きゅうとは? わかりやすく解説

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きゅう

[副]

強くすったりねじったりするときの、きしる音を表す語。「コルク栓(せん)が—と音をたてて抜ける」

軽く力を入れて締めたりねじったり、こすったりするさま。「はちまきを—と締める」

冷や酒などを一気に飲むさま。「コップ酒を—と空ける」


きゅう【丘】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキウ)(漢) ク(呉) [訓]おか

小高い山。おか。「丘陵円丘砂丘段丘火口丘

土を盛った墓。「丘墳」

名のり]お・たか・たかし

難読比丘(びく)


きゅう【久】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) (呉) [訓]ひさしい

学習漢字5年

[一]キュウ時間長いひさしい。「久闊(きゅうかつ)/永久恒久持久耐久長久悠久

[二]〈ク〉[一]に同じ。「久遠(くおん)」

名のり]つね・なが・ひこ・ひさ・ひさし

難読永久(とこしえとこしなえ)


きゅう【九】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) (呉) [訓]ここの ここのつ

学習漢字1年

[一]キュウ

数の名。ここのつ。「九回九経九卿(きゅうけい)/重九(ちょうきゅう)」

数の多いこと。「九重(きゅうちょう)・九死一生三拝九拝

[二]〈ク〉[一]に同じ。「九月九九(くく)・九分九厘三三九度

[三]〈ここの〉「九重九日

名のり]かず・ただ・ちか・ちかし・ひさ

難読九年母(くねんぼ)・九十(ここのそじ)・九十九髪(つくもがみ)・九十九折(つづらお)り


きゅう〔キウ〕【九】

読み方:きゅう

数の名。8の次、10の前の数。ここのつ。く。

9番目。第9。

[補説] 金銭証書などで、間違いを防ぐために「玖」を用いことがある


きゅう【×仇】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]あだ あた あだする

憎らしい相手。あだ。「仇怨(きゅうえん)・仇敵復仇報仇

(「逑」と通用仲間連れ合い。「好仇


きゅう【休】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]やすむ やすまる やすめる いこう

学習漢字1年

仕事をやめて心身をやすめる。やすむ。「休暇休憩休日休息休養帰休定休不休

活動一定期間停止する。やめる。「休会休刊休講休止休戦休火山遊休閑話休題

喜ばしい。しあわせ。「休祥休戚(きゅうせき)」

休暇」「休日」の略。「産休連休

名のり]たね・のぶ・やす・やすし・よし


きゅう【×厩】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]うまや

馬を飼う小屋。うまや。「厩舎厩肥典厩


きゅう【及】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキフ)(漢) [訓]およぶ および およぼす

ある線まで追いつく。ある範囲まで届く。「及第及落企及言及溯及(そきゅう)・追及波及普及論及過不及

名のり]いたる・しき・たか・ちか

難読埃及(エジプト)


きゅう【吸】

読み方:きゅう

[音]キュウキフ)(漢) [訓]すう

学習漢字6年

息や液体などをすいこむ。「吸引吸気吸血吸収吸入呼吸

すいつく。「吸着吸盤


きゅう【×咎】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]とがめる とが

とがめる。とが。「咎徴罪咎


きゅう【嗅】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]かぐ

においをかぐ。「嗅覚嗅神経


きゅう【宮】

読み方:きゅう

[音]キュウ(漢) グウ(慣) (呉) [訓]みや

学習漢字3年

[一]キュウ

王などの住む大きな建物。「宮城宮中宮廷宮殿王宮月宮後宮迷宮離宮

五刑の一。生殖機能を奪う刑罰。「宮刑

天球区分。「十二宮

[二]グウ

王などの住む建物。「行宮(あんぐう)・東宮竜宮

神社。「宮司(ぐうじ)/参宮神宮遷宮

[三]〈ク〉皇居。「宮内

[四]〈みや〉「宮家宮様大宮仮宮若宮

名のり]いえ・たか

難読外宮(げくう)・春宮(とうぐう)・内宮(ないくう)・守宮(やもり)


