日本霊異記とは? わかりやすく解説

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にほんりょういき〔ニホンリヤウイキ〕【日本霊異記】


にほんれいいき【日本霊異記】

読み方:にほんれいいき

にほんりょういき


日本霊異記

読み方:ニホンリョウイキ(nihonryouiki), ニホンレイイキ(nihonreiiki)

平安時代説話集日本最古仏教説話集。

別名 日本国現報善悪異記


にほんりょういき 【日本霊異記】


日本霊異記〈巻下/(仁和寺心蓮院本)〉

主名称: 日本霊異記〈巻下/(仁和寺心蓮院本)〉
指定番号 247
枝番 00
指定年月日 1935.04.30(昭和10.04.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 嘉禎年三三日禅恵書写奥書アリ
員数 1帖
時代区分 鎌倉
年代 1236
検索年代
解説文: 鎌倉時代作品

日本霊異記〈中下/〉

主名称: 日本霊異記〈中下/〉
指定番号 267
枝番 00
指定年月日 1977.06.11(昭和52.06.11)
国宝重文区分 国宝
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 2帖
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  日本霊異記(三巻)は、平安時代初期奈良の僧景戒が著わしたもので、わが国最古仏教説話集として名高い。その古写は稀で、これまで平安時代写本興福寺本の上巻(国宝)のみであった。この来迎院本は近時発見され中・下平安時代写本で、巻中・下の序をほぼ完存してその内容明らかにしていること等、従前諸本の欠を補う点が多く霊異記成立あるいはその原本の姿を研究する上に貴重な古写本である。

日本霊異記〈巻中下/〉

主名称: 日本霊異記〈巻中下/〉
指定番号 2122
枝番 00
指定年月日 1905.04.04(明治38.04.04)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 2巻
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文: 鎌倉時代作品
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書跡・典籍:  日本法華験記  日本紀竟宴和歌  日本霊異記  日本霊異記  明儒願文集  明恵上人筆入解脱門義  明恵上人筆大唐天竺里程書

日本霊異記

読み方:ニホンリョウイキ(nihonryouiki), ニホンレイイキ(nihonreiiki)

分野 説話集

年代 平安前期

作者 景戒〔編〕


日本国現報善悪霊異記

(日本霊異記 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/15 22:36 UTC 版)

日本国現報善悪霊異記』(にほんこくげんほうぜんあくりょういき)は、平安時代初期に書かれ、伝承された最古の説話集で『日本霊異記』と略して呼ぶことが多い。著者は景戒。上・中・下の三巻。変則的な漢文で表記されている。

成立事情と説話の背景

成立年ははっきりしないが、序と本文の記述から、弘仁13年 (822年) とする説がある。著者は奈良右京の薬師寺の僧、景戒である。景戒は、下の巻三十八の自叙伝において妻子とともに俗世で暮らしていたと記しており、国家の許しを得ない私度僧に好意的で、自身も若い頃は私度僧であったが後に薬師寺の官僧になったという。生国は、紀伊国名草郡

説話の舞台と世相

上巻に35話、中巻に42話、下巻に39話[注 1]。で、合計116話が収められる。それぞれの話の時代は奈良時代が多く、古いものは雄略天皇の頃とされている。場所は東は上総国、西は肥後国と当時の物語としては極めて範囲が広い。その中では畿内と周辺諸国が多く、特に紀伊国が多い[注 2]

『霊異記』の説話は、行基とその朋党が、民間布教と社会事業の実践のため遍歴した地域と重複する所が少なくない。また、遠国の説話には紀伊氏大伴氏一族のかつての勢力圏や吉士氏の勢力圏の紀伊・大阪湾沿岸、ならびに二次入植地の東国と結び付くものが認められる[1]

登場する人物は、庶人、役人から貴族、皇族に及び、僧も著名な高僧[注 3]から貧しい乞食僧まで出てくる。

その一方で、景戒が属する興福寺や法相宗薬師寺・行基集団などを含む)を称賛する説話を多数収録する反面、道慈鑑真ら他宗の僧侶などに関する逸話を忌避しているという見方もあり[2]、特に失明や眼病を悪行による仏罰であるとする説話を意図的に取り上げることで暗に(来日時に失明した)鑑真を否定的に評価する意図を有していたとする研究者もいる[3]

