泥クジラ
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「クジラの子らは砂上に歌う」の記事における「泥クジラ」の解説
チャクロ 声 - 花江夏樹 / 演 - 赤澤燈 印・14才。物語の語り手であり、本作の主人公。“泥クジラ”の記録係を務める心優しい少年。なんでも記録せずにはいられない“過書の病”(ハイパーグラフィア)であり、ものを書きたい衝動に駆られたり大量の記録を目にすると頭の中で情報が奔流する発作に見舞われる。この力を活かし、泥クジラで起きた出来事や周囲の自然現象・農作物の収穫高に至るまであらゆることを書き記す記録係になった。見聞きしたことをすぐにメモできるよう屋外でも筆記具を持ち歩いている。ただ情報を整理しないまま大量の記録を書いてしまう傾向があり、紙は貴重だから大事に使うようにとクチバに指摘されたこともある(本人も自覚はしており「自分は記録係には向いていないと思う」と語っている)。 掟に従って個人的な感情は記さず客観的事実だけを記録していたが、後述する帝国の襲撃以降、チャクロの私見や感情を著した個人的な日記となる。これらの日記を書き進めるにつれ、ただ記録保持のためではなく、自らの意志で泥クジラが見舞われた出来事や歴史を世界の人々に伝えるための手記として書き残そうと決意を新たにした。アモンロギアへの航海の最中エマが作り出した泥クジラの「鏡」と遭遇した後、リコスやクチバらと共に泥クジラ深部に隠された空間・「ミゼンの部屋」を発見。残された記録から泥クジラ創世記に起きたとある悲劇を知る。オルカが“あの方”と呼ぶ帝国の誰か、皇帝に瓜二つ。キヴォトスで遠く離れた皇帝にシンクロして仲間を驚かせる。沙洗浄(カタクシュスモス)を引き起こそうとする皇帝(スキア)を止めようとするが、肉体を乗っ取られてしまう。 サイミアの制御が下手で、仲間からは“デストロイヤー”と恐れられる。だが泥クジラ襲撃の際はサイミアを使用して帝国の兵を退けたり、スキロスでの交戦時は飛んできた矢をサイミアで防いだりと戦闘能力は意外と高い。 首長スオウとも幼いころからのつきあいがあり、彼をサミと取り合っていたほど仲が良い。だが思春期の照れと、スオウが首長候補になったのを機に敬語で話すようになった。 不良にちょっと憧れる年頃で、オウニの真似をしてリボンを長く垂らしている。オウニとは元々関わりは薄かったが、リコスがいた廃墟船に共に向かってから接点が生まれ、ネリに見せられた心象風景をきっかけに少しずつ彼を理解するようになる。 リコス 声 - 石見舞菜香 / 演 - 前島亜美 印・14才。本名不明。本作のヒロイン。泥クジラ誕生以来初めて、外界からの来訪者として現れた褐色の肌の少女。廃墟と化した船の上で放心していたところをチャクロに発見される。その存在が泥クジラ、そしてチャクロの運命を大きく左右する引き金となる。流刑囚の子孫である泥クジラの住人を皆殺しにしようと襲来した帝国の軍指揮官・オルカの妹。当初は帝国に属する“人形兵士「アパトイア」”の1人として、人間の感情を吸収して食べる「ヌース・リコス」により感情を失っていたが、ヌース・リコスから離れたことで次第に感情を取り戻していく。泥クジラでの生活を通して泥クジラの住人を「希望」あるいは「自分達が見失ったものを無くしていない人々」と捉えるようになり、自らの母国が泥クジラを襲撃した際はチャクロの前で涙を流した。また長老会がヌース・ファレナを破壊して泥クジラを沈めようとした時には身を挺してこれを阻止し、以降は帝国を離反してチャクロ達泥クジラの民に協力することを誓う。 元々兵士であるためにサイミアを使った戦闘能力にも優れ、初めてチャクロと会った時は複数の剣を同時に操作して攻撃を行ったほか、帝国の小型浮遊船を墜落させるなどの技能を見せる。武器を使った近接戦では、短剣や泥クジラの自警団が用いるものと同型の投擲武器も使用した。 