高速バス
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乗車券
座席定員制
座席指定なしで発売される。この場合は事前予約はできないので、乗車時にバスターミナルの窓口で乗車券を購入するか、一般の路線バスの様に車内で直接運賃を支払うことになる。
先着順に乗車し、空いている席に自由に座ることができる。満席となった場合は補助席を利用することになる。しかし、法令により高速道路では立ちっぱなしの乗車はできないため、補助席も埋まると乗車できず、次発の便に回されてしまう。
近距離(100 km程度まで)の高速バスはこの方式を採用している路線が多い。
予約定員制
基本的には座席定員制と同じだが、事前に乗車する便を指定して予約することが原則である。
座席は指定せず、空いている席に自由に座ることができるが、予約していれば、その便の座席が1席分確保されているので満席で乗れない心配はない。予約せずに乗る場合は予約した乗客が優先されるため満席で乗れないことも有り得る。その場合も座席定員制と同様、補助席を利用する。補助席も埋まると次発便へ回される。
座席指定制
予約指定制ともいう。 事前予約を原則とし、発券時に乗車便・座席も指定するもの。ほぼすべての夜行路線や、私鉄・専業系バスの中・長距離路線の大半で、この方式が採用されている。乗車券はバスターミナルなどにあるバス事業者の直営窓口や旅行会社で事前に購入する。購入前に電話で予約ができる路線がほとんどである。
バスターミナルや旅行会社以外での購入方法
次のようなシステムがある。
- みどりの窓口
- JRバスが運行に関わる中・長距離路線の中には全国のJR鉄道駅などに設置されている「みどりの窓口」で購入できる路線がある。なお、ジェイアール四国バスのようにみどりの窓口での発売を全廃したケースもある(2016年6月時点で、ジェイアールバス東北では、みどりの窓口での取扱いを明言しているのは、北東北 - 首都圏間を運行する2路線となっている。いずれも同社単独運行であり、電話予約も北東北側の出発地の担当支店ではなく、仙台駅東口の同社高速バス案内所で受け付けている)。
- インターネット予約システム
- インターネットの普及に伴い、予約用ウェブサイトで空席の照会・予約を受け付けるサービスが1990年代末から始まり、多くの事業者に普及している。ウェブサイトにより空席照会・予約に登録を要するものと登録不要のものがある。予約後にバス事業者の窓口、または次に述べる主要コンビニエンスストアに設置されている多機能端末機(マルチメディアステーション)で申込券を発行してレジで運賃を支払い、乗車券の発券を受ける。また、予約時に予約サイト上でクレジットカードにより支払い、乗車券をプリンターで印刷したり、乗車券の内容を携帯電話の画面に表示させることができる場合もある。
- 高速バスネット - JRバス(原則としてJRバス関東・JR東海バス・西日本JRバスの3社が関与している路線のみ。例外はB&Sみやざき号)の高速バスの大半。ドリーム号(ジェイアールバス東北路線分は、後述の発車オ〜ライネットとの併用)の大半、中央ライナー、昼特急など。
- 発車オ〜ライネット - 私鉄系バスの中・長距離の大半路線、東京〜京阪神系統以外の主なJR高速バス、ジェイアールバス東北及び東北地方を主要基盤とするバス会社が担当する路線のほとんど
- ハイウェイバスドットコム - 中央高速バス・中央道高速バスなど、主に京王バスと名鉄バスが運行に関わる中・長距離路線および九州のバス事業者が運行に係わる中・長距離路線
- 両備高速バス予約システム - 両備ホールディングス(両備バス)が運行に関わる中・長距離路線
- マルチメディアステーション
- 上記のように、コンビニエンスストアに備え付けられているマルチメディアステーションで乗車券を予約・購入し発券できる路線が多い。
- この場合、マルチメディアステーションで路線や便を検索して直接予約する方法と、あらかじめ電話や前述のインターネットサイトで予約した便の乗車券を、マルチメディアステーションで予約番号などを入力の上で申込券を発券する方法がある(電話窓口や予約サイトでコンビニ払いを指定した場合)。取扱い路線はそれぞれ異なる。これらの場合、乗車券購入時にマルチメディアステーションで出力される申込券をレジへ持参し、運賃を支払った後、レジに接続されているプリンターから乗車券が発券される。
高速バス乗車券・乗車票・指定券一例
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京浜急行電鉄(当時)窓口発行