田に引く水をめぐる争い(上巻第3)、盗品を市で売る盗人(上巻第34、第35、下巻第27)、長期勤務の防人の負担(中巻第3)、官営の鉱山を国司が人夫を使って掘ること(下巻第13)、浮浪人を捜索して税をとりたてる役人(下巻第14)、秤や桝を使い分けるごまかし(下巻第20、第26)など、説話自体が事実を伝えるものではないとしても、その主題から外れた背景・設定からは、当時の世相を窺い知ることが出来る。

また、性愛を扱った説話も収められている。例えば、生まれた息子を愛するあまりに陰茎を啜るようになった母が三年で病を得、臨終の際に子の陰茎を吸いながら「わたしは、今後次々に生まれ変わって、後の世でいつもそなたと夫婦になります」[4]と言い残し死ぬ。この母が隣家の娘に生まれ変わったのちに息子と結婚し、前世の墓の前で夫婦で嘆くといった奇譚などがある(中巻「女人. 大蛇に婚はれ薬の力に頼りて命を全くすること得る縁 第四十一」中の挿話 )。

説話の主題と思想

編纂の目的から、奇跡や怪異についての話が多い。『霊異記』の説話では、善悪は必ず報いをもたらし、その報いは現世のうちに来ることもあれば、来世で被ることも、地獄で受けることもある。説話の大部分は善をなして良い報いを受けた話、悪をなして悪い報いを受けた話のいずれか、あるいはその両方だが、一部には善悪と直接かかわりない怪異を記した話もある。

仏像と僧は尊いものである。善行には施し放生といったものに加え、写経や信心一般がある。悪事には、殺人や盗みなどの他、動物に対する殺生も含まれる。狩りや漁を生業にするのもよくない。とりわけ悪いこととされるのが、僧に対する危害や侮辱である。と、これらが『霊異記』の考え方である。

転生が主題となる説話も多い。説話の中では、動物が人間的な感情や思考をもって振る舞うことが多く、人間だった者が前世の悪のために牛になることもある。

諸本

『日本霊異記』の古写本には、平安中期の興福寺本(上巻のみ、国宝)、来迎院本(中・下巻、国宝)、真福寺本(大須観音宝生院蔵、中・下巻、重要文化財)、前田家本(下巻、重要文化財)、金剛三昧院(高野山本、上中下巻)などがあり、興福寺本と真福寺本が校注本においても底本に用いられることが多い(『日本霊異記』の諸本については小泉道『日本霊異記諸本の研究』1989)。

「日本霊異記」刊行一覧

  1. 1975年11月 448p ISBN 409-6570060
  2. 新編 1995年9月。491p ISBN 409-6580104
  1. 1978年12月発行。209p。ISBN 4061583352
  2. 1979年4月発行。279p。ISBN 4061583360
  3. 1980年4月発行。320p。ISBN 4061583379
  1. 1997年11月発行。246p。ISBN 448008391X
  2. 1997年12月発行。318p。ISBN 4480083928
  3. 1998年1月発行。346p。ISBN 4480083936
  1. 1996年12月発行。325p。ISBN 4002400301
  1. 1978年12月発行、新版1993年。446p ISBN 4881423096

脚注

注釈

  1. ^ この巻は景戒の生存期と近接または重複し、紀井国関係の説話が収録されている[1]
  2. ^ 上巻2話(5・34)、中巻3話(1・11・32)、下巻13話(1・2・10・16・17・25・28・29・30・32・33・34・38)の18話、そのうち名草郡に関する説話は7話(上5、中32、下16・28・30・34・38)を占めている[1]
  3. ^ 行基に関する説話が7話(上巻5、中巻2・7・8・12・29・30)も収録されている[1]

