【Su-27】(すほーいにじゅうなな)
Sukhoi Su-27.
旧ソビエト/ロシアの双発ジェット戦闘機。
愛称はЖуравль(ジュラーヴリク)(和訳:鶴)、NATOコードはFlanker(フランカー)。
アメリカのF-15に対抗しうる、ルックダウン・シュートダウン能力を持ち、目視外射程から敵機を撃墜できる機体として開発された。
TsAGIの構想をもとにMiG-29と同時期に開発されたため、同機に似た外観と、優れた運動性を持つ。
また双方共に機首中央に同型のIRSTを採用している点も共通している。
しかしMiG-29より大きな機体規模を持つ本機はペイロードや航続距離が大きく、ソビエト製の戦闘機としては初めて本格的なフライバイワイヤーを採用したこともあり、ソ連の末期を代表する戦闘機となった。
プロトタイプのT-10は1977年、初期量産型は1981年に初飛行し、その後ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ウズベキスタン・カザフスタン空軍の主力戦闘機として配備され、数々の改修を受けて現在も現役である。
派生型として、戦闘爆撃機のSu-32・Su-32FN、艦上型のSu-33、直列複座型のSu-30シリーズ、能力向上型のSu-37等が存在する。
2010現在、最新型はSu-35BMとなっている。
機体の運動性能は優秀であり、本機を語る上でコブラ(プガチョフコブラ)に代表される高迎角でのポストストール機動は、切っても切り離せないであろう。
Su-35はコブラの横向きバージョンであるフックを、更に推力偏向ノズルが採用されたSu-37に至ってはコブラの体勢から高度を変えずに1回転するクルビットと呼ばれる戦闘機離れした機動を披露した。
他の名物としては900°フラットスピンも上げられる。
記録挑戦用のП-42(P-42)は、F-15の改造機ストリークイーグルが保持していた20000mを除く、3000m,6000m,9000m,12000m,15000m迄の上昇力記録を更新した。
本機は前述の旧ソ連・CIS(独立国家共同体)構成各国の他、中国・東南アジア・インドなどへも輸出されている。
一時期はロシア本国の財政難が原因で機材の更新が思うように進まず、一部の輸出型の方が新しいという逆転現象も起こっていた。
しかし、近年の経済回復により本国軍の機体も着々と近代化が進んでいる。
スペックデータ
名称 | Su-30M |
乗員 | 2名 |
全長 | 21.94m |
全高 | 5.93m |
全幅 | 14.70m |
主翼面積 | 62.0㎡ |
機体重量 | 17,700kg |
最大離陸重量 | 33,00kg |
エンジン | サチュルン/リューリカAL-31Fターボファン(122.6kn(A/B使用時))×2基 |
燃料容量 | 11,775㎡ |
最大速度 | M2.0/M2.3(A/B使用時) |
滑走距離(離陸/着陸) | 550m/670m |
機外最大搭載量 | 8,000kg |
戦闘行動半径 | 810nm |
最大航続距離 | 1,620nm(機内燃料) |
レーダー | Zhuk-27 N001(最大探知距離130nm) |
搭載可能な主な兵装
機関砲 | GSh-301 30mm機関砲(150発)×1門 |
空対空ミサイル | ・短射程:R-60,R-73,MICA-IR,PL-8(霹靂8) ・中射程:R-27,R-77,MICA-EM,PL-12/SD-10(霹靂12) ・長射程:R-33,R-37,R-72 |
空対艦ミサイル | ・中射程:Kh-31A,Kh-35 ・長射程:Kh-41モスキート,Kh-35ウラン(AS-20),Kh-X-61 Jachont,3M51 Alfa |
空対地ミサイル (車両・施設用) | Kh-25,Kh-59オーヴォト,Kh-29, Kh-55,Kh-15,Kh-59Mオーヴォト-M |
対レーダーミサイル (SAM・AAA用) | Kh-58,Kh-25P,Kh-31P,YJ-91(鷹撃91) |
対地ロケット弾 | S-8(UB-32-57),S-13F/TS-24,S-25OF/OFM |