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小田急SRシステム発行
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JR東海バス車内発行
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高速バスネット 窓口発行
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高速バスネット 自動券売機発行
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高速バスネット 携帯電話画面に表示
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日本旅行バスぷらざ 自身で印刷
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両備高速バス予約サイト ローソンにて発券
旧ツアーバス転換路線
ツアーバスから移行した新高速乗合バスの場合、上記とは異なる独自の予約サイトを持ち、窓口を持たず支払方法をクレジットカードまたはマルチメディアステーションでの支払いに限定し、乗車券を発券しない場合が多い。
また、新高速乗合バスでない高速乗合バスは乗車券を発券した際に座席も指定されるが、新高速乗合バスは運賃を支払ってもその時点では座席が指定されず、当日の乗車時に乗客の性別などを考慮して座席が設定され、各乗客に連絡される場合が多い。
注釈
- ^ 例えば千葉交通では成田空港リムジンバスと都市間高速バスを高速バスと称している。
- ^ 盛岡〜宮古間の「106急行バス」や、熊本〜大分のやまびこ号、京阪京都交通と京都京阪バスの立命館大学(BKC)線など。
- ^ 新直轄方式で建設された区間など、サービスエリアやパーキングエリアが設置されていない区間が長距離にわたる経路を走行する場合、高速道路を降りてインターチェンジ付近の道の駅で休憩をとる場合もある。
- ^ バス路線によっては、乗務員交代や車両点検など乗客の休憩以外の目的でサービスエリアやパーキングエリアに停車する場合もある。
- ^ 当時の長距離昼行便は同じ区間を走行する夜行便と車両を共通運用していたケースが多く、ダイヤの設定が事業者側の都合で決められがちで、必ずしも利用者のニーズに合致していなかったということも一因であった。
- ^ 1998年9月の東急バスの夜行高速バス事業の撤退後、2016年4月より子会社の東急トランセが夜行高速バス事業に再参入した。
- ^ 四国への航空路線も伊丹と徳島・高松を結ぶ路線は、明石海峡大橋開通後は廃止に追い込まれている。
- ^ 昼特急の車両は夜行便との共通運用だが、事業者側の都合を優先したダイヤではなく、あくまでも昼行便として利用しやすい時間帯に設定されたことも成功した一因であった。
- ^ 特にJR西日本が新快速の運転区間拡大・増発・スピードアップを図り、滋賀県 - 京阪神の交通は高速バスよりも鉄道(JR)が優位に立ったことも原因である。
- ^ 日本の高速道路にはバスレーンが無いが、海外では京釜高速道路の一部区間でバスレーンがある。
- ^ 高速バスは明言されていないが、割引対象車種には「一般乗合旅客自動車運送業を営むものが運行するバス」も含まれている。
- ^ ただし現在は郡山市内のルート変更と停留所の増加で以前ほど差はなくなっており、ラッシュ時では鉄道より遅くなる傾向にある。
- ^ 一例として、名鉄バスは分社前の名古屋鉄道時代だった2003年に無免許運転の隠蔽事件を起こし2年間の新規バス路線の開設禁止処分を受けたが、これを適用すると2005年1月開港の中部国際空港への系統や同年開催の愛知万博関連の輸送系統が運行できなくなる事態が考慮されたためこの特例が認められ、実際に地元自治体からの要請により新規系統の開設が認可されている。
出典
- ^ 道路運送法施行規則 - e-gov 法令検索
- ^ 高速バス予約(楽天トラベル)や バスサガス(スタイルサーチ)など(両サイトで扱っている路線は全てツアーバスであった。新制度導入のため現在はツアーバスは存在しない)。
- ^ “バス車内用USB充電器「すまぽうと」を開発~観光バスに乗りながら、スマートフォンが充電できる~”. レシップ株式会社 (2016年1月6日). 2016年9月23日閲覧。
