転生 フィクションの中での転生

転生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/08 07:36 UTC 版)

フィクションの中での転生

過去に生きていた人物が別人となって現代に現れたり、本人自身の記憶を持ったまま別人として生まれる、というのは魅力的なテーマであり、転生という概念を取り入れたフィクション作品は数多く創作されている。

ウェブ小説での転生ものの興隆

2010年頃から、低迷する文芸書の中でウェブ小説の書籍化が急成長しており、異世界への転生を扱ったゲーム風ファンタジー作品が多い[55]。「小説家になろう」(2004年 - )という小説投稿サイトでは、2011年時点で「異世界召喚/転生ファンタジー」が上位を占めており[56]、2015年時点でも同様である[57]。前世は冴えないサラリーマンや無職童貞のニートなどの鬱屈した人生の設定が多く、外見や能力が非常に優れた状態で生まれ変わり、かわいい女の子にちやほやされたり、信頼できる異性や仲間ができる[55]。批評家の飯田一史は、「異世界転生もので俺TUEEE」などと揶揄されるウェブ小説は、「やり直し願望」の発露であると評している[55]

転生を題材とした作品

研究例

転生についての研究は、前世研究と内容を同じくする。

イアン・スティーヴンソンによる調査

転生を扱った学術的研究の代表的な例としては、超心理学研究者・精神科教授のイアン・スティーヴンソンによる調査がある。スティーブンソンは1961年にインドでフィールドワークを行い、いくつかの事例を信頼性の高いものであると判断し、前世の記憶が研究テーマたり得ることを確信した[58]。多くは2~4歳で前世について語り始め、5~7歳くらいになると話をしなくなるという[59]。日本の前世ブームの前世少女のような思春期の事例やシャーリー・マクレーンのような大人の事例は、成長過程で得た情報を無意識に物語として再構築している可能性を鑑みて重視せず、2~8歳を対象とした。前世を記憶する子供たち』では、子どもの12の典型例を考察している[50]。竹倉史人は、スティーヴンソンの立場は科学者としての客観的なもので、方法論も学術的であり、1966年の『生まれ変わりを思わせる二十の事例』は、いくつかの権威ある医学専門誌からも好意的に迎えられたと説明している[60]。赤坂寛雄は、スティーブンソンは生まれ変わり信仰に肯定的であり、むしろ一連の前世研究は、前世や生まれ変わりが事実であることを証明しようという執拗な意思によって支えられているかのように見えると述べている[50]

スティーブンソンの前世研究は、世界的発明家チェスター・カールソンパトロンとして支え、子どもたちが語る前世の記憶の真偽を客観的・実証的に研究する The Division of Perceptual Studies(DOPS)がヴァージニア大学医学部に創設された[61]。死後100万ドルの遺産がスティーヴンソンが属するヴァージニア大学に寄付され、現在もDOPSで前世研究が続けられ[59]、2600超の事例が収集されている。DOPSの調査データを分析した中部大学教授・ヴァージニア大学客員教授の大門正幸によると、収集された事例のうち、前世に該当すると思われる人物が見つかったのは72.9%、前世で非業の死を遂げたとされるものは67.4%である[62]。懐疑主義者の団体サイコップの創設メンバーであるカール・セーガンは、生まれ変わりは信じないが、「まじめに調べてみるだけの価値がある」と評した[63]

ジム・タッカーによる調査

ヴァージニア大学ジム・タッカーは、イアン・スティーヴンソンの研究を引き継ぎ、約1100の生まれ変わり事例を調査した。

前世療法研究

前世療法で用いられる退行催眠については、虚偽記憶を生み出すという批判もあるが、検証の結果「前世の記憶」である可能性が高い記憶が想起されたという主張もある。

法的取扱い

宗教思想上の概念の問題であるため、一般的には法規制の対象となるものではない。

  • 2007年9月に発行された条例により、中国では、転生を行う際に事前に政府への申請を行い、許可を得ることが必要となった。この条例は、高僧が転生を繰り返すとされるチベット仏教の管理を目的としていると見られている[64]

