政府
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政府の規模と質
経済全体に占める政府支出の割合はいずれの国家においても非常に大きい上に20世紀後半以降総体的に上昇を続けており、2010年代の政府支出はG7諸国においておおよそGDPの35%から50%を占めるまでになっている[52]。政府職員が全労働力人口に占める割合は2017年時点で多くの国で10%から20%程度となっているものの、ノルウェーのように30%を超える国や、逆に日本のように中央政府・地方政府を併せてもわずか5%にしかならない国も存在する[53]。日本の場合、1960年代末以降国家公務員は90万人前後で一定となり、代わって都道府県や市町村といった地方政府の職員数が増大していったが、1980年ごろを境に頭打ちとなり、2000年以降は中央政府・地方政府ともに大幅に減少した[54]。特に2000年代に入ると、それまでほぼ一定だった国家公務員数が、2004年の国立大学の法人化と2007年の郵政民営化によって合わせて約41万人も減少し、従来から低かった全労働力人口内の公務員率がさらに低くなった[55]。
日本の場合
明治維新前後に絞った文脈では、旧江戸幕府と対比する文脈などで、明治期の日本の新政府を指すときには「明治政府」と呼ばれることがある[56][57]。
政府承認
ある国家において政府が交代した場合、基本的には諸外国はそれを自動的に承認する。しかしクーデターなどで非合法な政府交代が行われた場合は、その政府を承認するか否かが問われる場合がある。
また、旧政府と新政府の間での争いが続き、支配が拮抗している場合、どちらか一方の政府を承認することは内政干渉にあたるが、一地方に退いた旧政府をそのまま国土全域の政府として承認し続けることもまた内政干渉を構成する。
このため、政府承認そのものを内政干渉と見なして撤廃し、国家の承認に一本化する国家も存在するが、日本を含め多くの国家はこの立場を取っていない[58]。
脚注
注釈
- ^ ただし、大陸法の源流ともいうべきドイツが英米法への移行を企図したように、戦後の日本国憲法も英米法を指向したもので、警察制度や司法制度に特徴づけられる。このように地方の自治権を尊重する英米法を採用している。また、国家の下位に置かれる統治機構を指す「地方政府」という呼び名も、そういった地方自治を尊重する英米法を背景に派生したとされる[1]。
- ^ 類似の事例の一つに、「香港での選挙を巡る2014年~2015年の出来事」もある。香港での選挙の候補者が、そもそも誰しもが立候補することができず、北京の中華人民共和国政府の承認した者しか候補者になれないようにされてしまい、香港の学生たちがこのような非民主的な圧力に抗議し、民主的な選挙を要求して座り込みを行った出来事である。この場合、選挙が形式的に行われたとしても、実態としては特定の勢力に支配されてしまっており「民主的」とは言えない事例の一つである。
出典
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- ^ "Plutocrats – The Rise of the New Global Super-Rich and the Fall of Everyone Else" Chrystia Freeland is Global Editor-at-Large at Reuters news agency, following years of service at the Financial Times both in New York and London. She was the deputy editor of Canada's Globe and Mail and has reported for the Financial Times, Economist, and Washington Post. She lives in New York City.
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- ^ a b 伊藤元重 『はじめての経済学〈下〉』 日本経済新聞出版社〈日経文庫〉、2004年、33頁。
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- ^ オピニオン 政治経済 国の借金は減っている アベノミクスに増税は必要ない教育×WASEDA ONLINE 2014年12月22日
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- ^ 「国際法 第5版」p85-87 松井芳郎・佐分晴夫・坂元茂樹・小畑郁・松田竹男・田中則夫・岡田泉・薬師寺公夫著 有斐閣 2007年3月20日第5版第1刷発行
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