シティ・神戸(及び近郊の町)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 05:03 UTC 版)
「ウィザーズ・ブレイン」の記事における「シティ・神戸(及び近郊の町)」の解説
天樹 錬(あまぎ れん) … 『元型なる悪魔使い』 フリーの便利屋を営む《魔法士》の少年。全編を通じての主人公。エピソードI及びエピソードIVの主人公であり、エピソードV以降も主役に準ずるポジション。外見年齢は15歳(ただし小柄なため、もう少し幼くみられる)、実年齢は9歳(エピソードI時点)で、肉体年齢と実年齢の差は6歳ほど。誕生日は2189年6月24日。「錬」という名前は錬金術から採ったものであり、真昼と月夜によって名付けられたことになっているが、実際のところは真昼がかつてアルフレッド・ウィッテンから〈元型〉に付けたい名を問われ「男だったら錬、女だったら桜」と発案したもの。 《情報制御理論》創始者の一人、天樹健三が最後に作成した先天性《魔法士》で、他の《魔法士》の力をコピーして使うことができる〈元型〉あるいは〈悪魔使い〉と呼ばれる規格外の《魔法士》。基本的に一度に一つの能力しか使えない他の《魔法士》とは異なり、条件にもよるが複数の能力を同時に使用できる。そのため“天樹健三の最高傑作たる《魔法士》”として軍を始めとする多くの人間にその身を狙われる立場でもある。武器として、条件付きで自己領域が使える月夜特製のサバイバルナイフ(〈騎士〉の騎士剣に相当する)などを用いる。「全ての《魔法士》の原型」アリス・リステルの遺伝子をルーツとする(エピソードIXより)。 やや癖のある黒髪に黒目の、小柄な日本人少年。普段は非常に心優しく、目の前で困っている人を助けずにはいられず、目の前にいない陰で傷つき犠牲になる人を忘れることができない。他人を押しのけて自分を押し付けるような考えができず、ときには優柔不断とも受け取れる性格。真昼曰く「余計なことに首を突っ込んで自分から身動きが取れなくなるのが得意」らしい。一方で「人を殺したくない」だけで「人を殺せない」わけではなく、他人への配慮ができなかった頃には多くの人を殺してきた。《魔法士》として戦う際は、相手の有利を徹底して潰す戦い方をし、一度戦った相手に対してはどれほど不利でも必ず対策を考え、ときには戦闘中に新たな戦術や対策を生み出す、非常に優れた戦闘センスの持ち主。近頃の悩みは身長が伸びず、フィアに背が追いつかれそうなことだとか。そのため牛乳を飲んだり、鉄棒にぶら下がったり、“背が伸びる体操”に取り組んだりと涙ぐましいが今一つ効果のなさそうな努力をしている。 モスクワ地方の地下にある健三の研究室で誕生したが、間もなく健三が死亡したため、研究室の培養層の中から出ることなく過ごし、自身を狙って訪れた者達を自衛の為に殺害していた。ある日訪れた老婆の心を覗き見て殺す事に嫌気が差し、次に訪れた者に殺されるのを待っていたが、そこに訪れた真昼と月夜に家族として迎え入れられた。その後は兄姉から多くの愛情を受けて育ち、明るく前向きな性格となり、自分を育ててくれた真昼と月夜のことは家族として大切に思っている。現在は合法違法を問わず依頼達成率100%を誇る便利屋として、世界各地で噂されている《魔法士》。 ある日、謎の人物から「実験サンプルを奪取する」依頼を受けてフィアと出会い、シティ・神戸と引き換えに彼女を《マザーコア》として利用される運命から解放した(エピソードI)。その後、モスクワ軍のメルボルン侵攻に巻き込まれ行方不明となった真昼と月夜を追い、〔賢人会議〕やシティ間との戦いに、フィアと共に身を投じていく。