《情報制御理論》創始者
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「ウィザーズ・ブレイン」の記事における「《情報制御理論》創始者」の解説
かつては揃ってフリードリヒ・ガウス記念研究所に所属しており、その時期に《情報制御理論》が創始された。 天樹 健三(あまぎ けんぞう) 《情報制御理論》創始者の一人。世界最高の物理学者。錬を作った人物であり、月夜と真昼の父。 かなりの長身で肩幅も広く、一分の隙も無い服装や振る舞いは財界の大物にしか見えず、社交的で政財界に強いコネを多く持つ。錬が生まれた日に肺炎で他界。 研究を行なうのはあくまで自身の好奇心や探求心を満たすためであり、「科学の法則は人間の思惑と無関係にそこにあるもので、原理が悪用されたからといってそれを発見した科学者、ひいては理論そのものを糾弾するのは間違いであり、糾弾されるべきはあくまでも悪用した人間である」という自論を持つ。故に、攻撃を受けてもあえて「そんなことは私の知ったことではない」と笑っていた。 アルフレッド・ウィッテンの友人にして師と言える人物でもある。エリザとは「喧嘩するほど仲がいい」の典型ともいえる友人同士だった。 エリザベート・ザイン 《情報制御理論》創始者の一人で、I-ブレインの生物学的構造とその育成過程の基礎理論を生み出した、大脳生理学の歴史的権威。現在は故人。愛称は「エリザ」。 自身の手では実験を一切行わず、データ上の仮定と思考実験だけで、実用的かつ完璧な“机上の理論”を次々と生み出した特異な研究者であり、アルフレッド・ウィッテンいわく「怪物」、天樹健三いわく「天才」。理論の現実的な実践には一切の興味がなく「実践など必要ない」が口癖で、ただ美しい理論を構築することに注力していた。そのため健三やウィッテンと異なり《魔法士》を作ることはなかったが、晩年に生涯唯一の作品として〈人形使い〉エドワード・ザインを生み出した。エドを作った理由は「退屈を紛らわすため」としているが、「健三からは孤独に負けたかと笑われるだろう」と予想もしている(気に入ってはいたらしく、日記で「なかなか気が利く」と彼女にしては珍しく褒めている)。 効率を何より重視し無駄を嫌う性格で、人付き合いも悪く、最晩年のエドと二人だけの生活サイクルは機械のように正確かつ単調だった。またバーベキューをするにしてもクラッカーを鳴らすにしてもいちいち「不合理だ」「もっと効率のよいやり方もあるだろうに」などとこぼし、その度に健三にたしなめられていた。周囲からは「社会不適格者」「偏屈な変人」と評され、並みの人間では相手が務まらなかったようである。しかしアリスとの交流を経て心境の変化があったらしく、晩年には弟子を取ったりきちんとした食事を採るようになったりエドや《世界樹》の種を作ったりしている。 西暦2189年に《世界樹》の着想を得て思考実験を繰り返し、偶然から2191年2月に《世界樹》の種を作ったものの、とある重大な欠陥に気づき、実験を放棄したようである。しかし《世界樹》に関するデータは後に誤ってエドに記録され、エドが《世界樹》事件を引き起こす遠因となった。 西暦2195年3月、シティ・チューリッヒ跡地に近い研究所にて、ウイルス性の内臓疾患で死亡。書類の年齢や生年月日の欄に大きく一言「不詳」と書いてそれで通してしまったため、冗談でなく年齢不詳だが、遺体が発見された場面では「30代半ばの女」と描写されている。 彼女が使っていた《情報制御理論》の誕生以前のプラントには、《論理回路》によって隠蔽された隠し部屋が存在する。 科学研究に対する姿勢は基本的に健三と同じだが、非難されない代わりに賞賛も受け取らないつもりで、ただ理論の完成に邁進する道を選んだ。 健三とのやりとりは、ウィッテンに「仲がいいのか、いがみ合っているのか」と言われていた。 アルフレッド・ウィッテン 《情報制御理論》創始者の一人で、わずか17歳で《情報制御理論》の論理体系を完成させ、史上最大の天才と呼ばれたほどの数学者。エピソードVIIの主人公。アリス・リステルと同世代で、現在は所在不明。誕生日は2163年9月27日。他の登場人物の多くからは「ウィッテン」と呼ばれるが、アリスからは「アル」と呼ばれていた。 天性の優れた数学者で、新たな何かを生み出し実践するより、既に在るものを解析し理解することを得意とする。主に《情報制御》に関する様々な理論を発表したほか、健三やエリザとは異なる着眼点からの発想を提示し、彼らの研究に刺激を与え推進させるような存在だった。