爆弾 | ・通常爆弾(FAB):FAB-100,FAB-250,FAB-500,FAB-1500 ・パラシュート&ブースター制動通常爆弾(BetAB):BetAB-500 ・パラシュート制動型通常爆弾(PB):PB-250 ・通常&ナパーム爆弾(OFAB):OFAB-100,OFAB-250 ・テレビ誘導&レーザー誘導爆弾(KAB):KAB-500,KAB-500Kr/L,KAB-1500Kr/L ・燃料気化爆弾(ODAB):ODAB-500 クラスター爆弾(KMG他):KMG-2f/b,PROSAB-250 ナパーム弾(ZAB他):ZAB-500,ZB-500,P-50 対戦車集束爆弾(RBK):RBK-250/shOAB,RBK-500AO/shOAB |
ポッド等 | ・偵察ポッド:M400 ・ECMポッド:EL/L-8222,L-005ソルビツィS ・データリンクポッド:APK-9 ・誘導ポッド:サプサンE ・空気サンプリングポッド:RR8310-100 ・空中給油プローブ:UPAZ-1 |
各国での保有数(2006年 推測)
- アルジェリア空軍:予定28機(Su-30MKA)→部品強度の不備を理由に導入キャンセル。
- アンゴラ空軍:8機(Su-27SK/UBK)
- エチオピア空軍:13機(Su-27SK/UBK)
- エリトリア空軍:不明(Su-27/S/UB)
- シリア空軍:8機(Su-27SK/UB)
- イラン空軍:26機(Su-27/UB 不確定情報)
- ベトナム空軍:36機(Su-27SK/UBK、Su-30MKV)
- インド空軍:50機(Su-30K/MKI)
- マレーシア空軍:予定18機(Su-30MKM)
- インドネシア空軍:46機(Su-27SK/UBK/SMK、Su-30KI/MK2)
- 中共空軍及び海軍:272機
(うちSu-27SK・36機、Su-27UBK・40機、殲撃11/殲撃-11B・96機 Su-30MKK(殲撃13)・76機 Su-30MKK2・24機)
- ベラルーシ空軍及び防空軍:23機(Su-27/UB/UBM1、Su-30KN)
- カザフスタン空軍:20機(Su-27/UB)
- ロシア空軍:280機(Su-27/SM/UB/UBM、Su-30/M、Su-32、Su-35/UB)
- ロシア海軍:46機(Su-27/UB、Su-33/UB)
- ウズベキスタン空軍:25機(Su-27/UB)
- ウクライナ空軍及びウクライナ防空軍:53機(Su-27/UB)
- ウクライナ海軍:不明(Su-27/UB)
現在確認されているバリエーション
Su-27系
- T-10-1:
Su-27の原型、現状機とは形状が全く異なる試作機。NATOコードは「フランカーA」。
主翼は高亜音速時と超音速飛行時の抵抗の減少を狙ってコンコルドのような主翼前縁がS字を書くオージー翼が採用されている。
スピードブレーキは主脚収納庫扉を兼ねている。
- T-10S:
T-10試作7号機以降の名称で、設計を全面的に見直した改良型。
飛行性能が改善され当機が生産型の基本型となった。
量産型とはキャノピーの形状が異なっていることと、垂直尾翼の翼端が傾斜していないことで区別出来る。
- T-10-17:
T-10-1を全面的に再設計した試作機。
垂直尾翼端とキャノピー以外はSu-27の初期生産型とほとんど同じ外見をしている。
- T-10-20R:
T-10試作20号機を周回記録用に改造された型。
ハードポイント等の武装関係は撤去され、テイルコーンが延長された他、レドームがより空気抵抗の少ない形状のものに換装されている。
- T-10-24:
T-10試作24号機を改造したカナード翼試験機。別名T-10S-24。
カナード翼は左右差動式である(Su-33やSu-30M、Su-35などは同調式)。
- T-10-701:
数機制作されたT-10MのうちT-10Sから改造された機体(T-10 701号機)。
他の機体(T-10-702、-706、-707)と異なり、試作型Su-27をベースにしたため機体形状が一部異なっている。
- T-10M:
