機体重量と重心
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 10:01 UTC 版)
「ライアン・エア・サービス103便墜落事故」の記事における「機体重量と重心」の解説
次にNTSBは機体重量と重心に注目した。調査官は乗客らの実際の体重、及び貨物の重量を計測し、重心を割り出した。その結果、事故機の重心は後方限界の更に8-11in後ろにあったことが判明した。また、計算から離陸時の重量は最大離陸重量を397.8-513.1lbs上回っており、墜落時の重量は最大着陸重量を69-184.3lbs越えていたと推定された。調査から、事故機には副操縦士が要求した量よりも600lbs多い貨物が積載されていた。また、パイロットは連邦航空局(FAA)の定める、適切な重心位置の計算を行っていなかった。 1988年3月、NTSBは重心が後方限界を越えた場合の飛行特性を知るためにビーチクラフト 1900を使用して飛行試験を行った。試験では103便のパラメーターをほぼ再現し、水の入ったタンクを移動させることによって重心を調整した。また、重心は安全上の理由から、後方限界の8in以上後ろまでは下げられなかった。重心を後方に移動させると、静安定が著しく低下し、フラップを展開するとさらに不安定となった。重心を後方限界の11in後ろまで下げると、操縦桿を前方へ最大限押しても機首が上がる可能性があることが判明した。試験から、重心が後方限界の7in後ろに位置している状態では、一定の修正操作などが必要ではあるが飛行、及び着陸は可能であったことが分かった。一方、重心が後方限界の11in後ろに位置している状態で、フラップを35度まで展開すると操縦がほぼ不可能になると推測された。
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