在るとは?

あ・る【有る/在る】

[動ラ五][文]あ・りラ変

[一]

事物存在する。「庭には池が—・る」「重大な欠陥が—・る」

その場所存在する。位置する。「本社東京に—・る」「沖ノ鳥島日本最南端に—・る」

ある事柄がはっきり認められるまた、ある状態に置かれている認められる。「非は先方に—・る」「土地高値安定傾向に—・る」「大国影響下に—・る」

それによって決まる。それ次第である。左右される。「解決糸口相手の出かたに—・る」

(その存在客観的抽象的なものとして捉え)人が存在する。居る。「昔々おじいさんとおばあさんが—・りました」「異を唱える人も—・る」

この世生きている。生存している。「世に—・る間」

ある場所に身を置くまた、特定の位置・状態にいる。「現場に—・って指揮に当たる」「長年会長の職に—・った」「病床に—・る」「逆境に—・ってもくじけない

自分のものや付属として持っている所持所有している。「財産が—・る」「投票権が—・る」「バラにはとげが—・る」

身に付いたものとして持っている中に持つ。備わる。含まれる。「教養が—・る」「貫禄が—・る」

10 ある考え気持ち感覚などを持っている。「お願いが—・る」「言いたいことが—・る」「かすかな痛みが—・る」

11 時間的空間的に、その数量であることを表す。「開幕まで一週間—・る」「彼は一八センチ—・る」

12 事が起こる。事柄発生する。出来(しゅったい)する。また、物事が行われる。「昨夜地震が—・った」「土砂崩れの—・った現場」「これから大発表が—・る」「一言謝罪が—・ってもいいだろう」

13 時間がたつ。「やや—・って口を開いた」

14 特定の語句結び付いた形全体で、種々の意味を表す。

㋐(引用の「と」を受けた「とある」の形で)…と書いてある。…という。…ということだ。「メモには午後二時来社すると—・る」「命令と—・ればしかたがない」「死んだと—・ればあきらめもつく」

㋑(「とあって」の形で)状況結果がそうであるので。…ということなので。「行楽シーズンと—・って道路が相当混む」「合意の上と—・っては反対できない

㋒(「だけある」「だけのことはある」の形で)それにふさわしい状態・結果が得られることを表す。「自慢するだけ—・ってよくできている」「さすが特訓しただけのことは—・る」

㋓(「ことがある」の形で)場合によっては…する、…の経験をしている、などの意を表す。「季節によってメニュー一部変更することが—・ります」「富士には何回も登ったことが—・る」

㋔(「にあって」の形で)その範囲で、…において、の意を表す。「わが党に—・って随一政策通だ」

[二]補助動詞

動詞連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて用いる。

㋐ある動作や行為などの結果が現在まで引き続いている意を表す。「花が生けて—・る」「ドア閉めて—・る」

㋑何かに備えてすでに用意がなされていることを表す。「軍隊待機させて—・る」「彼女に前もって伝えて—・る」

㋒(「…にしてある」の形で)そうなっていないが、そうなったものとみなしていることを表す。「心配をかけないように、元気でいることにして—・る」

動詞連用形接続助詞「つつ」を添えた形に付いて、動作作用継続して現在も行われていることを表す。「のつぼみがほころびつつ—・る」「月がのぼりつつ—・る」

名詞助動詞「だ」の連用形「で」を添えた形に付いて、事柄説明で、そのような性質をもっている、そのような状態・事態である、と判断する意を表す。「人間は考える葦(あし)で—・る」「トマトナス科植物で—・る」

形容詞形容動詞連用形、または、その連用形助詞添えた形に付いて、そういう性質をもっている、そういう状態であることを言い定める意を表す。「常に美しく—・りたいと願う」「悲しくは—・るが、じっと耐えよう」

動詞連用形動作性の漢語名詞などに付いて、多くお…ある」「御(ご)…ある」の形で、その動作をする人に対す尊敬を表す。「おいで—・れ」「御笑覧—・れ」

[補説] (1) 「ある」は、広く五感などを通して空間的時間的事物事柄存在認められる意がおおもと古くは「昔、男ありけり」〈伊勢・二〉のように、人に関して用いたが、現在ではふつう人間動物以外の事物についていい、人間動物については「いる」を用いる。しかし、「予想外参加者があった」「強い味方がある」など、人に関しても「ある」が用いられることがあり、この場合は人が概念化抽象化した立場でとらえられていたり、所有意識認められていたりする。(2) 補助動詞としての「つつある」[二]2は英語などの進行形直訳的表現文語補助動詞「あり」は一部副詞「かく」「しか」「さ」などや、助動詞の「ず」「べし」の連用形に付いて用いられることがある。「けり」「たり」「なり」「めり」などのラ変活用助動詞および形容詞語尾「かり」、形容動詞語尾「たり」「なり」などは、いずれも「あり」が他の要素結合してできたもの。ふつう、存在する意の場合は「在」を、所有する意の場合は「有」の字当てるが、かな書きにすることも多い。なお、「ある」の打消し文語では「あらず」であるが、口語では「あらない」とはいわず、形容詞の「ない」を用いる。