  1. ^ 『広辞苑第六版』(岩波書店)等、複数の国語辞典で同義語として扱われている。
  2. ^ incarnation は肉体化、肉体化したものを意味する。
  3. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1071/2493
  4. ^ 竹倉 2015. 位置No.7/2493
  5. ^ 竹倉 2015. 位置No.1878/2493
  6. ^ a b c d e f 竹倉 2014.
  7. ^ 輪廻 コトバンク
  8. ^ りんね-てんしょう【輪廻転生】|〈―スル〉 goo辞典
  9. ^ a b c d e f g h i j k ルノワール 2010. 176 -183 pp
  10. ^ 竹倉 2015. 位置No.1082/2493
  11. ^ 竹倉 2015. 位置No.1102/2493
  12. ^ a b 梶原 1992
  13. ^ 森本 2003, pp. 191-192.
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  15. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1008/2493
  16. ^ a b c d e 第1部 基調講演 脳死・クローン・輪廻 梶山雄一氏
  17. ^ 釈徹宗『仏教ではこう考える』学研パブリッシング 、2013年
  18. ^ a b c 唯識派 piicats 仏教の勉強部屋
  19. ^ 制作:野沢正信 (沼津高専 教養科 哲学)cf.第3章 インド仏教の発展
  20. ^ a b c d ダライ・ラマの化身認定制度について - ダライ・ラマ法王14世日本公式サイト
  21. ^ Dalai Lama、Alexander Berzin "The Gelug/Kagyu Tradition of Mahamudra", Snow Lion, January 1, 1997, p.368
  22. ^ a b 伊佐敷隆弘 2012.
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  24. ^ a b c 堀江1992.
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  27. ^ グレゴワール 1992.
  28. ^ 竹倉 2015. 位置No.12391/2493
  29. ^ 竹倉 2015. 位置No.1294/2493
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  31. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1168/2493
  32. ^ a b c 山田 2014.
  33. ^ 竹倉 2015. 位置No.1237/2493
  34. ^ 竹倉 2015. 位置No.1246/2493
  35. ^ 竹倉 2015. 位置No.1254/2493
  36. ^ 竹倉 2015. 位置No.1186/2493
  37. ^ もし人間が生まれ変わるなら霊を呼び出すことは不可能なはずなので、本来は両立しない。
  38. ^ 類魂説は、死後存続やテレパシーを研究した フレデリック・マイヤーズ(1843年 - 1901年)が亡き後、死後の世界で生前の研究を進め心霊論をまとめ、死後30年たってから霊媒ジェラルディン・カミンズを通して現世に伝えたものだとされている。
  39. ^ a b 仏教と西洋の出会い チベットへの憧れ、「鏡」としての歴史 柄谷行人公式ウェブサイト
  40. ^ 伊泉龍一「現代チャネリングの原点にして頂点、ジェーン・ロバーツとセス―スピリチュアル史解説[コラム]」 マイナビニュース
  41. ^ クリモ 1991.
  42. ^ a b 教皇庁 2007.
  43. ^ 吉永 2010.
  44. ^ 宮元 2005.
  45. ^ 大田 2013.
  46. ^ 沼田 1986
  47. ^ 本作では、前世の仲間探しにオカルト雑誌の投稿欄が利用され、これにより学校外の前世の仲間と再会している。また本作における転生は、現在の自分(主人公)と前世の自分が互いに相手の夢を見ており、単純に直線的な転生とも言い難い面がある。作者のもとには読者から熱狂的な手紙が多く届き、集団自殺未遂事件(後述)のあと、作者は連載中にこの作品はフィクションであるという宣言をした。
  48. ^ 前世の仲間探しでは、自らの前世を「戦士」とするものがほとんどであったという。新山哲は、前世少女が戦士を選ぶ心境と、自分をボーカルとして他のバンド仲間を探すバンド少年の投稿とに似た印象があると述べ、共通点として「とりあえず何もできないけど主役になりたい気持ち」を指摘してる。
  49. ^ a b サークル「喫茶《ぱらだいす☆あ~み~》 (2000年9月7日). “前世の仲間探し/ 戦士症候群”. 2015年11月20日閲覧。
  50. ^ a b c d e 赤坂 2000
  51. ^ a b バーチャルネットアイドル ちゆ12歳 (2007年3月7日). “『ムー』の“前世少女”年表”. 2016年1月8日閲覧。
  52. ^ 事件直前に彼女たちが見ていたのは映画『魔女の宅急便』であるが、この作品と事件の関係はほとんど注目されていない。
  53. ^ 新山 2000
  54. ^ 有元 2011
  55. ^ a b c 飯田 2016
  56. ^ 泉信行 (2011年6月4日). “「集団転生モノ」のジャンルを拓く、『ログ・ホライズン』と『ボクラノキセキ』”. 2017年5月14日閲覧。
  57. ^ 年間ランキング 小説家になろう
  58. ^ 竹倉 2015. 位置No.1678/2493
  59. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1646/2493
  60. ^ 竹倉 2015. 位置No.1617/2493
  61. ^ 竹倉 2015. 位置No.1637/2493
  62. ^ 竹倉 2015. 位置No.1790/2493
  63. ^ 竹倉 2015. 位置No.1844/2493
  64. ^ 中国政府、チベット高僧の転生に事前申請を要求」、AFPBB News、2007年8月4日。


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