随所でチャクロに少女らしい仄かな恋心を寄せる描写も見られるが、恋心を隠すなど普通の人間らしい心情を持つようにまでなる。 サミ 声 - 金元寿子 / 演 - 宮崎理奈、高橋果鈴 印・13才。スオウの妹でチャクロの幼なじみ。チャクロと非常に仲が良く、(リコスに対する嫉妬もあり)歩き疲れるとチャクロにだっこをねだることもあるなど、チャクロに好意を寄せていたことが推測できる。ただリコスのことは「綺麗な人」と高く評価しており、彼女の着衣の刺繍から『リコス』という名前を与えたのもサミである。帝国の最初の襲撃で咄嗟にチャクロを庇い、死んでしまった。 死後もチャクロの前に投影として現れ彼に恋心を伝えると共に、悲しみで自暴自棄になっていたチャクロに対して、役割があるから生きなければ駄目だと諭した。 スオウ 声 - 島﨑信長 / 演 - 崎山つばさ 無印・17才。泥クジラの次期首長候補の少年。女性と見間違うほど美しい容貌の持ち主であり、島の内外を問わずその美貌が女性を魅了し、それを利用することもしばしばある。首長タイシャの跡継ぎとして期待され、チャクロら年若い者からの信頼も厚い。印の若者達の短命を憂い、彼らの寿命を伸ばすための研究を続けており、その一端として薬や栄養剤を作る知識・技能を持ち合わせている。反面運動神経は鈍くサミにも指摘されているほか、ネズには「超運動オンチ」と言われるほどであり、戦闘行為も不得手(ただしチャクロ曰く日々の畑仕事のおかげで力はそれなりにあるようで、チャクロが補助すれば泥クジラの土壁を登ることもできる)。普段は穏やかな物腰の人物だが、泥クジラの脅威に対しては毅然と立ち向かう強かさも併せ持つ。 タイシャの死により正式に首長になる。リコスに帝国の秘密の一端を教えられるが、泥クジラ破壊と流刑囚の末裔たる自分達の抹殺には別の理由もあるのではと考えている。帝国率いるスキロスとの再戦の際は作戦の立案と全体指揮を担当した。 タイシャ 声 - 久川綾 / 演 - 中川えりか 無印・42才。スオウの先代の首長だった女性。執政権を持たない象徴としての自身のあり方に思い悩む節もあったが、それ以上に、泥クジラに住む人々の象徴であるべく職務を全うする道を選ぶ。帝国の最初の襲撃で絶命した。泥クジラには首長は家族を持ってはならないという決まりがあったため、生涯独身であった。 16年前の砂刑暦77年11月(首長任期17年の内1年しか経っていない初期のころ)、ミゼンが生まれた「ミゼンの部屋」に数日間監禁されていた過去がある。 クチバ 声 - 鳥海浩輔 / 演 - 一内侑 無印・39才。亡き先代の首長タイシャに想いを寄せていた。タイシャの側近を務めていたが、彼女の死後は後継者であるスオウの側近となる。やや気が短く、口が悪いが面倒見の良い人物。長老会から印の妻スミを押しつけられ、キクジンという印の子を持つ一児の父親でもある。なお、スミとは数年後に死別している。 印のマソオとは腐れ縁で顔を合わせるたびに悪態をついていたが、徐々に衰弱していく彼を見て心を痛める様子も見せる。 泥クジラの「鏡」に遭遇した際過去のタイシャの姿と「ミゼンの部屋」の一部を目撃し、オウニを助けるため「ミゼンの部屋」の捜索を試みるチャクロ達に協力する。この行為には泥クジラに秘められた謎を明らかにし、これ以上皆が泥クジラの秘密に振り回されるのを避けたいという意志も含まれていた。タイシャが首長部屋に密かに残していた記録からヒントを読み解いたり、字体の乱れた手紙を見て、目を塞がれていたなど普通の状態ではなかったためではないかと推察するなど、タイシャが絡む事象については異様に勘が冴える。 シノノ 声 - 葉山いくみ / 演 - 小林未往 無印・33才。過去に印の夫を失っているため、同じ印のマソオを愛しながらも気づかないふりをしている。そんな自身を嫌悪している。大酒飲み。 マソオ 声 - 内匠靖明 / 演 - 村田洋二郎 印・28才。クチバとは20年来の腐れ縁。砂の海の事故で娘を亡くしている。