きゅう【宮】

読み方:きゅう

宮殿

中国・日本音楽階名の一。五声基音となる第1音

宮刑」の略。

黄道(こうどう)を30度ずつ12区分したそれぞれの部分。「白羊—」


きゅう【弓】

読み方:きゅう

[音]キュウ(漢) [訓]ゆみ

学習漢字2年

[一]キュウ

ゆみ。「弓術弓状弓道強弓(ごうきゅう)・大弓半弓洋弓

弓の形をしたもの。「胡弓(こきゅう)」

[二]〈ゆみ〉「弓矢石弓真弓破魔弓

名のり]ゆ

難読弓場(ゆば)・弓筈(ゆはず・ゆみはず)・弓勢(ゆんぜい)・弓手(ゆんで)


きゅう【弓】

読み方:きゅう

ゆみ。

中国古代長さの単位

弓術で的までの距離をはかる単位。1弓は6尺。

土地測量単位。1弓は8尺。


きゅう【急】

読み方:きゅう

[音]キュウキフ)(呉)(漢) [訓]いそぐ せく

学習漢字3年

進行せかせか速い。いそぐ。「急行急進・急速・急流/早急至急性急

事態がさし迫っている。「急迫急務急用応急火急危急救急・緊急・不急

にわかに。突然。「急遽(きゅうきょ)・急激・急死急転急病急変短兵急

傾斜の度が大きい。「急峻(きゅうしゅん)・急坂

急行」の略。「準急特急

難読急度(きっと)


きゅう〔キフ〕【急】

読み方:きゅう

【一】[名]

切迫した事態また、突然の変事。「風雲—を告げる」「国家の—を救う」「—を知らせる」

急いですること。「—を要する仕事

舞楽や能などで、1曲全体または1曲中の舞などを序・破・急三つ分けた場合その最後部分。→序破急

【二】形動[文]ナリ

切迫したさま。急いで対処しなければならないさま。「—な事態

物事前触れなく突然に起こるさま。にわか。だしぬけ。「—に降りだす」「—な腹痛

気短なさま。性急。「新奇求めるのに—なあまり」

手を緩めきびしいさま。「追撃はなはだ—だ」

速度調子速いさま。「脈拍が—になる」「—な流れ

傾斜などが大きいさま。「—な坂」


きゅう【救】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) ク(呉) [訓]すくう

学習漢字5年

危険や災害からすくい出す。「救援救急救護救済救出救助救難救命

名のり]すけ・たすく・なり・ひら・やす


きゅう【旧〔舊〕】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) ク(慣) [訓]ふるい もと

学習漢字5年

現在まで年月経てきている。昔からの。「旧家旧式旧態旧弊新旧

年が改まる前の。「旧冬旧年旧臘(きゅうろう)」

以前の状態。もと。「旧姓懐旧守旧倍旧復旧

昔なじみ。「旧知故旧

陰暦。「旧盆旧正月

名のり]ひさ・ふさ・ふる


きゅう〔キウ〕【旧】

読み方:きゅう

古いこと。古い物事。「—を捨て新につく」⇔新。

昔。以前。もと。「—に倍するお引き立て」「—に復する

旧暦」の略。「—の正月」⇔新。

名詞付いて接頭語的に用い、古い、もとの、かつての、などの意を表す。「—制度」「—街道」「—ソ連


きゅう【朽】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]くちる

腐ってぼろぼろになる。衰えてだめになる。「朽木不朽腐朽老朽


きゅう【×柩】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]ひつぎ

死体納める箱。棺桶。「柩車霊柩


きゅう【×毬】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]まり いが

[一]キュウ〉まり。「打毬

[二]〈いが〉とげのある外皮。「毬栗(いがぐり)」

難読毬杖(ぎっちょう)・毬打(ぎっちょう)・松毬(まつかさ)・毬藻(まりも)


