逆転敗訴
(1)ある訴訟で勝訴していた原告や被告が、控訴審または上告審といったより上位の裁判で敗訴に転じることを意味する表現。
(2)あきらかに優勢だと思われていた訴訟に負けることを意味する表現。
逆転敗訴
逆転敗訴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:20 UTC 版)
「弘前大教授夫人殺し事件」の記事における「逆転敗訴」の解説
国賠訴訟一審は那須側の部分勝訴となったが、那須側は裁判所の過失や親族に対する賠償が認められなかった点、そして物価の変化を考慮しない賠償金の算定を不服として、国側は判決そのものを不服としてともに控訴した。だが、1986年(昭和61年)11月28日に仙台高裁裁判長の輪湖公寛は、言い渡した判決で那須側の主張をすべて退け、一審で認められていた検察官の過失責任も否定した。裁判官と検察官が故意に職権を逸脱したとは認められず、むしろ有罪判決の確定を避けられなかった弁護側に責があったとする、逆転全面敗訴であった。 那須側は最高裁へ上告したが、香川保一が指揮する第二小法廷は1990年(平成2年)7月20日に上告を棄却した。この判決は、裁判官の不法行為については、控訴審と同様に1982年(昭和57年)の民事判例 をひいてそれを否定するものであるが、これは1982年判例が刑事事件および再審無罪事件にも適用される、とした点で新たな最高裁判断となっている。しかしこの判断に対しては、1982年判例が控訴せず一審で確定した民事事件であるのに対し、弘前事件が再審により原判決が無効とされた刑事事件である、という相違点を無視して判例を踏襲しているとの批判がある。検察官の不法行為については、1982年判例が検察官の責任に対しても適用されるとしていた控訴審の判断は退けられた。しかし、事実認定においては、最高裁判決は1982年判例に基いた控訴審のそれを判断の基礎として検察官を免責している。 有罪を支えた証拠が多大の疑問を断言されているこの事件においてすら、国家賠償責任を認めていないこの判決は、冤罪被害者の救済と冤罪防止の観点からは極めて厳しい判例の一つとなった。 殺人犯でも告白しているのに、警察、検察、裁判官の誰一人として謝罪した者がいない。千人の指差すところ、病なくして死す、と云う世間の指弾、万人の白眼視に耐えに耐え、忍びに忍んだ両親、弟妹の長い屈辱の日々に対し、判決は、それは世間が悪いのであって親、弟妹として当然受ける事であり、受忍の限度にある。再審で無罪になったからそれで、慰謝されたと解すべきであり、それで足りる、と慰謝料の請求を棄却しています。この不当な裁判に真実は復讐する。必ず真実は復讐する。 — 1991年(平成3年)3月に那須が知人に宛てた手記より
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