浜岡原子力発電所
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過去の主なトラブル
- 1991年4月4日 - 3号機 原子炉給水量が低下、自動停止、国際原子力事象評価尺度(INES)レベル2。
- 2001年11月7日 - 1号機 配管破断事故
- 2001年11月9日 - 1号機 原子炉水漏洩事故
- 2002年 - 自主点検の書類に16箇所の記入ミス、ひび割れの兆候を見つけるも県へ報告せず
- 2002年5月24日 - 2号機 点検用水抜き配管水漏れ
- 2004年2月21日 - 2号機 タービン建屋屋上にて火災
- 2004年8月 - 4号機 骨材データ偽造問題(別項で詳述)
- 2005年11月4日 - 1号機 配管水漏れ事故
- 2005年11月16日 - 3号機 屋外配管の腐食による蒸気漏れ
- 2005年11月16日 - 1号機 燃料プールに異物混入
- 2006年6月 - 5号機タービン羽根破損
- 2007年3月 - 不正行為やミスが計14件あったことを中部電力が発表など
- 2009年4月13日 - 3-5号機のデータ改竄問題で、542個所の溶接後の熱処理を行ったうち5号機の94個所の作業を実際に改竄した作業員が担当していたことが判明し、県に報告するとともに早急に安全性を確認することとしている。
- 2009年8月11日 - 駿河湾地震の発生に伴い、4号機と5号機が緊急停止(放射能漏れは無し)
- 2009年8月19日 - 8月11日の地震で点検停止中の5号機排気筒排出ガスからごく微量のヨウ素131を検出。モニタリングポストに変化はなく、外部への放射能の影響はなし[151]。
- 2009年12月 - 3号機で放射性廃液が漏れる事故があり、作業員34人が被曝したことが分かった。[152]
- 2011年5月14日 - 国の申出により浜岡原子力発電所5号機停止作業中において、復水器に海水が混入するトラブル[153]。
- 2011年5月 - 上記トラブルの影響で、海水中のヒ素が放射化、ヒ素76を検出[154]。
骨材試験の虚偽報告事件
4号機の建設時に使用されたアルカリ骨材反応試験にて不正行為が行われていたことが、2004年7月27日、当事者が原子力安全・保安院に申告したことにより明らかとなった。内部告発を行った者は『安倍川開発』の社員であったが、生コンプラントに骨材を納入していた『小笠開発』(『太平洋セメント』の子会社)に出向し、製造管理部門に勤務しており、『小笠開発』社長との共謀であった。告発者は4号機の建設が完了した後に発生した阪神・淡路大震災を光景を見て「自分のやってきたことに心が苦しんでいた」「安全性が問われる原発でも不正が行われていることだけはどうしても多くの人に知らせなくてはならないと決断した」とJanJanでのインタビュー記事で答えている[155]。
不正の内容は当初は試験成績書の改ざんであり、動機は中部電力が「良質な骨材」と広報していたため、納入業者として不良品が発生しても引っ込みがつかなくなったことである。提出書類のチェックが厳しくなった後は、試験サンプルのすり替えを行うようになったという。なお、この事件を取り上げた研究者は、一般的にコンクリートのアルカリ骨材反応は建設後15 - 20年経過してひび割れの形で顕在化する点も言及している。この問題により、保安院は8月3日、中部電力に事実関係を確認するよう指示し、調査結果は10月12日に提出された。2004年10月14日には、日本共産党衆議院議員吉井英勝が本会議で取り上げた。また、保安院が10月14・15日に実施した現地調査では1 - 5号機のコンクリート構造物全てで有害なひび割れは認められないとの評価が出された[156]。
10月18日に開かれた原子力安全委員会でもこの件は取り上げられ、発電所の全ての原子炉について再調査した結果が報告された。それによれば、1 - 3号機の建設時はアルカリ骨材反応試験義務自体が存在しなかったこと、現状ひび割れが生じていなくても将来にわたりひび割れが生じない保証にはならないことなどが報告された[157]。12月10日、保安院は中部電力の回答に対する審査結果を発表し、中部電力の再発防止策を妥当と評価、新たなコア抜き取りによる詳細試験の実施を指示した。
この事件の問題点として内部告発は自己犠牲を必要とし(今回のように事実であれば)歓迎すべきこととは言え、その実行時期が遅すぎたこと、中部電力が当初実施した事実確認では新たなコア抜きは無く、外観検査と施工関係書類上からのアルカリ量計算にとどまっており、初動が鈍かったことなどが技術者倫理の研究者から指摘されている[158]。
注釈
- ^ 4号機の基本仕様は3号機とほぼ同じだが、湿分分離加熱器の採用で出力を若干上げている。
- ^ 国内の原子力発電所単体では最大出力。
- ^ 冷却水温度により電気出力が若干変動するため掲載