きゅう【求】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) グ(呉) [訓]もとめる

学習漢字4年

[一]キュウ

もとめる。「求愛求刑求職求道希求請求探求追求要求欲求

中心に向かう。「求心力

[二]〈グ〉仏法願いもとめる。「求道求法欣求(ごんぐ)」

名のり]ひで・まさ・もと・もとむ

難読求肥(ぎゅうひ)

「求」に似た言葉

きゅう【×汲】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキフ)(漢) [訓]くむ

くみ上げる。「汲水

忙しく動き回るさま。「汲汲


きゅう【泣】

読み方:きゅう

[音]キュウキフ)(呉)(漢) [訓]なく

学習漢字4年

涙を流す。なく。「泣訴感泣号泣涕泣(ていきゅう)・悲泣

なみだ。「垂泣」


きゅう【×灸】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]やいと

漢方療法の一。やいと。「灸治灸術灸点温灸鍼灸(しんきゅう)」


きゅう〔キウ〕【×灸】

読み方:きゅう

漢方医術の一。もぐさをつぼに当たる皮膚の特定の位置据え線香で火をつけて燃やし、その熱の刺激病気対す治癒力促進する療法。やいと。


きゅう【×玖】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢) ク(呉)

美し黒色の石。

数字の「九」の代用

名のり]き・たま・ひさ


きゅう【球】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]たま

学習漢字3年

まるい形のもの。「球形球根球体眼球気球血球結球地球天球電球

まり。ボールまた、ボール用い競技。「球威球技球戯硬球蹴球送球速球卓球庭球捕球野球

野球。「球界球場球団


きゅう〔キウ〕【球】

読み方:きゅう

丸いもの。たま。

空間一定点から一定の距離にある点の軌跡。その定点を球の中心一定距離を球の半径という。


きゅう【究】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) ク(呉) [訓]きわめる

学習漢字3年

真理本質をつかむため、これ以上行けないところまで推し進める。「究明究理学究研究攻究考究探究追究討究論究

これ以上行けないところ。「究極究竟(きゅうきょう)」

名のり]さた・すみ

難読究竟(くきょう)・究竟(くっきょう)


きゅう【窮】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウ(漢) [訓]きわめる きわまる

奥深くまで行きつくす。つきつめるきわめる。「窮極窮理無窮

にっちもさっちもいかなくなる。動きとれないきわまる。「窮屈・窮状窮鼠(きゅうそ)・窮地窮乏窮余困窮貧窮

名のり]み


きゅう【×笈】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキフ)(漢) [訓]おい

荷物書籍入れて背負竹製の箱。「書笈負笈(ふきゅう)」


きゅう〔キフ〕【×笈】

読み方:きゅう

本を入れて背負う箱。

「おい(笈)」に同じ。


きゅう【糾】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]あざなう ただす

なわをより合わせる

一つ寄せ集める。「糾合

からまってねじれるよじれる。「紛糾

問いただして調べる。「糾弾糾明糾問

[補説] 「糺」は異体字

名のりただ・ただ


きゅう【級】

読み方:きゅう

[音]キュウキフ)(呉)(漢) [訓]しな

学習漢字3年

一段一段と区切られ順序。「下級階級・高級・初級昇級上級進級低級等級特級

学校クラス。組。「級長級友学級原級同級

うちとった首。「首級


きゅう〔キフ〕【級】

読み方:きゅう

【一】[名]