- ^ “バスはどれほど長持ちするのか”. 乗り物ニュース (2018年3月31日). 2018年3月31日閲覧。
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- ^ a b 『高速自動車道における乗合自動車停留施設の設置基準の作成に関する調査』建設省道路局高速道路課、1966年3月、48-49頁。
- ^ 『阪急バス50年史』阪急バス、1979年4月、191頁。
- ^ a b 高速道路料金の引下げの実施について 国土交通省
- ^ 鳴門-阪神線21日廃止 高速バス路線で初、「1000円」影響(徳島新聞 2010年1月15日)
- ^ 高速バス廃止相次ぐ 「上限千円」が影響(朝日新聞 2010年1月16日)
- ^ 鳴門-阪神線が廃止 高速バス、他社も路線削減の動き(徳島新聞 2010年1月22日)
- ^ 福岡空港―佐賀、3月から減便 西鉄高速バス(佐賀新聞 2009年7月31日)
- ^ 高速料金「上限1000円」 地方にもたらした意外な弊害 J-CASTニュース 2009年9月29日
- ^ お客さまへの大切なお知らせ
- ^ 「どんたく」「ムーンライト」片道運賃大幅割引キャンペーン (PDF) 西鉄バスインフォメーション
- ^ 高速乗合バス長崎-大阪線の廃止について (PDF, 長崎県報道発表資料(交通局営業部運輸課) 2013年2月18日)
- ^ 西武高速バス 新潟線運賃表
- ^ 夜行バス臨時便、年末年始なのに運行減 運転手不足で –日本経済新聞電子版 2018年12月27日掲載 2019年11月23日閲覧
- ^ 芸陽バス、高速2系統休止 –中国新聞デジタル 2019年10月30日掲載 2019年11月23日閲覧
- ^ 7月31日夜からの新高速乗合バスの運行開始について 国土交通省自動車局旅客課、2013年7月30日(2013年8月5日閲覧)。
- ^ 高速ツアーバス、7割撤退…8月から規制強化で 読売新聞社、2013年7月31日(2013年8月5日閲覧)。
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- ^ a b “新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響について(国土交通省)”. 2021年10月3日閲覧。
- ^ コロナ禍で売り上げ8割以上減のバス会社 Wi-Fi、トイレなし「格安高速バス」で活路
- ^ 高速バス「運転手不足」で路線廃止が続く深刻度 – 東洋経済ONLINE 2023年11月20日付記事 2024年1月28日閲覧
- ^ “車内での安全(シートベルトの着用)について”. JRバス東北 (2019年). 2023年12月21日閲覧。
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- ^ “JR東日本物流、地域活性物流スタート 青森から第1号便”. 物流ニッポン新聞社 (2016年4月11日). 2016年8月15日閲覧。
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- ^ “2016年10月4日 常陸太田市と連携 中野区内で朝採り新鮮野菜を販売”. 中野区 (2016年10月4日). 2016年11月14日閲覧。
- ^ “中野区と常陸太田市、高速バスで野菜直送”. 日本経済新聞 (2016年7月21日). 2016年11月14日閲覧。
- ^ “新鮮・早い・安い 高速バス「相乗り」野菜 常陸太田→都内 採れたて昼前に”. 東京新聞 (2016年10月26日). 2016年11月14日閲覧。
- ^ “高速バス路線を活用した“貨客混載”による 飛騨高山の農産物の販路拡大事業をスタートします” (PDF). 京王電鉄 (2017年9月8日). 2018年10月29日閲覧。
- ^ “高速バス路線を活用した“貨客混載”による農産物等の販路拡大事業に長野県駒ヶ根市が加わります!” (PDF). 京王電鉄 (2018年6月21日). 2018年10月3日閲覧。
- ^ “高速バス・夜行バスには休憩はある?高速バスの休憩時間と回数、過ごし方を解説”. ウィーラートラベル (2022年3月17日). 2023年12月21日閲覧。
- ^ “【ご案内】年末年始に高速バスをご利用のお客さまへ”. JRバス東北 (2023年). 2023年12月21日閲覧。
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