Su-27にSu-27K(Su-33)の設計を取り入れて開発されたマルチロール型試作機。
- T-10V:
Su-27IB(Su-34)の試作型。
- T-10S:
- P-42(П-42):
F-15「ストリークイーグル」の上昇記録を破った、T-10改修の記録挑戦用特別機。
NATOコードは「レコードフランカー」。
エンジンはAL-31Fのアフターバーナー強化型であるR-32を搭載する。
1988年~1988年の間、F-15の持つ記録を含めて27の世界記録を樹立した。
現在はロシアの博物館に展示されていると言う。
- Su-27(先行量産型):
P型やS型の前に生産されたタイプ。
量産型に比べてチャフ・フレアディスペンサーの数量が減っているほか、テールコーン側面のアンテナが無い。
- Su-27(Su-27P/Su-27S):
旧ソ連軍仕様の初期生産型。NATOコードは「フランカーB」。
Su-27運用初期の方では形式に変わりは無いのに(ソ連空軍型)P型と(ソ連防空軍型)S型の二つのタイプに分かれていたが、ソビエトからロシアに変わってからは空軍と防空軍も統合されロシア空軍となり、この名称は無くなった。
しかし、一部の人々では未だにS型やP型を分けて言っている人もいる。
本家ロシアでは今後Su-27をSu-27SMに改修する事が決定した為、今後は消えていく運命である。
その他ウクライナやベラルーシ等のCIS諸国ではまだまだ現役だと思われる。
近年ではウクライナ(不確定情報だがベラルーシも少数輸出した可能性有り)のSu-27がエチオピアに輸出され、エチオピア・エリトリア紛争に使用された。
- Su-27SK(T-10SK):
初期生産型の輸出型。
ロシアやCIS諸国以外の国が運用する輸出型の為、アビオニクスはダウングレードされた代わりに、ハードポイントを12個所に増加し、空対地攻撃能力が強化された。
しかし、精密誘導兵器は使えないため、使用できるのは無誘導爆弾や対地ロケット弾等のみである。
当初、中国が旧式化した殲撃5/J-5や殲撃6/J-6の後継機の為に「殲撃11/J-11」として導入し(最近では、マルチロール化した近代化改修機殲撃11Bも出てきている。)、続いてベトナム・シリア・アンゴラ等がMiG-21やMiG-23の後継機として導入した。
今後も旧式化した東側機の後継として、発展途上国に導入される可能性は十分高い。
- 殲撃11(J-11):
中国でのSu-27Kのライセンス生産型。
- Su-27SKM:
ロシア空軍向けに開発されたSu-27SKの発展型。
衛星航法システムや空中受給油能力を持ち、グラスコックピット化されている。
ロシア空軍でのSu-27改修タイプがSu-27SMに決定した為、この機体が登場する事は無いと思われる。
- Su-27SM:
初期生産型Su-27のレーダーとエンジンを強化した寿命中近代化 (MLU) 改修型。
Su-35やSu-37などのデモンストレーション機で蓄積された技術が投入されており、全体的な性能はSu-35と同等で、空対空戦闘能力はSu-30MKより高いと言われている。
主な改良点としては、
・10目標同時追尾・2目標追尾ができる最新型のN-011Vレーダーの搭載。
・Su-37から発展させた推力偏向システムを導入したAL-31F-M1(推力133kN)の搭載。
・A-737衛星航法システムの搭載(GLONASSおよびGPSによる航法が可能になった)
・グラスコックピット、HOTAS、HMDの採用。
・ECM・RWR・IRSTの改良。
が挙げられる。
これにより、R-77の発射能力と、同時交戦能力を獲得した。
ちなみに先尾翼は付いていない。
空対地・対艦戦闘能力は精密誘導爆弾や対地・対レーダーミサイル・空対艦ミサイルの運用が可能となった。
現在はロシア空軍に少数配備され初めは極東ロシア地域に導入された。
今後の予定としては2010年迄に80機のSu-27を改修する予定である。
- Su-27SMK:
輸出用のSK型を改良したマルチロール型。
ハードポイントが10ヶ所から12ヶ所に増えたほか、燃料搭載量の増加やGPS・「ソルブツヤ」翼端ECMポッドの搭載が施され、空対地ミサイル攻撃能力も追加された。