[下接句] 余り物に福がある上には上がある腕に覚えがある裏には裏がある気がある二度ある事は三度ある・残り物に福がある花も実もある一癖も二癖もある身に覚えがある脈がある一年の計は元旦にあり遠慮なければ近憂あり壁に耳あり・烏(からす)に反哺(はんぽ)の孝あり・国破れて山河あり心ここに在らず沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり死生命(めい)あり・信あれば徳あり捨てる神あれば拾う神あり生ある者は必ず死あり積悪の家には必ず余殃(よおう)あり・積善の家には必ず余慶あり男子家を出(いず)れば七人の敵あり・爪(つめ)に爪なく瓜(うり)に爪あり・敵は本能寺にあり人間(にんげん)到る所青山あり・初め有るものは必ず終わり有り(はと)に三枝の礼有り・待てば海路の日和(ひより)あり・待てば甘露の日和あり身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ楽あれば苦あり・我思う故(ゆえ)に我在り


あ・る【有・在】

〔自ラ五〕 [文]あ・り 〔自ラ変

[一] 物事生物などの存在認められる

存在する。

(イ) 人、動物場合。いる。

古事記(712)上・歌謡「遠々高志(こし)の国に 賢(さか)し女(め)を 阿理(アリ)と聞かして」

*竹取(9C末‐10C初)「今は昔、たけとりの翁といふもの有けり」

(ロ) 無生物物事などの場合

古事記(712)下・歌謡「大猪子(おほゐこ)が 腹に阿流(アル) 肝向かふ 心をだにか 相思はずあらむ」

万葉(8C後)一七・四〇〇八「天ざかる 鄙(ひな)にはあれど わが背子を 見つつしをれば 思ひやる 事も安利(アリ)しを」

平家13C前)三「日本国に、平家庄園ならぬ所やある」

この世生きている。生き長らえる生存する。

古事記(712)下・歌謡「鏡なす 吾(あ)が思ふ妻 阿理(アリ)と 言はばこそよ」

平家13C前)六「小督(こがう)があらんかぎり世中よかるまじ」

③ ある場所にとどまっている。また、住む。暮らす。

万葉(8C後)一五・三五九四「潮待つと安里(アリ)ける船を知らずしてくやしく妹を別れ来にけり」

徒然草1331頃)五八「家にあり、人に交はるとも後世を願はんに難かるべきかは」

④ ちょうどその場にいる。居合わせる

*竹取(9C末‐10C初)「もち月の明かさを十合せたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆる程なり」

(5) あるものに所属して存在する。所有されている。

*竹取(9C末‐10C初)「たつのくびに五色の光ある玉あなり」

方丈記1212)「財あればおそれ多く貧しければうらみ切なり」

(6) 目立つ状態で存在する。

(イ) (「世にあり」の形で) 繁栄して過ごす。はなやかに暮らす。

平家13C前)一〇「維盛こそ〈略〉むなしうなるとも、このごろ世にある人こそ多けれ」

(ロ) すぐれているすぐれたところを持つ。

*竹取(9C末‐10C初)「くらもち御子は心たばかりある人にて」

保元(1220頃か)中「弓矢取っても打物取っても、我こそあらめ」

二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「腕に芸のあるのが〈略〉一番安心」

(7)言葉存在するの意から、多く「…とある」の形で)

(イ) 口に出す文字書かれている。「言う」「書く」より間接的表現なので、敬意がこもる場合が多い。

古今(905‐914)夏・一六一・詞書「めして郭公まつ歌よめとありければよめる」

(ロ) 「ある」が「口に出す」の意を失って形式的用いられる場合

破戒(1906)〈島崎藤村〉一「飯山病院入院の為とあって

(8)多く動作付随している物事表わす名詞の下にきて) 行なわれる。起こる。

*竹取(9C末‐10C初)「玉の取りがたかりし事を知り給へればなんかんだうあらじとて参りつると申す」

平家13C前)六「改元あって寿永号す

(9) (間に時があるの意から) 時間がたつ。経過する。

*竹取(9C末‐10C初)「三日かりありて、漕ぎかへり給ひぬ」

(10C終)一〇四「いくばくもあらで明けぬ

[二] 補助動詞として用いられる。

① (断定の助動詞「なり」「たり」「だ」の連用形「に」「と」「で」に付いて) 指定の意を表わす。間に助詞がはいる場合が多い。

(イ) 「に」に付く場合

古事記(712)中・歌謡「一つ松 人に阿理(アリ)せば 太刀佩(は)けましを」

万葉(8C後)五・八九三「世の中憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつにし安良(アラ)ねば」

