政府
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代表的な政府の形態と分類
政府は、様々な基準に基づいて分類される。
政治体制
政治体制は、基本的には民主主義と非民主主義とに二分される。20世紀に入ると非民主主義の中で全体主義が台頭するようになり、また1960年代に入るとホアン・リンスがやや自由度の高い非民主主義政体を権威主義とする概念を提唱して、非民主主義は全体主義と権威主義の2つに分類されるようになった。ただし全体主義に分類される政府は非常に少ないため、非民主主義と権威主義はほぼ同一視されている[14]。権威主義体制はさらに、君主が実権を掌握し世襲によって権力を継承する絶対君主制、文民の強力な個人による独裁が行われる個人支配体制、ひとつの支配政党が実権を握る一党独裁制、そして軍部が政権を支配する軍事独裁の4つのタイプに分かれる[15]。
また、君主が存在する政体を君主制、存在しない体制を共和制と呼ぶ。君主制はさらに、君主が絶対的な権力を持つ絶対君主制と、憲法によって権力を制限されたり、または政治的実権をほとんど持たない政体である立憲君主制とに分かれる[16]。
このほか、クーデターや革命によって従来の政府が打倒された場合など、前政権が崩壊・消滅した場合には臨時政府(暫定政府)が設立され、権力の空白を防ぐことが常である。こうした暫定政府は選挙を行うことで正規の政府と交代し、合法性を回復する[17]。また、戦争や内戦によって政府が消滅したあとで後継政府を樹立することに失敗した場合は無政府状態となる。例として、ソマリアでは1991年にモハメド・シアド・バーレ政権が崩壊した後、後継政権が成立せずに無政府状態に陥った。2005年にはケニアにおいてソマリア暫定連邦政府が樹立されたものの国内の支配権をほぼ喪失しており、2012年にハッサン・シェイク・モハムド政権が成立して統一政府が復活するまで、20年以上にわたって無政府状態が続いていた[18]。
中央政府と地方政府
国全体のことがらを扱う政府は中央政府と呼ばれ、国家内の一地域を扱う政府である地方政府を統括する。日本においては、日本政府が中央政府、地方公共団体が地方政府にあたる。国家は単一の中央政府を持つ単一国家といくつかの邦が集まって成立した連邦国家の2種類に分かれ、政府の権限と構成に違いがある。単一国家においては中央政府が主権を占有し、各地方政府に権限の一部を分与する形を取るのに対し、連邦国家においては基本的に連邦構成団体の政府が権限を持ち、中央政府に権限の一部を分与する形を取る[19]。このため、連邦国家はその形態上多くの権限が地方政府である州に留保されており、中央政府である連邦政府の権限は相対的に小さなものとなっている。地方政府は各国それぞれにおいていくつかのレベルに分かれており、日本では都道府県と市町村の2層構造となっている[20]。
民主政府の諸形態
民主主義国家における広義の「政府」の権力は立法・司法・行政の三権に分けられ、各権力間においてチェック・アンド・バランスを図ることで、集中と暴走を防ぐことが意図されている。一方、権威主義体制を取る国家においては三権分立は全くないかあっても形式的なものにとどまっており、ひとつの政治権力が三権すべてを掌握していることがほとんどである[21]。
行政府としての「政府」に対して、立法府(議会)が有する権限の割合、すなわち権力分立の大小による種別としては、政府の長官と議会との関係によって、主に3つに区分される。内閣の存立に議会の信任を要するものは議院内閣制と呼ばれ、この場合政府の長官たる首相が民主的に選出された議会から選出され、同様に議会は首相を罷免することも可能である。立法府と行政府の権力が完全に分立し、有権者が直接政府の長官である大統領を選出して、議会が大統領を罷免することは特殊な場合を除きできないものは大統領制と呼ばれる。そして議院内閣制と大統領制の中間的位置にあるものは半大統領制と呼ばれ、この場合大統領は有権者から直接選出され、首相は議会から選出される。半大統領制では議会が大統領を罷免することはできないが、大統領が首相を罷免することは可能な国家と不可能な国家の2種類が存在する[22]。この場合、もっとも権力分立的なものが大統領制であり、議会に権力が集中する議院内閣制は権力分立の度合いが少ない[23]。
議院内閣制国家の行政府において、首相・閣僚等内閣に参与する議員の属する政党を政権与党と呼ぶ。政権は、単一の政権によって構成される場合と、いくつかの政党が連合を組んで連立政府を構成する場合とがある。また、政権は参与する与党と議員の数によっていくつかの形態に区分される。基本的に議会での優位には過半数が必要であるが、過半数を占めることができないまま政権を握る場合も存在し、これを少数党政府と呼ぶ。これに対し、過半数を占めた政党または政党連合によって成立した政権は多数党政府と呼ばれる。少数党政府は対立勢力が大連合を組んだ場合法案を成立させることが困難になるため、非常に不安定な存在である。また多数党政府においても、政権維持に必要な議席数を遙かに上回り政権維持に不要な議席を持つ政党まで参加している場合、与党間の足並みが乱れ脱落する政党が現れるため、これも不安定になりやすい。これに対し、過半数を占める単独政党の政権、または過半数を占めるために不要な議席を持つ政党が連立政権に参加していない場合、政権は安定を保ちやすくなるとされる[24]。
注釈
- ^ ただし、大陸法の源流ともいうべきドイツが英米法への移行を企図したように、戦後の日本国憲法も英米法を指向したもので、警察制度や司法制度に特徴づけられる。このように地方の自治権を尊重する英米法を採用している。また、国家の下位に置かれる統治機構を指す「地方政府」という呼び名も、そういった地方自治を尊重する英米法を背景に派生したとされる[1]。
- ^ 類似の事例の一つに、「香港での選挙を巡る2014年~2015年の出来事」もある。香港での選挙の候補者が、そもそも誰しもが立候補することができず、北京の中華人民共和国政府の承認した者しか候補者になれないようにされてしまい、香港の学生たちがこのような非民主的な圧力に抗議し、民主的な選挙を要求して座り込みを行った出来事である。この場合、選挙が形式的に行われたとしても、実態としては特定の勢力に支配されてしまっており「民主的」とは言えない事例の一つである。
出典
- ^ a b c d 内田 1994, pp. 567–568.
- ^ デジタル大辞泉「政府」
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- ^ "Plutocrats – The Rise of the New Global Super-Rich and the Fall of Everyone Else" Chrystia Freeland is Global Editor-at-Large at Reuters news agency, following years of service at the Financial Times both in New York and London. She was the deputy editor of Canada's Globe and Mail and has reported for the Financial Times, Economist, and Washington Post. She lives in New York City.
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