海部観光とは? わかりやすく解説

海部観光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 09:53 UTC 版)

海部観光株式会社
Kaifu kanko co., ltd.
フラッグシップ車両「マイ・フローラ」
種類 株式会社
本社所在地 日本
779-1401
徳島県阿南市内原町宮国31-1
北緯33度43分42.45秒 東経134度31分48.96秒 / 北緯33.7284583度 東経134.5302667度 / 33.7284583; 134.5302667座標: 北緯33度43分42.45秒 東経134度31分48.96秒 / 北緯33.7284583度 東経134.5302667度 / 33.7284583; 134.5302667
設立 1996年6月5日[1]
業種 陸運業
法人番号 4480001007950
事業内容 乗合バス事業・貸切バス事業
代表者 代表取締役 浦西 奈美、山元 浩文
資本金 2550万円
純利益 7万4000円(2020年03月31日時点)[2]
総資産 9億7518万1000円(2020年03月31日時点)[2]
主要株主 ナオヨシ株式会社[3]
外部リンク https://www.kaifu-kanko.co.jp/
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海部観光株式会社(かいふかんこう、英語: Kaifu kanko co., ltd.)は、徳島県海部郡美波町に本社を置く貸切バス高速路線バス事業者、旅行会社である。コーポレートスローガンとして「徳島の先頭を走り続けたい」を掲げている[4][5][6]

徳島県バス協会会員[1]社団法人全国旅行業協会正会員[1]

2020年令和2年)11月より、東京都千代田区有楽町に本社を置くナオヨシ株式会社の連結子会社となっている[3]

概要

高速バス「マイエクスプレス」(ツアーバス時代)

1996年(平成8年)6月5日、当時バス運転手として働いていた打山昇が会社を創業し[6][1][7]、同年7月10日付で旅行業登録を受け[1]旅行会社として事業を開始したという比較的新しい事業者である[7]

当初は有限会社として創業され、のちに株式会社に改組された。その名残で、現在でも運行する高速ツアーバスや観光バスの集合・待機所等の看板に「海部観光有限会社」と表記したものが見られる。

その後は1998年(平成10年)2月10日付で一般貸切旅客自動車運送事業の認可を取得(四運自旅第71号)[1]、貸切バス事業を開始した。阪急交通社主催ツアー専用のバスを所有・運行している。

当初は観光ツアー向けの貸切バス運行のみを手掛けていたが、2006年(平成18年)10月に阿南徳島東京新宿東京駅)便の運行を開始したのを皮切りに高速ツアーバスに参入した[6][8]

東京⇔徳島間のツアーバスは、日によっては途中で大阪(梅田駅付近)に停車する便もあったため、東京⇔大阪間の利用者も多かった。トイレ付きの3列独立シートを採用している東京⇔大阪間のツアーバスでは、料金が比較的安めに設定されていた。

2011年4月27日に2列12席の全席個室タイプの車両「マイ・フローラ (“MY Flora”) 」を、さらに2012年4月1日からは3列独立21席で「マイ・フローラ」と同様な大型化粧室を備えた車両「マイ・リピート (“MY Repeat”) 」を東京⇔徳島便に就航させるなど、車両施策の面でも主力路線である東京⇔徳島便を中心に特徴的な施策を採っている[7]

中でもフラッグシップ車両の「マイ・フローラ」は、2列12席・全席完全個室タイプという座席配置のほか[7]、各座席に地上デジタル放送BSデジタル放送を楽しめる小型液晶テレビを設置し、桜交通ロータリーエアーサービスから継承したキラキラ号に匹敵する広さの大型トイレを採用するなど、非常に豪華な装備となっている。カーペットが敷かれた車内は土足禁止とされ[7]、乗客は乗車時に専用の上履きに履き替える[7]

また車両の装備を豪華にするだけではなく、乗客を疲れさせないため、揺れない繊細な運転ができるよう、運転手も靴を脱いで運転するという珍しい方針を採っている[7]。新人運転手は研修でこの「揺れない運転」の訓練を受け、4人の指導員が合格を出せば独車となるが、厳しい研修に合格するまで1年以上かかる者もいるという[7]。ちなみに道路交通法では運転中の履物に関する規定はあるが、履物を脱いで運転することについての規定はない[7]

2013年(平成25年)7月30日に一般乗合旅客自動車運送事業の認可を取得[1]、新高速乗合バス制度施行と同時に高速乗合バスに移行した。その後は「マイ・エクスプレス(“MY Express”)」のブランド名を用い、徳島⇔東京便以外にも徳島⇔大阪神戸便を設定・運行するなど、運行路線を拡大している。