物事上下地位段階分け区切り階級等級。「柔道の—が上がる

学校で、同一学年また、学級。組。クラス。「彼はぼくより一つ—が上だ」

写真植字文字大きさ単位一級4分の1ミリ

【二】接尾

名詞付いて、その程度であることを表す。「国宝—の重要文化財

珠算柔・剣道など、技能段階に応じて免許状発行するようなものについて、その程度段階などを表すのに用いる。「珠算三—」「二—整備士

軍艦自衛隊艦船における同型艦まとまりを表す。一般に、その級で最初に建造された艦の名を冠する。「超弩—」「ニミッツ航空母艦

助数詞

学校学級数えるのに用いる。「一学年を五—に分ける」

階段一つ一つ数えるのに用いる。

入口石段二三上ると」〈芥川仙人


きゅう【給】

読み方:きゅう

[音]キュウキフ)(呉)(漢) [訓]たまう

学習漢字4年

あてがって足りるようにする。「給水給油供給自給需給配給補給

金品下し与える。たまう。「給食給付給与給料官給支給発給

手当て給料。「恩給月給減給高給昇給日給薄給俸給無給

世話をする。「給仕女給

名のり]たり・はる


きゅう【臼】

読み方:きゅう

常用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]うす

[一]キュウ

うす。「臼状杵臼(しょきゅう)」

うすの形をしたもの。「臼歯脱臼

[二]〈うす〉「石臼茶臼


きゅう【×舅】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]しゅうと

おじ。母親兄弟。「舅父」

しゅうと。「舅姑(きゅうこ)/外舅


きゅう【×裘】

読み方:きゅう

[音]キュウキウ)(漢) [訓]かわごろも

毛皮作った衣服。皮ごろも。「裘葛(きゅうかつ)/狐裘(こきゅう)」


きゅう【×赳】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢)

たけくたくましく進むさま。強く勇ましい。「赳赳」

名のり]たけ・たけし


きゅう【×躬】

読み方:きゅう

[音]キュウ(漢) [訓]み みずから

み。からだ。「鞠躬如(きっきゅうじょ)」

みずから。自分で。「実践躬行

名のり]ちか・なお・みる・もと


きゅう【×鳩】

読み方:きゅう

人名用漢字] [音]キュウキウ)(漢) [訓]はと

[一]キュウ

ハト。「鳩舎

あつまる。あつめる。「鳩合鳩首

[二]〈はと(ばと)〉「鳩笛山鳩

難読斑鳩(いかる)・斑鳩(いかるが)・鳩尾(みぞおち)

「鳩」に似た言葉

読み方:きゅう

  1. 紙店の通り符牒にして五といふ数量をいふ。通り符牒参照せよ。(※巻末通り符牒参照)〔符牒
  2. 五。〔紙屋

分類 符牒紙屋


読み方:きゅう

  1. きわの条を見よ。〔符牒
  2. 薬店砂糖店及び絵具屋の通り符牒にしてすべて九といふ数量を表す。通り符牒参照せよ。(※巻末通り符牒参照)〔符牒
  3. 荒物店・履物店及び畳屋の通り符牒にしてすべて九といふ数量を表す。通り符牒参照せよ。(※巻末通り符牒参照)〔符牒

分類 符牒


読み方:きゅう,きわ

  1. 数量ノ九。〔第七類 雑纂
  2. 九の事をいふ。一般通り符牒にも用ふ。〔犯罪語〕
  3. 酒屋魚屋青物荒物履物・畳屋・車夫芸人理髪業者等の符牒にして九といふ数量を表す。九は十の数に達する「まぎわ」の数であるからいつたものである通り符牒参照せよ(※巻末通り符牒参照)。「きう」又は「すけ」ともいふ。〔符牒
  4. 〔的・不・花〕数の九のこと、「ガケ」「アブナイ」に同じ。
  5. 数量九の意。
  6. 九。
  7. 芸人用語。九のこと。十になる際の意。
  8. 数字の九。つまり十のきわだという洒落。〔芸能寄席落語)〕
  9. 九。〔生魚商〕
  10. 九。〔植木商〕
  11. 九。〔青物商〕
  12. 九。〔酒屋
  13. 九。〔魚屋
  14. 九。〔理髪業・職人
  15. 九。〔砂糖絵具屋〕
  16. 九。〔荒物履物・畳屋〕
  17. 九。〔人力馬車・船乗〕
  18. 符牒数字の九、つまり十のキワだという意味。
  19. 「九の数」。十の際(きわ)から出る。

