守破離
「守破離」とは、武道や芸道において目指すべき修練の過程や段階であり、師の教えを乞う人の取るべき態度や考え方を示した言葉である。はじめは「教えを忠実に守る」、次に「教えを土台としつつ応用する」、そして「教えを土台としない新機軸を見出す」という段階が「守破離」の3語で示されている。
「守破離」の基本的な意味
「守破離」の第一は、師から教わった型(やり方)を徹底的に「守る」ことである。第二に、師から教わった型・やり方が身についた後に、師以外の他流派の型を研究しつつ、自分自身にとって最も良いと思われるものを模索して、既存の型を「破る」ことである。第三に、既存の型と自分の考えた型の両方をバランスよく理解する域に至ることで、既存の型から「離れる」ことである。「離」の境地に至ると、もはや新たな道の創始者である。
「守破離」の由来
「守破離」が誰の言葉であるかは所説あるが、千利休の言葉「規矩作法守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を原型として後世「守破離」の3字に集約されたとする説がよく知られている。利休の言葉「規矩作法~」では、「守破離」を成し遂げた後も「本を忘るな(基本の型や本質を見失ってはならない)」と戒めている。
「守破離」は世阿弥の言葉である、とする説もあるが、明確な根拠はない。「風姿花伝」にも該当する言葉は見つからない。「序破急」との混同が生じている可能性が濃厚である。
「守破離」と仏教の「習絶真」
「守破離」と似た考え方を示す言葉に、仏教の「習絶真」がある。手本に学び、手本を上回り、そして手本を超越する、という3段階の構造は「守破離」と「習絶真」に相通ずる。
「守破離」と「序破急」
「序破急」は、音楽や物語の構成に関する言葉である。「始めは静かに、穏やかに始まり(序)」、「次第に早めていき(破)」、「最後に目まぐるしく展開する(急)」という展開で構成するのがよいという趣旨である。「序破急」は、もともとは雅楽の楽章に関する用語であり、世阿弥が芸能の分野にも取り入れて「風姿花伝」などでも言及したことで広く知られるようになったとされる。
要するに「守破離」と「序破急」は意味的な関連性はほぼない。
「守破離」の発音・読み方
「守破離」は「しゅはり」と読む。「守破離」を含む様々な用語の解説
「守破離(蕎麦店)」とは
「守破離(蕎麦店)」とは、大阪市内に複数店舗を構えるそば屋である。正式名称は「自家製粉石臼挽手打蕎麦・守破離」であり、谷町四丁目店(谷町四丁目駅)・堂島店(西梅田駅)・黒門店(日本橋駅)の三店舗を展開している。「守破離(ラーメン店)」とは
「守破離(ラーメン店)」とは、千葉県松戸市に構えるとんかつ屋において、不定期で営業しているラーメン屋である。「中華蕎麦とみ田」の新業態である「とんかつ割烹とみた」において、不定期かつ夜間に数量限定で提供される。告知等は「中華蕎麦とみ田」の運営するSNS等で行われる。しゅ‐は‐り【守破離】
守・破・離
・守―教えを守り私意をさしはさむことなく、ひたすら基本を身につける段階である。書道の楷書にあたるもので、一点一画をゆるがせにしない心配りが大切である。
・破(は)―守の殻を破り躍進する時代である。いままでの教えを基礎とし、中核として、自己の知能や個性を発揮して次第に自己の剣道を創造する時代で書道の行書にあたる領域である。
・離(り)―孔子の七十にして矩(のり)を超えずの境地であり、あらゆる修行の結果我が思いのままに行動して、いささかも規矩にはずれることなく、一つの形や流儀流派にとらわれることもなく、自由闊達に自己の剣風を発揮できる時代である。
書道の草書の位である。
守破離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/30 00:31 UTC 版)
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日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。
(しゅはり)は、日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。
詳細


もとは千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したものとされている。
修業に際して、まずは師匠から教わった型を徹底的に「守る」ところから修業が始まる。師匠の教えに従って修業・鍛錬を積みその型を身につけた者は、師匠の型はもちろん他流派の型なども含めそれらと自分とを照らし合わせて研究することにより、自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで既存の型を「破る」ことができるようになる。さらに鍛錬・修業を重ね、かつて教わった師匠の型と自分自身で見出した型の双方に精通しその上に立脚した個人は、自分自身とその技についてよく理解しているため既存の型に囚われることなく、言わば型から「離れ」て自在となることができる。このようにして新たな流派が生まれるのである。
「本を忘るな」とあるとおり、教えを破り離れたとしても根源の精神を見失ってはならないということが重要であり、基本の型を会得しないままにいきなり個性や独創性を求めるのはいわゆる「形無し」である。無着成恭は「型がある人間が型を破ると『型破り』、型がない人間が型を破ったら『形無し』」と語っており、これは十八代目中村勘三郎の座右の銘「型があるから型破り、型が無ければ形無し」としても知られる。
個人のスキルを表すため、茶道、武道、芸術等、あるいはスポーツや仕事等々において様々な成長のプロセスに用いることが出来、以下のように当てはめることができる。
- 守:支援のもとに作業を遂行できる(半人前)。 ~ 自律的に作業を遂行できる(1人前)。
- 破:作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)。
- 離:新たな知識(技術)を開発できる(創造者)。
- 例(落語)
- 守:古典落語を忠実に表現することができる。
- 破:古典落語をより面白くアレンジすることができる、あるいはよりわかりやすく表現することができる。
- 離:経験を活かし新作落語を作ることができる。あるいは、落語から進化した新たな芸風を作ることができる。
転用

IT業界では、守破離を用いて技術者個人のスキルを組込みスキル標準などで評価することがある。
参考文献
- 藤原稜三『守破離の思想』ベースボール・マガジン社、1993年。ISBN 4-583-03074-6。
- 独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター『新版 組込みスキル標準 ETSS概説書』翔泳社、2009年。ISBN 978-4-7981-2132-1。
関連項目
外部リンク
- 新版 組込みスキル標準 ETSS概説書(12ページ「ETSSの基本としての日本の伝統的人材育成の考え方「守・破・離」」参照)
- 守破離のページへのリンク