サイミアの能力にも優れ、自警団の勧誘を受けたこともあるが、自らの意志で断っているため自警団には所属していない。チャクロら子供達の兄貴分であり、チャクロが初めて体内エリアの奥に侵入を試みた時は彼に協力した。酒癖が悪く、酔うと泣き叫ぶ。 印としての寿命が近づいていることで体が弱ってきており、途中からは医務室で静養の身となる。やがてアモンロギア到着を間近に控えた第33節「我らの戦士のように」にて、その生涯を終えた。無印のシノノを愛していた。腐れ縁と言いつつクチバとは信頼し合い、亡くなる直前、精神だけで彼に別れを告げに赴いた。 オウニ 声 - 梅原裕一郎 / 演 - 山口大地、財木琢磨 印・16才。泥クジラの問題児グループ「体内モグラ」のリーダー格の少年。数年前から泥クジラ居住区の片隅に姿を見せるようになり、両親や出自について知る者は誰もいない。地下に生息する発光生物「ウイジゴケ」を連れている。普段は素っ気ない態度を取るが、仲間を守ろうとする情に厚い一面も秘めている。外の世界に憧れ、いつか島の外に行くことを夢見ているが、印故の短命から残された時間に対し焦りを覚えている。帝国からの襲撃で外の世界が自分や仲間達が想像していた世界とまるで違うものであると思い知らされる。この際体内モグラのメンバー二人を帝国の兵に殺害され、サイミアと剣による戦闘を行い帝国の兵を圧倒した。 泥クジラ随一のサイミアの使い手であり、非常に高い戦闘能力を持つ。船艦スキロスへの突撃部隊のメンバーに選出された際にも他者を寄せ付けない実力を見せ、帝国の兵から「汝はファレナの“悪霊(デモナス)”か」と問われた。スキロス最奥部の体内エリアでの戦闘で親友ニビを失ったことでサイミアを暴走させ、結果ヌース・スキロスを破壊する。この時使用したサイミアは器物を介さずに直接帝国の兵やヌースに損傷を与えるなど特異な性質を有していた(そもそも体内エリアはサイミアが使用できない空間であり、ここでサイミアが発動した時点で既に通常とは異なる状態)。以降、オルカを始めとする帝国側からは異端の存在「デモナス」として目をつけられている。 帝国との戦いの後一時的にサイミアの能力を失うが、以前と変わらず接するチャクロやスオウに対し僅かに心を開くようになる。ところがその矢先、第25節で“泥クジラ”の「鏡」と遭遇し、倒れて意識不明の状態に陥った。チャクロ達が「ミゼンの部屋」を捜索する最中に意識が回復しサイミアも戻ったが、スキロスで使用したものと同類の特異なサイミアが暴走した状態にあったため、意図せずにキチャやスオウに傷を負わせてしまう。そのためこれ以上誰かを傷つけないよう他者と距離を置くようになるが、チャクロやスオウの説得と、魂となって現れたマソオの後押しにより彼らのもとへ戻った。 アモンロギア到着以降は変質した新たなサイミアを行使するも、あまりに高い出力を完全にコントロールするまでには至っておらず、対象に想定以上のダメージを与えてしまうことがあるほか、力を使用することによる消耗も以前より激しくなっている。 ニビ 声 - 田丸篤志、諏訪彩花(幼少期) / 演 - 田口涼 印・17才。体内モグラの一員の少年で、元々は彼がリーダーを務めていた。幼少のころオウニにちょっかいをかけたことがきっかけで情念動(サイミア)を使った大喧嘩に発展し、二人揃って体内送りにされた際にオウニを自分達の仲間に引き入れる。この時「お前を(泥クジラの)外に連れ出してやる」と告げたことが、彼やオウニが外の世界に行くことを目指すきっかけになった。同じ体内モグラの一員である双子シコクとシコンとは折り合いが悪く、対立していた。 スキロス防衛戦の際には特別任務突撃隊に半ば飛び込むように参加し、負傷しながらも善戦する。スキロス最奥部にて劣勢となっていたオウニの加勢に入り敵を退けるも、“人形兵士(アパトイア)”の槍に貫かれて致命傷を負い、オウニを庇って絶命。外の世界に憧れを抱きつつも、オウニや仲間達と過ごす泥クジラでの日々にも充実感を覚えていた。 