2008年現在、デモ機のみで量産はされていない。
- Su-27SM2:
Su-27SMを更に発展させた機体。
当機はSu-27を元に改造された機体で、一時期Su-35を名乗っていた。
- Su-27PD:
グロモフ研究所に所属する、空中給油フローブ・衛星通信システムを装備した長航続時間試験機。
レーダーは装備していない。
- Su-27RV:
ロシア空軍のアクロバットチームの一つである「ルースキエ・ヴィーチャズィ(ロシアンナイツ)」仕様機。
GPSや西側の周波数に対応した通信機、演技用のスモーク発生装置を搭載している。
ロシアンナイツの機体はSu-27SM/UBMに更新される事が決まっているが、それによりこの機体は今後どうなるかは分かっていない。
- Su-27LMK:
CCV実験機。
サイドスティック方式になっており、FADEC(デジタル電子式エンジン制御装置)やスピン回復用ロケットなどを装備している。
1990年より試験を開始し、この機体で収集されたデータを元にSu-35が開発された。
- Su-27LL:
ロシアのグロモフ研究所で使用されている試験機。
サイドスティック方式になっているが、センタースティックは残されている。
レーザー索敵装置欺瞞装置、三次元ノズル等の運用試験に用いられている。
- Su-27K:
艦上戦闘機型。NATOコードは「フランカーD」。
- Su-27KM:
艦上戦闘機型。前進翼を採用している。
Su-27シリーズを名乗っているが、共通性はほぼ無く、Su-27の基礎設計を発展させた新規設計の機体である。
「アドミラル・クズネツォフ」級および「ウリヤノフスク」級(プロィェクト11437型)に搭載するために開発されたが、財政難によりソビエト海軍が航空母艦の整備に消極的になった為に計画は中止され、Su-27の艦上機改修型であるSu-27K(Su-33)の開発計画に一本化された。
後にスホーイ設計局はSu-27KMの設計を陸上戦闘機に発展させてS-32を計画し、S-37(Su-47)に発展した。
- Su-27(Su-27P/Su-27S):
Su-27UB系
- Su-27UB(T-10U):
初期生産型であるSu-27の複座練習機型。NATOコードは「フランカーC」。
戦闘能力は単座型と変わらない。
Su-27と同様にロシア空軍では今後マルチロール改修型のSu-27UBMに改修されるため、保有数は減少すると思われる。
- Su-27UBK:
UB型の輸出型。
Su-27SKと同じようにアビオニクスはダウングレードされている。
- Su-27UBM:
UB型の対空・対地攻撃能力を向上させたマルチロール型。
新型コンピュータやGPSを装備し、Su-30(Su-27PU)のベースとなった。
現在では更にバージョンアップさせSu-27SMの複座型として改修が行われている。
それと同時にロシア空軍現存のSu-27UBもこのタイプに改修させる予定である。
- Su-27UBM1:
ベラルーシとロシアが共同開発したSu-27UBのマルチロール型。
既存のSu-27UBを改修した機体で、現在ベラルーシ空軍および防空軍に配備され運用中。
性能はSu-27UBMと同じであるが、グラスコックピット化やファザトロンN001トパーズ・レーダーの搭載による捜索能力の向上、搭載兵器の種類の増加が行われ(新たにR-77の運用能力が加わった)、多目的戦闘機としても十分な能力を有する。
- SU-27UB-PS:
SU-27UBのエンジンを改修したボックス型2次元TVC試験機。
別名Su-27LL-UV(PS)・Su-27LL-PS。左ノズルのみTVC化されている。
- Su-27UBK:
Su-30/Su-30K系
- T-10PU:
イルクーツクで製作されたSu-27PUの試作型。
Su-27UBからの改造機で給油プローブを装備、2機が改造された。
- Su-30(旧:Su-27PU):
UB型の発展型。NATOコードは「フランカーF1」。
最大の特徴は空中給油プローブを追加した事で、これにより空中給油が可能となった。