分類 せんぽ、人力馬車/船乗、寄席寄席落語役者植木商、犯罪語、理髪業/職人生魚商、的/不/花、符牒芸人芸能荒物履物/畳屋、砂糖絵具屋、酒屋青物商、魚屋

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読み方
きゅう

読み方
きゅう

読み方
きゅう

(きゅう から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/03 00:20 UTC 版)

灸(『万象妙法集』嘉永3年序・刊)
左より:灸(1番臼)、灸(2番臼)、温灸、和灸(並級)、順和灸(上級)
灸のセット
間接的な熱処理に使用される灸。接着性のある灸が現代産品として中国、日本と韓国で売られている。ベース部分が治療ポイントに自己粘着するのは普通である。
灸頭鍼

(きゅう、やいと)とは、(もぐさ)の燃焼あるいはこれに代わる物質を用い、身体表面の一定の部位に温熱刺激を与えることで、疾病の予防や治療などを行う施術法[1]。艾(もぐさ)は植物のヨモギの葉から取れる産毛を陰干しして精製したものである[2][3]とともに鍼灸として東洋医学で用いられている[4]

伝統的には艾(もぐさ)を体表(皮膚上)の選択した部位で燃焼させることで病気の治療や予防を行うことをいうが[2][3]、灸刺激の方法には艾灸のほかに火を使わない電気温灸器などもある[5]

歴史

中国

1973年に中国長沙馬王堆漢墓より発掘された医学書には艾(もぐさ)を治療手段とした文献がみられる[6]。現存する灸療法について記した最も古い文献は、馬王堆帛書に含まれる『足臂十一脈灸経』及び『陰陽十一脈灸経』とされる(馬王堆帛書に含まれる『五十二病方』も灸療法について言及している)[7]

中国医学の基本原典とされる 『黄帝内経』では、鍼に比べて灸の比重は低く、具体的な施術法も多くはない[7]

ツボ(孔穴)と疾病を対応させて灸を体系的に記述した最初の書物が『黄帝明堂経』で、この記述は『鍼灸甲乙経』をはじめとする多くの医学書に採録され、鍼灸治療の基本文献とされた[6]

日本

日本における灸治療の記録は、古くは奈良時代にあり神亀3年(726年)の 「山背国愛宕郡下里計帳」や天平12年(740年)の「越前国江沼郡山背郷計帳」がある[8]

官職として鍼博士が置かれたが、鍼は外科器具として患部の切開や瀉血などに限定的に用いられ、臨床では灸治が中心だった[6]

近世には中国で明代までに成立した医学書が大量に導入され、中世以降はじまった日本独自の灸治法(和方灸、家伝灸)が集大成されるに至った[6]

また、15世紀末に始まる大航海時代以降には、イエズス会士などの西洋人が訪日して灸療法の知識を西洋にもたらした[6]。その影響から『日葡辞書』にも灸に関する用語が多く採録されている[6]

日本の灸療法の歴史については、臨床的な観点から深谷伊三郎や入江靖二、もぐさやその原料のヨモギの生産について織田隆三による詳細な検討がある[9]

日本では医師以外の者が灸を業として行う場合はきゅう師免許が必要である[10]

一方で、後述の台座灸、温筒灸、棒灸などの間接灸はセルフケアとしても用いられており市販の製品がある[11]

灸術の種類

もぐさを皮膚の上に直接置くようにしたものを艾炷(がいしゅ)という[12]。ただし、以下のように間接的な方法もある。

中国では艾灸法の分類として、艾炷灸法(直接灸と間接灸)、艾条灸法(懸起灸と実按灸)、温針灸法、温灸器灸法に分けられている[13]。懸起灸は日本でいう棒灸、実按灸は日本でいう押灸である[13]。また、温針灸法は日本でいう灸頭鍼である[13]

