高速ツアーバスと高速乗合バスの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 05:40 UTC 版)
「ツアーバス」の記事における「高速ツアーバスと高速乗合バスの比較」の解説
以下に高速ツアーバスと高速乗合バスの主要な相違点を示す。ただし、路線・運行事業者・主催者により取扱いが異なる場合がある。 ここでは類似した移動商品としての比較のみを例示し、「債務不履行の際の補償措置」など直接的な比較に関係ない項目は割愛した。 項目高速ツアーバス(募集型企画旅行)高速乗合バス(路線バス)根拠法令 旅行業法 道路運送法 主催者(利用者窓口) ツアーを企画・主催する旅行代理店 運行する路線バス事業者 運行形態 貸切バス(旅行代理店がバス事業者と契約、または旅行代理店を併営する貸切バス事業者が運行) 乗合バス(路線バスの一形態) 適用約款 旅行業約款(旅行代理店)一般貸切自動車運送事業約款(貸切バス事業者) 一般乗合旅客自動車運送事業約款 運営主体設立時の手続き 旅行主催のための第1種・第2種旅行業登録 一般乗合旅客自動車運送事業の許可 路線新設・改廃時の手続き ツアーバスとしての認可申請等は不要 路線バスとして地方運輸局に認可申請・届出が必要 高速道路の通行料金区分 特大車(貸切バス) 大型車(路線バス) 運賃/料金の弾力性 旅行契約による。参加者向けには弾力的運用が可能ツアー代金そのものは自由料金であるが、貸切バスの運賃は地方運輸局による公示運賃である(上限・下限の範囲内でのみ運賃設定の自由が認められている)。またツアー料金の変動についても旅行業公正取引協議会 による自主管理ルール「募集型企画旅行の表示に関する公正競争規約」により管理されている。 上限運賃変更は国土交通大臣への認可申請が必要実施運賃変更は地方運輸局への届出が必要路線によっては日付や時期により割引運賃となることもある。 割引運賃/料金の設定 小児料金・学生割引・障害者割引の設定がない 小児料金・学生割引(路線による)・障害者割引の設定がある 事前申込方法 旅行代理店のウェブサイト・電話による申込。申込時に募集型企画旅行条件に基づく申込金が必要。 専用ウェブサイト や、電話での予約(事前申込制を採用している路線の場合)、運行会社または提携鉄道会社・バス会社、又は旅行代理店(手配扱)の窓口での事前発券。 利用当日・直前の申し込み 出発数時間前に予約を締め切るケースが多い出発直前の予約や、予約なしでの乗車は原則不可。 空席があれば発車直前の申し込みも可能指定制を実施していない路線は、空席があれば予約なしで乗車できる。 運賃/代金の支払い 指定の支払期限日までに納付利用のつど事前決済が原則で回数券形式での事前の払い込みはできない。 事前発券の場合は発券時に全額支払乗車時に車内で支払(現金または乗車カード利用)できる路線や、回数券・定期券 を発売している路線もある。 申込時に発行される券片(乗車券・バウチャーなど)・書類 バウチャーそのものはチケットレス または出納代行伝票でバウチャーに替える。申込時に旅行契約書の交付等が必要。 事前発券の場合は乗車券が発行される(乗車券に代えて、チケットレスの場合もある)。乗車時に運賃を支払う場合は、乗車券を発行しない。 座席の指定・希望 原則として不可。当日の乗車時に指定された席が通知される。ただし最近では座席を指定できるツアーバスもある。 座席指定便の場合は発券時に座席が指定される。発券システムにより希望座席の指定が可能な場合もある。予約定員制(乗車保証のみの予約)や、そもそも事前予約制を採用していない路線もある。 利用者都合による変更 旅行条件による(便変更であっても旅行の取消し手続きが必要な場合あり) 座席指定でない乗車便変更の場合は乗車券の有効期限内であれば手続不要。それ以外は変更・払戻手続きが必要。 利用者都合による取消・払戻手数料 出発の21日前以前の取消は全額払戻。21日前から旅行開始前までの取消は残日数により代金の20%から50%の取消料が発生する。 出発の2日前までは100円、出発の前日または当日(出発時刻前)は20%の払戻手数料がかかる。 運行条件 旅行条件による。運行に支障となる状況が発生した場合のほか、確定日までに最低催行人数に達しない場合に催行が中止される。 運送約款による。運行に支障となる状況が発生しない限り、乗客の有無にかかわらず運行される。 乗降場所 都市中心部の路上や駐車場、団体バス乗降場が大半。 国土交通省に届け出た所定のバス停留所またはバスターミナル 事故に対する責任の所在と賠償・補償措置 貸切バス事業者がバス運行の安全確保に責任を負う(主催者側にはバス運行の直接の安全確保の責任が生じない)事故の場合はバス事業者の他、ツアーを企画・募集した旅行代理店が特別補償を行う。 路線バス事業者がバス運行の安全確保に責任を負う事故時の場合は運行のバス事業者が損害賠償責任を負う。 路線撤退や業者の倒産時の補償措置 倒産に至るまでに代替交通手段が確保されることはほとんどなく、旅行代理店が日本旅行業協会・全国旅行業協会の保証会員の場合は弁済業務保証金制度 や、非会員の場合は営業保証金制度などによる事後の金銭的補償にとどまる。 倒産に至る前に予約情報や回数券などの引き継ぎを適切に行った上で、他の事業者へ事業譲渡される場合や代替路線が開設される場合、また適切な期間をもって営業終了の予告を行い、事前に購入された回数券なども手数料なく払い戻される場合 が多い。
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