2017年(平成29年)3月には徳島駅前営業所構内に徳島県内では初となるバス転車台が完成し、狭い敷地内でも大型バスが安全に回転できるようになった[9]。これは掘削中のトンネル内で大型車両の向きを変えるために使用する特殊な転車台を設置したもの[9]。同社では「お客様にも(転車台を)楽しんでほしい」としており、2017年3月9日付『毎日新聞』地方版では「バスの転車台は珍しく、バスファンの間で話題になりそうだ」と報道された[9]

しかし2020年から本格化した新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化し、海部観光グループは同年9月20日、事業再生コンサルティングなどを手掛けるナオヨシ株式会社(本社:東京都)[10]に株式を譲渡する形で同社の子会社となることを発表[11]。同年11月よりナオヨシの連結子会社となった[3]。なお打山昇は顧問に退いたのち2021年に退職、現在は美波町でタクシー会社を営む傍ら介護タクシーの運転手となっている[12]

沿革

  • 1996年(平成8年)
  • 1998年(平成10年)2月10日 - 一般貸切旅客自動車運送事業認可[1]。貸切バス事業を開始。
  • 2006年(平成18年)
  • 2007年(平成19年)2月23日 - 高速バス予約サイト「高速バス.JP」を開始[1]
  • 2009年(平成21年)3月8日 - 阿南営業所と那賀川予約コールセンターを集約して移転[1]
  • 2013年(平成25年)7月30日 - 一般乗合旅客自動車運送事業認可[1]。新高速乗合バス制度施行に伴い、高速乗合バスへ移行。
  • 2017年(平成29年)3月 - 徳島駅前営業所構内に県内初のバス転車台が完成[9]
  • 2020年(令和2年)

本社・営業所

  • 本社:徳島県阿南市内原町宮国31-1
  • 阿南営業所:徳島県阿南市津乃峰町東分99-9[1]
  • 松茂営業所:徳島県板野郡松茂町広島字北川向四ノ越11-6[1]
  • 徳島駅前営業所・待合「バスオアシス」:徳島県徳島市一番町2-18[1]
  • 無人チケット売り場
    • 徳島駅前チケット売り場[14]
    • 松茂チケット売り場[14]

運行路線

東京線(阿南 - 東京)

阿南市津乃峰町の海部観光阿南営業所と東京地区を結ぶ。バスの種類別(マイ・フローラ、マイ・リピート)に1日最大2往復運行される。京王電鉄バスの高速バス予約サイト「ハイウェイバスドットコム」での予約が可能。

以前は一部の便が大阪(梅田)・神戸(三宮)を経由していたが、2017年1月より停車を取り止めている。

走行距離が700kmを超える[注釈 1] ため、乗務員は2人体制をとっている。また、途中2 - 3カ所のパーキングエリアサービスエリアを経由し、休憩をとる行程となっている。

関西線(阿南 - 大阪国際空港)

海部観光阿南営業所から大阪の中心部である梅田を経由し、大阪国際空港(伊丹空港)までを結ぶ。途中、神戸淡路鳴門自動車道室津パーキングエリアにて休憩をとる。1日9往復運行されている。うち6往復は三宮、5往復はなんばを経由する[15]

過去の路線

  • 関西線(徳島 - 大阪国際空港) ※徳島駅前営業所始終着の路線
  • 関西線(藍住 - 大阪国際空港)
  • 京都線(徳島 - 京都) ※2020年7月28日より運休中

停留所

徳島県内
関西地区
東京地区

関連会社

  • 株式会社フロンティアK(貸切バス事業)

不祥事

  • 2018年6月12日、4月に入社し研修中だった50代の男性運転手(他のバス事業者での運転経験あり、本件の2日後に依願退職)が大阪線に乗務中、ギアを低速のまま走行していたところ、同乗の指導員にギアを上げるよう指示されたが、これに従わなかったばかりでなく、停車予定がない淡路島南PAに入り、以後の運転を拒否する事態が発生した[16][17]。指導員は乗務前に健康状態のチェックなどを含む点呼を受けていなかったため運転を代わることができず、乗客は約1時間後に到着した救援便で目的地へ向かった[16][17]。乗客からの苦情により四国運輸局が監査を行ったところ、安全などに関する講習を運転手全員に受けさせていなかったとして、同年10月24日付で同社と運行を担っていた関連会社に対し文書警告の行政処分を行った[16][17]。同年11月9日、海部観光は徳島市内の阿波観光ホテル記者会見して陳謝し[17][18]、今後は指導員も含む全乗務員に点呼を実施するとした[17]。記者会見ではドライブレコーダーの記録を開示し、案内用マイクのスイッチを入れたまま運転手と指導員が口論した経緯などを明らかにした[17]。運転手は他の職員とのトラブルもなく、会社の事情聴取に対し「なぜこんなことをしたのか分からない」と涙ながらに反省していたという[17]。同社は乗客に対し金銭的な補償をするが、運転手に対する法的措置は検討しないと述べた[17]。同年11月12日、海部観光は公式ホームページに「お詫びと御報告」を掲載した[18]