因みに空中給油能力が付いたフランカーではこのタイプが初めてとなる。
レーダーがファザトロンN001トパーズ・レーダーに変えられた為空対空戦闘能力が高くなったが、主に辺境や洋上の艦隊防衛を目的としたため、空対地攻撃能力は追加されていない。
現在ではロシア空軍が少数配備されており、インドではライセンス生産されている。
- Su-30K:
Su-30の輸出型。
Su-30では空対空戦闘能力しか無かったのに対し、輸出型のSu-30Kには空対地能力が追加されマルチロール化された。
輸出の方はインド空軍が当時量産化が遅れていたSu-30MKIの代用機として運用しただけで、他の国からの発注はきていない。
そのインドでもSu-30MKIが定数に達してきた事から、今後はベラルーシに輸出される事になっており、Su-27UBM1の配備が完了した後、Su-27KNへと改修される予定である。
- Su-30KN:
Su-30Kのアビオニクスを改良したアップグレード機。
新たに追加されたものとして空対艦・空対地攻撃能力が備わっている。
今後ベラルーシがインドからSu-30Kを輸入し同型に改修、空軍及び防空軍へ配備される予定である。
- Su-30KM:
既存のロシア空軍に在籍するSu-27UBやSu-30に対して、アビオニクスの改良を行った機体。
しかし、現在本当に改修されているかは不明である。
- Su-30KI:
複座であるSu-30Kの性能を単座型に取り入れた型。
Su-30シリーズ唯一の単座型である。
元々はインドネシア用にに開発されたものだったが、同国の経済や政治事情により何度か契約締結・契約破棄を繰り返した為、納入が大きく遅れた。
性能としては引き込み式空中給油プローブを装備し空中給油能力が追加された他に、全地球測位装置やR-77・各種空対地ミサイルの運用能力も追加された。
2005年現在、数機が同国空軍に配備されている。
Su-30M系
- Su-30M:
Su-30の発展型。NATOコードは「フランカーF2」。
Su-30にTV指令誘導システムや対レーダーミサイル誘導システムなどを搭載し空対艦攻撃能力・空対地攻撃能力を追加、更にグラスコックピットを取り入れマルチロールファイター化している。
搭載電子機器はオプションで西側製に変更可能で、フランスのセクスタン・アビオニク社製パッケージを装備する。
Su-30Kとの違いは空対艦攻撃能力面が有るか無いかの違いらしいが詳しい事はよく分かっていない。
なお、ロシア空軍が少数運用していると言う不特定情報もある。
- Su-30M2:
Su-30Mの改良型。
カナード翼と推力偏向ノズルを装備している。
- Su-30MK:
Su-30Mの発展型で複座のマルチロール輸出型。
先尾翼が追加されエンジンも新型のAL-37FPに換装された。
オプションとして推力変向ノズルが装備出来るようになっている。
Su-30MKの謎として、ロシアでのデモ機には先尾翼が付いているのに、輸出した機体には付いていない事があげられているが、その理由は未だよく分かっていない。
輸出の方は2005年にインドネシアが2機納入している(今後も増える予定)。同国では国内に潜伏する反政府ゲリラへの対地攻撃を目的として導入された。
- Su-30MKK:
Su-30MKの発展型の一つ。NATOコードは「フランカーG」。
中国空軍向けに開発された機体で、殲撃13/J-13と呼ぶ。
性能としては機動性がSu-30MKIよりも低く、具体的なものとしては推力偏向システムや空対艦攻撃能力の削除が挙げられる。
このように能力を落とした理由に「ロシアが将来的に中国を軍事的脅威としている」というのが有力な説である。
しかし幾ら機動性が低いといっても、ハードは最も高性能であるSu-27シリーズである以上、侮れない存在ではある。
なお、初期生産型と後期生産型では搭載レーダーが違う(後期生産型は自国生産のフェイズドアレイレーダーを装備)。
- Su-30MKK2(Su-30MK2とも):
Su-30MKKの発展型で中国海軍向けに開発された機体。
旧式化していた強撃5/Q-5の後継として導入された。
