I-ブレイン
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「ウィザーズ・ブレイン」の記事における「I-ブレイン」の解説
I-ブレインとは、《情報制御理論》に基づいて《情報の海》に干渉し、《情報の海》を書き換える生体量子コンピュータ。Informational-Brain(『情報を扱う脳』)の略であり、天樹健三とエリザベート・ザインによって命名された。 具体的には、人間の脳の一部が異常発達してできた“新しい器官”であり、前頭葉に位置する僅か100グラム足らずの神経細胞の塊。内包されている神経網は“論理的には通常のコンピュータと完全に同じ構造を持って”おり、「CPU」、「主記憶装置(メインメモリ)」、内蔵された「補助記憶装置」、および「《情報の海》への接続部位(入出力装置)」などの構成要素からなるとされる。また通常の脳に“視覚化された映像”を送り込むグラフィック処理系まで備えている。 《魔法士》の“使える魔法”を決定付ける代物であり、原則として特定の物理法則(物理定数)のみを書き換えることへ特化しており汎用性は低い。ただしI-ブレインの性能が低くても、経験(祐一など)や性能を最大限に活かした使用法(ヘイズ)などによってそれをある程度補うことも可能である。また、あらゆる物理法則(物理定数)を書き換え可能な汎用性の高いI-ブレインも存在しており、「全ての《魔法士》の原型」であるアリス・リステルのI-ブレインが相当する。 ただしあくまでもコンピュータとしては“ハードウェア”の部分だけであり、その機能を最大限に活用するための“ソフトウェア(オペレーティングシステム含む)”は別に用意する必要がある。I-ブレイン内にOSを始めとするソフトウェアがない状態でも《情報の海》への干渉そのものは可能だが、I-ブレインの持ち主の感覚頼りになるため効率が悪くなり、その真価を発揮することはできない。 またI-ブレインもコンピュータの一種であるため、外部の電子機器と接続することで、《情報の海》を介さず通常のコンピュータと同様に扱うことも可能。作中では天樹真昼が錬の戦闘プログラムを調整したり、黒沢祐一が独立型データベースへのクラッキングを試みたり、アリス・リステルが外部記憶装置に保存されたプログラムを稼働させたりしている。 性能 I-ブレインの構造と性能は、製造および調整時に決定する。そのため演算速度が性能劣化により遅くなることはあっても、早くなることは無い。また持ちうる能力も製造および調整時に固定され、以後変化することは一切ない。これは極めて特殊な構造のI-ブレインを持つ〈悪魔使い〉であっても同様(〈悪魔使い〉は、〈騎士〉など他の《魔法士》の能力を模倣できるが、I-ブレインの構造自体は〈悪魔使い〉のものである)。また、きわめて正確な体内時計が搭載されており、I-ブレインを持つものは、時計を持たずとも正確に時間を知ることが出来る。ただし時差についてどう扱っているかは不明。 取得方法 I-ブレインは後天的に取得するものと先天的に獲得するものがある。 後天的なI-ブレイン取得 《情報制御理論》創設初期(大戦前)には、倫理面の問題もあり後天的な取得が一般的であった。これは能力を設定したI-ブレインを組織培養し、主に軍人から募った志願者の脳に手術で埋め込むというものである。そのため多くの後天性《魔法士》は、軍の一部門である《魔法士》研究機関に所属する実験体、という扱いになっている。大戦前には臓器移植の一種という感覚で行われていたが、埋め込み手術は成功率が低いらしく、死者も出る模様。大戦後は先天性《魔法士》が一般的になったため、自然と廃れており、2199年現在I-ブレイン埋め込み手術の技術を保持しているのはシティ・ニューデリーだけとなっている。 埋め込み手術の際には、I-ブレインに対する拒絶反応が起きないよう、被験者は遺伝子の改変手術も受ける。このため後天性《魔法士》の遺伝子が子供に遺伝する可能性も、理論上は在り得る。 後天的にI-ブレインを取得した場合、“肉体とI-ブレインが一致しない”可能性が高いため、《情報制御》が脳に与える負荷が大きく、先天性《魔法士》に比べ能力は低くなりがちなうえ、脳の旧皮質が壊死する現象(フリーズ・アウトと呼ばれる)が起こりやすい。 