逆転無罪判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 06:52 UTC 版)
2018年10月31日、パキスタン最高裁判所は逆転無罪の判決を下した。 この判決理由は、検察が「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証をすることがまったくできなかった」からであるとし、証拠が極めて少ないうえに、適正な手続きが取られていなかったと述べた。また、アーシア・ビビの発言についても、「彼女を殺すと脅迫する」群衆の前で出たものであると付け加えた。判決文ではさらに、コーランやイスラム教の歴史に言及し、最後に、ムハンマドの言語録「ハディース」に、非イスラム教徒に対して親切に接するよう勧める言葉があることが指摘されている。 最高裁判事の一人が作成した報告書には、アーシア・ビビを冒涜罪で告発した2人の女性イスラム教徒は、彼女がイエス・キリストを信じているというだけの理由で「その宗教を侮辱し、宗教的感情を傷つけた」とし、コーランには、イスラム教徒の信仰は、「イエス・キリストを含む」イスラム教のすべての預言者、ならびに「(新約・旧約)聖書を含む」すべての啓典を信じるようになるまでは完全とは言えないと書かれているとある。 これを受けてパキスタン国内各地で抗議行動が巻き起こり、一部の過激派組織は最高裁判事らの殺害を扇動した。イムラン・カーン首相はこれを非難し、「暴力デモで苦しむのは一般のパキスタン人である。そのような行為は篤信ではない」「彼らは自分たちの政治的利益のために国民を扇動している。彼らの策略にはまってはならない」として、冷静になるよう呼びかけた。一方、最高裁判決を不服とした強硬派宗教政党TLPは、各地で道路封鎖や座り込みなどの抗議活動を展開した。政府は11月2日に対話の場を設け、「アーシア・ビビを出国制限リストに記載するための法的手続きを速やかに開始する」、政府は「最高裁判決の見直しを求める法的手続きを取ることに反対しない」などの妥協を余儀なくされた。
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