出典

  1. ^ a b c d 加藤謙吉「聞く所に口伝を撰び……」 -古代交通路と景戒の足跡-(小峰和明他編 2004年 82ページ)
  2. ^ 志田諄一「日本霊異記と景戒」『日本霊異記とその社会』(雄山閣、1975年)や師茂樹「「空有の論争と仏性論争との接続」『論理と歴史―東アジア仏教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版、2015年)などの説
  3. ^ 水口幹記「『日本霊異記』所載の目盲説話をめぐってーその"政治的"側面について」小山聡子 編『前近代日本の病気治癒と呪術』(思文閣出版、2020年)P92-96.
  4. ^ 講談社学術文庫本、中田祝夫の訳による

参考文献

関連文献

関連項目

外部リンク


日本霊異記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 23:35 UTC 版)

長屋王の変」の記事における「日本霊異記」の解説

長屋王の死から90年あまりのちに成立した『日本霊異記』は、以下のような話を伝えている。 奈良の都天下をお治めになった聖武大上天皇は、大誓願起こし天平元年729年2月8日に、左京元興寺大法会行い三宝供養された。太政大臣正二位長屋親王に勅して、衆僧食事捧げる役の長官任じた時に一人沙弥があり、不作法に供養食事)を盛るところで、鉢を捧げてご飯貰おうとした。親王はこれを見て、牙冊(象牙の笏)で沙弥の頭を打った。頭が割れて血が流れた沙弥は頭を撫で、血を拭い恨めしそうに泣いてその場から姿を消し行方知れなくなった時に法会の衆、道俗ひそかにささやいて、「不吉だ、よいことはない」と言った。 この2日後親王を妬む人があって、天皇讒言して長屋親王は、社稷国家)を傾けることを謀り皇位を狙おうとしています」と申し上げた天皇は非常に立腹して軍兵派遣してたたかわせた。親王は自ら思った「罪なくして捕らえられる。必ず死んでしまうのだろう。他人に殺されるよりは、自分死んだ方がましだ」。そこで、自分の子や孫に毒薬を服させ、絞め殺した後、親王服して自害された。 天皇は、勅して親王死骸城外捨て、(霊魂復活することのないように)焼きくだき、河に散らし、海に放擲した。ただ親王の骨は土左国に流したそうしたら、その国の百姓人民)に死んでしまうものが多くなった。そこで百姓たちは恐れて、官に解を出して、「親王毒気によって、国中百姓が皆死んでしまうでしょう」と申し上げた天皇はこれを聞き親王遺骨もう少し都に近づけようと、紀伊国海部郡あまのこおり)のはじかみ)(現在の和歌山県海草郡)の奥の島(現在の有田市北西海上にある沖の島)にお置きになった上記長屋王批判的な立場から描かれたものであるが、長屋王自身僧尼からよくは言われなかったことは確かなことであり、養老6年722年)の太政官奏によると、 垂化設教資章程以方通、導俗訓人違彝典而即妨、比来在京僧尼不練戒律浅識軽智巧説罪福之因果、門底廛頭訟誘都裏之衆庶、内黷聖教外虧皇献、遂令人之妻子有事故、自剃頭髪輙離室家、無懲綱紀不顧親夫、或於路衢負経捧鉢、或於坊邑害身焼指、聚宿為恒妖訛成群、初似修道終為奸乱、永言其弊特須禁制、望請、京城諸国国分判官一人監当其事厳加捉搦、若有此色者、所由官司即解見任、其僧尼一同詐称聖道、妖惑百姓依律科罪、其犯者即決、勒還郷族、主人隣保坊令里長並決八十、不得官当蔭贖、量状如前、伏聴天裁、謹以申聞謹奏奉勅、依奏 大意近頃在京僧尼戒律守らず浅薄な知識しか持ち合わせないのに罪福の因果説き、都裏の庶民誘惑している。その結果遂に他人妻子まで、自ら髪を剃り刻膚し、室家離れ親や夫を顧みることなく綱紀懲りるころなく、一団となって乞食をし、あやしげなことを口走っている始末である。このような情況は是非とも禁断なければならない」 とある。

※この「日本霊異記」の解説は、「長屋王の変」の解説の一部です。
「日本霊異記」を含む「長屋王の変」の記事については、「長屋王の変」の概要を参照ください。

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