キチャ 声 - 朝井彩加 / 演 - 椙山さと美 印・14才。体内モグラ唯一の女の子。耳のついた帽子と、少し男っぽい話し方が特徴。オウニに想いを寄せており、帝国による最初の襲撃の後捕縛したアパトイアから情報を聞き出したことをマソオに非難された際は真っ先にオウニを擁護した。 またオウニのサイミア暴走に巻き込まれて傷を負ったのちも彼を想いチャクロやスオウの前に立ちはだかるが、暴走をきっかけに憔悴する彼の様子に心を痛め、オウニを助けてほしいと涙ながらにスオウへ懇願した。 ジキ 声 - 鈴木崚汰 印・17才。体内モグラの一員。 アイジロ 声 - 野上翔 体内モグラの一員。帝国による最初の襲撃の際に絶命。 ブキ 体内モグラの一員。帝国による最初の襲撃の際に絶命。 ギンシュ 声 - 小松未可子 / 演 - 小市眞琴 印・16才。自由奔放な性格で、誰にでも勝手にあだ名を付けていく男勝りの女性自警団員。スキロス防衛戦および戦艦スキロス破壊戦の際活躍した。帝国の襲撃以来、敵の兵士に反撃をしたチャクロに興味を抱いている。チャクロに対する呼び名は「チャッキ―」。 自警団員の中では比較的柔軟な発想の持ち主であり、意図が読めない長老会の命令よりもチャクロの懇願を優先したりと、自分の気持ちに正直。 シュアン 声 - 神谷浩史 / 演 - 五十嵐麻朝、有澤樟太郎 印・26才。自警団を率いる団長であり、長老会の1人・ラシャの息子。団長の名に相応しい高い戦闘能力とサイミアの力を持ち、オウニとの戦闘においても引けをとらない。自他を問わず命に対する執着が薄く、自身の妻に対しても形としては見えない心の意義を否定している。常に底の見えない飄々とした態度を取るが、与えられた職務は全うする筋らしく、スキロス防衛戦ではリョダリの襲撃を受けたスオウを助け、リョダリを退けた。 第25節「遭遇」でのビャクロクによれば救いを必要とする心の傷があり、もう1つの“泥クジラ”とすれ違った瞬間、母親と少年時代の満面の笑みを浮かべた自身の幻を見て動揺する。印の子供を「デモナス」に作り変える禁忌の実験の犠牲者であり、ファレナが食べてきた命と合成されたことによって自分自身という存在を見失っている。なお、右眼はその時から濁ってものが見えるようになった。 アモンロギア到着前に自警団の団長を退き、寿命が近づいてサイミアが使えなくなったと虚言をついて無印達のアモンロギア入りに同行。アモンロギア公の無理難題に真っ向から対立したスオウを守り、サイミアを発動させたことで左眼を潰され、無印と共に身柄を拘束される。 紆余曲折を経てオルカと共に戦艦イェラキに戦艦カルハリアスをぶつける作戦でイェラキの魂形に飲み込まれ、キヴォトスを目指した皇帝と共に現れる。 シエナ 団長シュアンの妻。襲撃の際、「死に様は美しく」と夫に言われ、その通りに命を絶った。妻の死にシュアンは涙を流したが、その時でさえ自分が悲しんでいると認識することが出来なかった。後にアモンロギアに囚われたシュアンの元へ、幻となって現れる。 トクサ 声 - 山下誠一郎 印・21才。時自警団第3版班長で、スキロス突入隊隊長。未婚。班員や、周りの人々のことを頭を撫でて褒めている描写が多くみられる。また、スオウと友達でスオウに信頼されている。3巻12話で、スキロスの体内エリアにて敵兵に打たれて多くの仲間とともに殺された。その際も「ごめん…スオウさま 失敗しちゃった… あーあ もっと…なでてあげたかったなあ…」と言い、スオウにもらったお守りを見つめながら亡くなったことから、スオウとの信頼関係の高さが伺える。 ハクジ 声 - 津田英三 / 演 - 加藤靖久 無印・72才。長老会の一員。最初の帝国の襲撃で誇りを持って皆で死ぬことを選ぶが、チャクロらの反対と帝国の兵士だったリコスの説得により生きて未来を掴むことを決意する。2度目の襲撃で子供らの幸福な未来を願いつつ絶命した。 ラシャ 声 - 横尾まり / 演 - 田中良子 無印・63才。団長の母親。長老会の一員。周囲からは変わり者と言われている。 