じょ‐は‐きゅう〔‐キフ〕【序破急】
読み方:じょはきゅう
1 雅楽で、楽曲を構成する三つの楽章。初部の「序」は緩徐で拍子に合わず、中間部の「破」は緩徐で拍子に合い、終部の「急」は急速で拍子に合う。
2 芸能における速度の3区分。「序」はゆっくり、「破」は中間、「急」は速く。講談などの話のテンポ、邦楽などの演奏のテンポなどにいう。
3 芸能における演出上の3区分。「序」は事なくすらすらと、「破」は変化に富ませ、「急」は短く軽快に演ずる。能・舞踊などでいう。
4 能や浄瑠璃などで、脚本構成上の3区分。「序」は導入部、「破」は展開部、「急」は結末部。
5 能などで、番組編成上の3区分。五番立ての番組で、脇能を「序」、二番・三番・四番目を「破」、五番目を「急」とする。
6 連歌・俳諧で、一巻(ひとまき)の運びを規制した形式・原理。「序」は無事に静かに、「破」は曲折に富んでおもしろく、「急」はさらさらと軽くつけ終わるべしとするもの。
序・破・急
序破急
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/18 07:43 UTC 版)
序破急(じょはきゅう)とは、日本の雅楽の舞楽から出た概念であり、能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀術、居合道、茶道[1]など芸道論で使用される言葉である。
脚本構成としては、能に限らず、浄瑠璃および歌舞伎等においては、 日本では中近世以降、伝統的に用いられてきた構成である[2][3][4]。映像分野の脚本構成においても、序破急の同義語である三幕構成が国際的に主流となっている[5]。また、文章構成などにおける三段構成(パラグラフ・ライティング、三幕構成等)を指す概念としても用いられる。
原義
本来は雅楽の演奏についての言葉である。雅楽の唐楽などで、曲を構成する三つの部分をいい、ほぼ西洋音楽の楽章に相当する。「序」が無拍子かつ低速度で展開され、太鼓の拍数のみを定めて自由に奏され、「破」から拍子が加わり、「急」で加速が入り一曲三部構成を成す。序破急一組で楽式とも考えることができる。ただし、現行曲で序破急を完備する楽曲は、五常楽・蘇合香など極めて少なく、序破急すべてを備えていない(失われたか、始めから存在しない)曲の方が多い。序破急を通しで演奏することを「一具」と呼ぶ。
「序破急」の語は、猿樂、世阿彌の書『花鏡』、『三道』、『風姿花伝』で触れられているので、有名である。そのため、能楽からの言葉と誤解されることが多いが、元来は雅楽から発した語であった。しかし、世阿弥は、それを芸道一般に通じることと論じている。
現代日本では、物語などにおける四段構成(起承転結)に対する三段構成を指す概念として用いられ、演劇等の“三幕構成”の同義語として使われることがある。また、起承転結とともに小中学校の作文技法として使われる。
関連書籍
- 丹波明『「序破急」という美学-現代によみがえる日本音楽の思考型』音楽之友社、2004.7、ISBN 4276133084
出典
- ^ 千玄室『日本人の心、伝えます』2016年、幻冬舎、88ページ。
- ^ 『大辞林』 第三版 三省堂 「じょはきゅう【序破急】」の項
- ^ 『世界大百科事典』 第2版 平凡社 「じょはきゅう【序破急】」の項
- ^ 「歌舞伎舞踊の作品と表現-五段構成と序破急」、独立行政法人日本芸術文化振興会 文化デジタルライブラリー、2014年2月28日閲覧
- ^ 浜野高宏; 今村研一、ハンス・ロバート・アイゼンハウアー (2012年). “ドキュメンタリーの国際共同製作ガイダンス” (PDF) (Japanese). 公益財団法人ユニジャパン. p. 12. 2014年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月2日閲覧。
関連項目
「序破急」の例文・使い方・用例・文例
- 序破急の序
- 序・破・急のページへのリンク