先天的なI-ブレイン獲得 一方、先天的に獲得する場合は、専門家やプログラムなどにより遺伝子を設計され合成される、または自然発生(つまりは生殖行為の結果により生まれた子への遺伝)する、という2パターンがある。 遺伝子操作による先天的なI-ブレイン獲得 遺伝子を設計され合成される場合、その《魔法士》に生物学的な親は存在しない(遺伝子のモデルがいれば遺伝学的な親は存在しうる)。設計された遺伝子にはI-ブレインの構造も組み込まれているため、生まれる前から《魔法士》のタイプは決定しており、“肉体とI-ブレインの不一致”も起こらない。 ただしI-ブレインの成長は偶然に頼る部分も多く、擬似記憶によって人間として成長させて脳への刺激を与えないと、神経回路の生育に障害をきたし、I-ブレインが正常に機能しないことがある。そのため設計された遺伝子は、受精卵のときから培養槽で管理されて成長し、電気刺激により成長促進されるため、肉体年齢が実年齢と一致しない。大戦前は技術的には可能なものの倫理面の問題から忌避されていたが、大戦期に「兵器」として生産されるようになり、大戦後はこの手法での生成がほとんどである。 自然発生による先天的なI-ブレイン獲得 その一方で、《魔法士》能力が遺伝する可能性は天文学的な確率とされ、自然発生した《魔法士》はこれまでに例がない。セレスティ・E・クラインは母親と同じ〈光使い〉であり、《魔法士》が自然発生した史上唯一の例とされた。 しかし実は、現在の《魔法士》能力の遺伝率は人工的に抑制されたものであり、本来であれば片親が普通の人間でも子供が《魔法士》となる確率は9割を超える。最初に《魔法士》が作られる以前の2182年12月、《魔法士》が通常の人間に取って代わることを恐れた〔地球連合〕は、全ての《魔法士》を管理下に置くべく、極秘裏に“《魔法士》開発の基本ルール”のひとつとして《魔法士》能力の遺伝を抑制することを決定、《魔法士》の基本設計に解除不能なプロテクトを組み込み、同時に《魔法士》の自然発生を抑制するウイルスを散布した。しかしそれらのプロテクトを施す以前より、既に突然変異により自然発生した「全ての《魔法士》の原型」アリス・リステルが存在していたことを〔賢人会議〕が2199年に明らかにした。 ソフトウェア I-ブレインは、そのI-ブレインに最適化されたオペレーティングシステムとそのOS上で動作するアプリケーションを利用することで、能力が飛躍的に向上し、その真価を発揮する。 作中の描写によるとI-ブレイン用のソフトウェアは、通常は書き換え不能な《基礎領域》と、必要に応じて《魔法士》タイプに応じた《魔法》を発動させるアプリケーションの存在が確認できる。それらのプログラムは遺伝子設計の段階で《中枢領域》に組み込まれるらしい。 また〈悪魔使い〉の2人は「通常は書き換え不能な《基礎領域》を後天的に書き換えられる」とされる。これは、能力を特化した《魔法士》のI-ブレインと異なり、《中枢領域》にOSやアプリケーションが書き込まれていない「まっさらな状態」とのこと(エピソードIVより)。 《基礎領域》 作中の描写が少なく詳細は不明だが、アルフレッド・ウィッテンがI-ブレイン用オペレーティングシステムを開発する描写(エピソードVII)から、特定の物理定数を書き換えることに特化したI-ブレイン用OS、あるいは《魔法士》の記憶領域のうちI-ブレイン用OSが常駐している領域を指すと推測される[独自研究?]。 〈悪魔使い〉の2人の場合、作中の能力使用時の描写から、特化したOSを複数持つマルチブート方式(錬は各デーモンが、サクラは各○○制御がOSに相当)とも推測できるが、こちらも詳細は不明。I-ブレインの限られた記憶容量を圧迫するため、OSの性能を落とすことで容量を削り、記憶容量の空きを確保している可能性がある[独自研究?]。また能力を切り替えるたびにOSを起動し直す必要があるため、OSの性能を落とし容量を削ることは、OSの起動速度を速める効果もある。
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