コガレ 声 - 綿貫竜之介 チャクロの祖父。無印で長老会の一員だが、長老会の服装を纏うことなく皆と同じ服装をしている。インクに使われるタデスミの染料で髪を黒々と染めている。最長老ビャクロクが10才の時に生を受けた。 カナエ 無印・36才。首長側近でロウの母親。 フラノ 声 - 前川涼子 無印。首長側近で、スオウたち無印がアモンロギアに向かった際、泥クジラに残って首長代理を務める。 スミ クチバの妻。故人。印の上に体が弱かったため、長老会からの計らいで若いうちからクチバに嫁ぐ。クチバを愛しており、クチバがタイシャに好意を寄せているのを知っていても、それを許していた。 キクジン 声 - 芳野由奈 印・9才。首長スオウの側近クチバの子。父を「お父(おとう)」と呼ぶ。チャクロの祖父コガレを文字の師匠と仰ぎ、師の孫であるチャクロの観察者である。時折、数年後のチャクロとの対話が挿入される。第1節冒頭のベニヒの葬儀からずっと登場していたが、特に名前も呼ばれることもないその他大勢の印の子供の1人として描かれたが、第5巻に収録された「-或る記録-記録者の譚歌(バラッド)」より名前を呼ばれ、人間関係が明らかになる。 ミル 無印・13才。次期首長の少女。掃除が下手。文字の読み書きが得意で、本人曰くチャクロより字が綺麗。 シコン、シコク 声 – 榎木淳弥、八代拓 体内モグラに所属する双子の印の少年。オウニに惹かれてはいるが、ニビと折り合いが悪く対立関係にあり、体内モグラの中でも異端の存在となっていた。無印を足手まといだと蔑み、印こそが泥クジラを先導すべきだと住民の間に亀裂を生じさせる。謎の少女エマに唆される。ネズを脅してチャクロらが隠していた「ミゼンの部屋」の秘密を聞き出し、オウニに対して先手を打とうとするが、シュアンの乱入により失敗に終わる。 ベニヒ 印・29才。チャクロらのサイミアの教師。物語開始前に死去し、第1節冒頭で葬儀が行われた。供花はシシイロギク。 ネズ 声 – 田村睦心 / 演 - 浅倉祐太 印・15才。工房の一員で、チャクロやロウと行動を共にすることが多い。無類の発明好きで、アモンロギアの技術者ドディを師匠と仰ぐ。 ロウ 声 – 菅原慎介 / 演 - 平野雅史 印・15才。工房の一員。ネズと同様無類の発明好き。口数が少なく表情が乏しいが、母親思いの一面もある。 トビ 声 – 古川慎 印・16才。チャクロと同じ班で共同生活を送っている。幼い姉妹が3人おり、面倒見がよい。 ウルミ 声 – 諏訪彩花 印・15才。同世代の女の子たちのリーダー的存在。サイミアの扱いには長けており、スキロス突撃などの特別任務の際には必ず召集されている。 ネリ、エマ 声 - 加隈亜衣 / 演 - 大野未来 無印。チャクロやビャクロクの前に現れる謎の少女。容姿は瓜二つだが性格は正反対。 ネリは当初無印を名乗り長老会の世話係として振舞っていたが、ひとりチャクロの前に現れてサミを始めとする泥クジラの人々の幻影と心象風景を見せ、残った人々の心を繋いでほしいと彼に願う。長老会によるヌース・ファレナの破壊が未遂に終わった後、ファレナの傷を癒すためにその内側へと取りこまれたが、後に泥クジラへ戻ってきた。若かりし日のビャクロクの前にも今と変わらぬ姿で現れ、彼とミゼンを引き合わせた張本人でもある。「ネリ」という名前はビャクロクが付けたもので、エマ曰く彼女も本当は「エマ」であるらしい。 一方エマはファレナの胎内に戻ったネリと入れ替わるように泥クジラに現れ、彼女と色違いの黒い衣装を纏ってチャクロと邂逅する。控えめな言動の多いネリとは逆に明るい性格をしているが、同時に生存のための争乱を好み、泥クジラの民がスキロスとの戦闘を行っている間も微笑みながらその光景を見守っていた。また泥クジラの体制に不満を覚える印の双子・シコクとシコンを唆し、新たな争いの種を生もうと画策する様子も窺える。 ビャクロク 声 - 清川元夢 無印・93才。長老会の最長老。3代目首長。