左右差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 10:09 UTC 版)
詳細は「脳機能局在論」を参照 大脳の両半球はそれぞれ主として体の対側と神経が繋がる構造になっている。脳の左半球は右半身と繋がっており、逆も同様である。こうした対側支配の原則の発生学的原因はよく分かっていない。脳から脊髄への運動経路と、脊髄から脳への感覚経路は、いずれも脳幹で交叉する。視覚入力はより複雑であり、両眼から来た視神経は共に視交叉(英語版)まで来て、左右の視神経はいずれも半分に分かれて対側のもう半分と合流する。結果的に、両眼の網膜の左半分から来た神経は脳の左半球へ行き、網膜の右半分から来た神経は右半球へ行く。なぜなら網膜の左半分/右半分はそれぞれ視野の反対側の光を捉えるからであり、機能的には左半身側から来た視覚入力は脳の右半球へ行き、逆も同様である。このようにして、脳の右半球は左半身の体性感覚と視野の左半分の視覚入力を受け取る。 脳の左右は一見すると対称性があるように見えるが、機能的には非対称である。例えば、右手を動かす左半球の運動野に対応するのは、左手を動かす右半球である。しかしいくつかの重要な例外があり、それは言語と空間認知である。左前頭葉は言語能力で支配的な機能を持つ。左半球の重要な言語野が損傷された場合、その患者は発話や言語理解が不可能になる場合があるが、右半球の同部位の損傷の場合、言語能力が悪化することはほとんど無い。 左右両半球間の相互作用について現在分かっていることのかなりの部分は、重いてんかん発作を軽減するために脳梁離断術を受けた分離脳の患者の研究から来ている。分離脳の患者は傍目ですぐに分かるような不自然な言動は見せないが、一つの体にまるで二つの人格があるかのように振る舞い、右手がある動作をすると同時に左手がそれを押しとどめようとしたりする。彼らは固視点の右側に絵を短時間提示された場合はそれを言葉で説明できるが、左側に提示された場合はできなくなる。しかし言葉にできなくとも絵が描いていたものの実物を左手で指差すことはできるのである。
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