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ごうだんしょう〔ガウダンセウ〕【江談抄】

読み方:ごうだんしょう

平安後期説話集6巻大江匡房(おおえのまさふさ)の談話藤原実兼(ふじわらのさねかね)が筆録した伝えられる長治嘉承年間1104〜1108)ごろの成立か。公事摂関家事などの有職故実故事説話などを収める水言抄。江談。


江談抄

読み方:ゴウダンショウ(goudanshou)

平安時代説話集大江匡房談。

別名 水言抄、江談


江談抄

主名称: 江談抄
指定番号 275
枝番 00
指定年月日 1939.05.27(昭和14.05.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 寛元三年七月十九日書写奥書アリ/首欠 紙背延応二年具注暦
員数 1巻
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  『拾遺愚草』は、中世和歌代表する藤原定家一一六二~一二四一)の生涯心情如実にわかる自撰家集自筆本であり、定家の子孫に襲蔵されてきた稀有遺品である。
 『拾遺愚草』の編纂は、上巻の「春日同詠百首應 製和歌」の本奥書に、建保四年(一二一六定家五五歳のときに、三巻家集最初に編纂したと見えるのが始まりで、その成立は、下巻巻末天福元年一二三三)十月十一日の定家出家の歌が記されているところから、定家二歳出家以後であることが知られる
 書名は、①建保四年の本奥書に、同年二月自撰した「定家卿百番自歌合」の「遺」を「拾」という意味のほか、②養和元年一一八一)に「初学百首」を企てたこと、③建保四年に二度目侍従兼任し唐名侍従を「拾遺」と呼ぶことがその由来となっているとされる
 本書は、上・中・下の三帖からなる。本帖の体裁は、綴葉装冊子本で、地金銀砂子銀泥引の原表紙付し外題を左肩に後筆で「上(中・下)」と直書している。料紙楮紙打紙で、丁数は上帖一九六丁(後遊紙四丁)、中帖八八丁(後遊紙三丁)、下帖一四五丁(後遊紙一丁)である。本文は半九行、一首行書きで筆跡二、三の手になるが各帖の一丁目最後出家歌は老練な筆で、定家筆と認められる定家以外の筆跡について、『拾遺愚草』の初撰の建保四年には、源光行清書させたと『定家仮名遣序文にあり、また、家令の能直は「鳥跡異ならず」(『明月記建暦二年九月二十八日条)とされるように、定家書風習った右筆らのいたことが知られる本書定家最初に書き始め続けて本文右筆等に書かせ最終的に自らが校正した自筆本である。
 上帖には一五百首歌、中帖には「韻哥百廿八首」を冒頭に、五〇首・三〇歌など定数歌屏風歌障子歌の類、下帖には春、夏、秋、冬、賀、恋、雑に分類した総歌数二八八五首を収録する。集付には、「千載」「新古」「勅撰」「續後」「續古」「續拾」があり、定家、為家等が勅撰集用いている様子うかがえる
 本書注目すべき点としては、下帖一〇九丁目と一一〇丁の間に四丁分が切り取られ一一〇丁(表)も白紙になっている(相剥ぎされている)ところである。この箇所には、承久年間の二四首(二七四四二七七番)が収められていた。現状切除箇所には、冷泉家一四代為久(一六八六~一七四一)が同歌を別紙書いて貼り込んでいる。二四首の中には承久二年(一二二〇二月後鳥羽院から歌を召されたときに「道のへの野原下もえぬ あはれなけきのけふりくらへに」(二七七番)と詠じた歌が含まれている。切除理由不明であるが、定家はこの歌で院の勅勘にあい、謹慎していた間に承久の乱起きた。そのために、定家乱後鎌倉幕府糾弾から逃れることができたのである切除箇所には明らかに文字墨痕認められ当初には歌が書かれていたことが判明する。『拾遺愚草』の伝本としては、六家集収録され写本があるが、その六家集本に切除された二四首が収録されているので、本書親本系と想定されるまた、上帖一三一丁(裏)の付紙「いはしろのゝ中さえゆく松風にむすひそへつる秋のはつしも」(一〇五四番)の歌の第四句「つる」は、六家集本では「たる」とある。本書では「たる」を擦消したうえに「つる」と改変している。そうなると、本書成立した後、何らかの事情により、二四首の切除改変なされたことになりえるが、これについては今後の研究俟ちたい。
 附【つけたり】とした三紙の断簡は、九三六番上の句「けふこそは秋はまつせの山おろしに」、九三八番「秋といへはゆふへのけしきひきかへて またゆみはりの月そさひしき」、九五番上の句「あきの夜のあまのとわたる月かけに」と、一二四六番はるかなる月のみやこにちきりありて [あきのよあ]かすさらしなのさと」と、一三一〇番「みねのゆきとくらむあめのつれ[つれとやまへもよほ]すはなのしたひも」の歌で、ともに合点頭注などがある。『拾遺愚草』の編纂過程うかがえる史料として貴重であり、附として併せてその保存を図ることとした。
 本書平安時代から鎌倉時代にかけての私家集古写本大部分伝え冷泉家時雨亭文庫中にあって、定家自筆本三代集併せて伝えられてきたもので、平安時代、鎌倉時代私家集中、作者自撰原本として唯一のものであり、その価値きわめて高い。

江談抄


江談抄(高山寺本)

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江談抄

読み方:ゴウダンショウ(goudanshou)

分野 説話

年代 平安後期

作者 大江匡房〔談〕、藤原実兼筆録


江談抄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/10 10:01 UTC 版)

江談抄』(ごうだんしょう)は、平安時代院政期)の説話集。「江談」二字の偏を取って「水言抄」ともいう。漢詩文・公事・音楽など多方面にわたる談話の記録である。


  1. ^ 松浦辰男「壷切御剣之事」(『史学会雑誌』19号、1891年6月)
  2. ^ 河内祥輔「後三条・白河「院政」の一考察」(同『日本中世の朝廷・幕府体制』(吉川弘文館、2007年、ISBN 978-4-642-02863-9)所収(初出:石井進編『都と鄙の中世史』吉川弘文館、1992年)。


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