楽式構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/11 19:32 UTC 版)
基本的な楽式構造は、前唄 - 手事 - 後唄という三段構成をとるが、大曲になると前唄 - 手事 - 中唄 - 手事 - 後唄という構成のものも多い。更に歌と手事がもう一回ずつ加わった曲もある。また前弾き (前奏部) を伴う曲もある。 前唄は通常緩徐部分と早い部分に分けられるものがほとんどで、その間に短い間奏部である「合の手」を最低一回挟む。この合の手がかなり長い場合もある。大曲、あるいは前唄の長い曲では、合の手が数カ所に配される。前唄の最初、あるいは前唄緩徐部分の終わりに、短い歌のみの独唱部を持つものもある。 手事はいくつかの「段」に分かれていることが多く、それぞれ拍数が等しく変奏曲のようになっているものがある。これらの段は互いに合奏できるようになっている (段合わせ) 。更にたいてい手事の最後にコーダ的な「チラシ」がつく。「チラシ」とは手事の気分を散らすことから来ていると言われる。曲によってはチラシが更に二つまたは三つに分かれているものもある (中チラシ、後チラシ、本チラシなど)。また京流手事物では手事の冒頭に導入部として「序」あるいは「マクラ」という部分のある曲も多い。 後唄はたいてい前唄よりも短く、合の手も少なく、あっても短いが、曲全体のコーダ的、あるいは序破急の急的役割をしており、手事がリタルダントして終わった後、それを受けてゆっくり始まるがすぐに早くなり、最後の盛り上がりを形作る。ここで転調が行なわれ気分の高揚に役立たせているものも多く、更に転調を繰り返して一段と気分を高めている曲もある。 胡弓本曲では前唄と手事のみの構成も多い。 一つの曲において歌や手事は段落として切れ目はあるが、雅楽の序、破、急や、西洋音楽の楽章のように、いったん完全に終止し時間を置いてからまた始めるのではなく、連続して演奏される。歌と手事の間で大きな転調があり調弦が変わることも少なくない。
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