序盤
序盤戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:29 UTC 版)
詳細は「将棋の戦法一覧」を参照 序盤戦は、攻撃・守備に適した駒組みを目指す段階である。将棋では長年の研究により効果的な駒組みのパターン(戦法)が数多く考案されており、それぞれの戦法についてお互いに損なく駒組みを進める手順(定跡)が整備されている。序盤戦では戦法ごとの定跡をベースに、相手の駒組みを見ながらときには独自の工夫を加えて作戦勝ちを目指すことになる。 通常は、盤面の左右どちらかで攻撃の陣形を構築し、反対側で守備の陣形を構築する。居飛車はおもに右側を攻撃・左側を守備に使う戦法、振り飛車はおもに左側を攻撃・右側を守備に使う戦法になる。攻撃面では、通常は、強力な駒である飛角を中心に、攻撃側の金以外の駒(銀桂香歩)を絡めて敵陣突破を図る体制を作る。守備面では、通常は、玉を移動して、2枚の金および守備側のその他の駒(銀桂香歩)で玉の周囲を守る囲いを築く。もっとも、これはあくまで目安であり、これらのセオリーに反する戦法も数多くある。 ウィキブックスに将棋/▲7六歩関連の解説書・教科書があります。 ウィキブックスに将棋/▲2六歩関連の解説書・教科書があります。 ウィキブックスに将棋/▲5六歩関連の解説書・教科書があります。 プロ棋戦における初手は、角道を開ける▲7六歩が最も多く、飛車先の歩を突く▲2六歩がそれに次ぎ、ほとんどの対局はこのどちらかで開始される。近年▲7六歩と▲2六歩に次いで3番目に採用率の多い初手は、先手ゴキゲン中飛車などで用いられる▲5六歩である。プロ棋士全体での総対局数が約2300局あり、そのおよそ7割約1600局は初手▲7六歩と指している将棋で最も指されている初手となる。次いで約2割が▲2六歩、そして▲5六歩と続く。『イメージと読みの将棋観』(日本将棋連盟、2008)では2007年度統計で初手▲7六歩の出現率が78.5パーセントで先手勝率は5割2分7厘であるという。▲2六歩の出現率は17.3パーセントで勝率は5割4分6厘。初手▲5六歩の出現率は4.0パーセントで、勝率は5割3分2厘であるという。初手については見解も棋士ではさまざまで、羽生善治や佐藤康光、谷川浩司、渡辺明、森内俊之らは初手は▲7六歩か▲2六歩で、いずれも居飛車党なので、7六歩は矢倉もしくは角換わりでたまに振り飛車志向、2六歩は相掛かり志向としている。佐藤はゲン担ぎもあり、どちらかで負けたら違うほうにしているなどとしている。森内はその2手の他、▲3六歩や、▲1六歩と▲9六歩も1回ずつ指しており、いずれも勝利している。 最悪手については、羽生は初手の▲8六歩としており、加藤一二三は1八香を初手の最悪手としている。1八香は振り飛車であれば、飛車を振った後に穴熊を目指すことができるが居飛車党からすれば意味のない1手パスにしかならないとしている。ただし渡辺は初手はどの手を指してもそこまで悪くない、先手なので1手パスして後手になると思って指せばさほど影響はないとしている。 将棋の初手は30通りあり、各初手についてウィキブックス/将棋に詳しい解説がある。現在では初手7八飛戦法や4八飛、5八飛といった先に振り飛車を明示する指し方も多い。初手▲5八飛は森内が小学生時代に羽生相手に指し、すると羽生は△5二飛と指したことが知られている。また基本的に嬉野流は初手▲6八銀、英春流は初手▲4八銀である。 羽生や谷川は両者とも先崎学に初手3六歩を試みられている。渡辺も初手▲3六歩を指したことがある他、藤井猛が初手▲6六歩を6局指しており、1勝4敗1戦千日手の戦績を残している。藤井によれば6六歩を指す意味は、相手が飛車先を伸ばさない居飛車戦法の場合▲7六歩の一手を省略でき、先手もその分他の手を先に指すことができるからだとしている。つまり早く△8六歩を突いて形を決めさせる意味があるという。 また中原誠が1983年の十段戦で加藤一二三に対し初手▲7八金を指している。この意味は先手居飛車党が振り飛車党相手に3手目に4八銀や6八玉として居飛車にしてこいというのと同様、後手に振り飛車にすると有利ですよと打診・挑発している意味もある。実戦では加藤は△8四歩とし、以下は普通の相掛かり戦となった。
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