やがて出会ったサクラから、真昼の弟にして《マザーコア》を助けた“同志”として〔賢人会議〕へ誘われるが、元々シティ・神戸の滅亡やI-ブレインを持たない通常人の抹殺を望んでいなかったため〔賢人会議〕の理念に賛同できず、しかし通常人を守るため《魔法士》たちを排除するのも違うと感じており、その曖昧な態度からサクラに「コウモリ」と揶揄され敵と見做されるようになる(エピソードVI)。真昼との再会を望んでシティ・ニューデリーに赴いた際、アニルにもその曖昧さを指摘され反発心を抱くが、アニルの問いと生き方は、今まで状況に流されるだけで問題の核心から逃げていた自身の心に向かい合うきっかけとなった(エピソードVI)。なおアニルは密かに、錬が〔賢人会議〕ともシティとも異なる第三の未来を見つけることを期待しているが、錬自身は未だその道を見いだせずにいる。 天樹 真昼(あまぎ まひる) … 『異能ならざる双子』 錬と共に便利屋を営む、錬の義兄。〔賢人会議〕を通じて全世界を動かす物語のキーパーソン。錬を作成した天樹健三の実子で、月夜の双子の弟。22歳(エピソードI開始時点)。誕生日は(推定2175年)9月。錬からは「真昼兄」と呼ばれている。 I-ブレインを持たない通常人で、天才プログラマー。《情報制御理論》創始者の一人、アルフレッド・ウィッテンが何年かけても開発できなかった汎用型《魔法士》〈悪魔使い〉用プログラムの基礎を、幼い頃にほんの思いつき程度でほぼ完成させ、ウィッテンをして「本物の天才」と言わしめた人物。便利屋としてはブレインの役割を果たしており、ハッキングなどによる情報収集や錬の戦闘用プログラムの調整、戦闘時のバックアップなどを担当する。その才能は父・健三から受け継いだようである。 髪型と服装以外で見分けられないほど双子の月夜とそっくりな美青年。月夜とは対照的に常に冷静沈着で、観察力や分析力、洞察力に長けており、仲間内ではブレーキ役を務めることが多い。穏やかで人当たりが良さそうな印象だが、俗にいう腹黒で、ファンメイ曰く「詐欺師っぽい」。家族や仲間を大事にしており、根っからの悪人ではないものの、心理描写が他キャラと比べ少なく、その心の奥底で何を考えているのか分からない点や、全ての物事を自らの掌の上で操っているような掴みどころのない発言と行動から、一部の読者からは嫌われている模様。作者もそれを把握しているらしく、わざとそうしている可能性もある。 姉のように慕っていた七瀬雪の死後、月夜と共にシティを離れ放浪していたが、モスクワ地方の地下にある亡父の研究所を訪れた際に錬を発見・保護し、以後弟として育てた。後にモスクワ軍のメルボルン侵攻に巻き込まれる形でサクラと出会い、彼女の理想に共感し〔賢人会議〕に参加、参謀を務め、事実上の指導者としてサクラたちを導く。その手腕はサクラたち《魔法士》の力を最も効果的に運用し、頭脳戦で「将棋指し」アニル・ジュレを打ち負かしたほど。しかし〔賢人会議〕メンバーで唯一I-ブレインを持たないため、ある意味孤立無援の立場とも言える。本編において「僕はひねくれているし性格も悪いけど嘘は吐かない」と言っているが、〔賢人会議〕メンバーに伝える作戦は本意を隠していることが多かったり(これは主要メンバーが精神的に幼く“大人の振る舞い”ができないせいでもあるが)、サクラに黙って勝手に次の行動の準備を進めていたりするので、彼女に理不尽な怒りを押し付けられることも多い。 