日本では有痕灸(直接灸)と無痕灸(間接灸)に大別される[13][14]

なお、皮膚に直接もぐさを置き、熱感や温感を感じたときに燃焼中の艾炷を取り去る方法を知熱灸というが[15]、無痕灸に分類されることが多い[13][16]

有痕灸

有痕灸は皮膚の上に直接もぐさを付ける方法である[2]

  • 透熱灸 - 治療点の上で米粒大から半米粒大くらいのもぐさに直接点火して熱を深部に通す方法[2][16]
  • 焦灼灸 - イボ、胼胝(タコ)、魚の目などの上に施灸し、焦灼して破壊する方法[2][16]
  • 打膿灸 - 施灸した部分を化膿させ、さらに発砲膏などを用いて排膿を促して改善を図る方法[2][16]

無痕灸

無痕灸はもぐさと皮膚の上に物を介在させた状態で火をつける方法である[2]。無痕灸は分類法が一定しない[13](文献により異なる)。以下では刺激様式、熱の移動様式、熱刺激の特性による分類を述べる[17]

刺激様式による分類

無痕灸は刺激様式により、温度刺激を用いる灸頭鍼などと化学刺激も用いる薬物灸(紅灸、漆灸など)がある[17]

  • 温度刺激を用いるもの
  • 化学刺激も用いるもの
    • 薬物灸 - 紅灸、漆灸など[17]

熱の移動様式による分類

無痕灸は熱の移動様式により、伝導熱を用いる隔物灸など、輻射熱を用いる棒灸や箱灸など、伝導熱と輻射熱の双方を用いる温筒灸や台座灸などに分けられる[17]

  • 伝導熱を用いる方式
    • 隔物灸 - もぐさの熱が隔物を介して生体に伝わる方式[17]。隔物灸には、味噌灸、生姜灸、塩灸、枇杷の葉灸などがある[16]
  • 輻射熱を用いる方式(モグサから放出される赤外線による輻射熱を利用[17]
    • 棒灸 - 棒状の灸[18]。現代中医鍼灸では数枚の布を隔てた患部の上から押し当てる実按灸、日本鍼灸では和紙や木綿の布地の上から棒灸を押し当てる押灸療法に用いられる[18]
    • 箱灸 - 木箱や枡灸を枠にして、中に金網などで底を作り、木などで蓋を作る。箱ので艾を燃やすことで、皮膚を燻蒸したり、輻射熱で温めたりする[19]
  • 伝導熱と輻射熱の双方を用いる方式(モグサの燃焼による輻射熱と筒や台座からの伝導熱を利用[17]
    • 温筒灸 - 皮膚と熱源との間に一定の筒内空洞を設けた構造の灸[20]
    • 台座灸 - 台座を用いる灸の一種。せんねん灸やカマヤ灸、長生灸(レギュラー、ライト)、つぼ灸などの商品名で市販されてものもこれに含まれる。

熱刺激の特性による分類

このほか熱刺激の特性により、ニンニク灸、生姜灸、味噌灸など水分の多い湿熱に分類されるものと、塩灸など水分含有量の低い乾熱に分類されるものがある[17]

その他の分類

無痕灸を隔物灸(味噌灸、生姜灸、塩灸、枇杷の葉灸等)、温灸(知熱灸、棒灸(押灸)、器械灸(温灸器)等)、その他(水灸、漆灸、紅灸、墨灸、油灸、薬灸)に分類する場合もある[16]

鍼灸の作用

鍼灸には次のような作用があるとされる。

  1. 鎮痛作用[21]
  2. 自律神経調節作用[21]
  3. 血流改善作用[21]
  4. 免疫作用[21]

灸の種類別では、透熱灸は神経に作用して、反射的に遠隔部の血管を拡張する作用がある[22]。また、温灸は伝導熱や輻射熱によって直接的に局部の血管を拡張させる作用がある[22]