母の胎内にいたころに母とその仲間が流されたため、帝国に関する思い出は無い。砂上生活に適応できなかった母親が早逝し、そのため初代首長ズィオを母や姉のように慕っていた。しかし、10歳の時から太陽のように輝く彼女の瞳が濁り曇り始め、人々に傷を負わせ命を奪うミゼンがズィオの命令で行動していることを知る。ズィオとミゼンが自ら死を選んでから9年後の25歳の時、首長になった。第25節で幽霊のような過去の“泥クジラ”の幻影と遭遇した際、チャクロを少年時代のコガレと間違えながらも別人のように振る舞い、倒れたオウニも団長も救えると告げるが、その直後、危篤状態に陥り周囲は万が一を覚悟する必要に迫られる。 ズィオ 泥クジラ(ファレナ)の初代首長。故国である帝国の感情統制に反対して、「ヌース・アンスロポス」に奪われる感情を最小限に抑える「魂肉(サルクス)」を高官の屋敷から盗んでは人々に分け与える義賊行為をしていた。仲間と共に「革命」を画策するも帝国に露見し、砂の海に浮かぶ島・ファレナへ流刑に処された。天使とも悪霊(デモナス)とも呼ばれる存在を生む一族の一人であり、ファレナに隠された「泉の部屋」(チャクロ達が「ミゼンの部屋」と呼んだ空間と同じ場所)でミゼンを生んだ。密かに愛していたエカトを処刑してでも島の仲間を守ろうとしたが、次第に心を病んでゆき当時のリーダー組織「塔上会」との対立の末に投身自殺した。 チャクロらが第22節「時の塔」で出会った王子が慕う叔父、帝国に滅ぼされた白い道の王国の宮廷道化師に飾り玉を譲り受け、耳飾りとして身につけている。彼にとって敵である帝国の民を笑わせようとする姿に心を打たれ、議会に反して“心ある世界”を目指す決意をしたのが、活動家として、そして首長になった後の彼女の行動原理であった。 エカト ファレナの囚人を流刑にした国の最高議会「魂召会(エクレシア)」の議員の孫。密偵としてファレナに流されるが、忠誠心を疑われて再教育を受けたこともあり、密偵という形で流刑に処されたかもしれなかった。真相はわからないまま、自ら望んでミゼンに処刑された。 ミゼン(零) かつて泥クジラの隠された空間・「泉の部屋」で産まれた「デモナス」と呼ばれる存在。生まれた当時は10歳の少年の姿をしていた。ダクリ(涙)と呼ぶウイジゴケに似た生物を介してヌース・ファレナが吸収する印の命を生命力として与えられており、ファレナと印がいなければ飢え死にすると語っている。また出生当時から抜きんでた威力とスピードを持つサイミアの能力を持っており、加えて通常は器物を介してでしか使用できないはずのサイミアで直接物や生物を破壊できる特異性も併せ持っている。 ズィオの指先から満ち溢れた情砂(ササ)によって誕生したことから、ズィオを「ママ」「かあさん」と呼び慕う。やがて心を病んでいった彼女の命じるまま、血しぶきだけを残して相手の肉体を消滅させる殺戮行為をするようになる。 生まれたころから自身の感情が希薄であり、母ズィオの「島を守りたい」という願いに従って行動していたが、ネリを通じて出会った若かりし日のビャクロクとも交流を持つようになる。そして自分と母は泥クジラを守れない存在であり、ビャクロクこそが光に満ち溢れた未来に繋がるリーダーなのだということを知り、敢えて彼の槍を受ける。直後に「塔上会」メンバーの矢に身体を射抜かれ、命を落とした。
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泥クジラ
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砂の海を漂流する漂泊船。船上には中央塔から第5塔までの5つの塔や居住区、工房・医務室などを含めた専門塔、農園、貯水池、竹林などがあり、建造物はすべて泥でできている。執政は長老会が行い、物語開始時点での人口は513人。
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