全ての人々が幸福になる“正しい答え”は必ず受け入れられると考える、ある意味理想主義的な性格でもあり、《魔法士》とI-ブレインを持たない通常人が手を取り合える世界を夢見て、その実現のために〔賢人会議〕を利用し尽力していたが、シティ・シンガポールの〔賢人会議〕同盟反対派の発表を信じたシンガポール市民の誤射に斃れ、死亡する(エピソードVIII)。しかし彼の目指していた未来の世界図は、“〔賢人会議〕の掲げる題目とは異なる、天樹真昼の真意”として双子の月夜やシンガポール大使のフェイを始めとする幾人かには気づかれ受け継がれている。 サクラの生みの親の一人で名付け親でもあるが、初対面のときから不自然なまでにサクラに肩入れしており、真昼自身は気づいていなかったが月夜だけは薄々理由を察していた。 エピソードVIII〈下〉(16巻相当)のあとがきによると、真昼の死は最初から予定されていたものとのこと。 天樹 月夜(あまぎ つきよ) … 『異能ならざる双子』 錬と共に便利屋を営む、錬の義姉。錬を作成した天樹健三の実子で、真昼の双子の姉。22歳(エピソードI開始時点)。誕生日は(推定2175年)9月。錬からは「月姉」と呼ばれている。 I-ブレインを持たない通常人で、天才エンジニア。分子配列を自在に変換し様々な物体を合成できる機械(の試作版)を作り上げたほか、各種の機器修理や武器などの制作を担当する。錬が戦闘の際に使うサバイバルナイフの自己領域展開デバイスを作り上げたのも、ディーの騎士剣『陰』の結晶体が破損した際にありあわせの騎士剣『森羅』の結晶体片で補完したのも彼女である。また頭脳派の真昼に対して彼女は行動派で、スパイ活動も得意であり、射撃の腕も軍人顔負け。僅か7歳にしてシティ・神戸軍の基地に潜入し落書きを残すという、信じがたい“偉業”を成したこともある。また各シティ軍の持つフライヤーなどの装備を、どこでどう手に入れたかは不明だがパーツ1つ1つまで分解したことがあり、その際に発見した他に知る者のない軍事機密にも等しいバグを“飯のタネ”として利用している。 錬の記憶の限り、長髪を無造作に束ね、着ているものは大抵ジーンズか上下繋ぎの作業服のどちらか、というほど見た目には無頓着だが、それでも息をのむほどの美人。双子の真昼とは対照的に自分の感情に素直で、よく怒り、手が早く、本気で怒るとすごく怖い。しかし頭の回転が速く冷静沈着な一面も持っており、状況に応じて決断や切り替えも早いさっぱりした性格。錬に対して口やかましいが、錬の身を案じているためであり、彼にはかなり甘い。双子の真昼に関しては、非常に息が合っており、その意図までは理解できずとも、真昼の立てた作戦そのものはほぼ正確に読み切るほど熟知している。ある意味で理想主義的な真昼に対して、どこまでも現実的な性格で、真昼に現実を教えるのは自分の役割だと思っている。 亡父の研究所で真昼と共に錬を保護してからは、弟として育てた。フィアに対しては、当初は警戒し辛辣な態度をとっていたものの、彼女の事情や人となりを知ってすぐに和解。錬の彼女と認めてからは、親友の弥生ともどもフィアを可愛がっている(エピソードI)。後にモスクワ軍のメルボルン侵攻に巻き込まれ、真昼に引きずられる形で〔賢人会議〕を支援したためイルの保護下でモスクワ軍の捕虜となる(エピソードV)。しかし“I-ブレインを持たない人類を滅ぼす”理念を掲げる〔賢人会議〕に“I-ブレインを持たない”真昼が参謀に収まっている違和感から、世界に急激過ぎる変革をもたらそうとする真昼、ひいては〔賢人会議〕を止めるべく、モスクワ軍と契約した(エピソードVI)。その行動力は、イルやヘイズに「捕虜らしくない」と呆れられ、彼女をよく知る祐一すら黙って従わせるほど。 フィア … 『天使』 錬が保護した「実験サンプル」の少女。