ただ、Su-30MKKの基本性能に加え、新たに偵察ポットや誘導爆弾の運用能力や空中指揮所機能が追加された事によりマルチロールファイター化が進んでいる。
- Su-30MKK3(Su-30MK3とも):
現在スホーイ社から提案されているSu-30MKK2の発展型。
搭載レーダー(ジュークMSEマルチモードレーダー)やエンジンが強化され、空対艦攻撃能力(Kh-31、Kh-59等)が追加された。
2009年現在、中国海軍に納入される時期についてはよく分かっていない。
- Su-30MKM:
Su-30MKの発展型の一つでマレーシア向けに開発された複座マルチロール型の機体。
Su-27シリーズの中では異色の西側機器を多数搭載した機体で東西の融合がなされている。
ちなみにSu-30MKIでも西側機器が搭載されたが、それでもごく一部でだった。
性能としてはインド仕様であるSu-30MKIと同等と言われ、武装面においても不確定情報だがフランス製MICA短・中射程空対空ミサイルを運用出来ると言われている。
代金支払いの一部を椰子油の援助によってまかなわれているらしいが、詳しい事はよく分かっていない。
なお、2005年12月19日の報道によれば、タイ王国も5億ドルで12機のSu-30MKMの購入を契約したが実現しなかった。
- Su-30MKV:
Su-30MKの発展型の一つでベネズエラ向けに開発された複座マルチロール型の機体。
- Su-30MKA:
Su-30MKの発展型の一つでアルジェリア向けに開発されたマルチロール型の機体。
一部にフランス製の電子機器を装備。
2007~2008年の間に導入されると言われている。
- Su-30MKT:
Su-30MKの発展型の一つでタイ向けに開発された機体。
2005年12月にF-16の後継機として導入を決定したが、クーデターにより白紙となっている。
- Su-30MK2V:
Su-30MKの発展型の一つでベトナム向けに開発された機体。
2006年から配備が進んでおり、合計で24機配備される予定である。
- Su-30MKL:
Su-30MKの発展型の一つでリビア向けモデル。
計画のみ。
- Su-30SM:
Su-30MK3のロシア向け派生型でTVCが搭載されている。
2015年までに30機の納入が決まっている。
- 殲撃16(J-16): 複座型のJ-11BSをベースに中国海軍のSu-30MK2と同仕様に改修して開発した中国海軍向けの機体。
国産のWS-10A太行エンジンを搭載し、空対艦ミサイルを運用可能。
Su-32系
- Su-34(旧名:Su-27IB Su-32):
Su-27の並列複座型でSu-24の後継機。NATOコードは「フルバック(Fullback)」。
系番は初めSu-27IBだったが1994年にSu-34に改号、2000年にSu-32を系番とする事でまとまった。
旧西側から「ストライクフランカー」の俗称が付けられているが、それ以外の国々からは「プラティパス」(platypus:「カモノハシ」の意)とも呼ばれている。
並列複座を採用した為、前部が再設計されそれによりレーダーや電子機器を強化、R-77・誘導爆弾・空対艦ミサイル・空対地ミサイル等が運用可能となりマルチロールファイター化されている。
広いキャビン内には簡易トイレと食事用ヒーターが設置されており、長距離侵攻任務における搭乗員の負担軽減を図っている。
当初は試作機で終わると思われていた同機だったが、2006年にロシア空軍が「Su-34」の名称で正式採用を決定し、2015年迄に58機が量産される予定である。
- Su-32FN:
Su-32の発展型。
ロシア海軍用に開発された沿岸哨戒任務用の機体である。
ソノブイや磁気探知装置(MAD)、画像赤外線装置、レーザー測距装置を装備し、現在の戦闘攻撃機としては異例の対潜魚雷運用能力等が付与され、シー・スネーク・レーダーを搭載した事により対潜哨戒攻撃能力を持っている。
ロシア空軍がSu-24の後継としてSu-32を採用した事から、このSu-32FNもロシア海軍が保有するSu-24の後継として採用される可能性は高い。
Su-33系
- Su-33(旧:Su-27K):
Su-27フランカーの艦載型。NATOコードは「フランカーD(シーフランカーとも)」。