後に《魔法士》を開発するため、本来は専門外である物理学や脳神経学などを学んだが、元々新しいものを生み出すのは不得手だったため、《魔法士》の“失敗作”を生み出したり、〈悪魔使い〉のシステムを完成させるのに10年近い歳月を費やしたりしている。 金髪の白人男性。数学者としての才能を除けばどこにでもいるようなごく普通の若者であり、科学に対し“全ての人々を幸福にするもの”という夢を抱いており、それゆえに“大人の事情”には思いも及ばず建前を信じ切っているような、ある意味純粋な若者。それ故に大人になり世間を知るにつれ、理想と現実の齟齬に苦しむこととなる。真昼とは年の離れた友人でもあり、三次元将棋における真昼との対戦成績は137勝512敗。遺伝子的にはサクラの父親に当たり、サクラからは「父様」と呼ばれている。 “正体不明の脳の病気”の患者としてフリードリッヒ・ガウス記念研究所へ来たアリス・リステルと出会い、交流を持つうち、互いに惹かれ合い恋人同士となる。その一方で健三やエリザと協力し合い、アリスのI-ブレインを研究して《情報制御理論》の基礎を築いた。しかしある日ニューデリー軍の襲撃を受けて、アリスの立場を初めて理解し、普通の暮らしができない彼女のため「《魔法士》の存在が当たり前になり、アリスが普通に街を歩ける世界を作ろう」と考え《魔法士》開発に邁進するようになる。健三やエリザからは《魔法士》開発から手を引くよう勧められたが、それを良しとせず世界各地を転々とし《魔法士》開発に打ち込むものの、その結果がどうなるかまでには考えが至っておらず、結局それが裏目に出てしまった。 サクラの遺伝子を設計したのは2184年頃で、偶然見つけた真昼には「設計中の新しいタイプの《魔法士》」と説明したが、真実は「自身とアリスの遺伝子を掛け合わせたら(すなわち二人の間に子供ができたら)、どんなI-ブレインが誕生するのか」を確認していただけであった。 誕生間もないサクラをカール・アンダーソンに預けた後「なくしたものを取りに行く」と南極へ発ったきり消息不明になる。後に北極上空の大気制御衛星内で癌により死亡しているのが確認された。 実の娘とも言えるサクラを始め、作中に登場する多くの《魔法士》たちに関わりを持っている(ヘイズ、ファンメイ、シャオロン、ルーティ、カイ、サクラなど)。 アリス・リステル 《情報制御理論》が創始される発端となった、生まれつき脳内にI-ブレインを持った少女。エピソードVIIのヒロイン。アルフレッド・ウィッテンより11か月年下で、現在は所在不明。誕生日は2164年8月27日。 “全ての《魔法士》の原型”となった人物。《魔法士》としてのタイプは明確でないが、本来であれば特定の機能に縛られずあらゆる物理定数や物理法則を書き換えることが可能。彼女のI-ブレインを研究した副産物として《情報制御理論》、及び《魔法士》は生み出された。大戦前に製造されたあらゆるコンピュータや後天性《魔法士》よりはるかに優れた演算能力を持っていた。 黒い髪に青い瞳の白人女性。料理上手なごく普通の少女で、優しく寂しがり屋で、愛する人との平穏な普通の生活を求めていた。遺伝子的にはサクラの母親に当たり、サクラからは「母様」と呼ばれている。 元々は北欧系のシティ出身で、両親の病死後にニューデリーの親戚へ引き取られ、“正体不明の脳の病気”によって長らく入院していたが、研究者の手に余り、当時フリードリッヒ・ガウス記念研究所に所属していた大脳生理学の権威エリザのところへ送られた――ということになっているが、入院先の正体はニューデリー軍の施設であり、軍事利用を目的として彼女の能力を研究していたが、10年を費やしても研究が進まず解体されることになった彼女を、研究者が密かに手回ししてフリードリッヒ・ガウス記念研究所に逃した、というのが真相。 その特異な能力のためニューデリー軍から狙われており、また真相が知れればシティ同士の激しい争奪戦が予想されることから、常に身を隠されており普通の暮らしができずにいた。しかし同世代のアルフレッド・ウィッテンと出会い、恋人同士となったことでひと時の安らぎを得る。やがて彼女の存在を察知した各シティの目から逃れるため、大気制御衛星の中に《情報制御》で作られた隠れ家へ住むことになるが、ある日健三のアイディアで既存の予測システムが計算できない“世界の未来”を予測演算することになり、大気制御衛星が暴走を起こした2186年5月14日、衝撃的な“世界の解”を知ってしまう。
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