エピソードIのヒロイン。外見年齢は14歳、実年齢は3歳(エピソードI開始時点)で、肉体年齢と実年齢の差は11歳ほど。誕生日は2195年1月1日。「フィア」はドイツ語で“4”を意味する。 シティ・神戸主導の「天使計画」の下で、《マザーコア》となるべく生み出された先天性《魔法士》〈天使〉の一人。そのため、《マザーシステム》の設定調整を一人で行える。純粋に科学的手段によって合成された遺伝子から生み出され、遺伝子的な親を持たない。 金髪緑眼の白人少女。好奇心旺盛で、珍しい物を見たり触れたりすることが大好き(フィアには同じものでも場所が違えば珍しいものと判断する節があり、珍しくないものでも興味を示すことがある)。また命の恩人とも言える錬とは相思相愛の関係にある。持ち前の明るさ、優しさからセラ、ファンメイ、クレアなどの女の子と仲良くなりやすい。 シティ・神戸の新たな《マザーコア》として死ぬ運命にあったが、研究所からシティ・神戸へ輸送中、謎の依頼を受けた錬によって奪取される。紆余曲折の末シティ・神戸と市民一千万人と引き換えに命を長らえたものの、そのことに対し深い罪悪感を抱いている(エピソードI)。その後は弥生に引き取られ、錬と行動を共にし、弥生の家を拠点に真昼と月夜を追って世界を巡る。ただし、《マザーコア》に適した《魔法士》であることは変わらず、シティ側の《魔法士》からはその力を隠さなければならない状態が続いている。 黒沢 祐一(くろさわ ゆういち) … 『黒衣の騎士』 かつて第三次世界大戦で活躍し、現在でも英雄として世界に名を馳せる《魔法士》の青年。推定年齢20代後半から30代(エピソードI開始時点、ただし生きていれば30歳の七瀬雪より年下らしき描写がある)。誕生日は2168年(月日不明)。 元はシティ・神戸自治軍〔天樹機関〕所属の少佐だったが、エピソードI開始時点ではシティ・ベルリン自治軍の客員士官として活動。ベルリン軍における階級は少佐。普段は神戸軍時代の軍服であった黒いジャケットとスラックスを着用しており、ミラーシェードをかけ、ブーツやコートに至るまで黒一色で統一しているため「黒衣の騎士」あるいは「黒騎士」として知られている。 神戸軍が行った《魔法士》実験で大戦前にI-ブレイン埋め込み手術を受けた後天性《魔法士》で、最初期に誕生した〈騎士〉の1人。しかし後天性《魔法士》にあるはずの“肉体とI-ブレインの不一致”が全くない、後天性《魔法士》としては稀有な存在。その他にも恋人であり史上最強の〈騎士〉・七瀬雪から指導を受けていたことや大戦時の戦闘経験からか、作中に登場する《魔法士》の中では他者を寄せ付けない圧倒的な強さを誇り、雪が亡き後は「最強騎士」の評を受けている(2代目)。 黒髪を短く揃えた、身長190㎝近い無駄のない体躯の日本人青年。大戦以来、数々のつらい体験を経たためか、甘い理想に理解を示しつつも、それよりも痛みを伴う現実を選ぶような現実主義者。恋人の七瀬雪を失ってからは諦観的な面も見られたが、祐一自身も理想と現実の狭間で悩み続けていた。しかし神戸の事件の最中、生前の雪が考えた“騎士の誓い”を思い出し、守るべきもののために諦めず戦うことを決意する。 《魔法士》となった後に第三次世界大戦が勃発、七瀬雪と共に戦線へと投入されたが、雪の退役に伴い自身も退役し、大戦との関わりを避けシティ・神戸の小さな一軒家で二人で暮らしていた。真昼や月夜とは、雪と付き合い始めた頃に紹介され、退役後は隣人として親しくしていた。終戦後、シティ・神戸の《マザーコア》に志願した雪を失ったことで、シティ・神戸に居づらくなり10年ほど傭兵として世界中を転々とする。