系番は初めSu-27Kだったが1988年にSu-33となった。
先尾翼・アレスティングフック・ダブルスロッテットフラップ・強化型離着装置等を装備し、ロシア製航空機としては唯一のKh-41(3M80/SS-N-22)空対艦ミサイルを運用する事が出来る。
現在では約50機がロシア海軍で運用されており、今後の展開においては量産化が進む可能性が高い。
- Su-33UB(旧名:Su-27KUB):
Su-33の複座型。
Su-25UTG艦載練習機の後継機。
並列複座コックピットや強化型主降着装置、推力偏向装置が付いたエンジンを装備している以外Su-33と能力は変わらない。
現在は財政上の理由で開発は余り進んでないと思われるが、いずれ量産化される事は間違いない。
- Su-33能力向上型:
1999年にスホーイ設計局が開発したと言われる能力向上型。
実機が存在するかは不明。
不確定情報によるとコックピットやアビオニクス等全て改修され、R-77・Kh-29・Kh-59M・KAB-500・KAB-1500等の運用が可能なマルチロールファイターになっている。
- Su-33M:
Su-33のレーダー・エンジン改修型。
TVC(推力偏向ノズル)を装備する筈だったが、実現していない。
- Su-33MK:
Su-33の能力向上型。
名称のみの公開。輸出型と思われる。
- 殲撃15(J-15):
中国が本機(正確には試作機であるT-10K-7)を元に開発した中国海軍向け艦上戦闘機。
J-11Bの技術を導入している。
Su-35系
- Su-35(旧:Su-27M):
Su-27の後継機として開発された型。NATOコードは「フランカーE1」。
複合材の導入により機体が軽量化され先尾翼・新型エンジン・新型レーダー・サイドスティク等が装備され、より近代的に仕上げられている(MAKS2007で展示された仕様では、TVC機能及びCCV技術が向上したため先尾翼は廃止された)。
一時期「Su-35はロシアンナイツに導入される」といった情報も流れたが、のちになってSu-27SMに機種変換される事からデマだったと言う事が分かっている。
他にはブラジルが次世代戦闘機案にSu-35を候補にいれているが、財政及び政治的理由から次期戦闘機計画を一旦白紙に戻し、ミラージュ2000との競争で破れている。
現在ではベネズエラが導入すると言われているが、詳しい事は良く分かっていない。
- Su-35UB:
Su-35の複座練習機型。
基本的な性能は単座と変わらない。
- Su-35BM(T-10BM):
MAKS2007で初めて登場した機体。
TVC機能及びCCV技術の向上によって十分な機動性が確保できるようになったため、先尾翼を廃した事がSu-35との違いである。
Su-27SM2に準じた派生種で、エンジンは推力偏向ノズル(TVC)を搭載したAL-31F-M3の派生型AL-41F1Sを搭載し、機首レーダーには、N035「イールビス-E(Irbis-E)」パッシブ・フェーズドアレイ・レーダー(PESA)を搭載する。
- Su-35S:
Su-35BMのロシア空軍向け量産型。
ロシア空軍が160機を調達予定とされ、Su-35の最初の量産型となると見られる。
- Su-35K:
Su-35BMの輸出型。
Su-37系
Su-27 (航空機)
(Su-27 から転送)
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- 1 Su-27 (航空機)とは
- 2 Su-27 (航空機)の概要
Su-27
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「凱歌の号砲 エアランドフォース」の記事における「Su-27」の解説
対空/対地対艦武装交換可能。移動しなくても移動力の半分の燃料を消費。
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Su-27
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