源氏100114頃)桐壺「いとやむごとなき際(きは)にはあらぬが」

(ロ) 「と」に付く場合

万葉(8C後)三・三四三なかなかに人と有(あら)ずは酒壺になりにてしかも酒にしみなむ」

方丈記1212)「人の友とあるものは」

(ハ) 「で」に付く場合

歌舞伎今源氏六十帖(1695)二「乙女は〈略〉後々幾代之介と夫婦にする筈である」

滑稽本浮世床(1813‐23)初「過日(このごろ)も或儒先生〈略〉髦髪(かみのけ)までが長いであると、見て来た様なる国字解

② (種々の語に付いて) そういう状態である意を表わす。間に係助詞のはいる場合が多い。

(イ) 形容詞形容動詞連用形に付く場合

古事記(712)上・歌謡「赤玉は 緒さへ光れど 白玉の 君が装(よそひ)し たふとく阿理(アリ)けり」

源氏100114頃)夕顔「かくこまかにはあらで」

(ロ) 打消の助動詞「ず」、推量の助動詞「べし」の連用形に付く場合

古事記(712)下・歌謡「置目(おきめ)もや 淡海置目 あすよりは み山隠りて 見えずかも阿良(アラ)む」

(10C終)三五おのづかあるべきことはなほすべくもあらじものを」

(ハ) 副詞「かく」「しか」「さ」などに付く場合

万葉(8C後)五・八一九世の中は恋繁しゑやかくし阿良(アラ)ば梅の花にもならましものを」

(ニ) 係助詞「こそ」を受けて「…は…あれ」の形の場合。「…については…こそがそうである」の意。

(10C終)二六八「男こそ、なほいとありがたくあやしき心地したるものはあれ」

③ (動詞連用形、あるいはそれに助詞「て」「つつ」を添えた形に付いて) 動作作用、状態の進行継続や、完了した作用結果が残っていることを表わす。間に係助詞のはいる場合もある。

(イ) 動詞連用形助詞「て」を添えた形に付く場合

万葉(8C後)一五・三六八六「旅なれば思ひ絶えて安里(アリ)つれど家にある妹し思ひがなしも」

*竹取(9C末‐10C初)「かくさしこめてありとも」

洒落本郭中奇譚(1769)弄芲巵言物の入ってある長持間夫のない女郎とはないものだ」

(ロ) 助詞「つつ」に付く場合

万葉(8C後)八・一五二〇「かくのみや 息づきをらむ かくのみや 恋ひつつ安良(アラ)む」

(ハ) 動詞連用形に付く場合

西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛一二大砲千挺余も据つけあり」

④ (動詞形容詞連用形に、助詞「て」を添えた形に付いて) そのままの状態で過ごす。それで済ますの意を表わす

後撰(951‐953頃)恋三・七二五「なき名ぞと人にはいひて有ぬべし心のとはばいかがこたへん〈よみ人しらず〉」

徒然草1331頃)六「子といふものなくてありなん」

(5)動作性の漢語名詞、または動詞連用形に付いて) その動作をする人に対す尊敬の意を表わす

(イ) 敬意を含んだ動作性の漢語名詞接頭語「御」によって敬意添えるものもある)に付く場合

平家13C前)一「正月五日主上元服あって」

浄瑠璃今宮心中(1711頃)中「是御覧あれ」

(ロ) 動詞連用形に、敬意の「御」をのせた形に付く場合

太平記14C後)三「少し御まどろみ有ける御夢に

浄瑠璃冥途の飛脚(1711頃)上「お気遣あられな」

(ハ) 敬意含まない動作漢語名詞動詞連用形に付く場合で、(イ)(ロ)よりは敬意が薄い。

平家13C前)一「中納言兼雅卿も所望あり」

玉塵抄(1563)三七「ちとねうすと思ふほどにそなたは先づ帰りあれぞ」

[語誌](1)鎌倉時代以前には、人か物事かに関わらず存在表わすために「あり」が用いられた。敬語形としては、尊敬語の「おはす」「いますがり」「ござる」、謙譲語の「はべり」「候」等が用いられ、時代文献によって変遷がある。
(2)江戸時代以後特定の時間・場所を占め存在の意味ではもっぱら「いる」が用いられるようになった。しかし現代語でも抽象的存在表わす場合漠然と有無問題にする場合には、人間主語とする場合でも「ある」が用いられる。「相手のあることだけに」「兄弟三人ある」など。


在る

出典:『Wiktionary』 (2018/07/05 12:15 UTC 版)

漢字混じり表記

(ある)

  1. ある 参照


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「在る」の関連用語

在るのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



在るの意味のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの在る (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS