逆転現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 07:08 UTC 版)
一般的な感覚としては、心身の状態が悪化すれば介護の手間の増加につながると考えるのが自然だが、樹形モデルでは、ある認定調査項目を状態が悪い方へ変更した場合に基準時間が短くなる(介護の手間が少なくなると評価される)ことがある。樹形モデルで起こるこの現象は逆転現象と通称され、一次判定ソフトの妥当性をめぐる議論でしばしば取り上げられる。 逆転現象全てを否定的に捉えて一次判定ソフトに信頼性がないとするような主張もあるが、逆転現象が起こるのは心身の状態が悪化しても介護の手間の増加につながらないケースが樹形モデルに反映されているためで、厚生労働省が作成した介護認定審査会委員テキストにおいても「状態像が悪いほど、介助量が増加するだろうともいえません」との記載がある。 例えば、歩行ができて認知症の周辺症状が激しい人が、骨折して歩行できなくなったとすれば、必ずしも介護の手間の増加にはつながらないと考えられる。また、一口ずつ時間をかけて食事を口に運ぶ介護でかろうじて経口摂取をしていた人が、経口摂取できなくなり胃ろうになったという場合も、必ずしも介護の手間の増加にはつながらないと考えられる。 一方で、樹形モデルの中には、状態の悪化が介護の手間の減少につながるとは考え難い逆転現象も存在しており、すべてが合理的に説明できるわけではないため、1分間タイムスタディのデータの信頼性とも関連した議論がなされることがある。
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