- ^ 震度は1996年まで運用された旧気象庁震度階級に基づいており、かつ1978年の計測震度の算出式制定前である。1996年の改正では計測震度の算出式も改められ、被害状況による判定も取りやめとなっている。そのため、昔の技術文献を読む際にはこれらの点に注意する必要がある。
- ^ 静岡新聞取材班によれば、免震化工事では縦方向の震動には対応が出来ないため、縦揺れの対策工事も必要となったという。
- ^ なお非常用電源設備は1階にある。
- ^ 工事前に1981年耐震基準による基準地震動S2(600Gal)への耐震性を確認済[62]。
- ^ 応答加速度とは地震動が建物に作用した際、建物の固有周期ごとにどのような応答(揺れ)になるかを表した加速度応答スペクトルを用いて評価したグラフであり、横軸が周期、縦軸が応答加速度(Gal)で示される[84]。
- ^ アスペリティーについては2000年代の地震学の参考書ではよく触れられるものだが、本発電所に絡めたものでは次のように説明されている。大地震の震源の中でも、通常は地盤が強く固着し、地震時に周囲の震源域に比較し特に大きなすべりを起こして大きな地震波を発生させる領域と説明されている[111]。
- ^ なお、この点について中部電力は取水施設の耐震性や「敷地内には地震に伴って変位・変形を生じるような断層等は存在しないことを確認している」ことを根拠に取水トンネル破壊に否定的である[119]。
- ^ 『浜岡原発の危険! 住民の訴え』(2011/5/19日)の復刊の際には「完成まで2年から3年かかる高さ15Mの防潮提を作らせてはならない。それが完成すればまた原発の再開が取りざたされる懸念が残るからだ。」という謳い文句が付けられている。
出典
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- ^ 浜岡原発6号新設の記載見送り 中部電、新経営指針で 中日新聞 2016年2月19日
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- ^ a b c エネルギーフォーラム 1985, pp. 78–79。なお、林の発言に対して青井はシステムの単純性を「BWRは一次系、二次系に分離しない、直接サイクル式を採用しています。これは商業化する段階でそうなったわけで、過去には分離していた時期もあったんですが、そういうステップを経て単純化してきています」と解説している。
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- ^ a b c 4号機での主要改良点については白木久雄 & 松本卓郎 1992
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- ^ 原子炉基礎基盤検査から運転開始までの間で比較
- ^ 中部電力 2001, pp. 134–135.
- ^ 市民運動の内容は下記書籍にまとめられた。
石炭火力発電所に反対する清水市民協議会『みんなが主役で火力を止めた』技術と人間 1993年1月 - ^ 火発流れ5号機浮上 地元軽視の思い今も/第2部 新設(4) (浜岡原発の選択)『静岡新聞』2009年3月2日11時05分
清水港の火力発電所予定地は現在も中部電力が保有している。 - ^ 5号機増設申し入れ時の状況は下記
「中部電、浜岡5号機増設申し入れ 総事業費4500億円に 米GE受注の可能性も」『日経産業新聞』1993年12月14日17面 - ^ 原子力安全・保安院「浜岡原子力発電所1号原子炉廃止措置計画」閲覧2011-8-15
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- ^ 当時浜岡ではAsの呼称を使っていないが、後年の文献ではAsとして記されている
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- ^ 余熱除去系交換機はAsクラス
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中部電力株式会社 浜岡原子力発電所4号機「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果報告書 2007年1月(PDF,原子力安全基盤機構原子力ライブラリーウェブサイト所蔵) - ^ 耐震バックチェックに係る ワーキング・グループ1における検討状況について[リンク切れ] 原子力安全委員会事務局 平成21年6月12日
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固有名詞の分類
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