政府および助成機関の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 02:41 UTC 版)
「オープンアクセス」の記事における「政府および助成機関の対応」の解説
アメリカ国立衛生研究所 (NIH) は2004年に NIH からの助成を受けて行われた研究の成果は PMC に無料公開すべきという勧告を打ち出した。出版業界からの反発がありながらも、2005年5月2日にこの勧告は実施された。しかし義務ではなかったため、2年経っても19%が論文を登録したに過ぎなかった。この事態を受けて義務化法案が推し進められ、ブッシュ大統領が歳出額の過剰を理由に拒否権を発動させることもあったが、2007年に法案は可決され、助成を受けた研究のパブリック・アクセスは義務化されるようになった。NIH の考えは他の助成機関にも影響を与え、公的資金による成果は公開されるべきという考えを広めていった。ただし、これは NIH の自発的なアイデアではなく、SPARC などがオープンアクセス推進のために活動した結果である。商業出版社側の反発も多く、エルゼビアなどは2011年にこの義務化を無効化する法案 Research Works Act (H.R.3699) を提出している。イギリスでは政府や公的助成機関がオープンアクセスを推奨しており、2012年にはイギリスの研究情報ネットワーク (Research Information Network、RIN) が公表した、通称フィンチレポートが注目を浴びた。フィンチレポートはオープンアクセス達成に向けた10の提言がなされており、再利用可能性やエンバーゴ期間の問題から、グリーンロードではなくゴールドロード、つまりオープンアクセスジャーナルおよびハイブリッドジャーナルを推進している。これを受けて英国研究会議 (Research Councils UK、RCUK) は助成をうけた研究の義務化方針を発表した。フィンチレポートはゴールド偏重であるとして批判も浴びている。EU でも公的助成を受けた研究はオープンアクセスを義務化する動きがある。 スイスのCERN(欧州原子核研究機構)が中心となって取り組んでいる SCOAP3 (Sponsoring Consortium for Open Access Publishing in Particle Physics) は、高エネルギー物理学分野における学術論文のオープンアクセス化を目指す国際的なプロジェクトである。SCOAP3が目指すオープンアクセス化の手法は、大学などの機関が支払っていた購読料を雑誌の出版費用に振り替えるというものである。これにより著者は費用負担なしでオープンアクセスを実現できる。プロジェクトの運用は2014年1月から始まった。
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