴史は四谷家の歴史」と語った。 六本木 朱美(ろっぽんぎ あけみ) 声 - 三田ゆう子 一刻館6号室の住人。同じ町内にある一刻館の面々の行きつけのスナック「茶々丸」に勤務している。 一刻館の中ではスケスケのベビードールとパンティーという裸同然とも言える、扇情的な格好で徘徊する(ただし、冬場はその上にドテラを着込んでいることが多い。)が、住人たちは慣れっこになってしまっている。他にもキャバレー仲間から譲ってもらった看護婦 制服も所有しており、それを着て前述の響子の制服着用から始まったコスプレ宴会に興じたこともある(原作第51話・アニメ37話)。 酒好きで種類も銘柄もこだわりなく飲む。勤務中はもとより勤務外でも客と酒を飲むなどかなりの大酒飲みな性格。原作やアニメでは、しばしば煙草を吸うシーンがある。 言葉遣いは荒いが、時おり響子や五代にずばり本質を突いた一言をかけて、背中を押してやるような姐御肌の世話好きな面もある。物語終盤では五代と響子を破局寸前まで追い込む騒動の原因ともなるが、その関係の修復にも寄与している。作中では「朱美さん」か「朱美ちゃん」としか呼ばれず、原作後期の第104話にて自分で名乗るまで、苗字は明かされていなかった。最終回で、茶々丸のマスターに求婚され、マスターと婚姻後(最終回で、一刻館のメンバーへの差し入れのセリフで、亭主の文字にマスターとルビ振りがされている)茶々丸の店舗2階に移り住むようになった。 原作では年齢不明だが、劇場アニメ版「完結篇」で二階堂に「朱美さん今年(1987年)30歳でしたっけ?」と言われて怒るものの否定していない。
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