逆転学習とステート表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 19:28 UTC 版)
「眼窩前頭皮質」の記事における「逆転学習とステート表現」の解説
ヒトやサル、げっ歯類に使われているもっとも古典的な逆転学習は次のようなものである。まず動物は、2つの視覚刺激、空間的位置を識別できるように訓練する。その2つのうちの片方には毎回報酬が伴い、もう片方には伴わない。パフォーマンスレベルが一定の基準に達し、識別訓練が成功したのちに、2つの刺激に随伴した成果を逆転させ(今まで報酬が伴わなかった方に報酬が伴うようになり、今まで報酬が伴った方に報酬が伴わなくなる。)、動物は再びパフォーマンスレベルが一定に達するまで訓練される。これが、道具的、報酬的逆転学習である。パブロフ的逆転学習もあるし、嫌悪的逆転学習もある。道具的逆転学習は、2つの選択肢のうちどちらかを自ら選択するが、パブロフ的逆転学習では、2つの刺激両方に対する反応行動の時間を見ることで実験を行う。 逆転学習についての重要な仮説は、逆転の前後で、動物が表現するステートが変化するということである。眼窩前頭皮質を破壊された動物は、ステート表現ができないため、逆転の前後のステートの変化を表現できず、2つのステートを同一視してしまうため、逆転学習に時間を要する。この仮説は数理的モデル解析によって支持されている。 逆転学習は眼窩前頭皮質の光遺伝学的機能抑制によっても障害される。ただし、この光遺伝学的操作は時間得意的である。
※この「逆転学習とステート表現」の解説は、「眼窩前頭皮質」の解説の一部です。
「逆転学習とステート表現」を含む「眼窩前頭皮質」の記事については、「眼窩前頭皮質」の概要を参照ください。
- 逆転学習とステート表現のページへのリンク