しかしベルリンから神戸への「実験サンプル」輸送護衛中に、錬の「実験サンプル」強奪事件が発生し、ベルリン軍からの派遣という形でシティ・神戸へ帰還、錬と対立する。その際、偶然から神戸市民の少女・沙耶へ自身のアクセスコードを渡すことになり、それが神戸の事件を解決する鍵となった(エピソードI)。事件後は再び世界を放浪するが、旧友レノアからの手紙でマサチューセッツへ赴き、レノアの娘セラとそこで出会ったディーを保護する。その際、重要機密を盗み出したレノアと「貴重な《魔法士》サンプル」であるセラを庇って、マサチューセッツ軍とその同盟であるモスクワ軍を敵に回すことになった(エピソードIII)。その後ディーとセラが〔賢人会議〕のメンバーになることを決めた際、「〔賢人会議〕の理想の下では自分は剣を振るえない」として、二人とは道を違えた。しかし彼らの危機には即座に駆けつけることを約束している。 ディーが騎士剣『森羅』と“本当の強さ”を手に入れたことで“最強”ではなくなったものの、情報戦や経験を含めた総合能力では祐一の方が上回るため、「最強騎士」ではなく「最高騎士」と呼ばれるようになる。なお、ディーと直接戦った場合でも、経験や純粋な〈騎士〉能力(I-ブレイン)の差で勝利できる。 初登場時は量産型の騎士剣『冥王六式』を使用していたが、運動能力・知覚能力共に20倍程度までしか出せず、錬と最初に対決した際に祐一の全力についてこれずに壊れた。その後は、シティ・神戸に保管されていた七瀬雪の騎士剣『紅蓮』を使用している。『紅蓮』を使用した場合の運動係数制御の上昇値は運動能力60倍、知覚能力120倍。 七瀬 雪(ななせ ゆき) かつて第三次世界大戦で活躍し、「最強騎士」「紅蓮の魔女」「英雄」等の数々の異名を得た史上最強の《魔法士》。現在は故人。誕生日は(推定2168年)2月。雪が降る寒い日に生まれたため、雪と名付けられた。 黒沢祐一のかつての恋人で七瀬静江の娘。軍属時代はシティ・神戸自治軍〔天樹機関〕所属の中佐だった。 神戸軍が行った《魔法士》実験で大戦前にI-ブレイン埋め込み手術を受けた後天性《魔法士》で、最初期に誕生した〈騎士〉の1人。しかし後天性ながら史上最強の〈騎士〉であり、彼女を上回る〈騎士〉は未だ出現していない。作中では圧倒的な強さを誇る祐一すら、彼女の存命中は一度も彼女に勝てなかったほど。〈騎士〉能力のひとつである自己領域の考案者でもあり、その補助デバイスとして騎士剣『紅蓮』が開発された。 長い黒髪に、雪のように白い肌を持つ美人。名前に反し、優しく暖かいが激しい気性の持ち主で、一度決めたら梃でも動かない一本気な性格。ややロマンチストだったようで、祐一の前で“騎士の誓い”を立てただけでなく、祐一の誓いの文面まで考えた。母・七瀬静江と天樹健三が旧知の仲であったことから、健三の実子である真昼と月夜とは幼い頃から姉弟のように親しくしており、双子が毎年命日に不法侵入の危険を冒してまで墓参りに来るほど慕われていた。 両親は共にシティ・神戸自治軍所属の軍人で、自身も士官学校に通うも、生まれつきの脳の障害により両足が動かなかったらしく、一生車椅子生活だと言われていた。15歳のとき《魔法士》実験に自ら志願、I-ブレイン埋め込み手術を受けて〔天樹機関〕最初期の〈騎士〉となり、同時に健常者として生活できるようになった。反射神経や動体視力、予測能力など〈騎士〉としての素質に極めて優れていたうえ、〈騎士〉になるまでは運動できない体だったため、〈騎士〉として最も優れた能力を発揮できたようである。その後、第三次世界大戦が勃発し、恋人の黒沢祐一と共に戦線に投入されたが、悲惨な戦争に耐え切れず一年で退役。