機体設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 08:09 UTC 版)
「F-20 (戦闘機)」の記事における「機体設計」の解説
元となったF-5戦闘機はJ85ターボジェットエンジンを双発で搭載するが、F-20はF404ターボファンエンジンの単発となっている。ジェットエンジンは小型であるほど推力重量比が高い傾向(二乗三乗の法則)にあり、本来であれば単発より双発のほうが機体の小型化には有利である。逆に双発機を単発機に改良し、なおかつ基本性能を大幅に向上させるということは過去に例がなく、それを可能にしたのは、J85開発時からの技術の進歩によって実現したF404の性能の高さによるものである。かつてのJ79の約6割の空虚重量ながらそれに比肩する推力を有する当エンジンは、陸上基地で運用するには騒音が大きいというデメリットはあったものの、1970年代当時の西側陣営では驚異的であった。このような小型・大推力を両立した基本性能もさることながら、F404エンジンは始動が僅か30秒で可能であり、これらによってF-20はスクランブル発進において3分以内に高度5,000mに到達可能という世界最速のタイムを誇っている。 GE製マルチモードレーダー、AN/APG-67をはじめとする高性能アビオニクスが採用された。APG-67はルックダウン能力を持つのみならず、スパロー空対空ミサイルの運用も可能であり、これは開発当初、同ミサイルを運用しない昼間戦闘機として計画された当時のF-16よりも優れた面であった。また、バディポッドと呼ばれる装備を搭載することにより、海軍機のF/A-18シリーズなどのように空中給油機としても使用可能である。 機体形状は原型となったF-5と似通っているが、より進化した空力設計による改良(主翼付け根のLERXの大型化、シャークノーズと称される抵抗を減らし揚力を生む扁平な機首形状)が加えられ、機体各部に各種の新素材を使用しているほか、コクピットもGE製ヘッドアップディスプレイ、ベンディックス製デジタルディスプレイ、ハネウェル製ミッションコンピュータにHOTASの採用など、当時の新鋭機と比べても遜色がない。必然的に機体価格は高くなったが、それでもF-16よりは安価に設定されていた。 フライ・バイ・ワイヤは水平尾翼に二重に用いられているのみであり、とくにCCV技術も導入されてはいない。CCV設計ではない最後の旧世代戦闘機といえるが、それでもF-5譲りの極めて高い運動性や操縦性を誇った。テストパイロットで顧問でもあった、初の超音速パイロットチャック・イェーガーが絶賛したことが知られている。
※この「機体設計」の解説は、「F-20 (戦闘機)」の解説の一部です。
「機体設計」を含む「F-20 (戦闘機)」の記事については、「F-20 (戦闘機)」の概要を参照ください。
- 機体設計のページへのリンク