転生 転生の概要

転生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/08 07:36 UTC 版)

  1. 生まれ変わること。輪廻[1]とも。本記事で述べる。
  2. 環境や生活そのものを一変させること。

概要

転生(てんせい, てんしょう)とは、生あるものが死後に生まれ変わること、再び肉体を得ること。

宗教人類学者の竹倉史人は、異なる「生まれ変わり」思想を比較するための前提として、「生まれ変わり」の理念型を「現世で生命体が死を迎え、直後ないしは他界での一時的な逗留を経て、再び新しい肉体を持って現世に再生すること」と定義している。

現代日本では、転生、輪廻、輪廻転生、転生輪廻はあまり区別されず、生まれ変わりを指す言葉として使われている。サンスクリット語のसंसार saṃsāra、サンサーラ)は、輪廻、輪廻転生、生死(しょうじ)、生死流転(しょうじるてん)などとも訳される。転生は英語の Reincarnation(リインカーネーション、再受肉[2])の訳語でもあり、一部の宗教では「再生」とも言われる。なお転生は、キリスト教における復活新生とは異なる概念である。

日本では、生まれ変わりは仏教思想の一つとして知られるが、仏教に固有の思想ではない。仏教にも見られる生まれ変わり思想「輪廻」は、元々インドのヒンドゥー教バラモン教)の思想で、釈迦以前から存在し、ヒンドゥー教から派生した仏教やジャイナ教にも引き継がれた。生まれ変わり思想は、インドのみならずギリシア古代の宗教思想にも認められる。

生まれ変わりには、ヒンドゥー教や仏教の輪廻のように人間動物を含めた広い範囲で転生すると主張する説と、近代神智学のように人間は人間にしか転生しないという説がある。現代の欧米のニューエイジ系の思想・新宗教や南米の新宗教、日本の新宗教やスピリチュアル、漫画やアニメで見られる生まれ変わり思想「リインカーネーション」は、西洋近代に由来するもので、インドに由来する輪廻とは異なる概念である。現代では、多くの言語がリインカーネーションおよびこの直訳語で「生まれ変わり」の観念を表している[3]。生まれ変わりの信仰・信念は一部の人から見れば荒唐無稽なものであるが、近年アメリカでは宗教的観念への信仰率が減少する中で、転生を信じる率は増加しており、日本でも2008年時点の調査で42.6%が「輪廻転生はあると思う」と回答しているなど、世界中で支持を集めている[4]

生まれ変わりの概念は、哲学、歴史学、人類学、宗教学、仏教学などで研究されてきた。ヴァージニア大学医学部のThe Division of Perceptual Studies(DOPS)では、前世の記憶を持つ子供たちの事例が研究されている。近年では、アメリカの『精神障害の診断と統計マニュアル 第4版』(DSM-Ⅳ、1994年)に「宗教的またはスピリチュアル的の問題」という項目が加えられたことを契機に、宗教的な観念が文化資源として注目され、生まれ変わりの概念を「医療資源」と見なしスピリチュアルケアに生かす動きも見られる[5]

生まれ変わりの理念型

世界の生まれ変わりの思想は多様であるため、本記事でまとめて論じるために、竹倉史人の分類を援用する。竹倉は生まれ変わりの理念型を次のように分類している。

  1. 転生型=循環
  2. 輪廻型=流転
  3. リインカーネーション型=成長

転生型

部族や親族などの同族内で転生する循環型の生まれ変わりの思想。時には動物転生や植物転生も見られる。比較的プリミティブなもので、世界中の小規模社会にみられる。[6]

輪廻型

インドで生まれた転生観であり、生まれ変わりを流転として捉える。生物は永遠にそのカルマ(業)の応報によって、車輪がぐるぐると回転し続けるように繰り返し生まれ変わるいう考えを意味する[7][8]ヒンドゥー教バラモン教)や仏教ジャイナ教にみられ、流転として転生を繰り返すことを苦と捉える。

詳細は「輪廻」、または下記「#インドに由来する輪廻の思想」の説を参照のこと。

リインカーネーション型

19世紀中ごろにフランスで生まれた思想で[6]、人間は生まれ変わりを通して成長すると考える。人類の直線的な進歩の観念に基づいている[9]。人間には魂や霊といった不死なる根源があると考え、転生を繰り返すことで、(霊的に)進歩または(進化論登場後は)進化し、最終的に神に近い完全な存在になる、または完全な存在による完全な社会が実現されると考える。生まれ変わることは、輪廻とは異なり肯定的に捉えられる。竹倉史人によると、リインカーネーションという言葉が一般的に使われるようになったのは19世紀後半になってからで[3]、今日の用法に連なる意味での初出はフランス語の Réincarnation(レアンカルナシォン)であり、フランスの霊媒・教育者のアラン・カルデック(1804年 - 1869年、本名ドゥニザール=イポリット=レオン・リヴァイユ)が1857年に『霊の書』で用いたことで広まった[10]。カルデックの教義は、古代ギリシャのピタゴラスプラトンの生まれ変わり観も参考に編纂された[11]神秘思想オカルティズム、心霊論、南米の宗教、アメリカのニューエイジ、日本の新宗教、新新宗教、精神世界スピリチュアル、マンガやアニメなどの創作物の世界観などに広く取り入れられている。「カルマ」という言葉が用いられこともあるが、インド本来のカルマの概念とは別物である。