鍼と灸の関係は、病態ごとに、実に対しては鍼、虚に対しては灸とされる[23][24]。虚実は東洋医学における鑑別点で、闘病反応の虚弱あるいは体の諸機能から病態を弁別する概念である[25][注釈 1]

実に対しては余分なものを排除する瀉(瀉法)、虚に対しては体力や気力を補う補(補法)をとることが原則とされ[27]、鍼が瀉法で灸が補法とされている[23][24]。適応も急性疾患には鍼、慢性疾患には灸が良いとされている[23][24]

ただし、実際の臨床では整然として使い分けができるわけではなく、鍼においても灸においても、施術によって瀉法にしたり補法にしたりすることができる[24]

禁忌等

公益社団法人全日本鍼灸学会「鍼灸安全対策ガイドライン 2020年版」では「禁忌の場合」として、1.心停止、呼吸停止、意識障害、大量出血、広範囲の熱傷、中毒などの緊急事態の場合、2.バイタルサイン(意識状態、体温脈拍血圧、呼吸状態)に異常がみられた場合を挙げている[28]。また、「注意すべき場合」として、1.悪性腫瘍の治癒を目的とした施術、2.妊婦への施術、3.局所の熱感・腫れが激しい場合、4.易感染性患者(糖尿病患者、ステロイド服用者等)、5.出血性疾患を有する患者および抗凝血治療中または抗凝血剤使用中の患者、6.発熱を呈する患者を挙げている[29]

隠喩

灸は「お仕置き」や「制裁」の手段として行われてきたことから、「お灸」という言葉はかなり昔から、そのような意味の隠喩(メタファー)としても用いられてきた。1990年頃までは新聞記事などにも、「汚職公務員に厳しいおキュウ」などと書かれたことがある。しかし、灸は東アジアの伝統的な優れた医療であり、こうした意味に使われるのは好ましくないと、日本鍼灸師会が主張し、現在は使われなくなった。

家畜への使用

東洋獣医学ではヤギなどの家畜に対してもお灸を施す。基本的な方法は人間と同様だが、ツボの位置や数は相応に異なる。近年日本でも自然治癒力の向上、繁殖障害や食欲不振の解消を目的として、牛や豚にお灸を施す講習会などの取り組みが行われている[30]

注釈

  1. ^ 闘病反応の虚弱の観点では脈の強弱(実では強、虚では弱)、発汗(実では無、虚では有)、胃腸機能(実では強、虚では弱)などがあり、急性病の観点で役立つとされる[25]。また、体の諸機能の観点では食事量(実では多食、虚で少食)、体格(実ではがっちり、虚ではきゃしゃ)、活動性(実では積極的で疲れにくい、虚では消極的で疲れやすい)などがあり、慢性病の観点で役立つとされる[26]。ただし、実際の患者は実と虚の要素が混在しているのが普通であり、全体として捉える場合もあれば、局所の状態が重視されることもある[25]

参考文献

出典

  1. ^ 石野 2010, p. 7.
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  30. ^ 保坂虎重、白水完児、他著『家畜のお灸と民間療法:クスリに頼らず経営改善』、農山漁村文化協会、1997年、pp.30-31,34.

  2.縁里庵かつもと鍼灸院トリカブトのお灸「附子灸」』2023年2月13日

関連項目


きゅう

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 01:42 UTC 版)

Ka na ta」の記事における「きゅう」の解説

2016年東京吉祥寺の、カフェ・キチムにて、かなたのえんげき『きゅう』を実施脚本演出加藤務め出演池田大/Lee Shin/高田静流/吉田カルロス/おかっぺ、など。

※この「きゅう」の解説は、「Ka na ta」の解説の一部です。
「きゅう」を含む「Ka na ta」の記事については、「Ka na ta」の概要を参照ください。

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