行書とは? わかりやすく解説

ぎょう‐しょ〔ギヤウ‐〕【行書】

読み方:ぎょうしょ

漢字書体の一。楷書をやや崩した書体で、楷書草書中間にあたる。


行書体

(行書 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/05 22:09 UTC 版)

行書体で書かれた日本書道
清朝 王鴻緒の行書

行書体(ぎょうしょたい)とは、

  1. 漢字書体の一つ。楷書が一画一画をきちんと書いているのに対し、行書体ではいくらかの続け書きが見られる。しかし、草書のように、楷書と大幅に字形が異なるということはないために、楷書を知っていればある程度読むことは可能である。
  2. 水墨画における画法の一つ。楷書体と草書体の中間的な技法である。

概要

行書は隷書の走り書きに興る。王羲之などの書が有名。草書ほどではないが速記向きであり、楷書ほどではないが明快に判読できることから、古代中国では公務文書や祭礼用の文書に用いられた。日本では江戸幕府の公文書は行書体で記すことが定められていた。そのため、手習い(上方の呼び方では寺子屋)で教えていたのも行書だった[1]

代表作

詩歌の巻頭言の草稿として王羲之が著した『蘭亭序』や、北周の詩を清書した褚遂良の『枯樹賦』、内乱で惨殺された甥の祭礼に備えて書いた顔真卿の『祭姪文稿』などが代表的な書作品である。空海最澄が交わした行書書簡、『風信帖』と『久隔帖』はともに国宝である。

碑文

日常的な書体とみなす意識が強く、文書としては広く流布しているが、碑文となると唐太宗皇帝が書いた『晋祠銘』が現在知られる最も早い行書碑である。王羲之の行書を集字・編集した『集王聖教序』も第三者の手が入っているとはいえ数少ない行書碑の一つといえる。

現代教育

行書体(清司左)と楷書体

現代日本では、行書は日常的な筆記体として広く通用している。教育の場では中学国語の書写分野で行書の毛筆硬筆が取り上げられ、筆順の逆転や連綿省略法など楷書との違いを学ぶ。

脚注

  1. ^ 『岡本綺堂著・岸井良衞編『綺堂 江戸の話大全』』河出書房新社、2023年11月30日、143頁。 

関連項目

参考文献

  • 行書がうまくなる本 蘭亭序を習う(筒井茂徳著、二玄社、2009年)

行書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 07:25 UTC 版)

中国の書論」の記事における「行書」の解説

行書の創始者:「行書なる者は、後漢劉徳昇の作る所なり。行書は即ち正書の小訛、務めて簡易従い相聞流行す。故にこれを行書という。王愔云う。晋世以来、書に工みなる者は、多く行書を以って名を著すと。鍾元常行狎書を善くす、是なり。その後王羲之・献之並びにその造る。」(行書の創始者劉徳昇としている。#書体の創始者の行書で解説)…『書断』 「行書は『蘭亭序』および王羲之の諸帖を第一とし、謝安王献之の諸帖が之に次ぐ。(趣意)」(原文の大令とは王献之のこと)…『続書譜』 「唐人の行書は、皆な二王より出て宋人の行書は、多く公より出づ趙子昂云う用筆千古変らずと。只だ宋人を看て亦た妙たるも、唐人得難きなり。」(二王よりの唐人尊重する伝統的な見解)…『鈍吟書要』

※この「行書」の解説は、「中国の書論」の解説の一部です。
「行書」を含む「中国の書論」の記事については、「中国の書論」の概要を参照ください。

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