詳細は下記「#西洋近代に由来するリインカーネーションの思想」を参照のこと。


  1. ^ 『広辞苑第六版』(岩波書店)等、複数の国語辞典で同義語として扱われている。
  2. ^ incarnation は肉体化、肉体化したものを意味する。
  3. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1071/2493
  4. ^ 竹倉 2015. 位置No.7/2493
  5. ^ 竹倉 2015. 位置No.1878/2493
  6. ^ a b c d e f 竹倉 2014.
  7. ^ 輪廻 コトバンク
  8. ^ りんね-てんしょう【輪廻転生】|〈―スル〉 goo辞典
  9. ^ a b c d e f g h i j k ルノワール 2010. 176 -183 pp
  10. ^ 竹倉 2015. 位置No.1082/2493
  11. ^ 竹倉 2015. 位置No.1102/2493
  12. ^ a b 梶原 1992
  13. ^ 森本 2003, pp. 191-192.
  14. ^ 石飛道子『ブッダは輪廻を説かなかったか  仏教と輪廻(上)』
  15. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1008/2493
  16. ^ a b c d e 第1部 基調講演 脳死・クローン・輪廻 梶山雄一氏
  17. ^ 釈徹宗『仏教ではこう考える』学研パブリッシング 、2013年
  18. ^ a b c 唯識派 piicats 仏教の勉強部屋
  19. ^ 制作:野沢正信 (沼津高専 教養科 哲学)cf.第3章 インド仏教の発展
  20. ^ a b c d ダライ・ラマの化身認定制度について - ダライ・ラマ法王14世日本公式サイト
  21. ^ Dalai Lama、Alexander Berzin "The Gelug/Kagyu Tradition of Mahamudra", Snow Lion, January 1, 1997, p.368
  22. ^ a b 伊佐敷隆弘 2012.
  23. ^ 渋沢光紀 (2013年11月20日). “現代宗教研究 別冊 現代教学へのアプローチ 宗教と科学について-ニューエイジ批判を通しての一考察-”. 2015年11月24日閲覧。
  24. ^ a b c 堀江1992.
  25. ^ 今泉忠義・訳 『民俗学の話』 角川書店、1955年、34p。
  26. ^ a b 熊田 1996.
  27. ^ グレゴワール 1992.
  28. ^ 竹倉 2015. 位置No.12391/2493
  29. ^ 竹倉 2015. 位置No.1294/2493
  30. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1305/2493
  31. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1168/2493
  32. ^ a b c 山田 2014.
  33. ^ 竹倉 2015. 位置No.1237/2493
  34. ^ 竹倉 2015. 位置No.1246/2493
  35. ^ 竹倉 2015. 位置No.1254/2493
  36. ^ 竹倉 2015. 位置No.1186/2493
  37. ^ もし人間が生まれ変わるなら霊を呼び出すことは不可能なはずなので、本来は両立しない。
  38. ^ 類魂説は、死後存続やテレパシーを研究した フレデリック・マイヤーズ(1843年 - 1901年)が亡き後、死後の世界で生前の研究を進め心霊論をまとめ、死後30年たってから霊媒ジェラルディン・カミンズを通して現世に伝えたものだとされている。
  39. ^ a b 仏教と西洋の出会い チベットへの憧れ、「鏡」としての歴史 柄谷行人公式ウェブサイト
  40. ^ 伊泉龍一「現代チャネリングの原点にして頂点、ジェーン・ロバーツとセス―スピリチュアル史解説[コラム]」 マイナビニュース
  41. ^ クリモ 1991.
  42. ^ a b 教皇庁 2007.
  43. ^ 吉永 2010.
  44. ^ 宮元 2005.
  45. ^ 大田 2013.
  46. ^ 沼田 1986
  47. ^ 本作では、前世の仲間探しにオカルト雑誌の投稿欄が利用され、これにより学校外の前世の仲間と再会している。また本作における転生は、現在の自分(主人公)と前世の自分が互いに相手の夢を見ており、単純に直線的な転生とも言い難い面がある。作者のもとには読者から熱狂的な手紙が多く届き、集団自殺未遂事件(後述)のあと、作者は連載中にこの作品はフィクションであるという宣言をした。
  48. ^ 前世の仲間探しでは、自らの前世を「戦士」とするものがほとんどであったという。新山哲は、前世少女が戦士を選ぶ心境と、自分をボーカルとして他のバンド仲間を探すバンド少年の投稿とに似た印象があると述べ、共通点として「とりあえず何もできないけど主役になりたい気持ち」を指摘してる。
  49. ^ a b サークル「喫茶《ぱらだいす☆あ~み~》 (2000年9月7日). “前世の仲間探し/ 戦士症候群”. 2015年11月20日閲覧。
  50. ^ a b c d e 赤坂 2000
  51. ^ a b バーチャルネットアイドル ちゆ12歳 (2007年3月7日). “『ムー』の“前世少女”年表”. 2016年1月8日閲覧。
  52. ^ 事件直前に彼女たちが見ていたのは映画『魔女の宅急便』であるが、この作品と事件の関係はほとんど注目されていない。
  53. ^ 新山 2000
  54. ^ 有元 2011
  55. ^ a b c 飯田 2016
  56. ^ 泉信行 (2011年6月4日). “「集団転生モノ」のジャンルを拓く、『ログ・ホライズン』と『ボクラノキセキ』”. 2017年5月14日閲覧。
  57. ^ 年間ランキング 小説家になろう
  58. ^ 竹倉 2015. 位置No.1678/2493
  59. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1646/2493
  60. ^ 竹倉 2015. 位置No.1617/2493
  61. ^ 竹倉 2015. 位置No.1637/2493
  62. ^ 竹倉 2015. 位置No.1790/2493
  63. ^ 竹倉 2015. 位置No.1844/2493
  64. ^ 中国政府、チベット高僧の転生に事前申請を要求」、AFPBB News、2007年8月4日。







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