脚注

注釈

  1. ^ 大阪駅停車の便が740km、それ以外の便については710kmと案内されている。また、所要時間については前者が約11時間、後者が約10時間とされている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 会社概要”. 海部観光株式会社. 2020年8月30日閲覧。
  2. ^ a b 海部観光株式会社 第24期決算公告
  3. ^ a b c d 会社概要 ナオヨシ株式会社
  4. ^ 徳島のバス会社|海部観光株式会社|徳島の先頭を走りたい。”. 海部観光株式会社. 2020年8月30日閲覧。
  5. ^ 海部観光株式会社”. Facebook. 2020年8月30日閲覧。
  6. ^ a b c 「海部観光、阿南・徳島 - 東京線高速ツアーバスに横3列シートの新型車両「MY Repeat」を投入」 海部観光が新型車両「マイリピート (MY Repeat) 」の導入に際して発表したプレスリリース(Microsoft Word文書)。2012年3月16日発表。[リンク切れ]
  7. ^ a b c d e f g h i たった12席の豪華夜行バス、運転士もスゴイ! 揺れない運転のために「靴を脱ぐ」ワケ”. 乗りものニュース (2018年8月10日). 2020年8月30日閲覧。
  8. ^ 「海部観光、阿南・徳島〜東京線高速ツアーバスに横2列シートの最高級車両投入」 日刊工業新聞グループサイトに掲載された企業発表記事。[リンク切れ]
  9. ^ a b c d “県内初、海部観光が徳島市内に 狭い敷地で安全に回転 「乗客にも楽しんでほしい」 /徳島 地方版” (jp). 毎日新聞. (2017年3月9日). https://mainichi.jp/articles/20170309/ddl/k36/040/486000c 2020年8月30日閲覧。 
  10. ^ ナオヨシ株式会社
  11. ^ a b “高速路線バスの海部観光、ナオヨシの傘下に”. 日本経済新聞電子版. (2020年10月20日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65228740Q0A021C2LA0000/ 
  12. ^ 介護タクシーで美波に恩返し 海部観光創業者の打山さん 残りの人生、高齢者の生活支えたい”. 徳島新聞 (2022年1月1日). 2024年10月8日閲覧。
  13. ^ a b c d お知らせ”. 海部観光株式会社. 2020年8月30日閲覧。
  14. ^ a b 券売機での乗車券購入”. 海部観光株式会社公式ホームページ内高速バス.jp. 2019年5月15日閲覧。
  15. ^ 時刻表 2019年5月15日 海部観光
  16. ^ a b c “バス運転手、指導員に逆上し運行中止 淡路で乗客放置 徳島の海部観光”. 徳島新聞. (2018年11月6日). https://www.topics.or.jp/articles/-/121789 2019年7月10日閲覧。 
  17. ^ a b c d e f g h “「なぜこんなことを・・・」 乗客放置のバス運転手、泣きながら反省 海部観光、謝罪会見で明かす”. 徳島新聞. (2018年11月9日). https://www.topics.or.jp/articles/-/123437 2019年7月10日閲覧。 
  18. ^ a b “お詫びと御報告”. 海部観光. (2018年11月12日). https://www.kaifu-kanko.co.jp/%e3%81%8a%e8%a9%ab%e3%81%b3%e3%81%a8%e5%be%a1%e5%a0%b1%e5%91%8a/ 2019年7月12日閲覧。 

関連項目

外部リンク


海部観光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 23:03 UTC 版)

新宿高速バスターミナル」の記事における「海部観光」の解説

2013年8月3日より海部観光が乗り入れ開始東京新宿 - 徳島阿南「マイフローラ・マイリピート」 当初ツアーバスとして運行されていたが、2013年8月高速乗合バス転換際し、4往復のうち専用車両が充当される2往復が当バスターミナル乗り入れ開始した。他の2往復は、旧ツアーバスからの転換路線多く発着する高速バス西新宿発着していた。

※この「海部観光」の解説は、「新宿高速バスターミナル」の解説の一部です。
「海部観光」を含む「新宿高速バスターミナル」の記事については、「新宿高速バスターミナル」の概要を参照ください。

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