大戦との関わりを避けシティ・神戸の小さな一軒家で祐一と二人で暮らしていた。大戦終了後に母に泣きながら乞われ、シティ・神戸の《マザーコア》になる事を快諾し死亡した。 祐一が使用している騎士剣『紅蓮』はもともと雪の物であり、彼女が《マザーコア》となった後の10年間、彼女と共にマザールームに収蔵されていた。 七瀬 静江(ななせ しずえ) シティ・神戸の防衛局総司令官。 シティ・神戸自治軍所属の軍人で、第三次世界大戦時の階級は大将。 壮年から老年に差し掛かった年配の女性で、かつて黒々としていた髪も現在は白一色。大戦時に右足を失い、エピソードI現在は電動式の車椅子を常用している。 七瀬雪の母で、一人娘の雪を何より大切に思っており、娘が軍や《魔法士》実験に志願したときは、夫の誠一と共に反対したが、娘の硬い決意に折れる形となった。その娘を苦渋の末、神戸市民を救うべく犠牲にしたことを悔いており、亡き娘との約束もあり、《マザーシステム》に代わるシティ制御機構の開発を望んでいた。しかし開発が失敗し、シティ・神戸が新たな《マザーコア》の作成に着手したため、この世の全てを憎むようになり、《マザーコア》を暴走させてシティ・神戸を壊滅させようとした。その道具としてフィアを利用するつもりだったが、接するうちにフィアに愛情を注ぐようになる。フィアからは「おばあさま」と呼ばれ慕われていた。 フィアが神戸へ輸送されるに際し、彼女の“最後の願い”を叶えるべく、錬に「実験サンプルの奪取」という偽の依頼をし、二人を引き合わせる。事件解決のため派遣された娘の恋人・祐一に、フィアの誘拐が狂言であることを見抜かれ拘束されたものの、《マザーコア》の暴走という計画の“本命”は成功させた。その混乱に乗じて拘束から逃れフィアを助けようとしたが、致命傷を負いフィアに見守られて息を引き取る(エピソードI)。フィアに単なる番号でない名前をつける約束をし、死の間際にそれを果たそうとしたが、フィアは「おばあさまがフィアと呼んでくれたから、自分の名前はフィアだ」としてそれを退けた。 弥生(やよい) 錬の町に住む若い女医。22歳(エピソードI開始時点)。脳関連の不具合により、重い心臓病を患っている。未亡人で、雪の日に幼い娘を亡くしたという過去を持つ。月夜の親友であり、金勘定については真昼や月夜よりもうるさいという一面も。 神戸の事件の後は、亡き娘を思わせるフィアを引き取り、養女として惜しみない愛情を注いでいる。時々月夜と共にフィアに色々な服を着せファッションショーごっこをしている。 ヴィド 日本、東南アジア、東ユーラシア(北米も含む?)などを渡り歩く隊商(キャラバン)〔ヴィド商会〕の頭。40代前後の白人の大男。気さくな人物で、天樹家の3人や弥生とは長年の付き合い。 結城 沙耶(ゆうき さや) シティ・神戸の一般市民である10歳の少女(エピソードI開始時点)。エピソードVIIIのキーパーソン。父親は神戸軍に所属し《マザーコア》研究に関わっている。 神戸の事件で母親を失ったものの、祐一から渡されたパスコードなどによる要因もあって辛くも生き延びた(エピソードI)。その後は難民として、神戸の生き残りと共に放浪を続けていたが、父親に見つけられシティ・シンガポールへ移住する。しかし移住から間もなく父親が亡くなり、孤児院へと引き取られた。そして〔賢人会議〕とシティ・シンガポールの同盟に伴う混乱に大きく関わることになる(エピソードVIII)。
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